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43

 教わった通り中央広場南側に、剣と盾の看板が付いた建物があります。冒険者組合ですね。そちらへ向かいましょう。む、ブドウが売ってますね。ベルステッドのレーズンはこの町から仕入れているんでしょうか。

 よそ見は止めて組合へ。受付を確認して受付嬢さんのところへ向かいます。とりあえずクエスト報告ですね。


「西以外でこの辺りの魔物情報を貰えますか?」

「はい。少々お待ちを」


 立ち上がり資料を持ってすぐ帰ってきます。


 まず全域というか、町周辺ですね。これはさっき見てきたフィアーラビット、グレーウルフ、アベストルースの3体。

 フィアーラビットは体力が減ると毛を逆立て怒る。その際に精神の弱い者は恐怖状態になるとか。精神対抗ってことでしょうか。まあ、我々には関係ありませんね。

 グレーウルフは純粋に3体ぐらいで群れている狼。連携に注意。


「アベストルースは基本的には大人しいのですが、走ってるのを見られると仲間と思い寄ってきます。しかも傍迷惑な事に、仲間じゃねぇじゃんかと逆ギレして襲ってくるんですよね。逃げ切るのは困難なので、気をつけて下さいね。特に蹴り」


 特殊……アクティブ……?


「目、悪いんですよ。あのクソ鳥」

「うははは。僕ら馬で疾走してたからかー」

「それだと確実に寄ってきますね。人が走るだけなら半々でしょうか。追ってきたら近くに来てキレます。行商人の敵ですね」


 そう言えば、途中から走るスピード上がりましたね。こちらも上げたので逃げ切れましたが。

 しかしついに特殊アクティブですか。しかも視界内走り反応とは。『目が悪いからはっきりは見えない。でもスピードがある。仲間かもしれない!』で近づいて来て、見える範囲に来てキレるんですね。確かに傍迷惑だ。

 あ、クソ鳥発言には突っ込みませんよ。


「討伐推奨なので、お願いしますね」

「楽な倒し方はありますか?」

「足が潰せれば楽ですよ。無様に転がりますので」

「あの足をですか……」

「根元の方は太いので先の方をこう、ガツンと。肉は悪くないのが幸いですねー」


 いい笑顔ですね、受付嬢さん。突っ込みませんよ。

 そしてお肉は悪くないと。いい情報ですが、あれ狩るの面倒そうですね……。

 騎乗戦闘ができるならその方が楽だとか。足での攻撃を封じれるし、ラビットやウルフからのちょっかいも防げる。普通に戦う場合走り回られると厄介だから、まず足を止めさせるのが最優先。そして止まった場合足狙いで、蹴りに要注意。


 後は北と南が森で東は平原。ただ北の森はまばらで山の麓。南の森はそれなりに茂っているようですね。東は西と似たようなものだと。


 北はマーダープラント、ラプター、シュラーフアウル。

 マーダープラントは植物系だけど、根っこを使って移動するとか。蔓を鞭にして戦う。ラプターは聞いた感じラプターですね。二足で小さい手大きめの頭。属動物でラプター科。恐竜ではないみたい? シュラーフアウルは木に止まった状態で睡眠を仕掛けてくる。寝た敵を襲うのだとか。


 東はピグゥモンク、アンガスチャージャー、グロームホーク。

 ピグゥが《格闘術》を持ったようですね。アンガスチャージャーは突進が強力に。グロームホークは雷のようにカクカクで飛んでくるそうです。


 南はトロールとオーガだけのようです。

 ただ、トロールはバーバリアンとクラッシャー。オーガはソルジャーとグラップラー、ガードにシーフがいるようですね。


 北と南が34~37。東が35~39とのことで、しばらくは町周辺の30~34で狩りでしょうか? こう考えると、旧大神殿エリアレベル高いですね……。


「レベル的には周辺だろうけど、慣れで言えば東かな?」

「そう……ですね。PTだし35~39ならまあ……」

「牛と鳥はまあイメージできるけど、ピグゥモンクがどうかなー?」


 旧大神殿エリアは一番下が30で一番上は38です。ただ、向こうだと光4倍や《不死者の王族》による被ダメ減少というアドバンテージがありました。こちらだとそれがありません。それがどう響くか……ですね。同じく体力の多い動物系を倒せるかどうか。


「とりあえず周辺受けて、東は受けずに行くだけ行ってみようか?」

「おっけよー」

「ではそうしましょうか」


 受付嬢さんの元を後にして依頼板でフィアーラビット、グレーウルフ、アベストルースの討伐を受け、組合を後にします。

 とりあえず夕食まで狩りですね。


 フィアーラビットとの戦闘。攻撃パターンは……始まりの町にもいる兎さんですね。あっちよりレベルがかなり違うので、強くはなっていますが特に問題はありません。体力が半分ぐらいになると全身の毛を逆立て怒りました。これが特殊行動ですね。ただまあ、私達は不死者組なので効きません。つまりただの兎さんですね。


 そしてグレーウルフ。少し大きい灰色の狼で、3匹1組。アルフさんが2体持ち私が1体持てば連携が潰れ、ただのウルフです。アルフさんが持ってる1体にスケさんが【シャドウバインド】で動きを止め、元気な1体をボコる。倒したらバインドしてた敵をボコリ、最後に瀕死になった私のを仕留めると。


 ドロップはラビットのお肉と、ウルフのお肉ですね。それに加えフィアーラビットの角と、グレーウルフの爪です。


 そしてアベストルースです。受付嬢さんの言うように、確かに普通にしてる分には来ませんでした。よって最初にフィアーラビットとグレーウルフの討伐クエストを埋めます。


「さてさて、ダチョウとなると……」

「まずは《乗馬》検証ですね」

「どれどれ……」


 まず召喚体である下僕に《乗馬》スキルを持たせて確認をします。スケさんが。私一応スカートなので。


「どうです?」

「うん、効果あるね。楽だわー」

「それは良いですね」


 わざわざ取る必要は無さそうですかね。もしかしたら自分で取るよりは効果が低いとかあるかもしれませんが、そこまでの検証は……今のところするつもりありません。

 ではアーミーホースで3倍召喚しましょう。一号に座ってもらい、乗ります。


「……なるほど、確かに全然違いますね。これなら騎乗戦闘できそうです」

「だよねー」

「ではアルフさんが一番遅いので、逆三角形で良いですよね?」

「おっけー」

「了解」


 アベストルースがいるところへ走っていき、他のアベストルースがいないところを走り回りつつ、追ってくるアベスト……ダチョウと戦うで良いでしょう。


 私とスケさんがスペース開けて並んで走り、その間を少し遅れてアルフさんが走る逆三角形。その状態でダチョウの前を通ると追ってきました。そしてある程度近寄ってくると、スピードが上がります。うん、キレましたね。

 私とスケさんが魔法を撃ちつつ、アルフさんはひたすら啄かれます。


「んー……? 【ノクスウォール】」


 スケさんが【ノクスウォール】をアルフさんとダチョウの間に置くと、見事に突っ込みました。なるほど、下手に魔法撃つよりそっちの方が効率いいですね。スケさんと交互にウォールを置いていくと、あっさり倒せました。


「これが一番楽かな?」

「恐らく」

「啄かれるぐらいなら問題ないから、このまま少し肉集めるかい?」

「んー……まずは取り込みでしょうか。ダチョウの素体は手に入るはずです」

「骨格全然違うだろうからねぇ」

「ああ、おけ」



〈【暗黒儀式】により『アベストルース』の素体を入手しました〉

〈【暗黒儀式】によりキャパシティを『6』入手しました〉



 馬と同じですか。サイズ中ですね。

 続いて新たに倒したダチョウをスケさんが取り込みます。

 このPTだと倒したやつは順番に解体して、でたやつはそのまま自分のというルールです。なので、自分の番なら解体するか取り込むかは自由ですね。骨格が違うレアが出たら相談になるでしょうけど、余程良さそうな素体でない限りは解体でしょうね。ドラゴンとかドラゴンとかドラゴンとか。

 まあ、私達は装備がバラバラで必要ステータスもそこそこ散っているので、取り合いにはなりませんね。私はそもそもアクセしか装備枠空いてませんし。



〈〈プレイヤー、エルツとダンテルにより『サブウェポンシステム』が開放されました。詳しくはヘルプを御覧ください〉〉

〈『色あせた護りのベルトポーチ』の情報が更新されました〉



「おおっ?」

「おやー?」

「おや? とりあえずヘルプを確認してみましょうか」



※サブウェポンシステムとは

所謂予備武器です。インベントリ操作をせず、すぐに武器の切り替えが可能になるよくあるシステムになります。

予備武器を保持できる特定のアイテムを装備している場合、使用する事が可能です。ただし、他のゲームなどと違う事があります。

メイン武器と同じく、サブ武器も外に出しておく事になりますので、サブ武器のサイズや固定する場所を考える必要があります。



 ふんふん。ウェポンスイッチ系のシステムですね。

 それでベルトポーチが……。


《鑑定 Lv10》

 DEF:△ MDEF:△

《鑑定 Lv20》

 収納拡張:極小(10)

 保持可能数:2

 保持容量:中

《鑑定 Lv30》

 持ち主が神の加護を得る度に、更なる力を解放する。

 特定の特殊攻撃に関する完全防御。


 保持系統の項目が増えた……んでしょうね。これが足りないと武器の固定ができないのでしょうか。


 フルダイブ型のゲームなので、武器を固定する場所を考えろよ……という事ですか。低身長の人は少し苦労しそうですね。


「確かに不便だったんだ。これでバッソからメイスの切り替えが楽になるね」

「僕には関係ないかなー。杖一本だし」


 インベントリから解体ナイフを取り出し、レイピアの隣に付けておきます。元々武器は1個しか吊るせなかったようですね。解体ナイフが武器判定なのはこう……釈然としませんが、ナイフはナイフと言う事でしょうか。


「それ、解体ナイフ?」

「ですね。楽になりました」

「姫様レイピア一本だもんねー。解体ナイフは確かに良いな。僕もそうしようか」

「特定のアイテムってのはベルト系?」

「私はそうですね。保持可能数と容量が《鑑定》20で見れますよ」

「どれどれ……」


 2人共保有可能数が1のようですね。容量も極小。メイン武器1本が限界。エルツさんとダンテルさんが2人で開発したであろう、新しい装備が必要なのでしょう。


「イベント始まる前には確保しておきたいところ」

「僕はまぁ……後回しでもいいかな」


 アルフさんが早速連絡を取り始めました。

 私は指輪のアクセサリーをそろそろ頼むべきでしょうか。

 防具は一応頭、胴上、胴下、腰、腕、足、背、外套の8箇所可能です。

 今回のは恐らく腰装備の改良で……武器が右と左に加え、予備が装備できるようになったと言う事でしょう。

 装備に関してはリアルとゲーム半々って感じですね。

 首、耳、手首、足首、指の14箇所がアクセサリー枠。ネックレスをジャラジャラ装備できませんし、同じ指に指輪を何個も入れられません。首と耳、手首と足首は1個ずつ。指輪は10個まであります。装備箇所はかなり多いのですが、揃えるのにいくら掛かるやら。


「よし、再開しようか」


 今度は最初からダチョウをウォール系に突っ込ませます。あの魔法は時間継続で、同時発生数が1個まで。つまり継続時間切れの前に新しく出すと、古い方が消えるタイプですね。


「あ、おかわり入りまーす」

「2匹啄いてくるんだが?」

「大丈夫そうですね?」

「まあ、問題はないね」

「壁的に……2体が限界かなー?」

「3体は無理そうですね。3体とも横並びになるとも限りませんし」


 ダチョウが2体並走してアルフさんを追っていますが、2体までならウォール系で巻き込めるでしょう。3体は幅的に無理そうです。更に3体目が並ぶとも限りません。いや、後ろについてくれるならいけますね?


「横じゃなく、後ろに付いてくれるならいけますね?」

「ああ、そうか。連続で突っ込んでくれるなら美味しいなー?」


 草原を馬で疾走するのは気持ちいいですね。実際には全然穏やかな一幕ではなく、後ろからダチョウが追ってきてるのですが。始まりの町なら追ってくるのがいないので走り回れますかね?


 とりあえず……釣るなら最初のうちにやらないと、解体作業が非常に面倒だという分かりきった事が分かりました。はい、アホですね。



〈《暗黒魔法》がレベル15になりました〉

〈《暗黒魔法》の【ノクスマジックミサイル】を取得しました〉



「肉しか出ないんだけど?」

「こっちも」

「私もお肉だけでしたね」

「……まあ、狩りとしては中々効率いいね?」

「だね。こっちは防御系スキルと《騎乗》が鍛えられるし、悪くないね」


 私も光と闇交互に使えるので悪くないですね。


「スケさんマジックミサイル覚えてますか?」

「マジミサならあるよー?」

「覚えたのですが、どんな感じで?」

「んー……アロー系の怯み、ボールの弾速、高誘導、威力はボール、消費がボールとランスの間ぐらい」

「……対空用ですか?」

「【二重詠唱デュアルスペル】系使ってからマジミサかなー。姫様は【グラウィタス】あるから、MP的にはあれかも」

「【グラウィタス】で落とせない敵用ですかね」

「だねー。後は純粋に地上の速いやつとか」


 名前通り、ミサイルのように誘導性魔法と覚えておけば良さそうですね。


 そして東に近かったので、そのまま移動。敵がピグゥモンク、アンガスチャージャー、グロームホークに切り替わります。


「ピグゥは特に変化を感じませんね?」

「そう……だね。アンガスは角が発達した?」

「ご立派な角が! 鳥は……よく見えんなー」


 とりあえず一旦降りまして、ピグゥモンクと戦闘です。さあ、あの悲しみのピグゥがどう変わったのでしょうか。


 アルフさんに攻撃されたピグゥはお尻をふりふりしながら歩いて来て、ムクっと後ろ足で立ち上がり……ファイティングポーズを取りました。


「んん? うおぁ!」


 踏み込みからのストレートパンチ。それを咄嗟に防ぐアルフさん。ピグゥの見た目に反して、盾から可愛くない音が響きます。

 これあれですね。東のボスだったファイティングベアと同じ空気を感じます。つまり、普通に戦いになると言うことですね!

 アルフさんが真面目に戦い始めました。


「初見殺しかな?」

「見た目に変化を感じない事に悪意を感じますね……」

「参戦するぞー?」

「おう、はよ」


 パンチにキック、回転蹴りなどをしているピグゥモンクに魔法で攻撃します。

 中々の体力でしばらく攻撃していると、手に魔力が集まり……攻撃アーツによる赤い光がピグゥモンクの手に。その後《危険感知》が発動。赤いラインが表示され、こちらに向かってパンチ。

 飛んでくる魔力を【ロイヤルカウンター】で弾きます。ピグゥモンクは再びアルフさんを攻撃。


「おぉ?」

「遠当てってやつですかね?」

「僕の方飛んできたらやばかった!」


 それから更に攻撃して、ピグゥモンクを討伐です。ドロップはベルステッドから変化無し。


「いやぁ、タフだな……」

「しぶといねぇ……」


 続いてアンガスチャージャーですが……。


「……単体いなくねー?」

「ピグゥであれだったし……止めとくかい?」

「そうですね。倒すだけならともかく、時間がかかりすぎるかと」

「ダチョウ狩ろうか」

「そうしよう」


 町周辺に戻りアベストルース狩りです。視界内のダチョウを走って釣り、倒しては降りて解体。再び乗ったら移動して、視界内のダチョウを釣って狩る。

 たまに解体する際に、フィアーラビットやグレーウルフと戦闘です。



〈《細剣》がレベル15になりました〉

〈《細剣》のアーツ【レーゲンレイト】を取得しました〉



 ふむ……6連続の刺突ですか。敏捷依存とは書いてませんね。試してみないと分かりませんか……。


「アルフさん、ラビットを釣って貰えますか? アーツを試したいのですが」

「ん、良いよ」

「バインドでもしようかー?」

「ああ、お願いしますね」

「おっけー」


 早速アルフさんにフィアーラビットを釣ってもらい、スケさんのバインド後にセミオートでの【レーゲンレイト】を使用します。

 スキルの使用を意識すると、赤く光りだしたレイピアを胸元で構え、そこからかなりの速度で6回攻撃を行いました。敏捷依存ではありませんね。私にこの速度は無理です。それに、なにやら王家の動作アシストがかかりましたね?


「おー」

「騎士っぽい」

「近接時の主力になり得る火力ですね。問題は攻撃箇所がバラバラな事」


 レイピアは弱点狙ってこその武器であり、弱点攻撃時に威力上昇がありますからね。次はマニュアルで試します。発動には慣れが必要ですが、やはりマニュアルでないと。どんなスキルかは確認できましたからね。

 セミオートの動きをできる限りトレースします。騎士の礼のように胸元へ持ってきて剣先を上に。その状態から右足を踏み出し、突く。


「なるほど……慣れれば同じところを6回突けそうですね」


 12回攻撃しましたが、弱点を突けなかったので普通に残りましたね。3人で倒してしまいます。


 使い勝手は良い。ソロの時に慣れておきましょう。6回弱点突けるなら魔法より強いですよこれ。【ブレイクパリィ】でアンバランスにして、【レーゲンレイト】が即死コンボになりそうです。なお、対アンデッドは除く。



 ダチョウ狩りを続けることしばらく、ふと……スケさんが聞いてきました。


「そう言えば姫様って、結局RP勢なの?」

「また突然ですね」

「ああ、人外板の話か」

「そうそう」


 何でも人外雑談板で話題になったそうですが、人外プレイヤーは大体がその種族が好きか、RP勢ぐらいだろうと。ちょっと変わったプレイがしたいと思っても、人外系に好きなのいないと続かないだろう的な。

 アルフさんやスケさんは前者らしいですね。アーマーとスケルトン好きらしいですよ。人外プレイするならこれかな……と。

 で、私の場合は? 的な流れになったそうで。


「なるほど。私はただの好奇心ですね。ゾンビかセクシーダイコンで悩んで、まだ人型なゾンビを選びました。作り直すなら最初でないとあれですから」

「確かにね。育ててからじゃ勿体無いし」

「はい。で、この種族に進化したのでこのままですよ。特にRP勢と言うわけでもありませんね。狙ってなれる種族ではありませんし」

「そうだったのかー」

「動作や口調的にもRP勢かと思ってた」


 プリムラさんとちらっとそういう話をした気がしますが、そう言えばあの時はエルツさん達生産組だけでしたか。


「動作は王家の動作アシスト設定によるものですね。口調に関しては……リアルの方が少し絡みますが、これが素です」


 お母さんが日本のお父さんがイギリスで、私達姉妹はハーフですね。私が生まれた時、ついでの如くお父さんもお母さんから日本語を勉強。それを聞きながら育った私はですます系で日本語を覚えました。翻訳とかそうですよね。


「それでですね、幼稚園の時です。妹が駄々をこねたんですよ。『お姉ちゃんの口調がやだ!』って。それにトモとスグが同意したんです。他人行儀な感じがして嫌だったらしいですよ」

「ああー……子供のうちからそれは珍しいもんね」

「それで家族とトモとスグの時は周囲を真似て変えてみました。今ではそれが素の状態なので特に苦労はありませんが、家族とトモスグペアが例外だと思って貰って構いません」

「放送で妹ちゃんがやたら英語ペラペラな謎が解けたね!」

「家だと英語の時もありますから。結構バラバラです」


 どうせ大人になればですます系は普通ですから、別に直す必要はないとお母さんに言われたのもありますね。


「とは言え、RP勢であることを否定する必要もありませんけどね。クエスト関係やイベントの時なんかはノルつもりですから」

「防衛戦の時とかやってたねー」


 ノアさんとの話もあります。VR女優の件。あれのために本格的にRPをしてみる選択肢もあるんですよね。問題があるとすれば、既にRPだと思われてる事でしょうか? 動作アシスト以外は素なのですが。


「姫……と言うことを考えると、もう少し命令形の喋り方な気がしますよね」

「あー……まあ確かに?」

「物腰柔らか系姫様キャラありだな! とか言ってRP勢だと思われてるね」

「掲示板だとそうだね」

「なるほど……。まあ、特に訂正する必要もないので良いでしょう。ちょっと意識する時もありますから」

「よくいるエンジョイRP勢だね!」


 今のところRPガチ勢ではありません。時や場合、気分やノリでやるエンジョイRP勢です。


「RPと言えば、職業が見つかったってね」

「だってねー!」

「え、職業ですか?」

「ヘルプで職業見てごらん?」

「ああ、Newマークが付いたままですね」


※職業とは

そのまま職業です。就職が可能です。

就職した人のステータスには『職業』と『職名』が追加されます。

職業関連クエストが発生したりしますが、今まで以上に住人との人間関係などを気にする必要があります。

よって、ロールプレイヤー向けになるでしょう。この世界をもっと楽しみたい方、就職してみてはどうでしょうか。

職業:聖職者 職名:司祭

職業:冒険者 職名:ランクC ※登録者はオプションから表示可能

職業:職人 職名:鍛冶師


「なるほど……こういうタイプですか」

「今のところ『職業クエスト』と『称号』ぐらいで、『職業スキル』なんかは無いとか。『職業クエスト』は特別そうに感じるけど、ぶっちゃけただのお仕事らしいね。報酬もお給料貰えるだけとか」

「それでロールプレイしている人向けですか」

「『称号』がそこそこ効果良いらしい? ぐらいだね。後はほら、職員専用エリアに行けるようになったりするぐらい」


 この世界をもっと楽しみたい方……ね。なるほど、確かにそういう生活をしたい人もいるかもしれません。あくまで趣味の範囲であり、ゲーム的に必須級の効果やスキルなんかはないと。……冥府に行ったら何か変わるでしょうか? 楽しみにしておきましょう。


 騎乗して走りながらウォールを出していくだけなので、話しながら狩れますね。



〈種族レベルが上がりました〉

〈《閃光魔法》がレベル15になりました〉

〈《閃光魔法》の【ルーメンマジックミサイル】を取得しました〉



 25レベですか。

 おや、《不死者の王族》が30になっていますね。という事は一号達にスキルをもう1個移せるようになっているので、浄化耐性でも持たせておきましょう。

 《死霊秘法》が後1個上がれば25になるので、一号達が持てるスキル数が増えますね。

 他は……もう少し先。次何か覚えるのは《空間魔法》ですかね。


 ダチョウを壁に突っ込ませ、解体時にやってくる兎さんや狼を蹴散らしていると、夕食の時間になったので一旦町へ戻ります。

 組合に寄って討伐報酬を受け取り解散です。


「じゃあおつかれ」

「おっつぅー」

「お疲れ様です」


 夕食後はバルベルクを探索して、食材探ししましょうか。



 さて、21時。ゲーム内は夜です。寝るまで食材探しの旅。早速店舗へ。

 気になるのは……お、小豆に大豆がありますね。果物もリンゴ、桃、それとブドウ。リンゴはアプル、桃はペルシア、ブドウはミルヴェーデン・ネアレンス。そして発酵樽ですかね。

 とりあえず大豆は買うとして、少し高いですが発酵樽も必要ですかね? ……木ですから買う前にプリムラさんに聞いてみましょうか。

 そして、ワインが複数。


「旅人ですかな?」

「はい、異人です」

「なるほど、そうでしたか。ここネアレンス王国はワインでも有名なのです。国の名を持つミルヴェーデン・ネアレンス。これは食用にもなりますし、ワインにもします。他の品種は大体ワインがメインですな」


 なるほど。それでこんなに壁にワインが並んでいるのですね。種類的には……赤4の白2。しかし、私は紅茶派なのですよ。そもそもリアルではお酒がまだ飲めませんからね。


 セロリやブロッコリーなんかもありますね。ふむぅ……。とりあえず大豆と……アプルにペルシアを買いましょうか。

 至急醤油に味噌造りです。ワイン造りも面白そうですが飲みませんからね。


[収納] 携帯野菜収納(特大) レア:Ra 品質:C 価格:6万

 料理に使う野菜を収納する持ち運び可能な箱。

 30種類まで収納可能。


 これも惹かれますね。10種類増えて30種類まで。値段は6万。というと、お肉版もありそうですね。しかし今のところ急いで買う必要はなし。

 こっちよりも……。


[収納] 携帯調味料収納棚(小) レア:No 品質:C 価格:8万

 料理に使う調味料を収納する持ち運び可能な小棚。

 15種類まで収納可能。

[収納] 携帯調味料収納棚(中) レア:No 品質:C 価格:15万

 料理に使う調味料を収納する持ち運び可能な小棚。

 30種類まで収納可能。

[収納] 携帯調味料収納棚(大) レア:Ra 品質:C 価格:23万

 料理に使う調味料を収納する持ち運び可能な小棚。

 45種類まで収納可能。


 これが念願の……高くないですか? いや、え? 高いですよね……。ああでも、収納可能数が野菜などよりは多いので、インベを考えても買わないと言う選択肢はない……ですね。痛い出費!

 使用回数制の大豆を10個ほど、アプルとペルシアも10個ほど購入しておき、一度商業組合へ。お金を引き出したら携帯調味料収納棚(大)を購入し、お店を後にします。

 中央広場で早速料理キットに統合し、展開して収納棚の配置を調整したついでに調味料達をそこへしまっていきます。小麦粉なども入るのですね? えっと……卵と果実がハブられたのですね……。

 果物収納とかあるんでしょうか。……ありそうですね。


 おぉ……23万出した甲斐はありましたね。インベの残り枠が42になりました。あのカツカツ具合が嘘のようにスカスカに。

 もはや《空間魔法》の【インベントリ拡張】をスキル上げだけに使っているような状態に。ちなみにあれ、PTの時はオフにしますよ。MP管理面倒ですから。


 料理キットをしまい、残り少しの時間をぶらぶらしてログアウトです。

 明日プリムラさんに発酵樽について聞いてみましょう。


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― 新着の感想 ―
ピグモン!?
[一言] ↓ (第45部分)のコメントの人へ ベースレベルの話で閃光魔法のレベルじゃないよ
[気になる点] 閃光魔法のレベルが上がったところの3行下のところは、25レベルじゃなくて15レベルじゃないかな?
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