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採用する側に選ぶ権利がある
「次の質問ですが、あなたの死因についてですね」
「そう言うデリケートな質問するの、良くないと思います!こちらは死んで傷付いているんですよ!?それなのに、そんな酷い質問するなんて……!」
「アッハイ」
大仰に嘆いて見せた天使候補を、面接官が白けた目で見返す。
「申し訳ないとは思いますが、死因の確認は必須項目なので」
「そう言うお役人思考が罪もないひとを追い詰めるって、わからないんですか!?あなた、天使なんですよね?天使だったらもっと、ひとを思い遣るとか、しないといけないんじゃないですかっ!?」
「……」
部屋の隅の埃でも見るような目をした面接官は、頷いて手にしていた紙になにやら書き込んだ。
「わかりました。では、答えなくて結構ですよ。面接は以上ですので、お帰り下さい」
にっこりと微笑んで、片手で扉を示す。空いた片手はチリンと、ベルを鳴らしていた。
ベルを聞き付けて、外から屈強そうな天使が入って来る。
「不採用です。丁重にご案内して下さい」
「え……」
戸惑う天使候補に、面接官が冷たく言い放つ。
「上の者に従えない天使など不要です」
「そんな、酷い」
「上の者に従えない天使など不要です」
同じ言葉を二度繰り返し、面接官は視線で天使を促した。さっさと連れて行けと。
m(_ _)m