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2巻の発売まで1週間を切りました。
2巻は本の帯に注目ですよ。
お昼ご飯やらを済ませ、帝国帝都の広場でのんびり確認といきましょう。
《服装具》や《準礼装》に加え、パッシブ系の2次は特に言うことありません。とてもシンプルな効果ですから。
銀の鍵は『亜空間能力強化:極大』が『時空間能力強化:極大』になっていました。これは《時空魔法》のレベル1で覚えたものの影響でしょう。
【時空認識】
時間の流れ、空間の歪みを感知可能になる。
時間の流れ、空間の歪みに関しては現状不明。
これにより《亜空間認識能力拡張》も、《時空間認識能力拡張》へ変わっていまし……あれ? レベル下がってますね……。60近かったのが、今28になってる。下げられたということは、内部補正が上がったと思って良いですかね。前の60手前は、今の30手前と同じぐらいの数値だぞ……と。
亜空間の見え方はグリッドで表示されるようです。マス目のあれですね。
亜空間移動はグリッドを剥ぎ取るイメージや、裂くイメージでも良いようです。剥ぎ取って穴を開け、通るだけ。時間で自動的に修復されますし、塞ぐイメージでも修復可能。
恐らくこのグリッドが見えない、亜空間把握ができない人からすれば、ワープに見えるのかもしれません。
そう言えば、【インベントリ拡張】のMP使用率が1割になっていますね。50台は3割だったはずですが。【効率化】の効果が結構大きそう。
スキルレベルが上がってSPも増えたと思いきや、2次や3次強化でマイナスです。とは言えまだまだある。これから《閃光魔法》や《暗黒魔法》なども控えていますし、《細剣》や《本》もですね。《蛇腹剣》はまだ先でしょう。
《時空間認識能力拡張》は《空間認識能力拡張》に、表示可能オプションが増えたような感じなので、これも特に気にする事はないでしょうか。強いて言うなら『亜空間能力者』の仲間入りです。
自分で亜空間検証をした感じ、認識さえできれば出入りは可能なのでしょう。ただし、『亜空間航行能力持ち』の方はそう単純でも無いようです。亜空間での個人行動が可能な手段を持っていること……ですかね。
亜空間は恐らく宇宙空間と言えるような場所なので、無重力状態での移動手段が必須。無酸素状態の対策も必要。更に保温対策もですね。具体的には【耐熱魔法】【耐寒魔法】【呼吸補助】が必須でしょう。
結論として亜空間とは……次元もしくは座標がズレるので、障害物が無くなり、空気もないので空気抵抗もなく、超高速移動が可能な空間ですね。
ただ、穴を開けておけば外の声は聞こえるし、空気がこちらに流れ込んだりはしていないので、完全に宇宙とは言い難い。そういう異界として認識するのが安定でしょうか。
亜空間を使うのは……ああ、ポータル開けるための初回移動で使えますか。FOX4しないで済みますね。後は狩場に行く時ですか。それ以外だと私の場合、短距離は【ショートジャンプ】で、長距離は普通に鍵で良いでしょう。帰りは【リターン】もありますからね。
さて、既にハロウィンキャンペーン中のようですね。土曜日の日付変更からなので、採取量が増えている。離宮に戻って月曜日から溜めておいた大鉱脈を掘り掘りしましょうかね?
む……? 亜空間になにかいますね。亜空間能力者って珍しくないのでしょうか? ビヤーキーの口ぶりからして、レア者だと思うのですが。
しかも子供ですね。少なくとも身長は低い。《識別》が動かないので種族やレベルなどは分かりませんが、魂は白い。悪い子ではないでしょう。奇抜な格好してますけど。和風というか、ピエロと言うべきか。
私の後ろから手が出てきてツンツンして、亜空間に腕が引っ込みます。……完全に子供ですね? 生憎と私の視界的に、背後どころか亜空間まで丸見えなのですが……付き合ってあげましょうか。
肩をツンツンされたり、外套を引っ張られたりするのに反応して付き合ってあげます。
しばらく遊んでいると、それを見てた住人の人がギョッとして、パトロール中の騎士を連れてきてしまいました。巡回騎士なので三人一組ですね。
ただ、空間から腕が出ている事にびっくりしているわけでは無さそうですね。怯えの表情ではない。なんとも言えない表情なのはなぜでしょう。困惑……いや、呆れ? 『しょうがねぇなこいつは……』って顔ですか。ただ、私を認識した騎士は胃が痛そうな顔に変わりましたけど。
もしかしたらいたずらっ子で有名だったりするんでしょうか? ……だとしたら何という能力の無駄遣い。無駄遣いだからこその魂の色でしょうか。盗人には最高の能力ですからね。亜空間能力って。
「ネメセイア様ですよね。申し訳ありません。悪戯好きですが悪い子ではありませんのでどうか」
「ご心配なく。怒ってはいませんよ」
やっぱり知っているようですね。常習犯でしょうか。
ちょっかいが私ではなく、騎士の方へ。
「おいアル! せめて相手を選べ!」
中性的と言える顔立ちですが、愛称はアルですか。男の子ですかね。
そろそろ良いでしょう。ちょっかいを出しに出てきた腕に触手を絡め、亜空間から引きずり出します。
「うぇ!? うわぁ!?」
「私、外なるものでもあるので、亜空間認識できるのですよ」
自分の足元から出した触手2本をウネウネさせてアピールしつつ、捕まえたもう1本の触手で男の子のほっぺをグリグリします。
嫌がらせではないのでツルツルかつ、町中なので状態異常はオフですよ。
「む~……似たような雰囲気だったけど、能力者だったかー」
「む~じゃない。相手を選べ。それができないわけじゃないだろ?」
「ちゃんと選んだよ? 同じステルーラ様信仰者だもん」
「あー……いやまあ……うーん……そもそも悪戯をやめようか?」
「やだ!」
この子騎士と話しつつもグリグリされ続けてますね……。
それにしても……初見種族ですね。
「初めて見る種族ですね。お名前は?」
「僕はアルカディー・プロア!」
アルカディー・プロア Lv48
歪曲する悪魔。上級悪魔と称される歪魔。地上で亜空間能力を持つ数少ない種族。
その歪魔筆頭で、歪魔と言えばプロア家。
プロア家はステルーラ信仰であり、道化師の格好をしている事が多い。
属性:― 弱点:― 耐性:―
綱:悪魔 目:人型
科:インプ 属:歪魔
種:歪魔
状態:正常
歪曲する悪魔で歪魔ですか。空間魔法系なのでしょうね。
「私はアナスタシア・アトロポス・ネメセイアです。よろしくお願いしますね」
「うん、よろしくね!」
ニコニコ笑顔でそう言った後、グリグリしていた触手をひしっと掴み、鉄棒のモノレールみたいに……豚の丸焼きと言った方が分かりやすいかもしれませんね。まあ、遊び始めました。
そしてやたらキレのある動きでグルングルンしています。
「遊びたい盛りでしょうか。何という身体能力」
「「「なぜお前はそうも能力の無駄遣いをするのか……」」」
「楽しい!」
「ああ、そうかい……」
「プロア家だけあって、能力自体はとても高いんですけどね……」
「もう少しこう、有意義な使い方をして欲しいもんだが……」
有名な家の子供で見た目もよく能力も高い。ただ、やんちゃ盛りであり悪戯常習犯だからこその表情でしたか。
年齢的には小学生ぐらいらしいので、そんなものでしょう。
「有意義って例えば……カレスティア領が物々しいとか?」
「「「えっ……」」」
「カレスティア領とは?」
「ここから南西にある魔法伯の領地だよー」
魔法伯! ファンタジー特有の爵位ですね。まあそのまま魔法について詳しい云々の伯爵家でしょう。
しかし物々しいとは穏やかではありませんね。情報の重さに騎士達が絶句していますし。
「私兵を集めているのですか?」
「私兵と……見覚えのない旗上がってたから冒険者かな?」
「カレスティア領……水晶の森で何かあったか?」
「なのかなー? なんか守りを固めてる感じだったね。3人ぐらいで動いてた」
騎士の言葉からして、水晶の森と隣接している領地で、森で何かあったから防衛のために戦力を集めている……と考えるのが妥当ですか。
「一応上に報告だな、これは」
「「そうだな」」
「見覚えのない旗はどんなのか覚えてるか?」
「んー……なんだろ? 多分太陽と……人型の影2つ?」
「確かに、記憶にないな」
騎士3人は記憶に無いようですが、太陽と人型の影2つ? 確かセシルさんの暁の騎士団がそんな感じのエンブレムだったような……。
ああ、やっぱりそうですかね。夜明けのタイミングで騎士の誓いをしているイメージとか言ってましたね。影なのは逆光と人物が分かる必要はないから。
「その影は立っている人と跪いている感じでは無かったですか?」
「あー、片方は小さかったからそうかも?」
「一致しているなら知り合いのギルドですね。領地の護衛依頼を受けたとか聞いていますよ」
「異人の冒険者ー?」
「そうですね」
割と重要な話のはずですが、遊んでいた触手が時間によって消えたらしょんぼりしたので、また出してあげると遊び始めました。元気ですね。
「ふぅむ……森に何かあったら城に連絡が行くはず。防衛なら騎士が動くと思うんだが……何か聞いたか?」
「「いや、なにも」」
セシルさんに確認した方が良さそうですね。異人にはウィスパーと言う便利な機能がありますから。ゲームシステムは偉大。
『はいはーい。今忙しいから手短に頼むよー』
「では手短に。ギルドへの依頼はカレスティア領ですか?」
『お、そうだね。よく分かったね?』
「別口で情報が入りまして。水晶の森の異常ですか?」
『え? 森? いやいや違うよ。ん……罠か? まあ良い。1班突っ込め。2班遅れて突撃。3~6は広がって待機。7~10は裏から。報酬は絶対に逃さん』
クエスト真っ最中のようですね。
森は無関係のようですね。何かを捕まえようとしている? 既に報酬扱いされてますけど。
『えっと何だっけ?』
「森の異常ではないのですね?」
『うん、違うよ。犯罪者の大捕物だね』
「ああ、なるほど。森の異常なら城に連絡かつ騎士団云々なので、確認したかったのですよ」
『そっかそっか。領主から領地内の調査依頼が来て、進めてたら確保に変わったんだ。これでラストだろうから落ち着きそうだよ』
「犯罪者となると騎士団を動かすまでもないんですかね。分かりました」
『クロニクルってのが不安なところだよ。集めた情報から犯罪者は犯罪者でも、指名手配犯のようだから、領主はかなり殺る気だよ』
「それで物々しいレベルでしたか。一応城の方に情報が行くでしょうから、何かあれば伝えるようにして下さい」
『おっけー助かるよ』
「いえ、ではご武運を」
セシルさんとの会話内容を騎士に伝えておきましょう。
「そうか。あの森のスタンピードではなく安心だ……」
「ありがとうございます。早速隊長に伝えて来ますので」
「ギルド暁の騎士団。ギルマスはセシルですので」
「了解です。情報提供感謝致します」
騎士の3人はアル君に『悪戯も程々にな』と言って、お城へ向かっていきました。
肝心のアル君は『僕がちゃんとしたところで褒めてくれないじゃないか……』と、不貞腐れていますね……。
なでなでしてあげましょう。グレてはいけませんよ。亜空間能力持ちが闇落ちすると、嫌な予感しかしませんからね。
お腹にグリグリ甘えてきますね……。
「家が有名なのも考えものだよね……少し上の兄弟がいると余計にさ」
「兄弟がいるんですね?」
「兄様と姉様がね。兄様は頭が良くて、姉様は情報収集が凄いんだよ!」
おや? 表情を見る限り仲が悪いわけでは無さそうですね。どちらかと言うと自慢気です。仲が悪くて嫌いならそんな顔はしないでしょう。声色からしても嫌悪などは感じませんね。
「……家族のために頑張るのは良いんだ。勉強中は厳しいけど、それ以外なら優しいから。父上は遊んでくれるし、母上はよく撫でてくれる。兄様と姉様は色んな事を教えてくれる。でもね? 他の者達は何もくれなければ、褒めてもくれない。僕の力の使い方は僕が決める。それはいけないこと?」
……なるほど。英才教育途中の子供……ですかね。
名家だからこそ、ただ笑って泣いて……の子供ではいられない。教育の結果、頭が良いが故に考えてしまうと。触手で遊んでいる時の動きからして、能力も高いのでしょう。
とは言え子供には変わりない。見て欲しいんですよ。褒めて欲しいんですよね。小さい頃、できた物を親に見せに行くんですよ。褒めて欲しかったり、喜んで貰いたかったりして。
……何という設定の子を作りますかね……私もまだ子供なんですけど!?
「私も元の世界では未成年……子供ですから答えはあげられませんが、自分の力の使い方を自分で決める。それは良い事でしょうね。ただ、自分の行動に責任を持たないといけません」
「自分の行動の責任……」
「楽しいは正義ですが、自分の楽しいが他者の楽しいとは限りません。悪戯する方は楽しいですが、される方はそうとも限らないという事です」
「むー……」
「そうだ。私のお母さんの言葉を、貴方にもあげましょう」
「お母様の?」
「ええ、少し長いんですけどね。小さい頃に真面目な声色でポロッと言われた言葉って、案外覚えているものですよね」
全員に好かれるなんて事はありえない。だから自分を好いてくれる人を大切にしなさい。好いてくれる人のために時間を使いなさい。
嫌いだと言う人は悪意しか無いのだから、相手にする必要も、言葉を聞く必要もない。好きの反対は嫌いではなく無関心。興味がない、どうでも良いならそもそも声自体掛けない。
人間、自分の気持ちはしっかりと口にしなければ伝わらない。合わないなら合わないで良いから、それが分かったら関わる事を止めなさい。お互いに幸せにならないし、自分から嫌な奴になる必要はない。時間も無駄。距離を取る事は逃げではない。
仕事などでどうしても付き合わざるを得ないなら、必要最低限の事だけで済ませば良い。深く踏み入る必要は無い。
耳に痛い言葉ばかりが敵だとは限らないから、しっかり見極める目を持ちなさい。好き嫌いはどうしても言動に表れる。
「……難しいね」
「そうですね。立場があると中々難しいですが、心構えには良いと思いますよ」
「むー……」
「ああ、立場を逆に利用するのもありですよ?」
「逆に?」
「無視できない存在になれば良いのです。勿論良い意味で、ですよ? 失ったら困る存在になれば、自然と扱いは丁寧になるものです。まあ、自分の行動の責任も相応に重くなりますが……」
考え込んでいますね。
「勇気を出してお父様とお母様に相談してみるのも良いと思いますよ。愛情、感じているのでしょう?」
考えが纏まったのか顔を上げ、私から離れます。
顔つきが少し変わりましたか?
「……アナスタシア様。ありがとうございます。帰って父上と話してみます」
「いいえ、迷える子羊を導くのも聖職者の役目でしょう。話さなければ伝わらないものです。頑張るのですよ、アルカディー」
「はい。では!」
そう言って亜空間に消えて行きました。
最後キャラ違う気もしますが、やればできる子なのでしょうね。
実質、親に丸投げ。中身学生に期待しないで欲しいものです。
何かしらのキーワードで良い方向に行くと良いのですが……。これでこの子が闇落ちしたら、膝から崩れ落ちる自信がありますね。
後々確認できるイベントでもあると良いのですが。
さて、住人の変化を楽しみにしつつ、生産でもしましょうかね……。
離宮へ飛びまして、建物の裏にある大鉱脈を掘り掘りします。ワーカーを召喚してツルハシを取り出し、いざ。
カンッ……カンッ……カンッ……ポロポロポロ。
3個転がって来たので、1個増えてますね。美味しい美味しい。1週間分掘り尽くします。
転がってきた物を一号が拾ってくれるので、ワーカーは結構重宝します。掘って拾っての作業は面倒ですからね。ワーカーいればひたすら掘るだけで済みます。
ミスリルの在庫が増えましたね。エルツさんに加工して貰いましょうか。
ついでに一号とリジィ用の装備品も作ってもらいますかね。イベント来ますし、新調時でしょう。
採掘が終わったので調理場に移動して、全自動製茶機に茶葉も放り込みましょう。
料理はどうしましょうか。金策に走る必要が現状無いので、錬金が優先ですかね。とは言え日課の生産は既に終えていますし……そうなると魔粘土や五行札? スキル経験値や売上を考えると、五行札作るより蘇生薬作った方が良いか。
茶葉の間に魔粘土と蘇生薬でも作りましょうか。終わり次第エルツさんのところで、よし。
突撃、鍛冶屋さん! エルツさんがいるのはフレンドリストで確認済みです。
「よお、姫様」
「インゴットにして欲しいのですが、今大丈夫ですか?」
「良いぞ」
エルツさんにミスリルとマギアイアン、ハルチウムにライチウムのインゴット製作依頼を出し、各種鉱石を渡します。後はマギアイアンである機甲種の残骸も。
「そうだ。姫様よ」
「はい」
「ミスリルを使用した属性金属の用意は可能か?」
「ああ、まだ試してませんね。ミスリルインゴットができたら試してみますよ。まあできると思いますけど、問題は品質ですか」
「できたら買うからよろしくな。それと普通の金と銀はどうしてる?」
「分かりました。金銀は持ったままですね。姫だと逆に高すぎるのか、普通にしてるとその辺りのコネがありません。可能か不可能かで言えば可能でしょうけど」
「今は無いんだな? 一応こっちで換金可能だぞ。マージン貰うけどな。今なら経験値入るし、延べ棒加工ならただでやるぞ」
「お願いしましょうか。《錬金》だと勿体無くて鉱石のままなんですよ。換金は……現状困ってないので、延べ棒保存ですかね」
「あいよ」
溜まりに溜まった金と銀鉱石も渡しておきます。
作業場に入るエルツさんを見送りまして、売り場を物色……ではなくリストから探しましょうか。フィルター設定で《投擲》を……ふむ。確かに投げナイフは安いですね。斧系はそれなりの値段していますが、【泡沫の輝き】前提なのでコスパは最高です。
いっそ、普通の片手斧や両手斧をぶん投げさせた方がダメージ高いのでは? 掲示板確認しますか。絶対に検証されているでしょう。
《投石》系統は投げるという行為に補正を与えるスキルだが、命中率などは投げる物の影響を受けやすい。
投擲武器は非常に素直に飛んでいき、安定したダメージを与えられる。それに比べ、それ以外の武器は命中率も悪く、中ってもジャストヒットし辛い。刃の部分が中らなければ効果は薄いわけだな。投げやすさは槍>斧>剣だ。
つまり基本的に投げる意味はないが、牽制にはなる。でもぶっちゃけ牽制にするならそこらの小石で良いだろう。普通の武器を牽制に使うのはコストが重すぎる。
そういう意味では、1番優秀なのが実はチャクラムだったりする。あれはドーナツ的な形で、外周が刃だからとても楽だ。ブーメラン系統なので手元に帰ってくるため、拾いに行く面倒がなく高得点。
ただし! 問題は自分にも牙を剥く事だ。むしろ牙丸出しの武器だから仕方ないんだが、チャクラム系の最大の問題と言える。
そんなわけで、総合的なお薦めは投槍だ。アトラトルと言う投槍器は良いぞ? 難しく考える必要は無いからな! とりあえず投げて中れば刺さる!
これでてめぇも原始人。もしくはヒャッハー!
弓を使え? どうじでぞんなごどいうのおおおおお!
ちなみに《弓》と《投石》の違い。弓は器用で、投擲は筋力のステータス補正が高い。だから筋肉好きはこっちだ。そもそもこの多様なスキル群の中から《投石》系統に興味持った時点でこっちだ。脳筋が難しいこと考えてないでこっちに来い。
暑い勧誘だ。絶対に暑苦しい。間違いなく引きずり込もうとしている。だが情報自体はとても素晴らしい。でも私は取らない。
リジィの構成を考えると斧一択。スキルも《投擲術》と3次ですし、多少投げにくいのでも問題は無いとは思いますが……ロマン扱いするつもりはないので、投擲用を買っておきましょうか。
それで、問題は一号。現状ハルチウムと属性武器です。これより上がアイリルまたはミスリル。今回でミスリルがたんまり……というほどではありませんが採れたので、それを下僕達の装備にしても良いのですが……。
下僕達は魔鉄と魔銀の合金であるアイリルか、純ミスリル製の方が良いのか……どっちでしょうね? 魔法生物なんだから魔力纏ってるはずなので、純ミスリルで良い。《魔法技能》系を持たせれば純ミスリルで良い。【泡沫の輝き】での具現化使用なのだから、純ミスリルで良い。
簡単に考えてもこれだけ出るので、やっぱ実際に試すのが一番ですか。
エルツさんのところにも試し切りできる施設ができているので、そちらをお借りしまして。
リジィと一号を召喚して試し切りをさせ、どちらが良いかダメージを見つつ、使用者に確認。その結果、リジィは純ミスリル製で、一号はアイリルを指します。
リジィは《闇魔法》を持っているので《魔法技能》持ち。一号には持たせていません。
【泡沫の輝き】は現物が必要なので、この施設の機能では試せません。自前、もしくは商品の試験場です。現物を【夢想の棺】にしまう必要のある【泡沫の輝き】は試せません。つまり、エルツさんの協力が必要ですね。
一号に《魔法技能》を持たせて再召喚し、試させます。
「何してんだ?」
「召喚体はアイリルとミスリル、どちらが良いのかと試してました」
「ほう。結果は?」
「一号、どっちですか?」
一号は純ミスリル製を指しました。
「《魔法技能》系統を持ってるかどうかが判断基準ですかね」
「召喚体も同じか。《魔法技能》系統のスキルレベルは、耐久の減りに影響してるんじゃないかって、使用者達が言ってるな」
「なるほど、そっちですか。攻撃力に影響は無いんですね?」
「そうだな。攻撃面は《魔装》の効率が良いとかぐらいじゃないか」
「魔法剣でしたか」
「おう」
丁度良いので、エルツさんにアイリルとミスリルの現物を借りまして、【泡沫の輝き】をチェックします。
結果として《魔法技能》の影響が消滅。つまり有無は無関係に。そして【泡沫の輝き】使用時のMPコストが、ミスリルの方が低い。魔法適正で消費MPが増減すると言う事でしょう。
つまり、他は変わらないので純ミスリル製一択ですね。
エルツさんに現物を返却しまして、インゴット達を受け取ります。
銀152個、金132個、魔鉄が57個、ハルチウムが123個、ライチウムが79個、ミスリルが63個ですか。
早速素材の強化をしましょう。
「必要素材数が増えてますね……」
「まあ、むしろ20個じゃ少ない感してたからな」
「全身20個でしたからね……そう甘くはありませんか」
スチールからマギアイアン30個。マギアイアンからハルチウム40個。ハルチウムからライチウム40個。
「ミスリル50個……」
「今50個はいてぇな」
「一号用の武器も欲しいんですけどね……。トマホークってインゴットの必要個数何個ですか?」
「トマホークは……2個だな」
一号用に欲しいのは片手剣、片手鎚、両手剣、両手鎚、小盾、大盾。リジィに投擲斧。インゴット換算すると3、3、5、5、4、8、2なので30個ですね。
ミスリルインゴットは63個入って、リジィの強化に50で残りは13個。まあ足りないわけですが、そこまで急いでいるわけでもありません。
と、言うか……。
「完成品買って、残りのミスリルは属性金属に変えますかね……」
「その方が素材持ち込みより良いだろうな。俺もそっちの方が嬉しい」
「宝石も新しいのが出ましたが、属性金属にするにはなんとも……」
「サンストーン達だな?」
「ええ。金属にするにはサイズが中以上必要なので、今は【錬成】しないと」
「【錬成】のレートは確か3:1だったな」
「戻ったら試してみましょうか……」
「おう」
新しく採れた宝石達はサンストーン、アクアマリン、シトリン、ペリドット、セレナイト、モリオンでした。
とりあえずエルツさんから買い物。
ミスリル製を一式揃えます。トマホーク、片手剣、片手鎚、両手剣、両手鎚、小盾、大盾ですね。……1.5Mですか。まあ仕方ありません。流石にハルチウムは弱いので変えないと。
そして持っていたハルチウムの片手剣、片手槌、両手剣、両手槌、魔金鉄の片手剣、小盾、大盾。そして魔紅鉄の片手槌、魔天鉄の片手槌を売ってしまいましょう。
「ミスリルの属性来るし、魔鉄の属性は買い取り下げるぞ?」
「魔鉄の時点で既にトップには威力不足感否めませんし、下げ時ですか」
「1陣2陣はもう買わんだろう」
まあ持っていても邪魔なので、買い取って貰うしかないんですけど。
あれ、結局誤差みたいな減りになりましたね。下がったとは言え属性武器混ざってますし、買った個数より売った個数の方が多いので、そんなもんですか。属性武器いい値段しますよね……。
「では戻って生産してきます」
「まいど!」
一号とリジィの装備強化を終え、離宮へ戻ります。そしたら一号とリジィを召喚して、模擬戦をさせる。使用人組と戦うのも可。なんか効果あるっぽいんですよね。
そして私は錬金部屋へ。
サンストーン小3個を【合成】すると、少し大きくなりサンストーン中に。
ミスリルインゴットとサンストーン中、魔石中を【合成】して、サンストーンミスリルインゴットが完成。
ミスリルインゴットでアルマンディン大も使用して、アルマンディンミスリルインゴットも作ります。
ミスリル製属性金属……綺麗ですね。ミスリルの青っぽい銀に、更に薄らと宝石の色が混じっています。
まあ、問題は性能ですけど。アルマンディンの大とサンストーンの中は……現状サンストーンの中を使うぐらいなら、アルマンディンの大を使うべきですかね。どちらもサイズが同じならサンストーンでしょうが、サイズの壁は大きい。
という事で……手持ちのミスリルは13個。アルマンディンミスリルを11個、サンストーンミスリルを2個にしましょうか。インゴット1本だけ売られても困るでしょう。片手、片手、両手、短剣にできるはずです。
そろそろ魔石も中だけでなく、大も買いましょうかね? 《錬金》系統の必需品みたいなものですし。
《死霊秘法》で取り込むので、自分でのドロップは期待できないんですよね……。
今日はこのまま生産しましょうか……。《錬金術》も3次にしたいですね。
寝る前にエルツさんのところに属性金属を持ち込んで、委託に蘇生薬でも流してから寝ましょう。
悪魔の空間系特化種族、歪曲する悪魔、歪魔の登場。
歪魔と言えばプロアじゃん? プロアと言えばピエロじゃん? 分かる人だけ分かればいいよ。
書籍がここまで来たら名前変えるだろうけど!
なぁに、話数は少ないが書籍換算だと8巻とかだ。
ちなみに天使と悪魔の特殊種族になると固定され、切り替えが不可能になる。
切り替えができるのはあくまでノーマル天使とノーマル悪魔のみ。