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04

TRPGを拗らせた結果小説書いている私。会話が多い、長いのは必然。


この話は日数が結構飛びます。

「お姉ちゃん調子はどう?」


 朝食時、突然なんで私の体調を聞くんだろうと思ったけど、ゲームのことですね。ボケるべきだろうか? 必要ないか。


「一応順調かなぁ? マップ埋めつつたまに敵倒してる状態」

「マップ埋めしてるんだ」

「そうそう戻ることもないだろうしね。面倒だしどうせなら最初にやっておきたい」

「進化してもハイゾンビは大差ないっぽいからねぇ……」

「食べ終わったら2階探索の予定」

「あ、1階だけじゃないんだ」

「2階に降りる階段あったからね。2階の敵次第では当分レベル上げは困らなそうなんだけど……」

「同種族は反撃しかしてこないんだっけ。アンデッド系って普通に戦うと数多くて群がってくるから、厄介なんだよね……」


 基本的にこちらは1体ずつ、しかも必ず先制が取れるので非常に楽。

 アンデッドはキモい、臭い、汚れる、ドロップゴミで酷い有様。経験値自体はソコソコらしいので、範囲狩りができるPTならアンデッドは美味しいらしい。ただ経験値だけ。火や光の範囲魔法で薙ぎ払うので、他のスキルはさっぱり上がらず、ドロップゴミなのでお金にもならない。正直あまり需要がないと言う。


「現状満足に動けない私からすると、実に好都合な敵なんだけどねぇ」

「同種だから先制されないってのが大きいよね」

「とりあえず今日は……と言うか数日はマップ埋めで終わりそう」

「え、そんな広いの?」

「ソコソコ広いけど、移動遅いしたまに転けるのが原因かな……。とにかく歩き辛いんだよねぇ。今日1日で終わると良いけど、3層目があるなら終わらないかな」

「あー……」

「さて、やりますか」

「おー!」


 使ったお皿を洗ってから自室へ行き、早速ログイン。



 カタコンベよ……こんにちは……。

 もぞもぞと這い出て、早速階段へと向かい2階へ降りる。転げ落ちそうになったのはちょっと焦りました。


 出迎えてくれたのは……ハイゾンビでした。


ハイゾンビ Lv15

 腐った死体。とにかく目の前の者に群がる。


 ううーん? ふむふむ……15レベから19レベのハイゾンビがいますね。見た目的な違いは……正直分からん。はて、何が変わったのやら? 歩き方が多少マシ……? 誤差ですね。ハイゾンビに期待しない方が良さそう。




 そして、マップを埋めること日曜日丸1日の成果……3階への階段を発見。しかも2層目全て埋まらず。

 ……以上。


 これは不貞寝ですね……。

 と言うか、このゲームのカタコンベはダンジョンとか遺跡扱いでは無いのでしょうか? この何もなさ、実に悲しい。ゾンビの初期地点だから何もない可能性が高い。けどここまでやったらもう、全部埋めましょうか。




 翌日、学校から帰り早速カタコンベへ。

 学校で幼稚園から友達の男2人と話したけれど、ゲーム内で会うのは先。マップ埋めたらレベルを上げて進化を優先しよう。秋菜も待ってるし。

 《腐乱体》が外れないと話になりません。


 三層目の敵は何かな……? せっかくだし確認だけしておきましょうか。


リビングデッド Lv27

 死体。とにかく目の前の者に群がる。


 27レベから29レベ……? 当分ここで狩れるのでは? 降りるごとに10レベもレベル上がるって、普通なら相当な難易度ですね。

 いくらベースレベルのステータス上昇はスキルほどじゃないにしても、10レベも上がればそれなりの差になると思うのですが。敵の場合ベースが上がれば持ってるスキルも固定で上がってそうだし。


 そしてハイゾンビの次が恐らくこのリビングデッド。20レベで進化? 私はまだ本格的な狩りをしていないので、10レベすらまだです。



名前:アナスタシア

種族:ゾンビ 女 Lv5

属性:闇

属:低位不死者

科:ゾンビ

スキルポイント4


スキル

《拳 Lv4》《筋力強化 Lv3》《体力強化 Lv2》《鑑定 Lv1》

控え


種族(モンスター)スキル

《物理耐性 Lv1》《HP自動回復 Lv1》《低位不死者》《腐乱体》



 うん、全然ですね。スキルレベルも殴るだけなので。

 転けて突っ込むと向こうも簡単に転けるから、そのまま上を取って殴り続けるだけで終わる。戦闘らしい戦闘はまだしてないですね……。

 問題は相手も《HP自動回復》があるのでしょう。普通に時間がかかる。

 《体力強化》は勝手に上がった。『体力』だから、歩くなり戦うなりで体動かせば経験値入るんですかね? 多分そうだと思うのですが。

 《物理耐性》とか《HP自動回復》とかは、防御系スキルだろうからさっぱり上がらない。殴られれば耐性と自動回復両方上がるんでしょうが……。ゾンビ相手じゃ不毛そうだから、別の場所に行ったら考えましょう。


 リビングデッドに突っ込んだら流石に殺されそう。明らかに動きが良い。

 説明が腐った死体ではなく、死体になってた。多少動きは変だけど、ゾンビよりは遥かにマシな動きをしてる。同じ戦法で倒せるか怪しいから、突っ込まないように気をつけましょう。

 戻って2層目探索だ!




 まあ、何も無いんですけどね……。

 月曜日、成果無し。探索率……2層目終わらず。

 火曜日、2層目が埋まった。

 水曜日、3層目に突入。探索率……20%。

 木曜日、【悲報】リビングデッドに突っ込み、殴り殺される。そのまま不貞寝。

 金曜日、成果無し。探索率半分。

 土曜日、サービス開始1週間……成果無し。マップ埋まるまでもう少し。




 そして日曜日。今日で埋まると良いのですが。

 リビングデッドに突っ込むとまじで死ぬので、ただでさえ遅い進行が余計遅くなってしまいました。ただ周りを見ながら歩くだけなのに、マトモに歩けないせいでやたら神経を使う。先に進化して歩き回った方が、精神的に楽だったかな?

 まあ、過ぎた事はしょうがない。ハイゾンビの動きは大差無さそうですからね。


 もうすぐ夏休みもやってくる。テスト期間でお昼には帰れるようにもなるし、面倒なマップ埋めは先にやっておいた方が良いでしょう。進化して《腐乱体》外れたら外出そうだし。出たら最後、いつ戻るか分かったもんじゃないですからね。


 えーっと……後はこっち行けばコンプかな……。あんよが上手……あんよが上手……。ゾンビで歩くのも慣れてきましたかね?


 むむむ……行き止まりだ。となると…………ああ、実家コンプリートだ。4層目は無しと……。1層から3層のマップを確認。不自然に途切れてる部分は無いので、全部回ったと思う。……何もありませんでしたが。


 ……んん? 気のせい……かな? えーっと、待てよ。1層から3層のマップを別ウィンドウでそれぞれ出して……。

 サイズ的には1層目が一番小さく、2層目が一番大きく、3層目は1と2の中間ぐらいのサイズ。1層目は特に問題ない。ただ、2層目に気になる空間がある。

 カタコンベだから、隙間なく詰め込むはず。3層全て基本的にそうなってるし。でも2層目の一部だけ、微妙にスペースが取られてる場所がある……。

 そこ行ってみましょうか。隠し部屋、あるかな?



 ううーん……隣接する壁を一通りペタペタしながら来たけど、何もないですね……。と言うか、この辺りよく見るとちょっと豪華なんですよ。少しお金持ちか偉い人用のスペースでしょうか?

 1層目のこの位置は普通に道で何もない。3層目のこの位置は……マップ外かな。


 んー……、3層目のこの通路……もしかして3層目から2層目までの吹き抜けになってる? 3層目に入り口があるとしたら隣接してるのはこの通路だけ……。

 吹き抜けタイプなら2層目に入り口があるはずはないし……あったところで降りれない。少し豪華にしてカモフラージュするのはありと言えばあり……か。

 よし、これでダメならレベル上げよう。



 ここの通路だね……。

 何かあればマップ埋めた甲斐があったけれど、どうですかねー? ペタペタしてみるも行き止まり正面には何も無い。両サイドを探してみる。

 何か無いかと軽く押しながらペタペタしていると……。


「ん……?」


 微妙にグイッと、押せる場所を見つけた。そこを力を込めてしっかりと押し込んでみると、ガコンといった感じがした……が、どこがどうなったんです?

 キョロキョロと周囲を見てみると、行き止まりだった正面の壁が少し斜めに。

 聴覚もほぼ死んでるから、聞こえなかった可能性が高いですね。周りのゾンビも煩いですし。早速そちらへ行き、斜めになっている壁を押してみます。からくり扉の様な壁ですね。

 壁を押しながら奥へ行くと扉もクルンと回り、何もなかったように閉じてしまう。


 中は非常に天井が高く、結構な広さを持っていますね。2層目の空間はやっぱり吹き抜けだったようです。

 外とは違って明らかに装飾が綺麗……ではない。装飾自体は手入れがされて無く、汚れているが豪華と言える。長い間放置された偉い人のお墓……がこんな感じ?


 入り口から進んでいくと、不意に中央付近で何やら長細い物が宙に浮かぶ……。剣……? と思った時にはこっちに飛んで来て……胸に突き刺さった。


 気づいた時には……見慣れた天井。

 バカな……。アンデッドは即死無効のはず……普通に刺突ダメージによって死んだと? でも普通なら蘇生待機時間があるのでは? となると……イベント系?

 よろしい、ならば往復です。


 再び3層目の行き止まりに行き、ペタペタと壁にあるボタンを探す。

 確かこの辺りに……あった。場所は変わらないようだ……多分だけど。1回目をよく覚えてないので、言い切れませんね。


 開いた壁と入れ替わるように中に入る。

 さて、どうしようかな? とりあえず入り口から動かなければ剣はこないから、何か気になるものは……。

 んー……奥にあるのは扉……かな? 目指すはあそこ。剣をどうするかだけど、どうしようね? 何かヒントは無いだろうか……?


 ううーん……目につく物が無いんですよね。視界が悪いのもあって探しづらいし。なんたってここ、お墓です。中央にあるのは墓石かな?

 ただ、剣もあそこから来たんだよねぇ……。つまり、近づけない。ゾンビの体であれを避けるのは無理。



 剣に貫かれまくりながら、死んでは隠し部屋へ行って、死んではまた隠し部屋へと往復。

 まさにゾンビアタック。

 ゾンビのゾンビアタック。

 …………うん、お昼休憩しようか。モルダー、私疲れてるのよ……。




 今日はお母さんがいないので、作りますかね。

 オムライスで良いかな。卵は……あるね。お肉が……まあ、豚バラでも良いか。少し細かく切ろうか。おや? ケチャップが足りないのでは……? バターライスにしましょうか。

 大体出来てきた頃、妹が降りてきた。


「良い匂いがする! 琴姉(ことねぇ)今日何ー?」

「今日はバターライスのオムライス」

「おー」

「もうすぐできるから待ってなさい」

「はーい」


 バターライスを2人分作って皿に移す。

 卵を2人分溶いて、半分流し込み焼いて被せる。残りを流し込み焼いて被せる。


「秋菜ーできたよー」

「ふぁーい。ケチャップー……あ、少ないね」

「だからバターライス」


 2人でモグモグしながらゲームの話。


「今攻略組がねー、そろそろ次の町を開放しようとボス戦頑張ってるみたいなんだけど、回復アイテム不足なんだよねー」

「あのゲーム、流通システムあるんだっけ?」

「そうそう。消耗品が売り切れあるから、大変なんだよねぇ……」

「ポーションは《調合》でしょ?」

「もしくは《錬金》だけど、《錬金》は固定品。《調合》は結構大変らしい」

「どういう大変? 配分が細かいとか? 素材が無いとか?」

「両方だってー。後作るのに時間がかかるって。現状スキルも低いから碌なのできないし」

「同じゲームをやっているはずなんだけどねぇ?」

「お姉ちゃんがよりによってゾンビちゃん選ぶから…………今どうなの?」

「マップ埋めてマップを見てたら、隠し部屋を見つけちゃったんだけど、即死トラップ的なギミックがあってねぇ……なんとか突破できないもんかと、ゾンビでゾンビアタックしてるところ」

「隠し部屋あったんだ!」

「外と違って偉い人用のお墓っぽいんだよね。かなり広くて豪華だったし。なんか墓石も置いてあるっぽいからさ」

「へー! 即死トラップって、どういうタイプ?」

「範囲内に入ったら攻撃してくるタイプ。奥に扉が見えるから、なんとか突破したいんだけどねぇ……。当たったら即死する」

「アンデッドは即死無効だよね? それなりに体力もあるはずだけど即死かー」

「食べ終わったらまたチャレンジ。抜け道探さないと」

「他の人に先越される前に頑張って!」

「他の人……見たこと無いけどねぇ……」

「まあ、ゾンビ……うん。お姉ちゃん何でストレステストしてるん?」

「ハハハハ、私の本能が告げているのよ。やれって」

「……ならしょうがないね」


 言うな、妹よ。

 食べ終わったら今度は秋菜がお皿を洗うと言うので、カタコンベへ。


 さて、また隠し部屋へと向かいリベンジです。

 入ってきた入り口からすぐに左に向かい、壁に貼り付くようにズリズリと擦りながら進んでみる。

 剣は刺さる前に範囲から出れば元に戻ると昼食前に分かったので、剣の範囲を知る必要がある。ズリズリと移動……今のところ剣の反応は無い。これが正解かもしれない。

 剣がふわっと浮いた瞬間移動を止め、壁に貼り付く。がに股も辞さない。

 すると剣が元の位置に戻る。胸が腐り落ちていたのは結果オーライだったかも。逆に進化して復活してたら無理だった可能性が高い。

 これは行ける!


 なんてことはありませんでしたよっと。普通に串刺しにされましたが、何か?

 ……途中までは行けるのです。恐らく安全地帯が変わるのでしょう。これヒント一切無しは鬼では? …………やりますけどね。

 いつまでも、あると思うな、レアアイテム。……アイテムあるかも分かりませんけど。


 痛覚設定は現在0です。死ぬの前提ですからね。

 途中まで壁に張り付き、ズリズリと移動。それから壁から離れしゃがみ、剣の方を見ながら手を差し出す。剣が浮いたら急いで引っ込め、別の場所に差し出す……を繰り返します。足? 足でやるとバランス崩して刺さるんですよ。


 それをひたすら繰り返し、じわじわと扉に近づいていく。

 完全に死にゲーです。このゲーム……ジャンル違ったはずですが? ヒントは少なくともこのカタコンベには無さそうですからね……。

 引っ込めたら剣が元に戻る時点で、十分温情ですね。出た時点でアウトじゃなくて良かったですよ。


 何回か死ぬ度に休憩を挟んで挑戦です。死んで覚えるタイプは集中力勝負。

 ……妹の声で『ストレステスト』が聞こえて来ますが気のせいです。



 それを繰り返す事数時間……。漸く目的の扉の前にやって来ました。

 そのまま余計な動きはせず、さっさと扉に突撃。扉が動き、地面に倒れるがこの際良しとします。

 なんとか突破!


 部屋の中は……こちらは少々狭く、中央に棺桶が鎮座。パッと見他には何も無い。

 そして周囲を実際に漁ってみたが、何もなかった。実に悲しい。まあ近づいたら棺桶が開いて、中から出てくるとかじゃなくて良かったです。


 では本命、棺桶です。

 開けようと触れた瞬間、体の自由を奪われた。


 え、なんかヤバイやつでした?


 自分の手が勝手に動き、棺桶を開けようとしている。システムによる操作……イベント? どうしようもないので、とりあえず見守る事にしましょう。


 蓋がズレた棺桶の中には、恐らく女性であろうミイラが入っていた。と言うか、女性です。《鑑定》がそう言っている。<王女のミイラ>と。

 システムに操られている私の手は真っ直ぐそのミイラの胸元へと向かう。

 そのままバキバキとミイラを破壊しながら胸に手を突っ込み、出てきた時には何かを持っていました。


[イベント] 王家の血肉 レア:Ex

 王家の血と肉。

 エクストラ種族開放キーアイテム。


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― 新着の感想 ―
自分の胸が腐り落ちてたからといって、他人のを取るのはどうかと思いますw
なんでまともにレベル上げもしないで探索してんの? リビングデッドまで倒せるくらいになれば避けられたんじゃ?
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