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オチはない
方言は適当
「なんで死んだーん?」
「クマがなー」
「クマかー」
「クマだなー」
天使候補と面接官はお互いに、うんうん、と頷き合った。
「で、クマがどうしたー?」
「クマがなー、出たんよー」
天使候補はのんびりと言った。
「そいでなー、うちのたろう、あ、たろうってウシの名前なー。そのたろうを、クマが食べようとしたんよー」
「それは困るなー」
「そうなんよー。しかも、たろうはお腹にお子がおってなー」
「たろうメスかー」
「めすだでー。んだからなー、じろうがー、あ、じろうもウシなー。じろうが怒ってしもーてなー、そらもう暴れてなー、そのおかげでクマ退治は出来たんやけど、おれ、じろうに頭突きされて腰をやってしまったもんでなー」
天使候補はぽりぽりと頬を掻いた。
「その怪我でー?」
「いんやー」
首を振ったあと、天使候補は苦笑する。
「時間は掛かるが治る怪我だでなー、じろうも、おれが痛がるので正気に戻ってくれたし、妹分を守りたかっただけだもんで、悪くなかったんだげどなー。周りが黙んなくて、じろうは危険だで処分する言ってなー」
「じろうがボスかー」
「じろうは良い姐さんだでなー」
「じろうもメスかー」
「めすだでー。おれはじろうを処分するんはいやだったし、ほかのウシもじろうを慕ってて処分されるのは嫌がったもんで、周りを止めようとしたんよー。けんど、だぁれも、聞いちゃくれんでなー」
苦笑する天使候補は、どこか悲しげだった。
「結局、おれが怪我で動けない間に、ぜぇんぶ、終わってた」
「じろうが?」
「じろうだけでなくてな、みぃんな、殺されとった。じろうを守ろうとして、暴れたんよ。それで、みんな危ないって。おれの育て方が問題だったて、新しいウシを飼うことも許されなかった」
でもなと、天使候補は続ける。
「おれは、ウシ育てるしか能がねぇもんで、それでも職には就いたんだげど、失敗してな、死んでしまったんよなー」
「……職って」
「マタギだでー」
「もしかして、クマに?」
「ちがうでー」
にへらと笑って、天使候補は首を振った。
「崖から足滑らして落ちてまってなー。やっぱり、ウシがいないと駄目だったんなー」
m(__)m




