115/382
112
武道と武術と
「どうして死ぬことに?」
「通り魔に、さっくりと」
天使候補は肩をすくめて苦笑した。
「仮にも合気道有段者だったんですけど、なんの抵抗も出来ませんでした」
所詮、武道は武道ですね、と溜め息を吐く天使候補に、面接官が、そんなことは、と否定を投げる。
「不意打ちだったのでしょう」
「不意打ちでも」
なにかを思い返すように、天使候補は目を細めた。
「祖父なら、気付いて反撃したと思います」
祖父はビルマに行ったことがあったのだと、天使候補は語る。
「穏やかなひとでした。とても穏やかなひとで、でも、隙のないひと」
しみじみと語る天使候補は、そして、続けた。
「結局、スポーツはスポーツでしかないんです」
m(__)m




