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救急車の正しい使い方とは
「死なれた理由を教えて下さい」
「脳梗塞です」
「救助が間に合わなかったんですね」
天使候補は苦い笑みを浮かべて首を捻った。
「間に合わなかったと言うか、なんと言うか」
「なにか、特殊な事情が?」
「いえ、うーん」
片頬を歪めて、天使候補は語る。
「一人暮らしをしているんですけど、深夜にふと、ひどい頭痛と吐き気で目が覚めて」
「頭痛と吐き気で」
「慌ててトイレに駆け込んで吐いて、そのあと、頭痛と吐き気、それとめまいが治まらなくて、ずっと、トイレに座り込んでは吐いてを繰り返していて」
「救急車は」
天使候補の笑みに、皮肉めいた色が強くなった。
「思考能力が低下していたから、ですかね。これが救急車を呼ぶべき状態だって、思えなくて、この程度で救急車なんて呼んだら駄目だって思ってしまって」
「それで……」
「ええ。それで、トイレで意識を失って、そのままです」
m(__)m
m(__)m < 実際、どこまで行ったら呼んで良いのかわからん……




