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現在気が向いた時に最初の方を字下げ作業中です。

整えてるだけなので読み直す必要は一切ありませんが、一応知らせておきますね。

 さて、日曜午後でございます。二陣が来て1週間が経ちますね。

 午前中は図書館で宿題&読書して過ごしました。庭でハーブティーを入れて実に優雅に過ごせましたよ。宿題でも《言語学》上がるのはちょっと笑いましたけど。文字なら何でも良いのでしょう。


 えーっと……ああ、ここですか。プリムラさんのお店は。ついに購入したようで、午前中に連絡したらお店にいると場所を教えてもらいました。

 お店に入ると日曜午後なのもあってか、お客さんがちらほら居り物色中のようですね。カウンターには住人の店番の人がいます。

 とりあえずカウンターへ。


「プリムラさんは作業場でしょうか?」

「はい。お名前をお聞きしても?」

「アナスタシアです」

「少々お待ちください」


 私が来るとちゃんと聞いていたようですね。呼びに行ったので、その間にお店を見せてもらいましょうか。

 壁には素材から長さ、デザイン様々な杖と弓が並んでいます。更に楽器まで置かれてますね。内装自体は実にシンプルと。

 少しして小さい樽を抱えたプリムラさんがやってきました。


「やっほー!」

「お店は順調ですか?」

「うんうん。店員さん雇えるから大体生産に集中できていい感じー」


 どうやら生産施設などにお金を優先したので、店舗部分はほぼノータッチ状態。それ故のシンプルさですね。とりあえず急いで仮置き用の棚を自作したとか。


「裏に商品の試し撃ち施設があるんだよー。あれが高くてね……。かと言って安いのにすると商品の耐久が通常通り減るとか使えないじゃん?」

「プレビュー状態で装備を試せるわけですか。良いですね」

「でしょー? 杖とかはともかく、弓には欲しいよねー」


 そう言いながら持っていた小さい樽をカウンターに置きました。持ち運びが簡単な、小さい可愛い樽ですね。ワイン樽なデザインで、蛇口付き。素材はホワイトオーク。見せてもらった中は黒いですが、熱処理をしたのだとか。


「これワイン用試作品。とりあえず水漏れがない事は確認済みー」


 そしてカウンターの内側にデデンと大きな樽と、カウンターの上に木桶が出されます。


「とりあえず問題なく作れたんだけど、試してないから品質の影響が謎ー」

「そう言えば、混ぜる棒や中蓋なんかも作って貰えると」

「ああ、そっかそっか」


 プリムラさんと樽や木桶の仕様について、あーでもないこーでもないと話を進めます。と言っても、どの木にするかやサイズだったり蓋部分ぐらいですけど。


「ではそうですね……木桶小を2個と混ぜ棒、後はミニ樽2個欲しいですね」

「小樽も使うの?」

「第三エリアにブドウが何種類かありまして」

「トースティングのミディアム処理的なことしておいたから、大体のやつに適しているはずだけど……試作だけあってどうか分からないよ?」

「問題ありません。私もワインなんて作ったことありませんし、飲める年齢ですらありませんからね。作ってみたいだけですよ」

「んー……肝心の値段はどうしよっかな」

「サイズ別で樽は10万、12万、15万でした。ミニはありませんでしたけど」


 住人が売ってる樽の容量だなんだと話した結果、NPCと同額。ミニは4万にするようです。品質が高い分生産品の方が良いですね。木桶の方は4万から10万。木桶小6万2個と、ミニ樽4万2個で総額20万ですか。

 ちなみにミニが4リットルほど。樽は小でも250リットルあります。ミニはあれ、個人用ビールサーバー的なイメージの樽です。横向きで置くので転がらない用に専用台。樽の中に入れる穴が上にあり木で栓がされ、下の方には注ぐ用の突起も付いて木で栓がされています。樽サーバーを真似て作ったそうですよ。


「これらは受注生産かなー」

「では必要になったら言いますね」


 ミニはワイン用にしてもらい、中樽は醤油と味噌用にしてもらいます。


「漏斗や濾すのに使う布なんかも欲しいですね……」

「漏斗ってなんだっけ?」

「そうですね……ペットボトルなどに物を入れやすくするやつ……と言えば分かりやすいでしょうか?」

「あー、あれか。木で作る? ガラスとかの方が良いかな?」


 んー……ああ、ガラスの漏斗が錬金にありますね。自作しましょう。布はダンテルさんに作ってもらえばいいですかね。

 ダンテルさんに連絡してお願いしておきます。


「とりあえず今ある2個は持ってって良いよー。後2個と棒は今から作るけど、すぐできるはず」

「では一度南へ行ってガラスの材料集めてから、組合寄って下ろしてきますね」

「ほいほーい」


 プリムラさんのお店を後にしまして、中央広場の立像から南のインバムントへ。そのまま南の海岸沿いへ向かい、砂浜で錬金キットを展開。広げた布の上に錬成陣拡張コアを置いたら、ショベルを取り出しせっせと砂を上に。

 海砂から珪砂と石灰を抽出。貝殻や珊瑚からも石灰を抽出。作った珪砂を錬成して珪石にし、珪石と石灰を合成してガラスへ。

 錬成陣拡張コアの移動が地味に面倒ですね……。アーツそれぞれで使う錬成陣が違うのが問題でしょうか。布が変わるので置き換える必要があります。

 流す魔力を気にしつつ作ってみると、確かに品質C以上が作れてますね。まあ、漏斗に品質あっても……って感じですけど。品質Cあれば歪みもないでしょうから。

 ガラスを漏斗へ錬成。小中大と作っておきましょう。



〈《錬金術》がレベル15になりました〉

〈《錬金術》のアーツ【魔石錬成】を取得しました〉



【魔石錬成】

 魔石を上位素材、下位素材へと変換する。


 ふーむ? 魔石の上位下位と言うとサイズのことでしょうか。魔石同士をくっつけて大きくする。魔石を複数の小さいのにするなら便利ですね。試してみましょう。

 手持ちの魔石は……極小10、小4個ですね。どれどれ……上位錬成は3個必要ですか。小3個が中1個へ。そして下位変換で小1個が極小2個へ。全部変換して小1の中2になりましたね。

 ドロップ以外に入手法があると言うのは、結論としては悪くないのでしょう。問題は最近キャパシティのために取り込んでるので、ドロップ自体がそもそもあれなんですよね。

 今必要なのは……錬成陣拡張コア用の極大? 大は1個あるので、後2個あれば……と言うところですか。これジェネラルの魔石を【魔石加工】したやつですよね。あのクラスは委託でもまだ手に入らないのでは? 用は済んだので、ついでに見てみましょうか。


 インバムントの組合の方が空いてるでしょうから、ここで下ろしてからの方が楽そうですね。ついでに委託を確認っと。……やはり極大も大もありませんか。オーブは【魔石錬成】対象外なので、まだ無理ですね。

 始まりの町へ飛び、真っ直ぐプリムラさんのお店へ。


「でき次第来るそうなので、少々お待ち下さい」

「分かりました」


 住人の店員さんに言われたので、お店物色しましょう。


 弓はともかく、魔法触媒が気になりますよね。このレイピアも《魔法触媒》取った方が効果上がるのでしょうか?

 魔法触媒には短杖や長杖、本や水晶なんかがありますが、木工だと杖系だけですね。魔法触媒による恩恵は魔法攻撃力上昇と詠唱速度の上昇。物が良くなれば消費MP減少なんかも付きそうですが、今のところ無し。

 一番高い杖は……B+のこれですか。試させて貰いましょう。店員さんに告げてから試し撃ち施設とやらに移動します。

 店舗エリアにある扉の1つから中庭のようなエリアへ。


 イメージで言えば、弓道場でしょうか? 前方に的が何個か並んで、的までの距離が一定ごとに線が引かれています。10メートル毎に200メートルまで。好きな距離で試せという事でしょう。このエリア亜空間ですね?


 そして、1人のエルフの女性が長弓を構えていました。

 アーツによる赤い光に包まれた矢が、斜め上に放たれ空に消えます。女性に視線を戻すと既に構えており、同じく矢が赤い光に包まれ輝いています。どうやらチャージ式のアーツだったようですね。更に光が1段階強くなり、不自然なほど大きな音を立て放たれました。2回りほど大きくなった矢は、山なりではなく真っ直ぐ的へ。そして斜め上から降ってきた矢と同時に当たりました。

 なるほど。発動から命中まで時間差を考えた同時攻撃ですね。ゲームに慣れた人なら基本的な行動と言えますが、お見事ですね。

 私も的に近づき、試すとしましょう。


 相変わらずダメージ数値はでないようですが、的にあるHPゲージはメモリが細かいようですね。

 ではレイピアでの魔法と、杖での魔法を試してみましょう。

 差がほぼ……いや負けてますね? MATK表記的にはまだ勝っているのですが、魔法攻撃力上昇効果部分の補正で負けていますか。

 そもそもこのレイピア、器用と精神依存の物理ダメージを与え、知力依存の魔法ダメージを与える。とのことですが、表記的にはどうなのでしょう。武器のみの表示なのか、私のステータスも入った表示なのか……。


 まあ、長杖の方が既に強いと。1センチぐらいなので誤差と言えば誤差ですけど、強化できないと辛くなりますね。耐久が無い事やできることを考えると、変える必要はありませんが……。


「姫様おまたせー!」

「ああ、プリムラさん。できましたか?」

「できたよー。お? ミードさんもやっほー」

「はい。お邪魔しています」


 試射していたエルフの女性がミードさんでしたか。確か弓系ではトップだとか聞いたプレイヤーですね。武闘大会入賞もしていましたっけ。


「姫様、噂はかねがね。以後よろしく」

「ミードさんも有名ですよね。よろしくお願いしますね」

「2人共まだ知り合いじゃなかったんだね?」

「姿を見ることはあったけど、こうして話すのは初めて」

「武闘大会の時や掲示板やらで、名前を知ってたぐらいですね」

「そっかそっか。そう言えば姫様、第三エリア行ったんでしょ?」

「アルフさん達と東へ行ってきましたよ」

「木、生えてた?」

「北側と南側は森でしたね」

「ふむ……」


 ミードさん落ち着いた方ですね。何でしょう、武人って感じがしますが。

 ミードさんはお得意様だそうです。ミードさんが木を伐採してきて、プリムラさんが加工する。プリムラさんからすると貴重な仕入先だそうですよ。ミードさんも弓や矢と言った物を作ってもらわないといけないので、お互い様状態ですね。


「じゃあ姫様と取引してくる」

「はい。機会があればまたお会いしましょう」


 ミードさんとフレンド登録をして、プリムラさんと店舗に戻ります。


「そう言えばミード……蜂蜜酒ですか。あれ確か、かなり簡単らしいですね」

「そうなんだ?」

「蜂蜜持ってますし、調べて試してみましょうか」


 とりあえず取引です。残りのミニ樽と木桶、更に混ぜ棒を購入。


[道具] 保存樽(ミニ) レア:No 品質:B+ 価格:4万

 発酵、熟成させたい物を入れておく樽。どうなるかは入れたもの次第。

[道具] 保存桶(小) レア:No 品質:B+ 価格:6万

 発酵、熟成させたい物を入れておく桶。どうなるかは入れたもの次第。

[道具] 混ぜ棒 レア:No 品質:B+ 価格:1000

 混ぜるための長い棒。

[道具] ホワイトオークの中蓋 レア:No 品質:B+ 価格:2000

 ホワイトオークでできた中蓋。


 木桶とミニ樽、中蓋2個の棒が1本ですね。木桶小は6キロぐらいの容量になります。ミニ樽は樽サーバー型ですが、アイテム的には保存樽と変化無いようで。


「まいどー! ところで姫様、鳥の羽系無い?」

「トッケイで良ければありますよ」

「単価100でどう?」

「そうですね……では400個売りましょう」

「そんなあるの!?」

「《錬金術》上げついでに消費したんですけど、お肉目当てに毟りまくったので」

「鶏肉かー。はい、4万ね」

「はい、確かに。ではダンテルさんのお店に行ってきますね」

「てらあー。矢、補充しよっと」


 プリムラさんのお店を後にし、濾すための布を頼んだ時に聞いたお店へ向かいます。とは言え、プリムラさんのお店から出た正面右側。ガラス張りのお店ですね。


 外に向け木製のマネキンが置かれ、服を着ています。こちらは服屋ですからね。皮の鎧なんかもありますけど。


「おう、来たな」

「できていますか?」

「勿論だ。結局は正方形の布だし」


 正方形の濾し布をダンテルさんから購入。5000になります。複数枚サイズ違いで頼んでおきました。


「何作るんだ?」

「醤油に味噌、後ワインですね」

「ほう! ワインは売るのか?」

「どうでしょうか。飲めませんが料理に使う選択肢もありますし」

「あーそうか……」

「まあ、どうするにしても大人の味見役が必要なのでその時に」

「お、任せろ」


 ダンテルさんはワイン好きなのでしょうか? それともただお酒好きでしょうか。


「そうだ、蜂蜜酒の作り方知ってますか?」

「蜂蜜を水で薄めて放置するだけだぞ。確か2、3倍ぐらいだったな」

「なるほど、蜂蜜酒も仕込んでみましょう」

「あれはどうだ? 果物酒。あれも楽……ってダメか。ホワイトリカーが無い」


 調べてみますか。えっと、ホワイトリカーは……なるほど、要するにアルコールですね。んー……ん?


「探せばありそうですね」

「ホワイトリカー?」

「ブランデーが住人から買えたので、あるのでは?」

「ほう……」

「まあまずは、ワインと蜂蜜酒を作ってみましょう。その後醤油に味噌ですね」

「おう、頑張れ!」


 ダンテルさんのお店を後にして、一度第三エリアのバルベルクへ飛びます。必要な物を買わなければいけませんからね。


 まずは調べましょう。……あ、これいいですね。ふんふん……ロゼ、作ってみましょうか。問題は……昨日ちらっと見たブドウ名、カスリもしませんね。ゲーム固有品種ですか? 店員さんに聞くしか無さそうですね。

 ブドウ……ブドウ……あそこですね。……なるほど、見ても分からん。


「ワインを作ろうかと思うのですが、短期用の黒ブドウはどれでしょう」

「短期の黒でしたら……こちらのファルシネリ、クラクシ、ベルジェですね。ファルシネリから軽いの、普通の、重いのに向きます」

「ではその中で一番甘いのはどれでしょう」

「それでしたらファルシネリですね。この町で作っている品種です」

「ではそちらで、量は……初めてなのでこのぐらいのサイズを考えています」

「あら、可愛い樽。ファルは作りやすいのでお勧めです。そのサイズだと……」


 ファルシネリ・ベルクと言う品種のブドウを売って貰いました。5000しましたが仕方ありません。お店を後にして早速始めましょうか。


 中央広場の日陰で料理キットを展開。ミニ樽を取り出して……まず水を入れて木を膨らませる……と。水を入れて少しすると水漏れがなくなり、使える状態になる。何回か濯ぎ、置いておきます。

 そしたら燻製やパン作りに使っていない新品空き瓶を取り出し、房状態のブドウをモギモギして入れます。潰しながら詰め込むんですよ。手持ちの空き瓶総動員しながら、濾した果汁を空き瓶へ。そしたら空き瓶に軽く蓋をして発酵させましょう。

 使って余った瓶は【洗浄クリーン】で綺麗にします。……綺麗にした瓶に品質Bの水を入れ、蜂蜜を入れて混ぜます。濾し布でも被せて放置。新品ポーション瓶にもB水を入れ妖精の蜜も入れ、振って放置。

 チクタクしながら飛ばした時間をメモしつつ、3種の瓶の様子を見ます。


 ロゼと言うピンク色のワインは作り方が複数あるようですが、黒ブドウを丸っと全部潰して濾す。要するに『黒ブドウを使えば作業中に薄っすら赤の成分が混じり、最終的にピンクになるよねー』って感じです。綺麗なピンクにするには各工程ごとに時間を図りつつ、回数重ねるしか無いでしょう。

 そもそも異世界特有品種の時点で、同じようにできるか怪しいのですが。ゲームなのでむしろ簡単な場合もありますし。

 ワイン造り。いくら短期用とは言え、年単位放置するものですが……どうなのでしょうね。


 プクプクコポコポしてるのを見つつ、沈殿したのを混ぜてあげます。

 ポーション瓶の妖精の蜜の方はシュワシュワが無くなりましたね。量が少ないので早いですね。では別のポーション瓶に、沈殿している酵母達を残してゆっくり移します。これで一応完成。


 チクタクした時間をひたすらメモしつつ、瓶を眺めます。メモは大事ですよ。今は良くても後々確実に忘れるんですから、覚えているうちに書いておきましょう。

 ほぼ常温で良いのは楽でいいですね。多少【冷却クール】で冷やす必要もありますけど。

 まだまだ酵母が呼吸中なので、先は長い。


 ワインの方は……基準を決めるために辛口にしましょうか。糖分全部を酵母に食べさせればいいようなので、フル発酵ですね。

 先にワインのコポコポが無くなったので、これまでの時間をメモした後、ミニ樽に移して樽熟成開始です。

 ワインより蜂蜜の方が発酵に時間かかりましたね。こちらはポーション瓶と同じように、沈殿している酵母達を残し、ゆっくり移します。

 蜂蜜酒はもう完成でも良いのですが、どちらも寝かせておきましょう。


 ゲーム内なので、気温自体は比較的安定しています。そういう意味では温度管理はある意味楽ですね。最大の問題として、インベントリにしまった瞬間時間が止まるので、何の意味もないのですが。かと言って手で持ち歩くのは無いですね。

 面倒ですが、樽を出している間の時間をメモするのが一番ですか……。


 醤油と味噌……どうしましょうかね。麹と言う最大の問題があるんですよ。大豆自体は安いので、無しでやってみるしかありませんか……。できたらラッキー、腐ったら……うん、麹探しですね。


 取り出したるはー大鍋! 大豆! 塩! さて、やりますか。まず味噌からです。

 回数制なのを良いことに、大豆をダバダバ出し洗います。はい【洗浄クリーン】ですね。次、大量の水に長時間浸けます。チクタクしましょう。丸1日ぐらい。水を吸って丸々太りましたね。

 えっと次は……大鍋に大豆を投入。水も浸るぐらい入れて、灰汁を取りながら弱火で3時間ぐらい煮る。……中まで火を通すため、沸騰したら一度水を入れるんですね。準備しておきましょう。


 灰汁を取りながらミニ樽をチクタクして、時間をメモしておきます。勿論ミニ樽や蜂蜜酒の瓶は、火の真逆側の影に置いてあります。


 じっくりコトコト煮上がった大豆を取り出し、潰します。親指と小指で潰せるぐらいが良いらしいですよ。私の種族にそれが当て嵌まるのか知りませんが。

 ……一号、大豆潰しますよ。我々に火傷は関係ありませんからね!


 む、塩と混ぜるタライとかがありませんね。一号、ひたすら潰すように。

 えっと……耳たぶぐらい、または小指が入るぐらいの硬さになるよう、塩と麹を混ぜながら捏ねる……と。

 一号が潰したのを集めながら、何個か塊を作りつつ塩を混ぜていきます。麹なんてありませんよ。


 これでできた塩大豆団子を、一号と一緒にプリムラさんから買った木桶に詰めて行きます。……いい感じにいっぱいですね。そしたらえー……濾し布でいいかな。被せて、中蓋……あ、石が無いですね。所謂漬物石的なあれが。北の方にあるでしょうか? 一旦料理キットをしまい、移動しましょうか。

 お? ミニ樽も蜂蜜酒も、今作った味噌用の桶も収納されましたね。不都合はないので、良しとしましょう。



 ポータルからウェルシュテットへ飛び、一号をメタスケから馬で再召喚します。パカパカ歩いて町の外へ。そしたら走り回りつつ、丁度良さそうな石を2個ほど探します。

 北の敵は動き遅いのばかりなので、一号に乗っていれば無視できますね。


 走り回り3個ほど見つけました。【洗浄クリーン】を使ってインベにしまいます。



〈《空間魔法》がレベル15になりました〉

〈《空間魔法》の【ラウムスフィア】を取得しました〉



【ラウムスフィア】

 自分の全方向に不可視の盾を張り、遠距離攻撃を無効化する。


 あー……これ、自分の正面に貼る【ラウムエスクード】の全方位版ですね。MP消費が更に重いだろう事を除けば悪くないと思います。

 ただ【インベントリ拡張】使用中だと発動MPが足りないので面倒なのがネックですね。使用可能MPは変化無いので……10レベごとに10%減少でしょうか。今7割なので、20で6割ですかね。

 直接攻撃系が今のところ無いので、何だかんだでスキルレベル上げるには【インベントリ拡張】が便利ですね。


 まあ、《空間魔法》より味噌ですよ。戻りましょう。

 中央広場で一号から降り、端の方で料理キットを展開。早速石を中蓋の上に載せます。直射日光を避け、温度変化の少ない場所が望ましいと。あくまで望ましいであり、割りとどこでもできる……と。お休み期間は1年……いや、10ヶ月ぐらいが良いのでしょうか。

 料理キットをしまいまして、お天気掲示板を……。えっと、一番気温が高いのは……南ですか。しかし南は潮風が……。となるとやはり東でしょうか。西はどうやら雨が多いらしいですね。それは困ります。一番低いのが北。

 味噌は東、ワインは北でしょうか。……東戻りますか。


 バルベルクへ戻り、腐らないことを祈りつつ【反応促進】でチクタクします。特に混ぜたりする必要もないようなので、楽ですね。MP回復を待ちつつ飛ばしては待ちます。3ヶ月でそれっぽくなるようですが、30日ぐらいでチェック。

 腐ってる感じは……しませんね。なんだかいけそうな気がするーと言うことで、後60日ぐらい頑張りましょう。


 レベルもスキルも上がって最大MPが増えてるとは言え、【反応促進】は消費が多いですね。回復を待ちながら他の事するには回復が早い。しかしチクタクするだけだと少々退屈と言う絶妙な感じ。

 安全地帯はHPとMPの回復が5秒毎に3割ずつなので、安全地帯での回復自体は早いのですよね。町中とセーフティーエリアがそうです。


 木桶の上に出てくる時計が消える前にまた使用すると、延長するんです。1回1日で使用回数を数えるのが楽ですね。60回。

 せっせと使用した後チクタクを待ち、時計が消えたら石と中蓋、布を取ります。おぉ……茶色っぽくなってますね。熟成90日味噌ですか。布を綺麗にして再び被せます。中蓋と石も戻し、残り7ヶ月ほどですか。7かけ3で21として210回。


 ヶ月と言ってもゲーム内は謎なので、日付で考えるしかありません。ゲーム内はリアル1日で4日過ぎます。そんなかけ離れた設定にするとも思えないので、1週間4日で7週間28日か8週間32日が1ヶ月だと思うのですが。今度メーガンさんとかにでも聞いてみましょうかね?


 ワインよりお味噌ですよねー。お味噌汁作りたいところですが……ああ、お豆腐がありません。確か必要なのは……にがり……にがりですか。チクタクしながら調べましょう。

 大豆をミキサーに……ミキサーが無い。にがりは海水から塩を取った残りの水ですか。にがりは《錬金術》で用意できますね。問題はミキサー。ここで再び材料ではなく機材不足が……。料理キットの上のバージョンを探す必要がありますね。

 と言うか食材ばかりで肝心のキットを見てませんでした。第二エリアにはありませんでしたが、第三エリアのここにはありそうですね。味噌作ったら探しましょう。


 210回をかけ終え早送りされる時計を見守りつつ、ワインをチクタク。木桶上に出ていた時計が消えたのを確認し、せっせと上の3つを外します。


[食材] 熟成味噌 レア:Ep 品質:B

 異人が持ち込んだ大豆の加工食品。使い方色々。

 300日間熟成。


 おぉ……できましたね!

 異人が持ち込んだ大豆の加工食品。なるほど、レア度エピックですか。量産されて出回るまではレア度が高い……と言う事でしょうか。

 では一旦しまいまして、キットを探しに行きましょう。収納が置いてあったお店が狙い目でしょうか。


「いらっしゃい」

「料理キットの上のセットはありますか?」

「確かまだありますよー」


 まだってどういう……いや、売り切れがあるので変ではありませんか。


「でもお金大丈夫ですかー?」


[道具] 中級料理キット レア:Ra 品質:B 価格:50万

 料理人が扱う道具が入った持ち運び用の料理セット。


 お、中級料理キッ……たかぁい!


「真顔……真顔になってますよー」

「ああ、すみません。予想以上の値段だったので、ちょっと下ろしてきますね」

「では残しておきますねー」

「お願いしますね」


 痛い出費ですが、買わない選択肢がありませんね。ここからだと冒険者組合の方が近いですか。受付でお金を下ろし、お店へ戻ります。残り3.6Mですか。そろそろまた委託に料理でも流しましょうかね……。


「お待たせしました」

「まいどですー」

「一気に値段が上がったのに理由はあるんでしょうか」

「魔道具が複数入っているのと、全体的に品質が上がっているせいですねー」

「なるほど、魔道具ですか」

「便利な分高いですからー」

「ではこれで」

「またどうぞー」


 お店を後にして早速キットの統合。確認前に南、インバムントへ飛び海水を汲みます。そしたら錬金で塩を分離。これで品質の高い塩とにがりを入手。

 そう言えば、これから塩はこっちに切り替えましょうかね? 塩をせっせと分離して確保しておき、にがりは大きな空き瓶一個分確保しておきます。


 さて……こんな時間ですか。夕食にしましょう。


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― 新着の感想 ―
流石ゲーム。発酵食品も短時間熟成。 姫さま、ゾンビ系だけど、変な菌とかも一緒に培養してないよね?
[気になる点] >そしたら錬金で塩を分離。これで品質の高い塩とにがりを入手。 ん?錬金で塩分分離したらにがりはついてこないのでは? にがりはにがりで分離する必要性があると思うのは私だけ? それともこ…
[気になる点] この話で、魔法触媒には短杖や長杖、本や水晶などがあるとありますが、それぞれ違いはあるのでしょうか?(サポート向けや攻撃向けなど) あと、水晶はどんな装備なのか気になります。最新話まで…
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