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05 進化

 お、おぉ? 恐らく良いの来ましたね。苦労した甲斐はあったでしょうか? って待って下さい、何してんですか私の腕! その血肉をどこに持って……食べるのは無しだと思いますが! 思いますが……止まりませんね。

 ……ああ、味覚も死んでるんですね。特に味しないや。


 あ、<王女のミイラ>が崩れるように消えてしまいました。



〈王家の血肉が取り込まれた事により、進化可能種族が追加されました〉



 おぉー……でもまだ進化できません。レベル上げないと。

 とりあえず、この部屋にはもう用は無いから出ましょうか。アナウンスと共に体の操作権が返ってきましたし。

 ……棺桶の中は他に何もなし。


 部屋から出て、あの剣をどうしようかと思った私の濁った視界には……こっちに飛んでくる剣が映っているのでした。


 おぅふ。


 ……見慣れた天井だ。はい、グッサリされました。痛くもないのに痛いと言うあれと一緒。声は出る。

 ズリズリ部屋から出るのも面倒だし、出たところでリビングデッドは無理。という事で良しとしましょう。ゾンビ狩りますか。


 あの剣、王家の血肉取り込んでも容赦なく突き刺さって来たなぁ。進化先の種族になったら改めて行ってみましょうか。



 まだ6レベだから、同格から格上ですね。片っ端から倒していこう。デスペナ中はステータスが下がりますが、もうこの種族だと誤差でしょう。


 敵の倒し方は実に簡単。

 こっちに歩いてくるゾンビに道を譲るように横にズレます。

 ゾンビが横を通ります。

 その瞬間にゾンビの後頭部に向かって、思いっきり自分の腕をぶち当てます。

 するとゾンビは顔面強打するので、そのまま上に乗り後頭部を滅多打ちにします。

 以上、ゾンビ完勝法でした。


 後頭部でダメージ。顔面強打で更にダメージ。後は死ぬまで殴るだけ。これをどうにかする程、ゾンビちゃんのAIは良くない模様。《物理耐性》は持ってるだろうけど、《物理無効》ではないのだよ……。後は《HP自動回復》を上回る程殴りまくればいいのです。と言うか、私もMP無いので魔法は使えない。殴るしか無いので。

 ちなみに、この方法で2層目のハイゾンビも殺れる。ただかなり時間がかかるので、10レベまで1層で狩り安定ですね。


 さ、殺ろう。


〈今までの行動により《奇襲》が開放されました〉



〈種族レベルが上がりました〉

〈種族レベルが10になりましたので、進化が可能です〉



 ……ええ、正直作業でした。

 でも精神的には遥かに楽だった。剣が辛すぎた。途中で《奇襲》スキルが開放されたようだけど、現状はスルーですね。

 時間は……うーん……進化して夕食。


 えっと進化するには……ああ、自己主張の激しいこれからか。視界の端っこでやたらピカピカしていた。


〈進化先を選択してください〉

 ハイゾンビ

 死体の王女(コープスプリンセス) (Ex Race)


 そう言えば、エクストラ種族って大体察せるけど、正しくは何なんでしょうか。


 ヘルプ……エクストラ種族……っと。あ、ちゃんとヘルプに追加されてますね。



※エクストラ種族とは

所謂固有種族や突然変異種、ユニークモンスターと言われる者達の事です。

なるためには特定のステータス、もしくは特定のスキル所持などなど様々な条件が存在しています。

キーアイテムが必要な種族も存在し、1人取るとアイテムが消える場合もあります。

一番最初にその種族になった者は、一部違った能力を持っている事でしょう。そもそも1人しかなれないような種族もあります。

中には運営が悪乗りした種族もあるけど、それはご愛嬌。



 なるほど……。

 <王女のミイラ>は崩れるように消えてしまいましたが、もうキーアイテムが手に入らないパターンを引いたようですね。

 確かに王族がゴロゴロいたら有り難みが無いですか? 王族は血を残すのが役目でもあるのでおかしくはありませんが……まあ、細かい事は置いときましょう。


 選択肢は無いようなものです。当然のようにエクストラ種族になりますよ。

 でも、情報見れるのかな?



ハイゾンビ

 ゾンビが進化した姿。

 筋力と体力が更に伸びるが、他は相変わらず。


死体の王女(コープスプリンセス)

 特殊な王家の血肉を体内に取り込んだゾンビが進化した種族。

 高位不死者に分類されるが、今は所詮、ただの腐った死体。



 ハイゾンビは純粋にゾンビの強化タイプ……とまあ、予想通り。

 王女の方が高位不死者とか言ってるけど、最後で落としてますね……。『今は』ってことは、頑張って更に進化しろよってことですか。

 うん、やっぱ選択肢無い。



〈エクストラ種族、死体の王女(コープスプリンセス)が選択されました。進化中はしばらく行動不能になります。進化を始めますか?〉



 あ、待ってください。寝床に入ります。

 モソモソと自分のリスポン地点に戻り、改めて進化をする。


〈エクストラ種族、死体の王女(コープスプリンセス)への進化を開始します〉


 勝手にキャラクターの視界が閉じ、真っ暗になる。

 真っ暗な中、映るのはゲームのUIだけ。そこにログが流れ始める。


〈体内に取り込んだ王家の血肉が体を作り変えます〉

〈低位不死者のゾンビから高位不死者の死体の王女(コープスプリンセス)へ進化中…………〉


 体を作り変えますってなんか、侵食されてない? 大丈夫ですか?


〈種族スキルが変更されます…………〉


《低位不死者》から《高位不死者》


〈種族スキルが追加されます…………〉


《物理無効》……取得

《闇のオーラ》……取得

《不死者の王族》……取得


〈…………進化が完了しました〉

〈種族レベルが低いため、全ての力を発揮できません。一部制限されます〉


 進化が終わったようですが、相変わらず《腐乱体》があるので、色々死んでる。

 それはともかく、スキルの確認だ。リビルドが来てないってことは、ステータスにそんな大きな変化はしてないのかな?

 『一部制限されます』についてはいきなり高位不死者ではあれなので、バランス的な処置が入っているのでしょう。だから特に気にしません。


 えっと変わったのは……。



《低位不死者》

 陽に当たると継続ダメージ。日陰で減少。

 被光、聖属性4倍。

 月明かりに当たると全ステータスにボーナス:小

 闇系魔法強化:小

 被闇系魔法耐性:小

 クリティカル耐性:小

 HP自動回復系スキルの効果増加:小

 暗視。

 肉体系、精神系の状態異常を無効化する。

 食事、睡眠不要。


《高位不死者》

 陽に当たると継続ダメージ。日陰で減少。

 被光、聖属性4倍。

 月明かりに当たると全ステータスにボーナス:大

 浄化耐性:中

 闇系魔法強化:大

 被闇属性耐性:大

 クリティカル耐性:大

 HP自動回復系スキルの効果増加:大

 暗視。

 肉体系、精神系の状態異常を無効化する。

 食事、睡眠不要。



 えーっと……『浄化耐性:中』が追加された。後は補正が小から大になったみたいですね。他は変更無しと。

 恐らくこの補正大に制限がかかっているはず。見れませんが。


浄化耐性。

 全ステータスと自動回復速度の低下をおこす対アンデッド特効に対する耐性。


 うん、実に便利。

 他の新規スキルは……。


《物理無効》

 対象の攻撃スキルレベルがこちらのスキルレベルの半分以下の場合、被物理ダメージを無効化する。


 えっと……無効がLv10だとしたら、相手の物理攻撃スキルがLv5以下だと全部無効化する……ってことかな?

 逆にそれ以上なら普通に食らうわけだし、耐性とは別物。つまり、格下をガン無視できるスキルが増えたわけですね。


《不死者の王族》

 PTにいる不死者をスキルレベルに応じて全ステータスを強化。

 不死者の敵から受けるダメージがスキルレベルに応じて減少する。

《闇のオーラ》

 状態異常付与:毒、呪い、衰弱。

 スキルレベルに応じて状態異常確率上昇:毒、呪い、衰弱。

 10レベル毎に状態異常強度上昇:現在1 最大6


 ふむふむ。

 《不死者の王族》に関しては特に言うことはないね。そのまんまだろうし。

 《闇のオーラ》は……さっきから体から出てる黒いモヤみたいなエフェクトがそうでしょう。


 えっと、ヘルプ……状態異常……。



※状態異常について

基本的に肉体系、精神系、その他に分類されています。

キャラクターや敵の異常状態を表す物を状態異常としますので、多数存在します。

中には回復アイテムがない物も存在しますので、ご注意ください。


※状態異常強度について

状態異常には強度……強さがあります。

これは状態異常名(数字)で表されます。状態異常の強度上限は通常5です。

強度の上昇は同じ状態異常を連続で掛けられる事。

毒(1)を持った敵から攻撃を何度も受けた場合、体内に毒が蓄積し強度が上昇。毒(2)となったりします。

強度の効果は状態異常によって様々ですが、毒なら毒ダメージの上昇。気絶なら気絶発生率が上昇します。

強度が上がると非常に危険です。なるべくすぐに直しましょう。



 なるほど。

 つまり《闇のオーラ》のスキルレベルを上げれば状態異常にする確率と、与える状態異常の強度が最初から高いと。しかも上限6って事は特殊ですか。

 種族スキルだから中位は分からないけど、高位は必ずこのスキル持ってるんだよね? 後半出てくるようになったら大変そうですね。私もアンデッドだし、状態異常は大体無効なので他人事ですが。

 何があれって、毒と呪いと衰弱が最悪全部同時にかかる場合があるわけで? 選択するわけでも無さそうだし……。地獄ですね。


 よし、確認終了。夕食にしましょう。




 外に出るのはもうちょっとかかるかな? と妹に言いつつログイン。

 中々嵌っています。MMOなのに、まだ誰とも会ってないけど! MMOなのに!

 まさにカタコンベの住人。


 さー、レベル上げましょう。目指せ、脱《腐乱体》……いや、ほんとに。そろそろカタコンベから出たい。サービス開始丸々一週間過ぎてるけどカタコンベ生活ですから……。


 早速2階へと降り、ハイゾンビをゾンビと同じ戦法でボコる……んだけど……? ヤバイですね。この王女様肉体派かも。パンチ強い。結構早くなってる。

 どんどん行きましょう……と思ったけど、剣の事忘れてましたね。進化したし、行ってみましょう。

 エクストラ種族開放用の試練があれって事でしょう? あの剣を突破しろ的な。進化して王族になった今、あれがどうなるのか気になる。

 という事で、先に3層目の隠し部屋に行きましょう。


 ガコッと一部を押して、隠し部屋に侵入。

 いざ、チャレンジ!


 ふわっ……。


 あ、ダメなのでは?


 おぅふ。


 見慣れた天井だ……。

 ……さ、ハイゾンビ狩りましょう。剣? 《腐乱体》消えたら考える。

 そう言えば10レベなったので、欠損の可能性が出てくるんですね。気軽に死に戻りができなくなりましたか。いや、死にたくて死んでいるわけではありませんが。




 横を通ろうとするハイゾンビの後頭部を強打。そのまま倒れ地面に顔面強打するハイゾンビの上に乗り、後頭部を滅多打ち。

 まさに外道。でも止めない。

 だってこれでも敵のレベルLv15~19ですよ? 最低でも5レベ、最高で9レベ格上をノーダメで倒せるんだから、やりますよね?


 ちなみに、与えるダメージ以外特に変化を感じません。

 《不死者の王族》はPT組んでないから意味がない。

 《闇のオーラ》もアンデッド相手じゃ意味がない。


 まあ、ハイゾンビをだいぶ早く倒せるようになったんだから、特に不満はない。


 殴る。

 乗る。

 殴りまくる。


 ループで経験値が美味しい。なお、スキルレベルは《拳》ばっか育つ模様。まともな戦闘してないだけに、さっぱり他が育たない。けれど、まともな戦闘ができる訳もなく。微妙に《物理耐性》が育ってるのは剣のせいですかね?


 しかし、これだけ良い狩場があるのにここまで人気がないのは、やはり見た目か。少なくともこのカタコンベ見る限り、ゾンビ→ハイゾンビ→リビングデッド確定っぽいですね……。少なくともそこまでは夢がない。開始地点から早々のネタバレ。

 私のこの種族はどこへ向かうのでしょうか……。


 とか思いつつもハイゾンビをど突き回していたんだけど、進化前に寝る時間です。

 トイレやストレッチを済ませ就寝。

key

1段階目ゾンビの状態で剣の試練を突破し、扉の奥へ向かい血肉の入手。

ゾンビの状態でないと隠し部屋はともかく、剣の奥の扉が開かない。

ハイゾンビの状態では不可。

より分かりやすく言うと

『ゾンビ』がツリーの分岐点であり、ハイゾンビと死体の王女はツリーが違う。

よって、ハイゾンビで入手しても意味がないので扉は開かない。


ヘルプにあるように他の種族にもこういった条件の種族が存在する。

プレイヤーにその種族が合うかは……祈れ。

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― 新着の感想 ―
おう、ハイゾンビ状態だとこっちに進化できないのか。 キーアイテムあれば、強制進化、とかではないのね。 検証勢が頑張りそうなシステムだ。
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