58 進化3回目と装備の変化
1日早いですが、書き終わったので。
そしてレビューをいただきました。ありがとうございます。
〈エクストラ種族、幽世の王女への進化を開始します〉
〈高位不死者・不死者の王女から、幽世の最高位不死者・幽世の王女へ進化中…………〉
今回も勝手に視界が閉じ、ログに文字だけが流れていきます。
〈種族スキルが変更されます…………〉
《高位不死者》から《幽世の最高位不死者》
《闇のオーラ》から《死を纏うもの》
《不死者の王族》から《幽世の王族》
〈変更されたスキルのスキルレベルが調整されます〉
〈種族スキルが追加されます…………〉
《幽明眼》……取得
《裁定者》……取得
《裁定の剣》……取得
《ソウルチェイサー》……取得
〈職業が変更されました〉
〈王侯貴族となったため、ファミリーネームの設定が可能です〉
〈属性が変更されました〉
〈…………進化が完了しました〉
〈種族レベルが低いため、全ての力を発揮できません。一部制限されます〉
〈装備が最適化されました〉
うんうん、一気に来ましたね。
お楽しみタイムです。1個1個確認していきましょう。
まずはステータスから。
名前:アナスタシア
種族:幽世の王女 女 Lv30
職業:幽世の支配者
職名:最高位裁定者
属性:死
属:幽世の最高位不死者
科:アーウェルサロイヤルゾンビ
スキルポイント:80
幽世の支配者と、最高位裁定者……閻魔様でしょうか?
そして属性が闇から死に変わっていると。
名前のところにマークが付いていますね。
〈ミドル、ファミリーネームの設定が可能です。一度付けると変えられないので、ご注意下さい〉
なるほど、後回しで。
さて、スキル。
《幽世の最高位不死者》
被聖属性1.5倍。
暗ければ暗いほど全ステータスにボーナス:極大
闇系魔法強化:極大
被闇系魔法吸収。
浄化無効。
クリティカル無効。
環境ダメージ無効。
自動回復系スキルの効果増加:極大
肉体系、精神系の状態異常を無効化する。
食事、睡眠不要。
……流石最高位不死者というべきでしょうか。
まず補正が大から極大に。浄化耐性も中から無効。クリティカル耐性も大から無効になってますね。
環境ダメージと言うのは暑さや寒さと言った物を指しているようで。
そして何より、陽に当たると継続ダメージという弱点を克服。被光、聖属性4倍から聖1.5倍のみに。光が弱点じゃ無くなったようですね。逆に言うと、最高位レベルまで行かないと弱点克服ができないと?
後気になるのはもう、被闇系魔法吸収。闇はもう、積極的に当たりに行きましょうか。
魔力視や暗視の表記が無くなっていますが……。
《幽明眼》
明るさに影響されず、魂、魔力、精霊が見れる。カルマが魂の色に現れる。
こちらにレベルアップして統合されたようですね。
色が明るいほど所謂良い人であり、暗いほど悪い人……と。
《死を纏うもの》
状態異常付与:猛毒、呪い、衰弱、即死。
スキルレベルに応じて状態異常確率上昇:猛毒、呪い、衰弱、即死。
10レベル毎に状態異常強度上昇:現在1 最大6
毒が猛毒になって、即死が追加されていますね。
《幽世の王族》
PTにいる闇属性の全ステータスを強化。
闇属性による全ての被ダメージがスキルレベルに応じて減少する。
スキルレベルに応じて、召喚した下僕に自身が持つスキルを与える。
不死者とアンデッドから闇属性に範囲が拡大。
これらのスキルレベルを半分ぐらいにされていますね。それだけスキル効果が上がっているのでしょうか。
《ソウルチェイサー》
魂の追撃者であるあなたは、魂に対する特効を得る。
霊体特効。霊体系の軽減などを全て無効化し、問答無用でぶん殴れるようになる。
霊体系特効ってことですか。確かに、ここの者達が持ってても不思議ではありませんね。
《裁定の剣》
裁定者の効果を魂攻撃に変更し、肉体を傷つけず魂にのみ通す。
ふむ……ふむ? 《裁定者》を見ないとなんとも言えませんね。
《裁定者》
善因善果、悪因悪果。
魂を導き、時には裁きを下す神々の代行者。
幽明眼で見えた魂の色に応じてダメージが増減する。
明るいほど減り、暗いほど増える。
《幽明眼》で見えた魂の色に応じて変動するスキルですか。これはいまいち恩恵が分かりませんが、損はなさそうですね? 明るい者とは戦うことはそう無いでしょうし。
んー……《裁定の剣》がいまいちこう、用途が分かりませんね。罰を与える……とか? フレーバースキルに近いのでしょうか。
まあ進化時に勝手に覚えたものなので、SP使ってないから損している訳でないので、良いのですが……。
さて、次は装備ですね……。
……あれ? レイピア……私のレイピア……。
[装備・武器] 守護のアサメイ レア:ExGo 品質:S+ 耐久:─
神々に封印されていた力が解放され、より持ち主に最適化された。
儀式用短剣とも言われる魔法触媒。神に作られたため、素材は謎。
持つと本体を触媒に光刃を発生させるため、レイピアとしても使える。
精神依存の物理ダメージを与え、知力依存の魔法ダメージを与える。
【魔力解放】:オーブを消費して次の攻撃に追加ダメージを与える。
【属性収束循環機構】:自身の持っている魔法属性の光剣を発生させる。
《鑑定 Lv10》
ATK:△ MATK:△
DEF:△ MDEF:△
攻撃タイプ:刺突 斬撃
適用スキル:《細剣》《宛転流王女宮護身術》《高等魔法技能》
《鑑定 Lv20》
《宛転流王女宮護身術》:有効時、武器防御と武器逸らしに補正。
《高等魔法技能》:伸縮自在。
反撃時威力上昇:中
武器防御時効果上昇:中
武器防御時衝撃吸収:中
武器逸らし効果上昇:中
クリティカル発生補正:中
クリティカルダメージ補正:中
魔法攻撃力上昇:中
詠唱速度上昇:中
防御スキルのアーツ再使用時間減少:中
《鑑定 Lv30》
持ち主が神の加護を得る度に更なる力を解放し、最適化される。
今までのレイピアのガードやナックルガードが外され、一体型の短剣みたいになっていますね。更に魔法アイテムみたいに文字を刻まれ、装飾が豪華になった元レイピアを持ってみます。
持つと光を纏い、にゅいんと刀身やガード、ナックルガードが光によって生成されました。刀身は今までのレイピアと同じ長さですね。光剣の色が黒いのは、私自身の死属性でしょうか。
んー……まあかっこいいから許す!
【遮光機構】などが消えていますが、光が弱点ではなくなりましたからね。
【螺旋魔導増幅炉】はむしろ、これがレベルアップした結果光剣になり、属性を持った刀身に?
ちなみに光を抜いた本体は30センチあるか……ぐらいですね。私これ知ってますよ。ライトセーバーやビームサーベルと呼ばれる系統の物ですね。流石に本体は筒では無いようですが、こちらは魔力動力なのでアサメイですか。
運営にファンがいるなー? 私もくるくる回した方が良いでしょうか? いや、待てよ……。バントするよりフルスイングの方が威力が上がる……つまり、回して弾くのは実は合理的? 難易度高いってレベルではないですけど。練習……ふむ。
まあ、まずは残りの装備です。
見た感じ守護シリーズに名前が変わって……補正が全て極小から中になっていますね。
[装備・装飾] 守護の指輪 レア:ExGo 品質:S+ 耐久:─
神々に封印されていた力が解放され、より持ち主に最適化された。
主の余剰魔力を集め、クリアオーブを生成する。
《鑑定 Lv10》
DEF:△ MDEF:△
《鑑定 Lv20》
指輪のアクセサリー枠を追加で使用する事で、主に代わり瞑想状態となる。
常に瞑想使用時の効果を持ち、デメリットを無視する。
《鑑定 Lv30》
持ち主が神の加護を得る度に更なる力を解放し、最適化される。
[装備・収納] 守護のベルトポーチ レア:ExGo 品質:S+ 耐久:─
神々に封印されていた力が解放され、より持ち主に最適化された。
剣帯とウエストポーチがセットになっている。
《鑑定 Lv10》
DEF:△ MDEF:△
《鑑定 Lv20》
収納拡張:中(20)
保持可能数:4
保持容量:中
《鑑定 Lv30》
持ち主が神の加護を得る度に更なる力を解放し、最適化される。
多少違うのがこれでしょうか?
盾と同じ判定だった指輪が完全にアクセになり、指輪枠2つ消費します。
ポーチは収納拡張が10から20に増え、ベルトに吊るせる数が2個から4個になっていました。
後は……ちゃっかりレア度がExGo……エクストラゴッズに変わってますね。
そして、色がしっかり白黒になりました! もう色合いが微妙とは言わせません。
見た目の変化は……一番大きいのはぶっちゃけ色合いとして、残りは細部ですね。
とりあえず確認はこのぐらいにして、隣の部屋に戻りましょう。宰相が待っているでしょうから。
「お待たせしました」
「無事にできたようですな。では今度はあちらを確認してくだされ」
宰相の言う方には棚が置かれていますね。硝子の扉が付いた何の変哲もない収納だと思いますが?
とりあえず、確認しろと言われたので近寄ってみます。
……なんでこんな物がさも当然のようにこんなところにあるんですかね?
片方は白い大きめの鍵……そう、まるで銀でできているかのような。
もう片方はかなり年季の入った……古い本です。
「資格のない者には持つことすらできません。是非ご確認を」
アイテム効果としてはとても欲しいのですが、元ネタを知っているせいで普通に躊躇いますね……。
しかし、結局は取らないという選択肢が無いわけで。
あ、持てますね。
てれれれー。アナスタシアはヤバイ鍵とヤバイ本を手に入れた。
もう何も怖くない。
〈特定の条件を満たしたため、『称号:The Silver Keyの所有者』を取得しました〉
〈特定の条件を満たしたため、『称号:Book of Eibonの所有者』を取得しました〉
称号の取得ですか。特定の条件はどう考えても手に入れた事でしょう。
The Silver Keyの所有者
時空の門を開く力を持つとされる銀の鍵に所有者と認められた。
空間や次元に関する様々な恩恵を受けられるだろう。
銀の鍵、装備可能。
[装備・装飾] The Silver Key レア:Go 品質:S+ 耐久:─
豪華な装飾の施された大きな銀の鍵。
次元の門を開く力を持ち、持ち主に空間系に関する恩恵を与える。
《鑑定 Lv10》
MATK:△ MDEF:△
《鑑定 Lv20》
空間系魔法強化:極大
空間系魔法消費MP減少:極大
空間認識能力強化:極大
平衡感覚強化:極大
転移ポータルの無料使用。
安全エリア内での転移門生成。
《鑑定 Lv30》
この鍵でないと開けられない門が存在するらしい。
さて、その奥はどうなっているだろう?
Book of Eibonの所有者
禁断の知識が込められた超古代の魔導書に所有者と認められた。
魔法に関する様々な恩恵を受けられるだろう。
エイボンの書、装備可能。
[装備・武器] Book of Eibon レア:Go 品質:S+ 耐久:─
禁断の知識が込められた超古代の魔導書。
象牙の書……とも言われるらしい。
所有者に魔法の深淵を覗かせる。
《鑑定 Lv10》
MATK:△ MDEF:△
適用スキル:《本》《高等魔法技能》
《鑑定 Lv20》
知力上昇:極大
精神上昇:極大
詠唱短縮:大
消費MP減少:大
錬金術品質上昇:大
《鑑定 Lv30》
超古代の魔導書だけあって、書かれている文字はかなり古い。
さて、読めるだろうか?
つよい。
こういうのはもう、MMOお約束『早い者勝ち』。MMOとはリソースの食い合いですからね。遠慮無く貰っていきます。
鍵はまあ、良いのですが……本が最高に不気味ですねぇ……。
恐る恐るちら見すると……そこにはなんと……! 読めませんわ。超古代の魔導書が読めるわけがない。うん。
開いて宰相に見せても、中は見えないようで。宰相が紙に文字を書いていくので、本を見て同じものを指します。
「あー……なるほど。これは無理でしょうな。《古代神語学》ですか。サイアー、《言語学》はお持ちですかな?」
「《魔法言語学》にはしましたが、そこで止まっていますね」
「なるほど。そこから先は教わらないと、独学ではいつ上げられるか分かったものではありません。教えますぞ?」
「それは助かります」
暇な時に教えてくれるようなので、是非とも教えてもらいましょう。
「どうせなら剣も教えてもらいましょうか……」
「ふむ……今、型はありますかな?」
「《宛転流王女宮護身術》というものですね」
「ほほう? あれですか。ではサイアー自身のスタイルは?」
「基本的には魔法攻撃。敵の攻撃はパリィと反射でしょうか。無理なものは防御」
「では剣に求めるのは防御の型。特にパリィと反射方面ですな?」
「ええ、できれば反射の方を極めてみたいですね」
「ふむ。ではそちらもやりたい時に言ってくだされ。話は通しておきましょう」
なんか修行できそうですね。是非とも教えてもらいましょう。スキルにも発展するかもしれませんし。
装備などの検証は後に回して……そうでした。
「ところで、ファミリーネームなどはあった方が良いのでしょうか?」
「サイアーは地上に行きますな?」
「ええ、レベルも上げたいですし」
「そうなると必要かと。面倒事がかなり避けられるはずですからな。変わってなければ」
「変わってなければ?」
「長らく地上の情報が入りませんでしたからなぁ……」
「なるほど。家名とかはあるのですか? 自分で考えた方が良いでしょうか」
「付けてもらっても構いませんし、特に無いならネメセイアを名乗ると良いでしょう。ミドルはお好きに」
ネメセイア……意味は『死んだんだから地上なんか忘れて祭りしようぜ!』らしいですね。
……リアルにも一応あるっぽいですね。ネメシスの祭……ネメセイア。元ネタはこれですか。
『十分な祭祀を受けなかった死者の恨み(nemesis)が、生者に対して向かわぬよう、執り成しを乞うことを主な目的とした』
地上で行う祭りがこの意味だとしたら、こちらで行う祭りはまあ……宰相の言ったような感じになりますか。
ネメシスは義憤の神格化でしたね。死者はちゃんと見送れってことでしょうか。
まあ、それは置いといて名前です。ミドルは何にしましょう。
ネメシスの親は夜の神格化、ニュクス。ニュクス関係で良さそうなのありますかねー……?
……ん? 仮にもこっちではステルーラ様の信仰だと思いますが、別の神の名を使うのはどうなんでしょう。……まあ、良いか。
ふぅむ……。運命の三女神、モイライ。3柱の中で糸を断ち切る役目を持ち、不可避のものという意味を持つアトロポス……。
糸を紡ぎ、長さを計り、そして断ち切る。その1本が人の寿命である……。
ふむ……。
死を意味するモロス、タナトス、ケールでは少々……ミドルにする場合響きが悪いですか? しかも直接的過ぎますかねぇ……。
アナスタシア・アトロポス・ネメセイアで良いですかね。
この名前、対住人用な気がするので、プレイヤーには今まで通りアナスタシアでいいでしょう。どうせ呼ばれる時は姫様でしょうし……。
宰相に言っても良さそうな感じなので、設定してしまいましょう。
名前の設定はした。スキルの確認も装備の確認もした。
となると次は……ついにハウジングでしょうか。
ノックされたので、許可を出します。
「宰相、不死者2人が試練を突破したと」
「ほう?」
「デュラハンとリッチですか?」
「そう聞いています」
「私と共に冥府を目指した者でしょう。んー……ではやりたい事があるので、謁見の間へ通して下さい」
「ではそのように」
フレンドリストを確認すると2人とも現在位置が冥府になっているので、来るでしょうね。
ではネタをするため謁見の間へ移動しましょうか。宰相も付き合ってくれるそうですよ。ノリがいいですね。
あ、リーナから通話だ。やっぱり来ましたか。
『お姉つぁーん』
『お姉ちゃん今忙しいの』
『うん、分かるけど情報が欲しいの。場所的にお姉ちゃんでしょ?』
『んー……簡単に言うと、種族的なお家に帰ったら、王家だからお城を貰い、そのハウジングシステム内にデスペナの設定があったから少し下げておいた?』
『……言ってることは分かるけど理解ができない』
『冥府に来たら家を手に入れて、進化もできました。ちなみに冥府はイベントエリアです。普通にはこれません。まあ、もう少し落ち着いたら掲示板に情報出すよ。私も把握しきれないから情報の出しようがない』
『分かったー』
通話を切って玉座にステンバーイ……。
しばらくして2人が入ってきました。
「「ん!?」」
「ようこそ、我が居城へ!」
「「姫様がガチ姫様になってる……」」
「これが言いたかっただけです。さて、アルフさんは先に進化でしょうか。宰相、お祈りですか?」
「ですな。2人とも行った方が良いでしょう」
「では案内して貰って下さい。話すのはその後ですね」
やりたかった事が済んだので、部屋を移動してハウジングメニューを見ながら、分からないところは宰相に確認していきます。
冥府と奈落を含めた幽世が範囲内ですが、ぶっちゃけ弄れるところはそんなありません。まあ、当たり前ですね。1プレイヤーにそこまで弄らせるわけがなく。
と言うかですね、この城ほとんど機能してないんですよ。理由は実に簡単ですが。だって、そもそも必要ないのですから。
食事と睡眠が不要な者達しかここにはいません。畑も無ければキッチンも無く、当然寝室なんかもありません。一応王家に何部屋か用意されているだけですね。
そしてこんなところに客人も来ないため、客室なんかも使っていません。
根本的に人間達とは違うのです。
王家がいなかっただけに城の変更なども行われず、侍女や騎士達もフリをしている状態だったわけですね。
お世話する主人がいないのですから、モチベーションがあれでしょう。
確認をしていたら2人が帰ってきました。2人を交えて更に踏み込みましょうか。
結局私が弄れる部分は……私のプライベートエリア。城と城の敷地の拡張整備。異人達の死に戻り場所の拡張整備。それと町の拡張整備と、冥府などにある各施設の拡張整備ですね。
で、ここで重要なのが……他のプレイヤーと同じハウジングシステムは、私のプライベートエリアのみであり、他の場所は全て種族的なお仕事ですねこれ。
つまり王家として、町や他の施設の拡張と整備をして、部下達が働く環境などを整えろと。
ゲーム的な処理として……そのための資金は冥府の場合、異人達のデスペナ募金で行う。当然このデスペナ募金はお仕事にしか使えない。つまり、ぶっちゃけ私個人に恩恵はほぼない。むしろ管理が面倒なだけですねこれ。まあ、RP要素なのでしょう。
城の拡張した部分は……城に入れる者なら使用が可能ですが、不死者達は使わない物ばっかりなので、倉庫が増えるぐらいだと思えばいいですね。
つまりプライベートエリアと言う名の、離宮が私のマイハウスですね。こちらが完全にハウジングシステムです。つまりこちらは全て自腹。
ただでお城が手に入ったと言うより、お屋敷と土地、更に侍女が手に入ったと思った方が正しいですかね? 代償は幽世の管理というお仕事……。
「つまり……城は不死者と言う『種』の簡易ギルドハウスが近いですね?」
「そうっぽいねぇ。ぶっちゃけ収納がただで使えるだけかな?」
「しかも試練に突破できた人達のみの……だねー」
「2人は試練受けたのですね?」
「「うん」」
「私さっさと城に通されたんですよね……」
「試練素通りかー。こっちは多少免除されたけど受けたよー」
「王家だからねぇ……。こっちも多少免除されたな」
2人ともエクストラですし、多少恩恵はあったんですかね。
結論として、プライベートエリアが普通のハウジング。他はRP用お仕事シミュレーションゲームと思って良さそうです。
まあ、2人には好きな部屋使ってもらいましょうかね。まだ3人ですし、先駆者の特権ですね。いい部屋が取れる。
「さ、とりあえず進化するかな」
アルフさんが進化を始めました。
スケさんは30でリッチになったので、まだ先ですねぇ。
「さて、宰相。まず私は何からすべきでしょう? 最高位裁定者とは何を?」
「そうですなぁ……。まず、もっと強くなってくだされ。裁定者としては何もしないで構いませんな。下の者達がやるので。強いて言うなら、ちょくちょく顔を出す……ですかのぅ……。ああ、地上の情報もいただければ」
地上に出て強くなってこい。ちょくちょく帰ってきて他の者達に顔見せろ。合間などで地上の情報くれと言ったところでしょうか。
顔見せるのが王の仕事。裁定者の仕事は、下の裁定者達がやってるから問題ない。
つまり、狩りの合間などに帰って来いと。後は言語や剣術修行など、勉強中の合間に世間話してくれれば、それで地上の情報が得られるわけですね。
「立場にあった言動をする必要はあるが、行動自体は縛らないと」
「そういう事になりますな。困った事があれば言ってくだされ。相談は勿論、総動員で解決しますぞ。奴らも張り切るでしょう」
ちらっとスケさんの方見ましたが、目が合いましたね。こいつら動いたらヤバイで状態ですよね。ぶっちゃけ最低でも私達の倍。最高なんか100レベですし。
「私欲で動かすのはやめましょう。ステルーラ様にも怒られそうですし」
「まあ、怒るでしょうな。お気を付けなされよ。祝福は反転すると呪となりますぞ。下手したら外なるものが動きますからな」
……これ、『ヒャッハー! 全部置いてけぇ!』とかデスペナやってたらヤバかったパターンでは? おのれ運営! 偉い人の高笑いが脳裏に!
余程の事が無い限り、もう弄ることはなさそうですね。
「ステルーラ様は堅実、誠実と言った者達が好きですからなぁ……」
ステルーラ様の元ネタが恐らく、ヨグ=ソトースと考えると……ちょっと面白いですね。堅実、誠実な人が好きなヨグ様。
「自分の利のためだけに嘘はつかない事。濁したり、相手の為になる……所謂優しい嘘はセーフですな。《幽明眼》で不死者達を見ましたかな? 彼らは総じて白い。でないと不死者になりえない。黒いやつらにここは任せられないからでしょうな。異人達は少々ルールが別のようですが」
「なるほど……」
条件を知れたのは嬉しいですね。
とは言え変に意識すると面倒なので、普段通りさせて貰いますが。
アルフさんが艶消しで、より黒くなって光から出てきました。ネザーデュラハンになったそうです。《高位不死者》の仲間入り。つまりタンクのアルフさんに《闇のオーラ》が生えたわけで……。
「んんー……これは実に良いスキルだ」
「ところで姫様? レイピアはー?」
「ああ、かっこよくなりましたよ。見て下さいこれ」
アサメイを持って意識すると、にゅいんと黒い光でレイピアになります。
「まさかの光剣」
「なにそれかっこいい! そんなのまであるのか!」
「ほほう? アサメイですか。見せてもらえますかな?」
渡すことはできないので、近くで宰相へ見せます。
「ふむふむ……。流石ゴッズですな。実に良いものです。それを前提とした剣術を教えるよう言っておきましょう」
「お願いしますね」
「あれ、ゴッズになったのー?」
「進化したらExGoに変わったんですよね」
「ははぁーん……」
さて、装備をしましょうか。それに伴い配置を少し弄りましょう。ポーチとベルトが元々セットなので、吊るせる個数にポーチはカウント外ですね。
左に吊るしていたレイピアが、アサメイになったので右側に移動。
アサメイの隣に銀の鍵を吊るしましょう。
元レイピアの位置にエイボンを吊るし、ポーチや解体ナイフはそのまま。
おや、銀の鍵装備で重力の強さと向き。更に地面に対しての私の姿勢が分かるようになりましたね。私の動きに合わせて簡易化された私が動くと。
私だけではなく、障害物なども表示されるのですか。今座っているソファーの形をした枠組みが表示されていますし……慣れれば便利なのは間違いありませんね。
最大の問題は範囲が狭い事と、色や質までは分からない事?
と言うかそこまでいったら、目を瞑ってこっちに集中した方が良いですね。360度どんな形の物がどこにあるか分かりますから。
例えるなら……私と同じ動きをする簡易化された私が、3Dマップ上にいると言うべきでしょうか。自分周辺のみですが、それが頭に浮かぶのでとても便利ですね。
〈特定の条件を満たしたため、《空間認識能力拡張》が解放されました〉
「ん……なんかスキルが解放されましたね……」
《空間認識能力拡張》
《看破》系や《感知》系に補正を加え、偏差予測や魔法範囲予測などにも補正を加える。
「おぉ……SP16!?」
「お? レアスキルじゃない? 俺のも16だったよ」
「確かに、レアスキルらしいですね。むぅ……取りますか」
《看破》系や《感知》系の強化は、受け流しや反射には必須レベルですからね。これらで先読みして行うからこその成功率です。
3Dマップの範囲が少し広がりましたか? という事は……勝手に上がりそうなスキルですね。楽で良い事です。
「補助スキルですね。さて、色々検証もしなければなりませんが……お昼ですか」
「んだねー。一旦休憩かなー」
「そうするかねぇ。午後は自由行動?」
「で良いのではないでしょうか」
時間が丁度いいですし、お昼休憩しましょうか……。
宰相と別れ、離宮に戻ってログアウト。
過去の季節イベント品などを新規に見せびらかすのも古参の特権……。
え? これ? もう手に入らないよ。
ぐぬぬ!
よくある話。
エイボンのルビ調整に1時間近く食われました。キレそう。
|Book of Eibon《エイボンの書》
|エイボンの書《Book of Eibon》
|BookofEibon《エイボンの書》
|エイボンの書《BookofEibon》