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あいきゃんふらい
「早速で申し訳ありませんが、死因はなんですか」
「飛びました」
「飛びました?どこから?」
「ビルの上から」
天使候補の返答に、面接官が、おや、と首を傾げる。
「自殺ですか?」
「いえ、自殺ではなくて。夕陽が綺麗だったので」
「夕陽に見惚れて落ちたんですか?」
「落ちたのではなく、飛びました」
面接官が怪訝な顔になった。
「どうして」
「どうしてか、飛べる気がしたのですよね。飛べませんでしたけれど」
「飛べそうだから、飛び立とうとして?」
「ええ。夕陽があんまり綺麗で、近付きたかったので」
「そうですか」
どう言う表情をして良いのかわからないとでも言いたげな顔で頷く面接官の背を、天使候補は見つめた。
「天使は、飛べるのでしょう?羨ましいです」
「……練習しないと飛べませんからね?」
「練習しておけば、わたしも飛べたかしら」
片頬に手を当て呟いた天使候補を、面接官は宇宙人でも見るような表情で見返した。
m(_ _)m




