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45 精霊とドラゴン

 ご飯やお風呂、諸々を済ませログインです。

 さて、お豆腐でも作ってみましょうか。と思いましたが、箱をプリムラさんに作って貰わないと形が凄いことになりますね。


 おや、スケさんからWhisが。


『姫様、睡眠前に一狩り行こうぜ!』

「バルベルクですか?」

『その予定ー』

「分かりました」


 生産は明日やっても良いですし、狩りにしましょう。新調された生産キットの確認も明日ですね。

 プリムラさんとダンテルさんに豆腐用の箱と布を頼んでおきます。ダンテルさんの方は店員さんに言えば買えるようですね。助かります。


 バルベルクへ飛んだらスケさんとアルフさんとPTを組み、ダチョウをコロコロして就寝です。美味しいですね、ダチョウ。ソロ狩りも視野に入れましょう。



 朝起きて、のんびり朝食やらを済ませます。その後ゲームにログイン。

 図書館へ行き、宿題を進めましょう。


「ようこそ、お嬢さん」

「お邪魔しますね」


 おじさまに挨拶した後、本を何冊か手に取り庭へ。テーブル1つを陣取ります。まずは宿題から進め。集中力が切れ次第本を読む……と。午前中はこれで《言語学》を上げます。

 この読書で何だかんだゲーム内の設定が分かったりするので、案外面白いのですよね。後はリアルの方の童話なんかも読めます。こういう機会でもないとそうそう読まないので、スキル上げには良いかもしれません。


 ……今日はこのぐらいにしますか。いつもより進みが早いぐらいですね。やっぱりダラダラやるより、集中力が切れたらさっさと別のことをした方が良いですか。宿題とは言え、やったことを忘れないようにと言う確認程度でしか無いのですが。

 さて、今日の本は……精霊とドラゴンです。



 精霊はそこら中にいるとされるが、姿を見せることはない。彼らは基本的に友好的であり、魔法は彼らと関係があるとされている。

 精霊使いの協力を得て契約精霊に質問した結果、魔法に影響があるのは間違いないらしいが、彼ら精霊からすればどうでも良い事であり説明はできないとか。そもそも我々と契約するのは好奇心旺盛な幼い精霊が多く、子供と話しているようで会話が難しい。高位精霊と契約を結べた精霊使いには是非協力して貰いたいところだ。

 精霊には3段階あるようなので幼精霊、精霊、精霊王と分類した。違いは姿であり、上に行くほど人型である。完璧な人型と遭遇した場合、注意されたし。精霊はとても人が勝てるような存在ではない。敵対は無謀だ。

 精霊王の更に上も存在するらしく、最古参数体を原初の精霊と名付ける。確認はできていないが、精霊達がいると言っているのだから、いるのだろう。

 彼ら精霊は我々人とは違う価値観を持っており、神々の使いとされる存在だ。属性バランスを保つのがお仕事らしい。交流の際は注意されたし。

 精霊がより人っぽく、自然寄りになった者が妖精種の始まりとされている。



 妖精種は精霊から派生した……と言う事でしょうか。

 リアルで言う天使がこちらでは天使種ですが、ゲーム世界の天使……神の使いは精霊と言う認識で良さそうですね? 人を導く云々ではなく、世界の属性バランスを整えると言うお仕事を持っていると。

 人には基本見えず、姿を見せる時はあるが……契約or警告なので余り嬉しい事ではないらしい。圧倒的に警告の方が多いようですね。



 男のロマン、生物最強種と言えば……そう、ドラゴンだ。

 生態系トップに君臨する竜種だが、当然竜の中にも強弱が存在する。世知辛いね。

 竜種の中の竜種。竜種最強に位置するのが純血竜だ。彼らは会話が可能であり、縄張りから出てくることはほぼ無い。大体成体で40から60メートルほどで、四足かつ翼を持っている。

 そして純血と言えば混血だ。混血竜の彼らは竜の血が薄まっているため純血竜よりは弱い。とは言え、竜は竜なので強いことに変わりはない。大体最大で40メートルぐらいになる。姿は様々であり、住んでいる場所に適応していると言える。適応せざるを得なかった……とも言えるだろうか。純血竜は姿を変えていない。強さゆえ変える必要がないのだろう。

 そして純血、混血と来て……竜モドキなる亜竜だ。精々育って20メートルほど。より環境に適応し、勿論姿も様々に。ワイバーンが亜竜代表だろう。純血竜を小型化、劣化した感じであり、空に適応したと言える。

 純血竜の一部には古代竜と呼ばれる竜達がいる。名前通りかなり古い種族だ。古い種族なので、別にお爺ちゃんお婆ちゃんと言う意味ではない。

 強さでは古代竜、純血竜、混血竜、亜竜となる。

 一番目撃するのは亜竜。続いて混血の一部だろう。古代竜、純血竜は会話が可能。亜竜は不可能。混血は個体によると言う事が分かっている。

 聞いた話によると純血竜や古代竜はかなり暇しており、一部人化して人の中に混ざっているとか。是非話してみたいものである。

 ワイバーンで有名なのはディナイト帝国の竜騎士隊だと思う。ワイバーンを騎竜としている花形職業だ。ワイバーンを従え、乗りこなす必要があるためかなり門が狭い。



 竜ですか。まだ見てませんね。いえ、ゲーム的に竜がそうホイホイ出てこられても困りますが。

 四足かつ翼。つまりイメージ通りのドラゴンは純血竜と思って良さそうですね。古代竜の見た目情報は書かれていない……と。書き方的に純血竜と同じとも取れますが。

 P.Sとして南にあるディナイト帝国の竜騎士隊について書かれていますね。そう言えば南に行けそうだとか掲示板で言われてましたっけ。


 ま、いいや。童話の続きでも読みましょう。



 お昼を済ませ、プリムラさんとダンテルさんのお店へ。

 まずはダンテルさんのお店で、店員さんに豆腐作りに使用する布系統を売ってもらいます。頼んでおいた物ですね。

 続いてプリムラさんのお店へ。プリムラさんも夏休みなので、こちらは御本人が。


「やっほー」

「こんにちは。箱を買いに来ました」

「豆腐箱よー」


 プリムラさんが取り出したのは、ところどころ穴の空いた木箱ですね。裏側はスケートのような足があり、少し浮くようになっています。余計な水が流れやすいようにでしょう。

 4個ほど受け取りまして、ダンテルさんの方と合わせて1万ぐらいですね。


「豆腐ということは味噌できたのー?」

「ええ、一応できましたよ。麹はアイテムが無いのか天然なのか分かりませんが、使いませんでしたね」

「ワインはー?」

「そちらは今熟成中です。蜂蜜酒も仕込んでみましたが、アイテム名が変わっているので……できてはいるはずです」

「おぉー! 順調だね」

「これから豆腐を作りつつ、掲示板に中級料理キットなどの情報を流す予定です」

「中級かー。そう言えばおっちゃんも鍛冶の中級がどうたら言ってたっけ」


 自分のお店……つまりハウジング用鍛冶場にお金を注ぎ、持ち運び用のキットは後回しにしたら、イベントの発表。

 なるほど。次のイベントはイベントフィールドでサバイバルですからね。自分のお店の工房は使えないから生産キットになるわけで。


「今のところ鍛冶と料理かー。できればイベント前に入手しておきたいなー。姫様何持ってくのー?」

「料理キットでしょうか……。最初は錬金キットのつもりでしたが、スケさんも持っているので」

「ああ、3人PT?」

「そのつもりです。プリムラさんはエルツさん達とですね?」

「うんー」


 やはりそうですよね。早めに合流というか、いる場所が把握できればいいのですけど。サバイバルは協力しないと詰みかねないですからね。

 もう来週の土曜日がイベントですか……。戦闘と料理スキルはイベントで稼げそうなので、それ以外を上げておきたいですね。


「では料理キットの把握と豆腐作りでもしてきます」

「てらぁー」


 プリムラさんのお店を後にし……どこでやりましょうか? 皆お店を持ちましたから、プレイヤーの露店通り行ってもいませんからね。中央広場か……あー、生産施設なんかもありましたね。……面倒なので、中央広場で。


 空いてる場所で料理キットを……プレビュー状態で既にだいぶ違いますね。まあ、展開です。まずは何が変わったのか、確認しましょう。

 全然違うのは炭火に加え魔動コンロ。更に流し台のところは魔動蒸留器が追加されていますね。端にあるこの箱は……魔動冷蔵庫ですか。魔力で動くから魔動なのでしょう。早速水を蒸留器にセットして、蒸留水を作っておきます。それと卵などを冷蔵庫に。10種類は入るようですね。

 魔動圧力鍋、魔動ブレンダー、魔動ミキサー、魔動ケトル、魔動ジューサーと……結構魔道具がありますね。このせいであの値段ですか。【飲水ウォーター】の魔道具もあるようですね。つまり蛇口が付いたと。

 魔道具は魔石を錬金術で加工した錬成魔石を電池にして動く。魔力が無くなると砕けるが、魔力の補充が可能……と。充電池の魔力版ですね。中級料理キットでは錬成魔石(小)が付属されていると。これ魔石交換で容量変えられそうですね。……むしろオーブでも置きますか?

 ……ちょっと嫌な事が思い浮かびましたね。オーブに変えるのは止めておきましょう。爆発されたら目も当てられない。


 さて、作りましょうか。

 まず大豆を洗い、水に浸けます。重量の3倍の水。水温によって時間が違うようですね……温度計温度計……これなら15時間ぐらいですか。チクタクします。以降長時間チクタクは不要そうなので、ワイン樽に使用。

 ぷっくり膨らんだ大豆を取り出し水を切ります。次は1.2倍ぐらいの水と一緒にミキサーにかけると。さて、ミキサーとはどっちでしょうね? なめらかになるまでとなると、ブレンダーですかね。漬けるのに使った水と大豆を放り込んで液状にします。

 これで生呉なまごと言うのができるので、これを水の煮立った鍋に。焦げないように静かに混ぜつつ煮る。煮る前は生呉なまご、煮た後は煮呉にごや呉と言うそうですよ。

 10分ぐらい煮たら上に溜まってる泡を捨て、これを数回丁寧に濾すと……煮呉にごから豆乳とおからになります。

 おからはどっかに取っておくとして、豆乳を75から80度になるまでゆっくり温めなおしです。この作業が重要らしいですね。

 温まるまでに"にがり"をお湯に溶いておく……と。さて問題は、"にがり"の濃度が謎なのでメモしながら試すしか無い事ですね。

 豆乳が温まったら投入ですよ。……はい、様子を見ながらゆっくり入れます。混ぜたら火を消し、蓋をして固まるのを待ちましょう。

 それっぽくなる事を祈ります。神様には祈りませんけど。分量で決まってる事を祈られても神様は困るでしょう。

 プリムラさんから買った箱に、ダンテルさんから買った布をセットして待ちます。

 その後上澄みを分け取り、中身は箱へ移し、蓋を置いて上に重りを……水を入れた入れ物を上に置きます。

 後は待てば、所謂木綿豆腐が完成ですね。


「で、リーナはそこで何してるんです」

「えへー。邪魔しないように何作ってるのか見てた」

「怪しさ満点。2人も付き合わなくて良いんですよ?」


 リーナとナディアさんにヘレンさんですね。途中からコソコソしてましたが、バレバレです。《危険感知》や《直感》上げてますからね。

 まあ、丁度いいので味見してもらいましょうか。1箱から取り出し半分にして、4等分にします。残り半分は……【テーブルウェア】に水と一緒に入れておきましょう。にしても、しっかりしたお豆腐だこと。


「豆腐って丁と言う数え方もしますが、余計なことは考えず個と言った方が伝わりやすいですよね」

「1丁か1個の言い方の違いじゃないの?」

「昔は違ったらしいよ? 今の売ってる1個が半丁とかだっけかな」

「ですね。今で言う1個分が半丁。つまり1丁とは今で言う2個分を指していました。という事は、相手がどういう認識なのかはっきりしないため、大人しく1個や1パックと言った方が伝わりやすい。使わず雑学程度にしておけという事ですね」

「へー。言葉は通じないと意味ないからね。ただでさえ誤解されるのに」

「まあそれはそうと、試食です。醤油はまだありませんが」


 そう言えば、鰹節とかも作れるんでしょうか? いや、まずカツオを探すところからですか。


「うん、まあ美味しいですね?」

「固くない?」

「それはもう切る時に察した」

「だよね」

「海水から"にがり"を取ったは良いものの、濃度が謎だった……」

「なるほど」


 上澄みが苦いと"にがり"が多すぎると……うん、微妙に苦いですね。次作る時は減らしましょう。


「これはこれで私好きです」

「うん。美味しい」

「味は問題無さそうですね。委託にでも流しましょうか。『試作一号。"にがり"が多かった豆腐』的な」

「良いんじゃない? むしろ気になって買ってく人いそうだし」


 【テーブルウェア】に移して豆腐箱を開けて、"にがり"を調整しながら作りましょうかね。できたものは全て委託行きでしょうか。御御御付おみおつけ作ろうにも出汁がないので少々あれです。魚介ですか……。

 今作り置きしてもイベントには持っていけないのもありますね。

 大豆を水に浸けてチクタク……おや、あれはミードさんですね。呼びましょう。ここ……ここ……あ、気づきましたね。


「こんにちは」

「こんにちは。今お時間ありますか?」

「まあ、ありますよ」

「ではミードさん成人されてます?」

「ええ、していますが……?」

「ではこれの味見をお願いしたいのです」


 影になるように下に置かれている、黄色い液体の入った瓶を持ち上げます。


「蜂蜜酒ですか。それは是非」

「まだあんまり熟成できてませんが……」

「……うん、美味しいですね。売って欲しいぐらいですが?」


 あー……焼きすらできないのなら、蜂蜜酒も作れなそうですね? とか思っていたら頭上に《直感》が発動し、影になったと思ったら肩にドサッと衝撃が。


「やあ姫様! ミードもおっすー」

「やあエレン」

「ふふふ、姫の肩に乗るとは不敬ですね」


 上空からのダイナミック肩車。妖精はみんな小柄ですからね。


「処す? 処す?」

「羨ましいだろー」

「キーッ!」

「ちょっと、危ないでしょうが」

「「ご乱心だー!」」

「うははは」


 フェアエレンさんに煽られたリーナが、ハルバードの柄の方を振ってきますが……危ないの私なのですが?


「せいっ」

「うぇあ!」

「どっせい!」

「グエェー」


 肩車状態のフェアエレンさんの両足を上げて落とし、そこへリーナが追撃。地面とハルバードの斧に挟まれます。まあ、町中なのでダメージは無いのですが。


「ところで、フェアエレンさんはお酒飲めますか?」

「一応飲めるけどー?」

「例の蜜、少し使って蜂蜜酒にしたんですよね」

「なんと、その手が!」


 さっさと浮き上がって来たフェアエレンさんと、ミードさんに分けて渡します。ポーション瓶なので量があれですが、妖精の蜜自体が全然無いので仕方ありません。


「うんまー!」

「おお、これは……」


 未成年な私達は残念ながら飲めません。現実の体でアルコールを摂るわけではないのですけどね。そこはまあ、大人の事情でしょう。

 しかし、やはり普通のよりかなり美味しいようですね。


「むむむ……もっと集めるべきか?」

「エレン、ミツバチにでもなったの?」

「種族固有で妖精の蜜を作れるんだよねー」

「とても美味しい。是非エレンには頑張って貰わないと」

「えー……1回で全然採れないからかなり大変なんだけどー?」


 蜂蜜酒自体を作るのは楽なので、私としては別に良いのですが……問題が原料となる妖精の蜜ですね。材料がないのでは作れないので、頑張って貰わないと。


「後は……ああ、はちみつレモンが簡単ですかね」

「飲みたい!」


 リーナが反応しました。ナディアさんとヘレンさんも物欲しそうにしていますね。

 えっと……魔動ジューサーの中に、搾りやすいよう半分にしたレモンを投入。そしてスイッチ代わりに魔力を流すと反応し、魔石から魔力を使い動き出しました。両サイドからレモンが潰され、下から果汁が出てきます。


「おぉー……」

「お姉ちゃんこれ魔道具ってやつ?」

「魔動ジューサーだね。中級で追加されたの」

「へー……原理どうなってんだろ?」

「さあ? 鑑定じゃそこまで分からないね」


 とりあえず何個か放り込み、レモン果汁を入手します。コップに分けたら蜂蜜と砂糖、蒸留水を入れて混ぜます。


「レモン水、はちみつレモン、レモネードなど言われるものですね。そしたら各自【冷却クール】で冷やして飲むと」

「レモンスカッシュは……炭酸か。んまー」

「何気にこれ、満腹度回復効果ありますね……。携帯食料以下ですが」


 嗜好品的なあれで売れそうではありますが、簡単に作れますし売上としては……微妙そうですね。

 蒸留水も冷蔵庫に入れておきましょう。


 皆でレモネードをグビグビしながら雑談しつつ、私は豆腐造り。後数回作れば"にがり"の量は大体分かるでしょう。味に拘るのはとりあえず後回しです。豆腐で味となると、豆や水の方を変える必要がありますが、ぶっちゃけ現状無理です。

 《農業》に【品種改良】とかあるんですかねぇ? 流石に幅が広すぎて無理でしょうか。


「そう言えば、フェアエレンさん南は相変わらず無理系?」

「うん、無理。空は鳥系に食われる」

「やっぱ船かー」

「格上とのドッグファイトはつらたん……」


 インバムントから船に乗るのですが、自分のではなく貨物船的な物に便乗するのが正解らしいですよ。地元の人とちゃんと話そうなって事ですね。

 この船がどうやらインスタンスなようで、船を防衛する必要があるようです。全滅で死に戻りかつ、インバムントからやり直し。イベントと言うかフラグ立てと言うか、別の大陸行くには必須なのでしょう。

 船1つに1PTと船乗り達。失敗しても住人が死んだりする訳じゃない、完全にゲーム的なイベントですね。

 インバムントから船で次エリア行くと30前半。その次で30後半。その次で40台が出るようで、そこが突破できないそうですね。つまり3エリアは海だそうです。


「こっちの足場は船。敵は空と海から突っ込んできたり魔法撃ってきたり……」

「対空はともかく、対潜ですか。と言うか40台出てる時点で、まだ先ですね?」

「うん、ぶっちゃけまだ無理。南以外で上げてからだねー」

「西は西で難航してるよ。状態異常が辛くてねぇ……」


 フェアエレンさんは南、ミードさんが西、妹達は北と見事に別々のようですね。

 現在の難易度では北が一番楽で、東、西と難しくなるようです。北は敵の動きが遅いので振り切れなくはない。東は馬とかいて逃げ切るのは無理だけど、戦えなくはない。西は道はあるけど、両サイドの森から状態異常持ちが突っ込んでくるとか。


「肉体系は毒と麻痺。精神系は混乱と魅了。突っ込んでくるのはまだ良い方で、木の上から魅了をかけられ森の方にフラフラっと行くと……」

「うわー……」

「PTで駆け抜ける、もしくは精神系無効の人外種と……と言う対策が話し合いで有力でしたね」


 道はあるけどその場合、麻痺持ちの蝶の飛ぶ高度が上がるんだとか。そのせいで走り抜けるのは少しリスクが高いようですね。

 動けなくなる麻痺もヤバいのですが、問題なのは精神系の混乱と魅了だそうで。

 混乱はアーツのランダム使用かつ、手足の入力が変更される。アーツの種類やタイミングは全てランダム。届かない距離ですら関係なく使うとか。しかも混乱中はフレンドリーファイアがオン。手足の入力は左右入れ替えが発生するようですね。変わるタイミングは混乱にかかった瞬間。慣れれば効果中も動けるけど、アーツは勝手に使用する。

 つまり、VR機器が読み取っている手足の信号を一時的に入れ替えているのでしょう。右手を左手に繋ぎ、左手を右手に繋ぐ。足も同じですね。

 魅了はフラフラと対象に引き寄せられる。攻撃されると動けるようにはなるけど、魅了対象に直接攻撃は不可。範囲系巻き込みは可能だそうですね。


「状態異常無効系……特に精神系無効の人外種に、回復アイテムか《聖魔法》を持ってて貰えるとなんとかなるはずです」

「あ、そこで耐性って解放されない?」

「できますよ」

「おぉ……問題はSPか……」

「ですね。全部取るのは流石に……」


 ミードさんとリーナの会話を聞きつつ、豆腐を……お、今回のはいい感じですね。


「どうせなら、絹ごしも作りましょうか……」

「絹で濾すんですね」

「…………」

「お姉ちゃんそこは笑い飛ばして!」

「ああ、いや……たまにマジな人がいるらしいから……」

「私は大丈夫だよ! 工程が違うんでしょ!?」

「シルクで濾すとか正気じゃありませんよね」

「コストヤバそう」


 さて、本気なのかネタなのか判断しづらかったノリは置いといて。

 絹ごしですが、生呉までは同じ工程です。煮呉にする際の工程から少し変わりまして、水を追加せず生呉をそのまま鍋にかけて煮ます。焦げやすいそうなので注意してやりましょう。

 煮込んだら上の泡を捨て、濾したら豆乳を冷やします。

 しっかり冷やしたら豆乳と"にがり"を混ぜまして……【テーブルウェア】で箱を作り注ぎます。

 後はこれを蒸せば絹ごし豆腐の完成ですね。

 【テーブルウェア】便利ですね? 穴の空いた豆腐箱なんかは無理ですが、ただの四角い箱なら作れますから。食料系以外は入れられないようですけど仕方なし。


「冷奴、食べますか? 醤油無いですけど」

「いただきます」

「いるぅー」


 皆に分けていただきます。……うん、ちゃんと舌触りが違いますね。上々でしょう。味は原料が同じですからねー。


「あー、そう言えば久々に豆腐食べた気がするー」

「私は昨日食べた。こっちの方が風味がある気がするね」

「夕食にでも冷奴食べるかー?」

「薬味が欲しくなる」

御御御付おみおつけ作りたいのですけどね」

「良いねー。味噌汁かー……そっちも良いなぁ」


 フェアエレンさんの夕食に一品何かが増えそうですね。ミードさんは昨日食べていると。我が家は一昨日食べました。

 まあ、冷奴を食べたところで解散です。確認などもできましたからね。それと通常の蜂蜜酒をミードさんに売っておきました。今度キットを展開した時にまた仕込んでおきましょう。


 そう言えば、キット統合の収納に入れておけば持ち込めるのでしょうか? 何気抜け道ですよね。イベント始まる前に醤油の仕込みを始めておくべきか……。それと少しずつ調味料系を購入して入れておく必要も?

 むむむ……豆を放置して麹ができないか、試してみるべきでしょうかね? 醤油にも必要ですが……できたところで麹カビの管理はちょっと無理では? 拘り品質とかするならした方が良いのでしょうが、拠点が必須そうですか。正直変な菌に出てこられてもお手上げですからねぇ……。天然でできる以上、当分は見送りで。

 あ、実は仕込んだエリアで変わったりして。ハハハ、そんな……この運営ではありえないと言い切れないのがあれですね。空気中にいる天然としたら、気温の変わるエリア判定はありえますね?

 ……この辺りはもう、物好きさんに任せましょう。味噌や醤油の品質なら誰かしら拘りたい人いそうですから。一応可能性として仕込みエリアも触れておきますか。品質高いの欲しければその人から買えばいいでしょう。


 とりあえず掲示板に中級料理キットなどの情報を出しておいて、組合に行って委託に料理と試作品を流して、後は……お金を預けておきましょう。


 さて、イベントまでゆっくり準備を進めつつ、逆にイベントで上がりそうにないスキルを優先しましょうか。

 サバイバル、楽しみですね。


夏は集中力が切れるので嫌いなんですよねぇ……秋姉妹頑張ってくれ!


ドラゴンはともかく、精霊の設定は結構悩むんですよね。色々できるから。

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