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良い夢見てね
「死んだ理由は?」
「いやー、それが」
天使候補は恥ずかしそうにはにかみ、頭を掻きながら答えた。
「VRに夢中になり過ぎて、壁に激突して死にました」
「お、おう……」
面接官が、少し引いた様子で頷く。
「そんなに、激しく?」
「いや、まあ、普通に、がんっと」
再現なのか、天使候補が左の掌を右の拳で打つ。ぱちんと、小気味良い音が立った。
「で、くらっとして、よろけて、硝子戸にがしゃーん」
殴った拳をくるりと回してから、もう一度、ぺしん、と掌に当てる。
「扉ごと倒れ込んで、床に頭を、ごちんとぶっつけて、意識を失いました」
ぱたん、と合わせた両手を倒した天使候補が、苦笑する。
「割れた硝子がグサグサ刺さって血も出てただろうし、頭も内出血してただろうし、なにが原因で死んだかはわからないですね」
「そう、ですか」
引いた顔の面接官に、天使候補が頷いて言った。
「やっぱ、周りの安全を確保しておかないと駄目ですね。VRをやるときは」
m(__)m




