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微妙に実話
「死因は?」
「川魚」
「うん?」
首を傾げた面接官へ、天使候補は諦めたような微笑みを見せた。
「川魚を、生で食べさせられて」
「……うん」
「当然、寄生虫がいて」
「うん」
「凄まじい腹痛にのたうち回りながら死にました」
「……医者は?」
「寄生虫なんてね、現代で対処したことのある医者がいやしないんですよ。まず、寄生虫による症状だって気付かなくて」
「きみは言わなかったの?」
「腹痛で喋るどころじゃないんです。こっちは腹を食い破られてるんですよ?」
「…………うん」
感情的になることもなく冷静に説明されて、面接官は頷くしかなかった。
「でも、なら、きみは生の川魚が危ないって知ってたってことだよね?」
「そうですね」
「じゃあ、どうして食べたの?」
「悪気なく、にっこり笑って、『日本人は生魚が好きなんだろう?きみのために釣って来たんだ!』って、ホストファザーに言われて、『オサシミを作るのなんて初めてだけど、頑張ったのよ!』って、ホストマザーに言われて、さあ食べてと期待のこもった目を向けられたら、断れなかったんですよ……。症例が増えれば、彼らも川魚は生で食べられないと気付くかもしれませんし」
面接官はしばし閉口したあとで、
「……恐ろしく自己を犠牲にした奉仕精神だね」
苦し紛れにそう呟いた。
m(__)m




