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喧嘩の理由は目玉焼きになにかけるかとかきっとそんな
「死因は」
「ええと、撲殺?かな?」
天使候補は穏やかな顔で、物騒な返答を返す。
「飲み屋で喧嘩になってねぇ、ビール瓶でドカッと」
「それはまた、災難で」
「そうだねぇ。まったく、こっちは素手なのに武器を持ち出すとか、酔ったにしても馬鹿だよねぇ」
やれやれと言いたげに、天使候補が首を振る。
「避け損ねた僕が悪いってのに、丸腰の相手をビール瓶で殴ったなんて、周りから見ればあいつが悪くなっちゃうじゃないか。下手すれば、執行猶予なしの懲役だ。あんな些細な喧嘩で、馬鹿野郎だなぁ」
「……恨んでないのか?」
あっけらかんとした口振りに、面接官は思わずと言った様子で訊ねる。
けろりとした表情で、天使候補は頷いた。
「馬鹿だとは思うけど、とくに恨むとかはないなぁ。避け損ねるのが悪いだろう?」
「そう、割り切れるものか?死んでるんだぞ?」
「喧嘩なんだから両成敗だろう?」
天使候補は首を傾げると、それに、と続けた。
「辛いのはむしろ、僕よりあっちだ。僕は死んでお仕舞いで済むけど、あいつはこれからも生きてかなきゃいけない。人殺しのレッテルを貼られて、一生を、悔やみながら」
それに比べれば死ぬくらい軽いものだよ。
面接官は数秒の沈黙のあと、そうか、と呟いた。
m(_ _)m




