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106-A
あるある
「死んだ理由、覚えとる?」
「はい」
「教えたってぇな」
天使候補が頷いて、答えた。
「登山中に、落石にごっつんこしました」
「ごっつんこ」
「ええ。ごっつんこ」
天使候補は肩をすくめて笑う。
「上の道を歩いていた登山者が蹴ったものでしょうね。これくらいの石が降ってきて、ごんっと。音には気を付けていたんですけどねぇ……」
「音?石が降ってくる音かいな?」
「いえ」
首を振って、天使候補が説明する。
「登山中に落石をさせてしまったり、なにか下に落としたときは、下にいるかもしれないほかの登山者に向けて、『落』って叫ぶんです。気付かず落下物に当たったら、危ないですから」
「その声、あんさんが死んだ時は?」
「しなかった」
「それは」
「登山に、あまり詳しくないひとだったのかもしれませんね」
m(__)m




