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体調不良時にしてはいけないこと
「死因はなんスか?」
「溺死です」
「あー、なるなる。海?プール?」
「いえ」
「ん?川?」
「いいえ、温泉で」
答えた天使候補は、しゅん、と眉を下げた。
「私、温泉が大好きで、久し振りの温泉旅行だからって、風邪引いてるのに無理して入っちゃったんです。で、体力なくなってて、意識なくして、そのまま」
はあ、と、深く溜め息を吐く。
「大好きな宿なんです。お湯ももちろん良いんですけど、従業員さんもすごく良くて、ご飯も美味しくて。だから」
しょんぼりとうつむいて、天使候補は言った。
「死んだことより、そのせいで宿に迷惑を掛けてしまったことが、悲しくて。ひとが死んだからって評判悪くなったり、管理責任問われて営業出来なくなったりしたら、嫌です。申し訳ない。私を殺してやりたい」
「もう、死んでるんスけどね」
「もっと早く、道中で自損事故でも起こして死ねば良かったんですよ」
「あー、遅かったスね」
面接官はへらりと笑って肩をすくめた。
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