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良い子は真似しないでね!
「死因を教えて下さい」
「自殺です」
「アッハイ」
即答されて、面接官は、こくこくと頷いた。
だが、これで終わらせては面接官の名が廃る。
「自殺の、方法は?」
「リストイートンです」
「んん?Listが、なんだって?」
「Listじゃなくて、Wrist」
「Wrist」
「Eaten」
「Eaten」
うんうんと頷いた天使候補は続ける。
「リピートアフタミー。My wrist was eaten by cattle.」
「My wrist was eaten by cattle.」
「I let a cattle to eat my wrist.」
「I let a cattle to eat my wrist.」
「アンダスタン?」
「わかっ、いや、わからない」
わかったと答えかけてから、面接官は首を横に振った。
「英語は駄目なんですか?」
「英語は理解出来ます。けれど、言いたいことがわかりません」
「だから、ウシに手首を食べさせたんです」
「……日本語でおけ」
「ウシに、手首を、食べさせたんです」
日本語ってナンダッケ……と面接官が呟く。
「日本国で公用語として使われている言語ですね」
「それは知ってる。じゃなくて、ええ?ウシに手首を食べさせた?なんのために」
「Wrist Eatenのために」
「手首を食べられるために。なぜ」
「死にたかったので」
「リストカットじゃ駄目だったんですか」
「面白味がないので」
当然のように答えられて、面接官は頭を抱える。
「確かに斬新だけれど……!」
「ウシの口に手を入れてはいけないって、本当ですね。抵抗も出来ませんでした」
「あえて突っ込んだんでしょう?」
「そうですね」
頷く天使候補を見て、面接官は同情に満ち満ちた顔で叫んだ。
「ウシは、被害者だ!!」
m(__)m




