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ちょろっとエイボンの文章が変だったフレーバーテキストや、エイボンに適用スキル《高等魔法技能》が無いの変じゃね?

という事で、修正してあります。

 朝起きたらいつも通り早朝ログイン。始まりの町の広場で落ちたので自宅に飛び、庭で型稽古をしてから落ちます。

 朝食を食べたらのんびりしたり、運動したりでメンテ中の時間を潰します。掲示板は使えるので、普段より流れが早いと。普段ゲームに集中してる人達も参加しますからね。



 体操後にシャワーを浴びて、のんびりアプデ情報の確認。そこへ妹がバタバタやってきて、『メンテ終わったよ!』と言ってバタバタ戻っていきました。

 ……ログインしましょうか。


 メンテ直後のお決まりであるログイン順番待ちを済ませ、朝にログアウトした自宅へ。


「なにか問題は?」

「特には。いつも通りでございます」


 近くにいたメイドさんに聞いても特に無いそうなので、今日は何をしましょうか。


 とりあえずメンテで効果の切れた【インベントリ拡張】を再使用しておきます。

 6割使用だった拡張が、2割ちょっとまで減っているんですよね。鍵と加護のおかげでしょう。計算式などが不明なのでなんとも言えませんが、スキルレベルが上がって使用MPが減るほど、効果が薄くなる可能性が高いですね。


 さて、追加されたシステムの確認をしましょう。発動キーワードカスタマイズ。

 設定できる発動キーは2個ずつまで。本来の発動キーと合わせると3個ですか。

 課金で3枠追加可能で、本来の入れて6パターンまで設定が可能。

 追加はスキル毎ではなく、アーツや魔法1つ毎。1アーツまたは魔法で100円ですかー……。最初の追加作業が大変ですね。

 私は初期2枠あるなら、特に困らなそう。


 という事で、早速銀の鍵のキーワードを変えましょう。『開け』で転移門が起動するように……っと。行き先は思考で良さそうですね。

 マジックミサイルは長いので、『マジミサ』で良いです。エクスプロージョンも長いんですよね……ポイズンと同じ『プロード』にしましょうか。

 とりあえず、略すだけでいいでしょう。


 後は……掲示板での表示名が、ファーストもしくはファミリーどちらかの選択も可能になったようですね。

 フルは長かったですからねぇ……。普通にファーストにしておきましょう。



 さて……レベル上げか、生産か、それとも採取か、はたまた勉強か……。実に悩ましい。生産するなら錬金。採取は……採掘で下僕達の装備狙いでしょうか。勉強は神学語。

 教会のルシアンナさんに報告と言うのも良いですね。冥府の入り口教えて貰いましたから。クエストのおかげで加護も得られましたし?


 お、クリアオーブができましたか。


[素材] 純魔力球クリアオーブ レア:Ex 品質:―

 魔力が圧縮され球体状に固められた物。

 不純物が無いため非常に高効率なエネルギー源となるが、扱いには注意が必要。

 トレード不可。


 装備が変わったと同時に、生成する物が魔力球オーブから純魔力球クリアオーブへ変わっていました。正直具体的にどのぐらいの差があるのか謎ですが。

 私が育った影響で、生産数が初期から増えていたオーブも、クリアオーブになったことで初期ぐらいの生産数に落ちましたね。

 一号に食べさせた感じ、オーブとクリアオーブでは2倍ぐらい違うようです。オーブの使い道も探さないといけませんね。いや、宰相に聞けばいいのか……。

 突撃、隣の常夜城。


「宰相!」

「どうしましたかな?」

「このオーブは何に使えるのです?」

「ふむ。色々な物に使えますなぁ。純度の高い魔石ですぞ。錬金や死霊と言った、要するに魔力の関わる事に」

「単純に魔石の代わりとして使えば良いのですね?」

「そうなりますな。ただ……今のサイアーに扱いきれるかは別ですが」

「詳しく」


 一定以上の魔力を扱う物を加工する場合、【魔力操作】が満足にできないと自滅するそうです。

 物が持ってる魔力を押さえ込みつつ整え、形を変える必要があるので、魔力を持った物を作るのはかなり高度だそうです。

 これは《錬金》系に限らず、他の生産もそうだと。

 いかに魔力を失わせず、あわよくば更に魔力を追加して仕上げるか。それが職人の腕の見せ所らしいです。


「未熟な者がやると死ぬことすらありますが、サイアーなら問題ないでしょう」

「そうですか?」

「サイアーは異人ですからなぁ。はっはっは」

「…………」


 これ『サイアーならできるよ!』ではなく、『サイアーなら死んでも問題無いでしょ?』ですよ。不敬では?


「サイアーには是非強くなって欲しいですからなぁ。手伝いはしますが、甘やかしませんぞ?」

「真横でやって巻き込んでやりましょうか……」

「可愛い嫌がらせですなぁ。はっはっは……ダメージはともかく、家具が死ぬのでやめてくだされ。備品破壊は感心しませんぞ?」


 くそう……分が悪い。


「ああ、そう言えば。サイアーの持っている錬成陣、地上で入手した物ですな?」

「そうですよ」

「なら改良したらどうですかな?」

「……改良できるのですか?」

「今のサイアーなら余裕で錬成陣読めますからなぁ。効率が上がるよう手を加えるだけですぞ?」

「なるほど?」

「まあ、サイアーが錬成陣を理解できればの話ですが」

「煽りよる……」


 エルダーリッチめぇ……。

 とは言え、いい情報なのは間違いありませんね? 近い内に……いえ、今で良いですかね。見てみましょう。


「…………ふむ。これすぐには無理ですね」

「でしょうなぁ。手の付け方をお教えしましょう。まず、錬成陣は集合体です。それぞれが作用しあって、最終的な効率が変わります。つまりブロックを最適化したら、最適化されたブロック同士を繋ぎクラスタへ。当然クラスタにする際もちゃんと効率を確認。それの繰り返しですぞ」

「ではまず、クラスタの分解から始めるわけですね」

「そうなりますな。クラスタを分解しブロック単位にし、ブロックを作っている言葉を改良。再び組み立てていく」


 要するに、円形の魔法陣型プログラムですか……。

 まあ、効率は表示されるので分かります。それだけでかなり楽ですね。


「崩して組み立てては使用し、崩して組み立てては使用し……地味な作業ですぞ」

「……え? 各ブロックの最高効率を見て、更に見ながらクラスタにすればいいですよね?」

「……もしかしてサイアー、効率が分かるのですかな?」

「ええ、分かりますね……」

「エイボンの書よ……お前か……? 儂がどれだけ苦労したと……?」


 ほほほほ……ちまちま進めるとしましょう。


「では、地上にでも行ってきますね」

「はあ……気をつけるのですぞ」


 テンションがだだ下がりな宰相を置いて、地上へ向かう……前にイメチェンしましょうか。離宮へ戻ってシステムからキャラクリ画面へ。

 髪色などは変える予定がないのでプレミアの必要は無いですかね? んー……ああ、ゲーム特有の形が崩れない不思議なリボンなどのオプションは、プレミアでしたね。

 長さはお尻ぐらいにして、前髪は目の上ぐらいで無造作に。もみあげは肩ぐらいで、耳辺りのを後ろに持っていき、少し緩めでハーフアップにしましょうか。

 しっとりツヤツヤオプションはそのままに……おや? 装備に合わせた留め具があるようですね。……これクリスタルロータスでは? 扱い的には下着セットの分類……つまり、ステータスの無い飾りですね。

 このぐらいならプレミアでなくても大丈夫なようなので、安い通常版を購入して完了。購入しておいたリボン達は、ハウジング倉庫にしまっておきましょうか。



 さて、地上へ行きますかね。

 今まで何だかんだで立像使ってたんですよね。銀の鍵でも試してみましょう。


「”開け……”」


 おぉ……? 銀の鍵がふわっと浮いて少し先の地面に刺さり、転移先の選択が来ました。始まりの町を選択します。

 鍵が回ると影が広がるように、冥府への入り口と同じ黒い階段が出現しました。同時に銀の鍵が溶けるように消え、ちゃりんと吊るしていたアサメイの横へ。

 良い演出ですね!


 私がすっぽり入るまで階段を降りると、入り口が閉じて踊り場になりました。今度は上りの階段になり、光が見えますね。地上の光でしょう。

 上りきると黒い階段が消えました。出てきたのは中央広場の立像近くですね。教会へ行きましょうか。


 教会による場の浄化……ちょっかいを感じなくなりましたね。無効の効果か、光が弱点では無くなったからか……普通に考えれば前者ですかね。

 えー……見覚えのある顔は……ああ、あの人にしましょう。


「すみませんが、ルシアンナさんと面会は可能ですか? 忙しいようでしたら空いてる時間を聞いていただけると」

「は、はい。少々お待ち下さい」

「お願いしますね」


 あの人なら私の進化前を知っているはずですし、反応からして大丈夫でしょう。

 ……ここで祈ればまたワンワン王会いに来てくれますかね?

 ティンダロスの王よ……聞こえますか? お願いがあるのですが……。


 あ、来ましたね。


「何用だ?」

「ティンダロスの王よ……言語を教えて欲しいのですが」


 流石にここで本の名前は出さない方が良い気がしたので、トントンして示してから伝えます。


「ほほう? ……そうか、オリジナルは城にあったな。良かろう、今か?」

「いえ、今度で」

「ではその時呼べ。どうせ暇だからな」

「分かりました」

「それと……鍵を持っているな。冥府で門を探せ。まだ早いだろうがな」

「門……ですか」

「確か北東だか北西だったか。まあ、目指すのなら……だが」


 それだけ言って帰ってしまいました。暇な時にでも冥府の探索しましょうか。

 ……そう言えば、住人からすればワンワン王はレアキャラでしたね。個人的なお願いをしただけなので、気にしないでください。


「お待たせしました。ご案内致します」


 帰ってきた灰色刺繍のシスターに付いて行きます。

 ……あれ、シスターってリアルだと身分的には低いんでしたっけ? でもこの方は灰色刺繍ですし、ルシアンナさんも……リアルは役に立たなそうですね。教会のシンボルも十字架ではありませんし。


「ようこそ、アナスタシアさん」

「突然すみません」


 恐らく客室でも豪華な一室で、ルシアンナさんが待っていました。

 案内してくれた人は下がり、給仕の人も紅茶を入れて下がり、2人だけに。


「まずご報告です。旧大神殿、礼拝堂の掃除をしたらステルーラ様から祝福を頂けました」

「それはそれは。ステルーラ様が加護を与えるなんて珍しいですね……」

「加護を得られたお礼と、無事に冥府に到着した報告をしておこうと思いまして」

「おめでとうございます。ただ、加護は日頃の行いなのでお礼は不要ですよ?」

「まあお土産も兼ねてなので、どうぞ」

「こ……これは……こんなに……?」


 ホーリープニカを5個ほどプレゼントしておきます。


「冥府に沢山なっているので、気にせずどうぞ。それとこんなものもありますが」

「それは……幻のクリスタルロータス……。この2つの定期的な納品は可能ですか? 教会から依頼と言う扱いでどうでしょう?」

「個数にもよりますが、用途も気になりますね」

「ホーリープニカは立像のところへ飾らせていただきます。クリスタルロータスは貸し出しになります」

「貸し出し……ですか?」

「持った者の本質を映し出すとされるクリスタルロータスは……例えば貴族へ持たせるのですよ。黒くなったら家探しです。申請があれば貸し出しを行います」

「なるほど。代わりにやってくれるのでしたら、お願いしましょうか」


 最初はあることを示す花3個で十分。果実も4個あれば十分だそうなので、1個回収します。

 こういうのを飾るための特殊な入れ物があるとのことで、ルシアンナさんはそれを取りに行きました。

 紅茶を飲んで待ちましょう。


 そう言えば紅茶で思い出しました。イベントで余ったポイントで、茶葉を交換しておきましょう。

 ブレンドしたいですし、全種それなりに交換しますか。時間が空いた時にのんびりやりましょう。


 ルシアンナさんが沢山連れて帰ってきました。1人1箱魔力が見えるガラスケースを持ってますね。


「これが何か分かりますね? 1人1個入れ、果実は立像の前に1つずつ。花は立像同士の間に来るように。つまり果実と花を交互に置くのですよ」

「『はい』」


 果実は特に変化ありませんが、花が明るい白から少し輝きを失います。とは言え、一般的な大人は灰色が基本なので、十分明るい人達ですね。

 大事に抱えて部屋から出ていきました。順調にイベントが進んでいると思って良いんですかね。


 さて、報酬の話ですが……これが少々厄介ですね。冥府になってるのを持ってきただけですから。

 地上が平和になれば、結果的に奈落の仕事が減るでしょうし? ……直後は逆に仕事増えそうですけどね。

 ある意味私もお仕事してるだけですからね。採取の手数料だけ貰いましょうか。持ってくるのは楽ですし。

 その方向で話を進めておきます。


「身分の保証は……不要ですかね。言って聞かない者は教会が保証したところで、効果あるか怪しいですから。オーラを出した方が早いでしょう」


 オーラ系は接触でも効果が出るので、普段町中では流石にオフです。特に進化で変わった今、下手したら私にぶつかっただけで即死が発動しますからね。


 その後新しく持ってくるタイミングの話をして、報酬を受け取りお暇します。



 さて、教会から中央広場まで戻ってきましたが……何しましょうかね?

 とりあえず種族関係のイベントっぽい事はこれで一段落したはずです。ワンワン王の言っていた門とやらは……多分次の種族クエストではないでしょうか。そうなると後10レベは余裕あるので、急ぐ必要はありません。

 下僕達の装備集めか……錬金か……。


「…………」

「…………」


 立像近くにいたからでしょう……すぐ近くに1人のプレイヤーがログインしました。目が合っているのですが、これがまた見覚えが……。


「ああ、先生では?」


 あちゃーって感じで天を仰いでいますね。


「あー……姫様が教え子……ん? つーと妹ちゃんは……」

「そのまま妹ですね」

「そうか……何も言うまい。うちのクラスにトップ層がいたのか。黒髪新鮮だな」

「トモとスグもいるので、トップ層3人はいますね」

「あいつらもか……。ちゃんと宿題は……と、お前さんに聞くのも野暮か」

「とっくに終わってますね」

「まあ忘れないようにの、確認程度しか無いしな。んー……じゃあ個人情報が分かるような発言は気をつけるように……ぐらいか?」

「重々承知しています」

「よろしい。楽しんでるか?」

「ええ、とても」

「うんうん、良いことだ。じゃあ先生は狩りに行ってくる……生徒と」

「結局捕まってるんですね……」

「先生と遊んで楽しいんかねぇ?」


 そう言いながら歩いていきました。

 まあ、一緒に遊ぶ程度に好かれているのですから……良いのではないでしょうか。教師は好かれてなんぼ感ありますし……。休日かつゲームでまで生徒の相手したいかはともかくですが。


 まあそれはそうと、どうしましょうかね。

 取りたいスキルも何個かあるのですが……SP飛びましたからねぇ……。具体的には《魔法触媒》や《影魔法》でしょうか。前者は《本》に派生しますし、後者は闇系統魔法ですから、補正ありますからね。両方でSP6……残り21。

 問題は《本》にSP6持ってかれる事ですか。《影魔法》は種族スキルとして3で取れますが……。

 しかしアサメイやエイボンを考えると、《魔法触媒》取るべきですよね。

 心得系というパッシブ強化スキルも気になりますし。クリティカル時の威力上昇や、状態異常確率上昇ですね。

 しかし基本的に、SPを増やすにはレベル上げるか、スキルレベルを上げるか。スキル上げた時の増え具合をみると、上げきれば増えそうですが……。


 よし、《魔法触媒》と《影魔法》を取りましょう。16ほど残しておけばレアスキル1個は取れますからね。



〈『守護のアサメイ』が持ち主に適応しました〉

〈『Book of Eibon』が持ち主に適応しました〉



[装備・武器] 守護のアサメイ レア:ExGo 品質:S+ 耐久:─

 【魔力解放リベルタ】:オーブを消費して次の攻撃に追加ダメージを与える。

 【属性収束循環機構】:自身の持っている魔法属性の光剣を発生させる。

 【念動装着】:アサメイに手のひらを向けて念じると飛んでくる。

《鑑定 Lv10》

 ATK:△ MATK:△

 DEF:△ MDEF:△

 攻撃タイプ:刺突 斬撃

 適用スキル:《細剣》《魔法触媒》《古今無双》《高等魔法技能》

《鑑定 Lv20》

 《魔法触媒》:【属性収束循環機構】の消費MP減少。

 《古今無双》:派生型使用時、派生型効果上昇。

 《高等魔法技能》:短剣から両手剣サイズまで伸縮自在。

 反撃時威力上昇:中

 武器防御時効果上昇:中

 武器防御時衝撃吸収:中

 武器逸らし効果上昇:中

 クリティカル発生補正:中

 クリティカルダメージ補正:中

 魔法攻撃力上昇:中

 詠唱速度上昇:中


[装備・武器] Book of Eibon レア:Go 品質:S+ 耐久:─

 【共鳴行動】:魔法使用を意識すると持ち主の周りを浮遊しながら付いてくる。

 【オートスペル】:手に持つ必要がない。

 【アンチスペル】:所有者に向けられた敵性魔法に自動抵抗する。

 適用スキル:《本》《高等魔法技能》

《鑑定 Lv10》

 MATK:△ MDEF:△

《鑑定 Lv20》

 知力上昇:極大

 精神上昇:極大

 詠唱短縮:大

 消費MP減少:大

 錬金術品質上昇:大



 ふむ……ふむ? 《魔法触媒》により燃費が良くなり……アサメイを呼べると。……私はどこへ向かうのでしょう。いえ、便利なのは間違いないと思いますし、どこへも何も颯爽と直進している気がしますが。

 エイボンの書は【共鳴行動】と【オートスペル】、更に【アンチスペル】の追加ですか。本を気にせず型に集中できるのは良いですね。【アンチスペル】の具体的な内容は不明。

 まあ、この際楽しませてもらいますから良いとして……2陣も第二エリアへ行き始めているでしょうから、始まりの町周辺も空いているでしょうか? 少し試してみましょう。



 久しぶりですね、東の平原。試すスペースは……十分ありそうです。

 《影魔法》の最初は【シャドウバインド】しか無いので、ウサギさんで十分でしょう。《魔法触媒》もまだパッシブしかありませんし。


 魔法掲示板で《影魔法》を見つつ、実際に使用して確認をしていきます。

 魔法を意識して詠唱ゲージが出現すると同時に、吊るしていたエイボンが解かれ浮き上がります。詠唱ゲージと本の捲れる速度が連動していて、詠唱が終了すると閉じた状態で待機。発動時に開く……と。かっこいいですね!


 【シャドウバインド】は足元などの影から、影の紐が出てきて縛り付ける。この際の紐の太さや本数がスキルレベルと知力に依存し、紐の剥がれ具合が効果時間を示す。クールタイムは範囲魔法と同じぐらいか少し長い。

 バインド系は今のところ影と木であり、どちらも地面からの発生である。そのため空の敵には難しいが、単体指定かつ紐が対象追尾のため、不可能ではない。ただし、空の敵は挙動が特殊に見えたため要検証。

 バインド抵抗の詳細は不明である……ですか。予想は筋力か精神、そしてサイズと思われる。


 ふむ……全然剥がれませんね、兎さん。闇系補正もあるせいか、本数も太さも中々です。とは言え、強度は対象が最弱なのでなんとも言えませんが。

 効果時間によって自動的に剥がれるか、抵抗によって剥がされるかですからね。兎さんは時間で剥がれると……。

 バインドが解除され突っ込んできた兎さんは、私のお腹に体当りして止まり、着地します。そして再びバインド。

 基本的に他のゲームと同じく、状態異常耐性が付いていくので、バインドの場合はかける度に拘束時間が減少していきます。よって、さっきより早くバインドから抜け出し攻撃してきますが、《物理無効》範囲なので……。


 とりあえず……私が覚えているバインド系は1個しか無いので、シャドウは略して良さそうですね。

 ではアサメイを抜かずに……手のひらを向けるだけで飛んできたアサメイを掴み、死で生成します。

 あれ……? 被弾モーションしてるのに兎さんのゲージが減ってない? バグりましたか? 闇で生成して斬ってもゲージが減りませんね。余り痛がっている感じもしてません。おやおやー?

 んー……怪しいと言えば《裁定の剣》でしょうか。これだけ検証していませんからね。このスキルをオフにして斬ってみると、倒せました。

 ……拷問用スキルにしか見えなくなりましたね。兎さんが言うほど痛がっていないのは、兎さんの魂が黒くないから?

 基本的にはオフですねこれ。《裁定者》が魂による威力の増減。《裁定の剣》がHPダメージを与えないためのスキル……でしょうか。フレーバースキル……?


 まあ、お肉は沢山あるので取り込んでしまいます。ああ、キャパシティ集めもしないとでしたね。ワイバーンを常用できる程度のキャパシティが欲しいところです。とは言え、これはレベル上げとスキル上げついでに稼げるので、まあ良いでしょう。

 レベル上げなら第三エリアですが……ダチョウは魔法ですからね。型のためにも地上で戦いたいところ……。


 始まりの町へ戻りつつ、掲示板をエリア情報板に切り替えます。敵の種類とレベルがエリアごとに纏められているので、結構便利です。

 東の第三エリア、バルベルク。南側が34~37で……敵の種類がトロールとオーガの上位種……バーバリアンやソルジャー、グラップラーなどの職業? 持ちと。

 ベルステッドのトロールは特に付いてませんでしたね。オーガとはエリートモブで遭遇していましたか。私の左腕を物理的に持っていったやつですね。

 ふぅむ……囲まれた瞬間死の予感がしますね。ベルステッドのトロール君で試し斬りしましょうか。


 町に入ったら銀の鍵を起動します。

 今度はふわっと正面に行き、空中で行き先が出たのでベルステッドを選択します。するとその場で鍵が回ると、空間が裂けるように広がりました。

 もしかして階段は現世と幽世の行き来で、町から町はこの演出なのでしょうか? 向こう側はステルーラ様の立像が見えていますね。鍵が戻ってきたので通過すると裂け目が閉じていき、ベルステッドへ。


 起動条件が安全地帯限定とは言え、銀の鍵便利ですね。わざわざ立像まで歩いていく必要がなく、恐らく町以外のセーフティーエリアでも使えるのでは? 安全地帯ですし。

 さて、一号をワイバーンゾンビで召喚して南の森へ飛びます。

 到着したらワイバーンを送還し、スケルトンとウルフとアウルを召喚します。私がトロールと戦闘中に周囲警戒させるためですね。


 いましたいました。お久しぶりですね、トロール君。

 アサメイを空間で起動します。同時にエイボンも浮いたので、戦闘態勢も条件なのでしょうか。


 トロールは魔法を使ってこないので、【流水の型】で相手しましょう。

 下僕達は周囲の警戒をさせ、私はトロールへ向かいます。アローで釣りましょうか。速攻で捲り終わる本から、アローを放ちます。

 ……ガッツリ減りましたね。アローでそこまで行きます? 進化は制限かかるはずなので、そこまで劇的に上がることは無いはず……となると本と鍵ですね。

 ああいや……むしろようやく装備一式が強化されたので、今までが弱かったんですね? 本と鍵の補正も大きいでしょうが、こういう時に強くなったと言う実感がわきますね。


 装備補正に感動するのも良いですが、トロールは突っ込んでくるわけで。

 初の型を使った実戦! よっ……ほっ…………うん、イージーモードですか?

 ラーナがヤバすぎてトロールしょぼいですねぇ……。スピードも遅いし、動作も分かりやすい。思わず真顔になりますわ……。ラーナの爽やかなVサインが浮かびますね……。


 【ブレイクパリィ】で強制アンバランスにできなくなったのは少々不便ですね。横薙ぎを受け流す際、上に跳ね上げますか。

 右から左への横薙ぎ……私からすると逆ですが、しゃがみながら担ぐような状態で、足も使い跳ね上げます。……アンバランスどころか、転んじゃいましたね。

 刀身を死に切り替え、【エクリクシス】で弱点部位に突き刺すと、刺突ダメージと爆発ダメージが発生して倒します。

 下半身だけ残して。


「……もしかしてこのアーツゴミでは? 少なくとも《解体》と相性最悪ですね」


 肉片が飛び散らないだけマシだと思うべきですかね。確か6割は残ってないと取り込めないんでしたっけ。……大丈夫そうですね。6割は残ってましたか。


 ふぅ……とりあえず、場所……変えましょうか……。ラーナに慣れるとトロールが遅すぎて逆にやり辛い。

 アルフさんも強く……と言うか、上手くなってそうですね。ラーナにサンドバッグにされてた気がしますし。タンクなので、ひたすら盾で受け止めるだけという。


「どうしたのです一号」


 番号的には三号のアウルがやってきて、一方向を見つめます。

 町の方ですが……ワールドクエストならどこにいても通知が来るはずですし……はて? 見た方が早いですか。【ビジョンシップ】を使用してアウルを飛ばします。


 木に止まったアウルが見つめる方向からプレイヤーがやってきましたが……なるほど、怪しいですね。何をそんなコソコソしているのでしょうか。

 そう言えば、PKらしき視線を感じていましたっけ。冥府に篭って忘れてました。


 用は済んだのでワイバーンで帰る手もありますが……特に落として困る物もありませんし、トロールよりは楽しませてくれるでしょう。

 一応保険として、《空間魔法》の遠距離を防ぐ【ラウムスフィア】を使用しておきます。判定的にはパリィより後なので、いい感じの保険ですよ。



〈《空間魔法》がレベル25になりました〉

〈《空間魔法》の【リターン】を取得しました〉



【リターン】

 リスポン地点、または最寄りの町に帰還する。クールタイムリアル30分。

 イベントマップ時使用不可。


 なるほど、よくあるパターンの魔法ではないですか。便利ですね。クールタイムが長いのもお決まりのようなものですし、30分なら気にならないでしょう。

 戦ってから死んでなければこれで帰りましょう。


 アウルの視線から見る限り、魔法3の弓2、近接1のフルPTですかね。2人共長弓。近接は恐らく短剣盾無し。魔法は長杖2の短杖1。

 ふむ……長弓なら【アローレイン】が無いですね。放置決定。短剣も放置で。クリティカルも状態異常も効きませんし。

 一号をスケルトンからウルフにチェンジして、全員戦闘開始まで遠くに潜ませます。魔法使い3人はウルフ2体と、空のアウルから不意打ちさせましょう。ああ、勿論ウルフゾンビですよ。打撃に強くしておかないと。

 宰相から範囲魔法の対処法を聞いているので、等倍な以上耐える自信はありますからね。弱点の対策ぐらいしておくでしょう。


 プレイヤーから隠れるように木を盾にして待ちます。

 直接視界に入れなくても《空間認識能力拡張》で確認は可能です。魂が黒なので、PK確定でしょう。少なくともレッドプレイヤーでしょうから、遠慮無く。

 アサメイは空間で起動しておき、【ライトエンチャント】と【ダークエンチャント】で精神と知力を上げます。エイボンは私の背に。詠唱がバレますからね。

 先に発見できる……つまり準備時間がある。これは有利ですよ?


「おや? ごきげんよう、狩りですか?」

「んっ!? あ、ああ、狩りだな」


 向こうは時間稼ぎのつもりか、はたまた勝てるつもりでいるのか……。話に乗ってくれるなんて優しいですね。

 一号達がポジションに着くのを待ってくれるなんて……。

 魔法3人と、近接が詠唱していますね。魔力が見える相手だと詠唱もバレるのですよ?


「そうですか。2陣のようですからトロールには気をつけるのですよ」

「ご忠告、ありがとうよ。親切返しにこっちからも忠告だ。最近PKが活発らしいぜ?」

「そうなのですか? まあ、簡単に負けるつもりはありませんが、ありがとうございます」

「なに、良いって事さ! 冥土の土産だからなぁ!」

「「「「【ルーメンエクスプロージョン】」」」」


 でしょうね。私も詠唱していたのを使いますよ。


「【ダークバースト】」


 【ルーメンエクスプロージョン】による光の爆発を、自分中心の闇の爆発で対抗します。流石に4個相手じゃ相殺はできませんか。しかし2割ちょい。余裕ですね。

 被ダメ4倍が頭おかしいだけですよ……。等倍魔法を4人からならまあ、普通こんなもんでしょう。むしろ予想より少ないぐらいですね。


「「「「な、なにぃ!?」」」」

「生憎私、魔法防御高いんですよねぇ……一号」


 慌てて散開するPK達ですが、そこへ一号達が魔法使いに集り……足に噛み付いて引きずり戦法。重装備ならともかく、魔法使いなら余裕ですね。しかも持たせた《死を纏うもの》により状態異常の椀飯振舞です。

 アウルも残った魔法使いの後頭部へ奇襲。


「ちっ! 飛行か!」

「おや、余裕ですね? 【魔力増幅マジーアアンプ】【六重詠唱ヘキサスペル】【ノクスマジミサ】」

「なっ……」


 これでまず1人。さらば弓……2発で死んでましたけど。2陣じゃ対魔法装備なんて無いでしょうからね。1陣だって怪しいのに。

 突っ込んできた短剣を【流水の型】で相手します。


「【ライトランス】! なっ……」


 【鏡の型】でお返しして【ノクスショット】もプレゼントしたら、嬉しさの余り昇天してしまったようです。

 【鏡の型】で暇そうな弓の人と遊びましょうね。


「うおぉ……!?」

「大変練習になります。もっと撃ってもらって構いませんよ? 中々難しいんですよね。相手に当てるの」

「うるせぇ! これでも食らってろ! 【メテオシュート】」

「それは悪手でしょう……」

「【チャージショット】」


 斜め上から真っ直ぐ私に飛んでくる矢と、直進してくる矢をそれぞれ返します。


「完全に同時でないのなら問題ありません」

「嘘……だろ……」


 撃ってきたのがミードさんだったら辛いかもしれませんね。この辺りは完全にPSの問題です。練習あるのみ。

 運が悪いことに【メテオシュート】の反射が当たってしまい、さよならです。その前からちょいちょい返してたので、ゲージ減ってましたし。狙ったのは確かですけど、難しいんですよねぇ。


 一号に魔法使いを集めさせ、そこへ移動し【臨界制御オーバースペル】と【ダークバースト】で纏めて吹き飛ばします。



〈種族レベルが上がりました〉

〈《魔法触媒》がレベル5になりました〉

〈《魔法触媒》のアーツ【マジカルスマイト】を取得しました〉



【マジカルスマイト】

 対象を自身の属性で強打する。ノックバック中。


 ふむ……経験値が美味しいですねぇ。

 アーツは距離を取る用のものでしょうかね? 私の場合死属性になるんでしょうか……。


 レッドは倒すと懸賞金が手に入るんでしたね。トロールよりは楽しかったし、臨時収入が入りましたし、良しとしますか。

 さて、ベルステッドへ帰りましょう。


「【リターン】」


さらばPK。


ブクマや評価などありがとうございます。

感想も貰っていますが、感想が返せる量じゃ無くなってきた感。

なるべく返していきます。

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― 新着の感想 ―
圧倒的じゃないか我が軍は! と言いたくなるレベルだ。 懸賞金はいくらかな~。
[良い点] 書籍版読み切ってから着ました。 ちょいちょいでてくるネトゲあるあるや、住人とのやりとりに読んでいてふふってなります。
[一言] エイボンの書が・・・持ち主に・・・適応しちゃったかぁ・・・
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