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起きてからは少し体を動かします。体型や姿勢を保つためには適度な筋肉は必要。しかし腹筋を割る気はないのであくまで適度。
その後、10時ぐらいからログイン。
昨日冒険者組合ランクがDになりました。討伐だけで納品をしていないので、少し遅めですが仕方ありませんね。納品報酬よりキャパシティが大事です。
さて、次の進化イベントに必要な条件も分かりましたし、レベル上げですかねぇ。キャパシティ集めに繋がりますし、安定のレベル上げ……。昨日は第二エリアへ行ったので、キャパシティは増えましたが経験値面はいまいち。
目指せ第四エリアですかね。まあその前に、午前中はラーナのところへ行きましょう。離宮から訓練場へ移動。
「ラーナ、【対人の型】をやりましょう」
「畏まりました。早速始めましょう」
これが聞いた中でラストなので、覚えたら何かありますかね? クエストが更新されると思うのですが、楽しみです。
〈特定の条件を満たしたため、《古今無双》にエクストラアーツが追加されました〉
ん、覚えましたか。
『目指せ、免許皆伝』
剣術の師匠、スヴェトラーナから認められろ。
1.6個の『型』を習得せよ。
2.2個の『上位統合派生型』を習得せよ。
依頼者:スヴェトラーナ
達成報酬:称号更新
更新されましたね。どうやら上位の統合された派生の型が2つあるようですね。
「次の派生もチャレンジしますか?」
「次は何があるんです?」
「1つは【Ex 対人の型】と【Ex 気流の型】の統合派生【Ex2 白兵の型】です。もう1つは【Ex 水流の型】と【Ex 鏡の型】の統合派生【Ex2 水鏡の型】です」
「では【水鏡の型】を覚えたいですね」
「畏まりました。【水鏡の型】は受け流しと反射に重点を置いた型です。実は、型自体は難しくありません。これは実技が難しいタイプです」
水流と鏡があまり差がないので、その統合の水鏡の型自体は難しくないと。白兵の方が難しいようですね。
まあ、予定通りお昼までは教わります。
もう少しで覚えられそうだったので少し昼食を遅らせ、【Ex2 水鏡の型】を覚えてから食事を済ませ、再び午後のログイン。
午後は何しますかね。んー……ハウジングでしょうか? 軍資金は約5M。
[家具] キッチンⅢ レア:Ra 品質:C 価格:75万
王宮料理長が扱う超本格的な調理道具をホームに設置する。
形はアイランド、ペニンシュラ、I型、L型、セパレートから選択。
料理品質上昇:大
[家具] クッキングボックス レア:Le 品質:C 価格:100万
料理に使う食材を収納する事ができる箱をホームに設置する。
同じ部屋にある調理器具とのリンクが可能。
横置き、または縦置き選択。
無限収納。
[家具] 全自動製パン機 レア:Ra 品質:C 価格:25万
各種パン生地を作れる機材セット。
材料を入れ、時間と温度を選択したら待つだけ!
[家具] 全自動燻製機 レア:Ra 品質:C 価格:25万
各種燻製を作れる機材セット。
材料を入れ、時間と温度を選択したら待つだけ!
[家具] 全自動製麺機 レア:Ra 品質:C 価格:25万
各種麺類を作れる機材セット。
材料を入れ、作る麺を選択したら待つだけ!
[家具] 全自動腸詰め機 レア:Ra 品質:C 価格:25万
各種腸詰めを作れる機材セット。
材料を入れ、種類や太さを選択したら待つだけ!
欲しいと言えば欲しいですね。275万ですか……。
窯が個別で見つからないので、キッチンⅢに入っているのでしょう。
あと気になるのがあるんですが……。
[家具] 全自動蒸留器 レア:Ra 品質:C 価格:50万
蒸留水の作成やアルコールの濃度を上げる事が可能で、瓶に移すまでを行う。
ポットスチルが1個設置される。
マナ濃度が高い方が効率が良くなる。
瓶は自動生成だが、瓶の生成速度はマナ濃度依存。ガラスをセットする事で瓶の自動生産も可能。
1度のアルコール度数上限:原料の約3倍。
[家具] 全自動連続式蒸留機 レア:Le 品質:C 価格:100万or150万
蒸留水の作成やアルコールの濃度を上げる事が可能で、瓶に移すまでを行う。
ポットスチルの隣に、異人の知識を利用した棚段塔が設置される。
マナ濃度が高い方が効率が良くなる。
瓶は自動生成だが、瓶の生成速度はマナ濃度依存。ガラスをセットする事で瓶の自動生産も可能。
1度のアルコール度数上限:約3倍から90度。
これですね。要するに蒸留器の大型版……というより工業版。
離宮だけあって一室がかなり広いんですけど、ぶっちゃけこれだけで一室潰れますね。かなり大きい。
全自動蒸留器を持っていれば全自動連続式蒸留機は100万。んー……増築すると210万ですね。
増築は不要なので、425万ですか……。
とは言え、蒸留水って言うほど使いませんよね。畑で採れた魔草はサルーテさんに売った方が良いですし、魔法の調味料セットの中にホワイトリカーがあります。
ん、ホーリープニカで果実酒作れるんですかね? せっかくなので置いておきましょうか。私は飲めませんけど、まあ良いでしょう。採ってきてもらいます。
その間に料理用の家具を購入し、壁をぶち抜き2つの部屋をキッチンへ。扉は中央に両開きを配置。このぐらいの変更ならお金は要求されないようですね。
キッチンはセパレート型を選択。入って左側の壁にL字でコンロを並べます。コンロから離して細長いシンク付き作業台を、間隔空けて縦に3個並べます。大きいのをデンと置くと、どう考えても手が届きませんからね。
入って右側の壁際に全自動を4個並べます。こちらは作業台を間隔空けて、コンロ側のより少し大きい物を横に2個並べます。部屋に入って1番右上の窓際が燻製機ですかね。燻製、パン、麺、腸詰めにしましょうか。
空いたスペースに縦置きで、クッキングボックスをねじ込んでおきましょう。調理器具とのリンクは……いちいちボックスと調理台を往復せずに、調理台からボックスにアクセスができます。勿論全自動の魔動装置ともリンクが可能。
うん、これで良いでしょう。
やって来た侍女からホーリープニカを受け取り、【洗浄】で表面を綺麗にしたら、多少皮を残しつつざっくり切ります。
そしたら瓶に入れ、砂糖とホワイトリカーを追加して放置。最短3ヶ月、できれば半年ぐらいですかねー。
〈フェアエレンが訪問してきました〉
おや、珍しい。
用も済んだのでキッチンから出ます。
「やっほー!」
「ごきげんよう。どうしました?」
「蜜が採れるか試しに来たよ!」
「ああ、なるほど。では検証しましょうか」
離宮は門から家まで、クリスタルロータスの花畑と追憶の水が流れる川がありますからね。
妖精種の固有能力によって採れる妖精の蜜が、クリスタルロータスから採れるか試しに来たと。
蜜が採れる事を確認し、蜜を採った花を採取して、品質の変化がない事も確認。つまり、蜜採取用の花畑がここにあると。
「うほー! 採っていい?」
「構いませんよ。私達では採れませんし」
「じゃあそうだなー……お礼に少しずつ蜜置いてくね」
「それは嬉しいですね。私がいなければ侍女の誰かに渡してくれればいいので」
「おっけー。うへへへ、採れる蜜の品質が高いぞぉ」
管理は庭師がしているので、野生より良いのでしょう。
裏の畑は……花は咲いてないので不要ですね。
そうか。蜜……蜂蜜。養蜂ですか。
[家具] グラウィタスハイブ(特大) レア:Ep 品質:C 価格:45万
ミツバチにも養蜂家にも優しい、異人達が持ち込んだ技術。
巣の上部を捻るだけで、下から蜜が出てくる。
[家具] ミツバチ レア:No 品質:C 価格:20万
様々な花から蜜を集めて保管する、ミツバチの一種を捕まえてきた。
彼らは好戦的ではないが、せっせと集めたご飯を横取りすれば普通キレる。
盗りすぎないようにしよう。
蜂蜜とローヤルゼリーが採れる。
[家具] 軍隊魔戦蜂 レア:Ep 品質:C 価格:80万
様々な花から蜜を集めて保管する、ミツバチの一種を捕まえてきた。
種では珍しくとても好戦的であり、魔法も使用する。
名前の通り軍隊のように動く彼らを退け、蜜を入手するのは至難の業。
とても貴重な蜂蜜は、豊富な栄養と魔力を含む医者泣かせ。
蜂蜜とローヤルゼリーが採れる。
「これ捕まえてくるやつも大概おかしいよな?」
「フレーバーテキストに突っ込むのは野暮ですよ」
これ山本さんのツッコミでは?
まあ……1番良い箱で45万。普通の蜂が20万で、1番良さそうな蜂が80万。
悩みますね。蜂蜜とローヤルゼリーですか。体にいい……とは思いますが、ゾンビの私には関係無いのでは? 体幹による姿勢などはともかく、流石に肌などはキャラクリで弄れるので、食べ物による変化は無いでしょうからね。
となると、住人に売るのが1番ですか? 蜂蜜はお菓子に蜂蜜酒がありますし、後者はミードさんに売れば良いでしょう。
125万ですか……合計4M飛びますね。残り1Mになりますが……エルツさんとの属性金属の取引がしばらく続くでしょうし、問題はありませんか。
広さは十分ですし、フェアエレンさんと取り合うような事もないでしょう。そもそも判定が同じか謎ですからね。
侍女に庭師を呼んでもらい、設置場所を確認します。
「養蜂ですか。ではあちらへ」
特大箱は何個かに分けられるようですね。言われた場所に設置していきます。
それから軍隊魔戦蜂を購入し、箱と関連付け。早速蜂が飛び始めますが……大きいですね。20センチと15センチぐらいあるのが飛んでいますよ。それと2センチぐらいの。
「これが通常サイズですか?」
「おや、軍隊魔戦蜂について説明がいりますかな?」
「そうですね。お願いします」
「まず、見ての通り軍隊魔戦蜂と言うのは個体名ではありません」
そのようですね。
一番大きいのがロイヤルヴェスピナエ。次に大きいのがロイヤルホーネット。小さいの……蜂としては十分大型ですが、ロイヤルカーペンターメイド。
「巣にいるのがレジーナアピス。ロイヤルホーネットを率いているのがロイヤルヴェスピナエ。花粉や蜜を集めるのがロイヤルカーペンターメイドですね。女王と騎士とメイドがいるのです。更に彼らは軍のように動き、魔法を使った戦闘をするため軍隊魔戦蜂と呼ばれます」
Lv54のロイヤルヴェスピナエ1体、Lv52のロイヤルホーネット5体で1分隊。これが編隊を組んで巣の一定範囲を飛んでいます。当然のように飛んでいるのは複数分隊。どちらも右がランス、左が盾のようになっていますね。
そして働き蜂になるのが、ロイヤルカーペンターメイドでしょう。クリスタルロータスと巣をせっせと往復しています。
「見分けるのはサイズですが、左の大盾がヴェスピナエ。円盾がホーネットです。どちらも盾を前にしたランスでの突進は脅威ですね。尻尾は猛毒を持っており、飛ばしてくる事もあります。まあ、我々には関係ありませんが」
「結構形が違うので、見分けるのは楽ですね。しかし、あれから蜜採れますかね」
「サイアーはともかく、我々には問題ありません。採っておきますよ」
「では保存を決めておきますか」
まず最初にグラウィタスハイブの使い方を説明しておきます。異人が持ち込んだ技術と書いてあるので、知らないでしょう。蜂蜜とローヤルゼリーが分かれて出てくるのはゲームだなって。
ローヤルゼリーはポーション瓶で保存。蜂蜜は何だかんだ使う大きい瓶に入れ、両方クッキングボックスへ。
自動収穫してくれるの楽でいいですね。まあ、誰が採っても品質はハウジングの施設依存だからでしょうけど。
ガラスを大量に作ってしまっておきましょうかね……。
いっそ何世代か経つと、土地による変異進化とかしたら面白いんですけど。
さて、フェアエレンさんは無事でしょうか。
「あの蜂めっちゃ怖いんだけど?」
「巣に近寄らなければ攻撃してきません。羽音が煩くなったら離れる事です。後は小さいメイド達に手を出しても集団で来ますね」
「だそうですよ」
「ほぉーん……取り合いにはならないみたいだし良いか。あれいくら?」
「箱が45の、蜂が80ですね」
「125かー……妖精の蜜とどっちが良いんだろ?」
「はて、知ってますか?」
「昔ですが、どっちも高級品でしたね。命を懸けないで良い分、妖精の方が安かったはずですが……味はどちらも一級です。どちらもそう出回りません」
命を懸ける必要があるが、1回でそれなりの量手に入る軍隊魔戦蜂。命を懸ける必要はないが、妖精とのコネと1回の量が少ない妖精の蜜。
微妙に味が違うらしいので、好みの問題だとか。
お仕事に戻る庭師を見送ります。
「あ、そうだ。姫様に相談したいこともあったんだ」
「ん、相談ですか?」
「うん。姫様、このゲームで傭兵プレイって成り立つと思う?」
「傭兵プレイですか? PTの助っ人として入る代わりに、金銭またはアイテムを報酬として貰うプレイスタイル……ということでいいですね?」
「そうそれー」
「やるんですか?」
「掲示板でネタに上がってさー。調べスキーによるとできるだろうって事だけど、本当にやるつもりなら姫様の意見も聞いた方が良いとか」
ふーむ……? ああ、そういうことですか。調べスキーさんはステルーラ様を気にしているわけですね。
傭兵との『契約』でしょう。確実にステルーラ様が絡むだろうから私にも聞けと。
確かに、プレイヤーでは私が1番詳しい……可能性が高いですからね。そうじゃなくても、詳しいだろう人物とのコネはあるので聞けばいいわけですし。
それはそうと傭兵プレイですか。
「結論だけ言えば……可能かと」
「お、できる?」
「ええ、ただ……契約内容はしっかりしておくべきですね。それが口約束であってもです。傭兵プレイするなら契約書を作っておくのが確実でしょうか」
「口約束でもかー」
「ステルーラ様を特別信仰しないなら、口約束はセーフと言えますね。ただ報酬が発生するタイプはグレーです。契約書として紙などに作った場合はアウトですね」
「なるほど……」
「精神的にもRP的にも、契約書を作るのが安定かと思います。契約書の内容を悪意を持って……抜け道ですね。利用するとサヨナラですよ。つまり勝手に自爆するので裏切りは潰せる。傭兵は信用商売ですから、傭兵側から裏切るのは無いでしょう。この世界での契約書はかなり要注意ですよ。ただ、書かれている文の裏まで読む必要はないため、ある意味では楽です」
書かれているそのままが全てなので、それを素直に守るだけでいい。厳しいととるか、むしろ楽ととるかは人次第ですね。素直な人ほど気にしない内容です。
「口約束でもログを漁れば『何言ったっけ?』となりませんが……かなり面倒なので、そういう意味でも傭兵プレイするなら契約書は作った方が良いでしょうね」
「必要なのは期間と報酬、内容? なるべく複雑な内容は避けた方が良さそうか」
「そうですね。更に『相互不利益となる行動を禁ずる』とでも書いておけば楽かと。これだけで裏切りを防げます」
傭兵プレイ自体が実力がないと話にならない……と言うのはまあ、今回の相談には関係ありませんね。そもそも百も承知でしょう。
報酬は手伝う内容にもよるでしょうけど、テンプレートは穴埋め形式的なものを考えておけばいいでしょう。
「傭兵として有名になれる可能性はありますし、プレイスタイルとしてはありだと思いますよ。RPとしてもやりやすそうですね」
「裏切らず、腕さえあれば他は比較的自由だもんねー」
「ですね。腕があれば雇うためのお金が上がりますし、傭兵板ができそうですね」
傭兵ランキングとかできるかもしれません。
活動時間、腕前、接しやすさとかで総合評価が出されると。当然評価が良ければ値段が上がるでしょう。
たまにやる分には面白いかもしれませんね……そんな暇があるか知りませんが。
「姫様この後はー?」
「はて、どうしましょうかね。キッチン買ったので料理でも良いですが、平日に回したいところです」
「お、キッチン買ったんだ」
「今日だけで4M飛びました。また稼がねば……家具も欲しいですね。でもいい加減アクセを揃えたい」
「え、まだ空いてる系?」
「7枠空いてるんですよこれが」
「まじか……半分じゃん」
アクセサリーは全部で14枠もあるんですよ。
基本は首(1)、耳(1)、手首(1)、足首(1)、指(10)の14枠。素直に従うならネックレスとイヤリング、バングルとアンクレットを1個ずつ。そして指輪10個ですね。イヤリングとバングル、アンクレットは左右セットです。
でもこのゲームは割りかし自由です。それ以外でもアクセ枠が空いてて、身に着けられるなら効果は発動する。
つまり私の場合だと……首、耳、手首に守護シリーズのネックレス、イヤリング、バングルを装備。
指は南のボスドロである、器用が上がる精妙な指輪。それと守護の指輪で2枠。これで合計6枠。
ここまでは基本通りですね。
問題は銀の鍵です。銀の鍵の分類は[装備・装飾]なので、アクセサリー枠。指は当然無理ですし、耳と手首も無理。首はチェーンで吊るすなりすれば平気そうですが、既に守護のネックレスが枠を埋めています。
ではどうするか……というと、有名な『装備しないと意味がないぞ?』という事で、まずアクセ枠を1個使用して装備状態に。そしたらベルトポーチの吊り下げ枠も使用して腰にぶら下げます。
これで問題なく装備状態です。ある程度の自由が利くので、アレンジが可能です。つまり指全部に指輪を装備しなければいけない訳ではない……と。
アイテムによっては装備方法も指定してくるのがありそうですけど。
まあ、これで私のアクセ枠は7枠使用し、後7枠空いている状況ですね。
「装備を、しないなんて、勿体無い!」
「そうなんですよね。ニフリートさんに頼みたいところですが、最近ハウジングの生産施設にお金を持っていかれまして。下僕の装備や鞍も買いましたし……」
「あぁ……装備可能の召喚体に生産ねぇ……」
1番お金持っていってるのは確実にハウジングですけどね。エンドコンテンツの一種でしょうし、ハウジングでお金かかるのはお約束ですから……。
とは言え、今のところ全てが生産施設なので、初期投資段階ですね。
ただでかなり広い土地と屋敷、土地固有の採集ポイントを得たのは嬉しいですが……MMOとしてのハウジングと言う点では微妙ですよね。
なぜかって? 見せびらかせませんよこの家。通常マップじゃないですから、遠目にすら見えないという。
まあつまり、いまいち手を加える気にならないと言うことですね。マイハウスはただの倉庫と生産施設になりそうですよ。
強いて言うなら……エリーとアビーを招いてお茶会する場所さえあれば良い感。しかもクリスタルロータスの花畑で良いですからね……あ、今大きい蜂いますね。
……まあ良いか。些細なことです。
「でも一応、これでとりあえずの初期投資は終わりましたかね?」
「姫様は《料理》と《錬金》だっけかー。私まだ家買ってないからなー」
「あ、まだなんですね?」
「妖精の国でもないかなーって思ってね。ちょっと買うの見送りー」
「妖精の国……探すの厄介そうですねぇ……」
「そうなんだよねぇ……作品によって幅がありすぎるからメタ視点で探せぬ……」
1番ありえるのは……森の中で結界が張られた中ですかね?
しかし、このゲームでは過去人間と敵対関係にあったとは聞きませんね。精々悪戯好き。結界を張って引っ込む理由がない?
あれ、でも妖精って人類には入ってませんでしたね。躍起になって狙う必要はないけど、積極的な交流があるわけでもない。だから妖精の蜜は高い?
妖精方面の情報は集めてないので、分かりませんね……。
「宰相は知識人ですが、何分情報が古いんですよね……」
「長生きさん?」
「長生きっていうか……リッチ系統ですから」
「そっかー」
「ん? 宰相じゃなくて、最近死んだ人に聞けばいいのでは?」
「なるほど。でも知ってるかな? 一般人が知ってるような内容?」
「んー……お偉いさんでも怪しいですかね……。あ、ソフィーさんが知ってそうですね」
「ソフィー? ああ、魔女の人!」
「教会へ行ったら聞いてみましょうか」
「よろしく!」
再び蜜の採取に向かうフェアエレンさんを置いて、地上にでも行きますかねぇ。
始まりの町の中央広場へ。
どうせならさっさとソフィーさんに聞いてしまいますか。という事で教会へ向かい、近くにいたシスターにソフィーさんがいるか聞いてみます。
いるとのことで、時間があるか確認を取り、部屋に向かいます。
「ごきげんようソフィーさん。突然すみません」
「ん」
教会のはずですが試験管にビーカーと、なんか理科室みたいになっていますね。本人は紙に埋もれていますし。
「知り合いの妖精種が妖精の国を探しているのですが、ご存知ありませんか?」
「特定の者にしか見えない、ここから南西にある島。妖精種なら見えるはず……」
「島ですか。見える条件は判明していますか?」
「妖精もしくは魔力やマナに敏感な者なら気づけるはず……。ただし、欲深き者は無事に出てこれるとは限らない」
「いわくつき?」
「んーん……普通に中の妖精達に殺られるだけ」
「ああ、なるほど……」
「妖精王オベロンとその妃ティターニアの治める常若の国……ティル・ナ・ノーグ。美味しいリンゴと生き返る豚、美味しいお酒がある楽園」
おぉ……ファンタジーですね。
しかし妖精は既に王家がいますか。いや、王家が不在だった冥府がおかしいだけか。貢献すれば領地とか貰えますかね?
オベロンにティターニア……有名所ですね。メロヴィング朝でもフランスの英雄詩でもなく、シェイクスピアの方ですか。夫婦喧嘩してないと良いですが……。
オベロンにティターニアはシェイクスピアですが、ティル・ナ・ノーグはなんでしたっけね……。
まあ、メモだけしておきましょう。
「南西の海にあると伝えておきましょう。ありがとうございます」
「ん。そう言えば、神子なんだって……?」
「神子?」
「聞いてない? 神々から加護を貰った者は神子と言われ、大体教会に所属してる。神託を得る者の事……別名神の愛し子……」
「聞いてませんね。[ステルーラの祝福]は持っていますが、ルシアンナさんからは特に勧誘もされていませんし……」
「ん、そう……。いくら神子でもネメセイアを抱え込む事は避けたか……。ネメセイアの武力や権力、影響を考えると……下手に抱え込むより、今の友好関係がベスト……」
所属……さて、利用か保護か……組織としては多分両方でしょうね。
ルシアンナさんは今まで接してきた感じ、かなり善良でしょう。魂もカルマが善。つまり白いので問題なし。
武力や権力、影響はソルシエールであるソフィーさんも同様なはず。それでもここにいるということは、ルシアンナさんにそれだけの信頼があると。
ちなみにソフィーさんも白。善寄りです。
加護を貰った村人とかなら教会に保護するのはありだと思います。受けた神託を広める役目を教会ができますし、教会には騎士団もいますので護衛も可。
しかし私が所属するとなると話はかなりややこしい事に。教会の勢力が割れる可能性がありますね。よくある勢力争いの先頭に立たされると。
そして私は神子であると同時に王族です。下手な扱いはできません。なんせ冥府の王です。冥府の軍が動くんですよ。地上の柵など関係ない冥府の軍が、私によって国の中枢に直接転移してくるわけで。
挙げ句に私を狙っても異人なので、暗殺が物理的に不可能。不死者なので毒殺も洗脳も不可能。監禁も銀の鍵によって不可能。
ぶっちゃけ詰んでますよね。
多分『友好的な関係を維持するしかない』というのが正解かと。
持ってる加護が[ステルーラの祝福]っていうのが、住人からすれば精神安定剤でしょうか? この世界では本人に問題はないと言う最大の保障ですよね。
ただこれ、逆に言えば最高の協力者になり得るんですよ。国を立て直したい王家やまともな貴族からすれば……ですね。勿論国ではなく組織でも構いません。
《幽明眼》で貴族達の魂の色……カルマをチェックする。国王に伝える。近衛達が王の命により対象の家探し。出てきた証拠で法により断罪。
出なくても私が《裁定の剣》を用いて尋問。《裁定の剣》により肉体を傷つける事なく苦痛を与える。つまりHPは減りません。ただひたすらに痛い。《裁定の剣》は完全にRP用ですね。《裁定者》でカルマによりダメージが増減するスキルもあるので、さっさと自白した方が良い。
逃げたら後ろめたい事がありますって自白しているようなものですし、暗殺なども不可能なので詰みです。自殺? 奈落でお会いしましょう。逃しません。
私が呼ばれた時点で詰んでいるんですよ。呼ばれるような事をしたのが悪いので、容赦なんてしません。
なかなかRPのし甲斐がある状態です。張り切ってやりますよ。
まあそんなこんなで、組織に所属させるより、協力者として依頼した方が遥かに良いわけですね。
「あ、そうだ。ソフィーさんこの近くのダンジョン、どこか知りません?」
「んー……ヴァルオワッセとフィンフェルデンの間と、ベルンレイとラングレーノの間……」
ちょいちょいっとおいでおいでされるので、近くへ寄ります。
ソフィーさんは地図を取り出し、場所を教えてくれました。あと町の名前も。
〈情報によりエリアマップが更新されました〉
えっと……ダンジョンは4-5と4-20ですか。
北東のフェルフォージから、北東へ斜めに行くとヴァルオワッセ。ヴァルオワッセから南東へ斜めに行くとダンジョンがある山……と。
東のバルベルクから、東に行くとフィンフェルデン。フィンフェルデンから北に2個行くとダンジョンがある山。
北西のベラフォントから、北西へ斜めに行くとベルンレイ。ベルンレイから南西に斜めに行って、更に南に行くとダンジョン。
西のティリヴェッタから、西に行くとラングレーノ。ラングレーノから北に2個行くとダンジョン。
「北東が鉱山の洞窟タイプ……。西が森のフィールドタイプ……」
「お、マギアイアン採れますか?」
「北東で採れる……」
ふぅむ……荒稼ぎするなら今のうちですね!
それはそうと、ダンジョンの情報は手に入りましたが、行けるかどうかはまた別の話です。あるのが完全に第四エリアですからね。
まずは町の開放しないとなので、まだ行くのは無理そうです。
ソフィーさんにお礼として、追憶の水を湧き出る水筒から補充して、教会を後にします。
フェアエレンさんに聞いた情報を知らせておきます。後は頑張ってください。
さて、今日もレベル上げ行きますかね。
平日は生産と……しばらく言語の勉強に当てたいので、休日のうちに狩りに行きましょう。
レベル的に来週ぐらいでしょうか。スケさん達と第四エリア目指しそうですから。キャパシティも兼ねて東でいいでしょう。
なんか近い内にイベント、ありませんかねー?
クエストでも良いのですが。経験値的に美味しければなおよし。
ロイヤルヴェスピナエ:ポケモンのメガスピアー。左は大盾。
ロイヤルホーネット:ポケモンのスピアー。左は円盾。
ロイヤルカーペンターメイド:クマバチ(カーペンタービー)
神(の愛し)子。