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かもしれない運転
「どうして、死ぬことに?」
「交通事故で」
よくある死因だと、面接官は頷いた。
「被害者?加害者?自損?」
「加害者……いえ、自損、ですかねぇ……」
曖昧に答える天使候補に、面接官は首を傾げて見せる。
「車で壁に突っ込みでもしましたか?それても、自転車でひとを轢いた?」
「いいえ、歩いていて」
「歩いていて?事故で?加害者?子供を蹴り飛ばしでも?」
だんだんよくある死因から離れていく話に、面接官が矢継ぎ早に質問を投げ、話の概要を掴もうとした。
「子供を蹴ったりはしていません。歩いていて、車に轢かれました」
「歩いていて、車に轢かれたって」
やっぱりよくある死因じゃないかと、面接官は眉を寄せる。
「それで、どうして加害者や自損だと?」
「貧血で、倒れたんです。車道に向けて、ぱたん、って」
天使候補が、立てた手を、ぱたり、と倒して見せた。
「普通、歩行者がいきなり車道に倒れ込むなんて、思わないでしょう」
「まあ、そうですね」
どこか納得の行かない顔で頷く面接官に頷きを返し、天使候補は続けた。
「だから、巻き込み事故だし、自殺みたいなものだなぁって」
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