42 第三エリア
お ま た せ。
キャラ名はジェネレータで良いとして、町とアイテムとスキルとMobのネーミングセンス下さい。
さて、ログインしましょう。土曜日13時頃……ゲーム内では昼間ですね。場所は始まりの町、中央広場。午前中は図書館でゆったり読書タイムをしていました。
今日は何を……《鑑定》が30になってましたね。装備を確認してみますか。項目増えてると思いますので。
《鑑定 Lv10》
DEF:△ MDEF:△
適用スキル:《軽装》
《鑑定 Lv20》
HP回復量上昇:極小
MP回復量上昇:極小
《鑑定 Lv30》
持ち主が神の加護を得る度に、更なる力を解放する。
特定の特殊攻撃に関する完全防御。
とりあえず胴装備のドレスですが……神様関係の装備じゃないですかー! アイテムで装備強化じゃなくて、どれだけ神々の加護を受けるかですか。先が見えないのは辛いですね……。しかもこれ、たまたまできるような事ではないですね。神々に関わってそうな事は狙ってやっていかないと、装備が弱いままでは困ります。そう考えると、ルシアンナさんのクエスト報酬は期待できますね。
それに加護と言えば……やっぱり教会でのお祈りでしょうか? ゲームと言えど、神の加護目当てで祈るのは少々あれですね……。と言うか脳波チェックされて貰えなさそう。
神々や幽霊を信じるか? とリアルで問われれば、いるんじゃない? と答えます。ただ、実感も実害もないので『いようがいなかろうがどっちでも良い』と言うのが正しく、『ああまあ、いるんじゃないですか?』程度のノリですね。
逆に言えば、いないとは思ってないので、神社やお寺なんかではそれ相応の態度は取ります。
でもまあ、その程度なのですよね……。いっその事RPに取り込み無心で祈るとか。そう言えばこちらの世界にいるのはクレアール様の許可と、ステルーラ様の力が主でしたね。そちらに関する感謝という意味なら祈れますか。
そして『特定の特殊攻撃に関する完全防御』は防具全般に付いていますね。気になりますが、詳細は現状不明。
……では、早速礼拝堂に行ってみましょう。
昼間なのでそれなりに人のいる礼拝堂で、ステルーラ様の立像の前でお祈り。……まあ、一回で祝福貰えたら苦労しませんよね。
さて、今日は……うん? 《直感》が……。立像の土台……角の部分がモヤモヤしていますね。そのモヤモヤが増えて集まり、出た先の方から犬っぽい形を形作っていきます。……三角ワンワンですね?
ティンダロスの王 Lv100
属性:? 弱点:? 耐性:?
属:外なるもの 科:支配種族
状態:正常
……親玉の方ですか? ステータスがさっぱり見えん。《危険感知》は無反応、《直感》も弱点部位が反応してませんね。
出てきたティンダロスの王は1歩ごとに輪郭や大きさが変動しているように見えますが、深くは考えませんよ。元々そういう存在だったはずですので、そういうものとして受け入れます。でないとSANチェックですよ? ハハハハ。
そんなことより、私を見ながら私の周りをグルグルし始めましたが、何しに来たのでしょう。《危険感知》が無反応だし、そもそも契約なんてしてないのですが。回るのをやめ、私の正面に来ました。目と目が合った瞬間《危険感知》がっ……!
金属同士がぶつかり合うような音と共に、私のスカートの右側から軽い衝撃と揺れを感じました。レイピアの柄に手をやった時には……既に攻撃されたようですね。見えてすらいませんでした……。流石レベル100。ティンダロスの王を見た感じ、舌での攻撃ですね。
「やはりその装備、主からの贈り物か。でなければ無事であるはずがあるまい」
シャベッタアアアー! と思いましたが、意思疎通は可能とか言ってましたね。
特定の攻撃に関する完全防御はこれのことでしょうか……。
それはそうと、質問には答えてくれるのでしょうか?
「主……とは?」
「女神ステルーラ」
「やはりこの装備はステルーラ様に関係あるのですね?」
「ある。しかし、かなりの力が失われているのは間違いない」
「では……装備を返す必要は?」
「ない。その装備自体が装備者を選ぶ。着れている時点で資格あり」
ん……なるほど。最初の方に突き刺されまくったのはそれですか? ぶっちゃけかなり危険物なのですが。
と思って説明したら、どうやら違うようですね。それはあくまで装備者であった者を守っていただけだそうです。正規ルート以外は侵入者として処分される。
持ち主がちゃんと健在なら、持ち主以外が触ろうとしても透過するだけだそうで。つまり座る時などにレイピアを立て掛けて置いた場合、あるはずなのに他の人は触ることができないのですね。
「ふむ、イモータルか。未熟だが王たる者よ。冥府にて深淵への第一門を探せ」
「冥府に深淵の入り口があるのですね」
「感謝を忘れず、役目を果たせ。さすれば導かれるだろう」
「役目……?」
「まずは冥府の統括か。やつらも困っている。早く行ってやる事だ」
つまり種族通りの役割があるのですね。メインかサブかはともかく、ストーリーやってる感があって良いですね。
「助言するなら、それ以上属性魔法は増やさない事だ。それと言語について学べ」
「つまり……魔法は現状維持ですか? それに言語……」
「ステルーラ様に合わせろ。光と闇系統のみだ。言語は今後必要になるだろう」
光と闇系統ということはその派生は問題ないと。閃光と聖、暗黒と影、更に複合の空間系はセーフですか。それ以外の『属性魔法』がアウト? 火と風、水と土は別の神様の領域だからでしょうか。ふむ、別に今のところ取る予定はありません。
問題は《言語学》を上げろって事ですね。図書館で読み漁らねばなりませんか。元からそのつもりはありましたが、本格的に読書の時間を増やしましょう。
「あれ、そう言えば何しにこちらへ?」
「見に来ただけだが?」
「……私を?」
「そうだ。特殊な者からの祈りを感知したのでな。確認に来たのだ」
「なる……ほど?」
「では余は行く。精進せよ。定命の者よ」
そう言って今度は犬のような姿からモヤモヤになり、角に吸い込まれて消えました。雑談して帰っていきましたね。まじで見に来ただけですか。
「……普通に良い方でしたね?」
「何をしたのです……アナスタシアさん……」
何やら眉間をマッサージしながらルシアンナさんがやってきました。お祈りしただけですよ? 私は悪くない。
「お祈りしただけですね。そしたら何やら、ティンダロスの王がやってきました」
「ただのお祈りで支配種族が来るわけないのですが……」
「種族的な問題だったのでしょう。確認しに来たと言ってましたので」
「あー……そうでしたか。まあ、特に問題があるわけではないのですね?」
「そうですね。問題はありません。もう帰りましたし」
「オーラは消していてくれたようなので、倒れた者はいませんね?」
「はい、ルシアンナ様」
「では戻るように」
ルシアンナさんが他の人に指示を出して通常状態へ。そう言えば普通に昼間の礼拝堂でしたね。お騒がせしました。
さてさて? 予定になかった雑談をしましたが、夏休み故時間はたっぷりあります。しかも今後進化に関わるであろう良い情報を貰えましたので、有意義でしたね。……相手の見た目はともかく。
纏めると……属性魔法はステルーラ様に関係のある系統のみにする必要がある。図書館で《言語学》を上げておくと後々楽になる。冥府を目指す。冥府で深淵に繋がる第一門を探す。このぐらいですかね。
ではこれらを達成するには……狩りか。狩りですね。狩りの合間に読書。30レベで進化があるとすると、できれば30前に冥府に行きたいところです。そしてレベル上げと言えば、第二回公式イベントで結構上がりそうな気がするのですよ。
「お、やあ姫様! 今日も良い天気だね。まるで肌が焼かれているようだよ! 肌無いけど。ハハハハ」
「ごきげんようスケさん。アンデッドジョークですか」
自動回復の方が上回っているので、HPゲージは満タンですけどね。日傘はスキル経験値を減らしてしまいますから、正直現状は使うのが悩ましいです。
「姫様狩り行かない? ベルステッド東。うまく行けば次の街的な」
「狩りしながら東を進むのですね?」
「少し進むと魔物の馬がいるって情報があってさー」
「なるほど、実に取り込みたいですね」
「でしょー? アルフがもうすぐInするだろうから、そしたら行く予定」
馬は欲しいですね。元々夏休み中の土日はPT組めるように、予定を特に入れてませんから丁度いいでしょう。
「スケさんイベントはどうします?」
「勿論参加するともー。アルフと行くけど、姫様どうする?」
「ではお願いします」
「おっけーおっけー」
「第二回のイベントは種族違うと動きづらそうですよね」
「だよねー。姫様何持ってくか決めた?」
「錬金キットですかね。幅広さで言えばあれですから」
……あれ? そう言えばスケさんも錬金キット持ってますね。PT内で同じの持って行ってもしょうがないのでは? 錬成陣拡張コアが無いでしょうけど、品質を気にする物ならそれぞれの生産者に持っていった方が良いでしょうし……。
「錬金は僕の持ってって、姫様料理キットにする? 僕達食べないけど」
「うーん……確かにそれもありですね……」
アルフさんがログインしました。集合場所はベルステッドだそうなので、立像から転移します。
「お? 姫様じゃん」
「東に行くとスケさんに聞きまして」
「うんうん。リーダーよろしく」
「はい」
アルフさんとスケさんをPTに誘い、組合で討伐系を受けてから東へと向かいます。ちまちまやっていかないと、組合ランク上がりませんからね。
「アルフさんはイベント何持っていくんですか?」
「悩んでるんだよねぇ……。持っていけるのが1種類って事は、ゲーム的に考えるとつまりインベ1枠分ってことで、ポーション系はともかく……スタックできない武器は1個しか持っていけないと思うんだ」
「ええ、分かります。そうでしょうね」
「まじの1種類なら武器でも個数制限無しで笑えるけど、ぶっちゃけそんな金はないよね」
「と言うかそれだと『サバイバルで所持品制限』と言う意味がないでしょう。漂流設定のようですし、『身に着けている物はそのままだけど、運良く残ってたアイテムは1種類だけ』という設定でしょうね」
「そもそも武器壊すまで修理しないとかありえないし? 8日間だと修理は2回か3回ぐらいかな。イベント期間中はお金意味ないだろうし、鉱石は採れるようだからツルハシかなぁ」
「問題があるとすれば、エルツさん達と合流できるか……ですね」
「レイドPT組んだら同じところ行けないかな? とは思ってるんだけど、多分ダメだろうね。転移先が偏りすぎるだろうし、多少苦労しそうだけど中で合流するしか無いかな」
「それもまた漂流ってことですか」
話しつつも敵を倒しながら進みます。町を出てしばらくはピグゥとアンガスですからね。倒すのは慣れたものです。
次の街へ行くには道なりでいいと聞いてきたようなので、迷うことはないでしょう。勿論道と言っても踏み固められた道です。平原に茶色の線ができているので非常に分かりやすい。
「そろそろ敵が変わる頃でしょうか」
「キングスライムとアーミーホース。頭上にアクセルホークだね」
「そう言えば、この世界のスライムってどうなんでしょうね」
「あれゲームによって差が酷いからねー」
「人外掲示板にスライムの人が情報出してくれてたはずだよ」
これから戦うことになるので、調べておきますか。
《粘液体》
物理耐性。
被魔法ダメージ4倍。
水分でHP超回復。
よって、戦闘は《水魔法》以外での魔法攻撃が有効で、水を含む複合魔法も避けること。肝心の物理耐性は8割カットぐらい……?
「……一応このゲームでは強い分類に入りそうですね?」
「俺は何もできないからよろしく!」
「雨の時戦うとくっそ強いらしいね」
「ああ、なるほど。天候によってですか。面白いですね」
アーミーホースは騎乗しているアルフさんが担当。キングスライムと空のアクセルホークは私とスケさんが担当ですね。
そして他の方角では森に入るぐらいの距離を歩くと、こちらは平原のままポップする敵が変わります。
「……中途半端にデフォルメされたスライムですね」
「んだね」
某作品のスライムみたいに丸くはありません。円形を保ちきれていないゲル状の物体がズリズリと動いています。微妙に重力に負けてます感。そしてキングスライムは人と同じぐらいの大きさですね。移動速度は……ゾンビよりは速い。
私とスケさんが1発ずつランスを撃ったら消し飛びました。悲しきかな、4倍。
「あ、何も出ねー」
「出てもスライムジェルらしいけど」
スライムジェルは錬金素材でしたね。スライムジェルと蒸留水と魔石で魔力水でしたか。魔粘土などに使うようですね。
まあそれよりも、今は馬の素体です。そっちの方が重要です。2体狩って私とスケさんが取り込めば、第三エリアの町は行ける気がするのですよ。
デュラハンとアーミーホースとの仁義なき戦いが始まりました。……どっちも人間ではないので、仁義もなにもないのですが。
東の敵は24~28レベです。正直1対1なら負けることは無いでしょう。適正レベルですからね。ちなみにスケさん達は26レベなので、私より2レベ上です。
「うーん。まあ、アンガスよりは強いかな?」
「頭突きに前足での踏みつけ、後ろ足での蹴りかー」
アンガスよりレベルが上なのもありますが、現状レベルは空気ですからね。アンガスより遥かに攻撃的なAIをしているアーミーホースの方が強いでしょう。
ダッシュからの前足を軸に回って後ろ蹴りとか、ダメージヤバそうですね。当たったら……ですけど。
最初のホースはスケさんが取り込みます。
「スライムは結構いますが、馬が少ないですね」
「多分こっち側最強だからかな?」
「……上を減らしてくれた方がこちらとしては嬉しいのですが」
「ほんそれ」
アクセルホークがそれなりに飛んでいるんですよね。上から強襲してくるのが中々面倒です。馬に乗っているのもあって、一番高いからでしょうか。アルフさんがアクセルホークに狙われやすいので、ある意味では楽ですけど。
私の馬がいないのもあって、まだスケさんは馬を召喚していません。
……そうだ。試してみましょう。アクセルホークが強襲してきた時に合わせて。
「【グラウィタス】」
「おっ? ふんっ!」
《空間魔法》の【グラウィタス】でアクセルホークの重力を2倍にしてみました。地面に引っ張られる力が増える、もしくは体重が2倍になる……でも良いですね。
対飛行特効的な効果があるか分かりませんが、アルフさんに向かって突っ込んだアクセルホークは……【グラウィタス】をかけられた瞬間そのまま修正できず、地面と熱い抱擁を交わしました。そして、アルフさんの馬に踏まれてサヨナラ。
「何今の?」
「《空間魔法》ですね。よくある重力増やすやつです」
「ああ、理解」
「魔力効率はー?」
「うーん……対空で無駄打ちするよりは、こっちの方が確実ですかね? 今のように一回で確実に落ちるなら……ですけど」
「効けば楽だし、検証ついでにチャレンジするかい?」
「ですね」
「おっけー」
スライムはスケさん。アクセルホークは私。アーミーホースはアルフさんが担当。当然手が空いてる時は攻撃しますが、複数エンゲージした場合はこれで。
【グラウィタス】は単体指定型。つまり当てるのはとても楽。座標指定型のエクスプロージョンで巻き込むのも楽ですが、単体相手に範囲は魔力効率は悪いですよね。今のところ飛行系は体力や防御力が低いので、落とせば楽です。
「スライムの攻撃パターンも気になりますが、試した勇者いないんですかね?」
「HAHAHAHA……勿論いるさ」
「鞭のような攻撃と飛びかかり、伸し掛かりからの取り込み消化派生らしいよ」
「あー……」
「取り込み数秒後即死判定だってさ。もう逃げられないって事なんだろうねー」
「南のコアトルも口まではセーフだけど、飲み込まれた瞬間即死だったからね」
南のコアトルそんな攻撃あったんですね。よくある即死技ですか。まあ、お腹の中入りっぱなしはごめんなので、その方が良いですね。
「残念ながら男の夢は叶えてくれないらしいよ! ハハハハ」
「服だけ溶かすスケベスライムは流石になぁ」
「鉱物や繊維が主食なスライムですか。いてもおかしくは無いでしょうけど、このゲーム全年齢ですからね」
「そういう意味では、キングスライムは雑食?」
「むしろ住人の冒険者情報によると、肉だけ溶かして装備そのままらしいよ」
「普通にグロスライムだった。南の触手も普通に殺しに来るよね」
「まあ、全年齢だからな」
普通に肉食でしたか。『違う、そうじゃない』って言われてそうですね。でも期待に応えた場合、女性だけでは理不尽なので男性もそうなりますよね。骨と鎧なスケさんやアルフさん……どうなるんですかね……。うん、考えるのはやめましょう。
「スケさん素っ裸で赤裸々に晒していますが、大丈夫なんですかね」
「イヤン」
「骨で興奮するやつは……きっといるんだろうなぁ」
「世の中広いからね!」
「お、ホースいた」
戦闘頻度はそこまで高くない。今通っているのが交易路と言うのもあるのでしょう。スライムはほぼ素通りできますし、アーミーホースは多くなく、アクセルホークも交易路から外れない限りは? いくら護衛を雇うとは言え……そんな頻繁に戦闘になるようだと、交易路としては機能しないでしょうからね。
アーミーホースとアクセルホークを連れて来たアルフさん。
アクセルホークが強襲する際の急降下中に、【グラウィタス】をお見舞いし叩き落とします。そこへスケさんによる《影魔法》の【シャドウバインド】が、影から出てきた複数の黒い腕でアクセルホークを地面に縫い付けます。
後はスケさんにアーミーホースの方を攻撃してもらいます。私はバタついているアクセルホークへ近づき、レイピアを頭にブスリ。落下ダメージもありこれで倒せます。そしたらアーミーホースへちょっかいを出して、討伐。
「おし、取り込んで良いよ」
「はい」
〈【暗黒儀式】により『ホース』の素体を入手しました〉
〈【暗黒儀式】によりキャパシティを『6』入手しました〉
アクセルホークは解体です。取れるの矢用の羽ですけど。
ホースはまあ……移動用のスキル構成でしょうね。《足》《足捌き》《重心制御》《敏捷強化》で、種族の方は《生気吸収》を《俊足》に変えておきます。敏捷を上げつつ、走った時の速度ボーナスがあるスキルですね。
ホース、バトルホース、アーミーホースが呼べて、サイズは中なので4倍ですね。アーミーでコスト800ですか。早速呼んで乗ってみましょう。
「さあ一号、馬です。乗せ……乗れるのですか?」
「あー……これ、なんだっけあの椅子」
「鞍ですね」
「そうそうそれ。必要じゃない?」
スケルトンアーミーホースなので、骨なんですよね。つまり骨格だけで肉がない。ゾンビで呼ばないとだめでしょうか?
「とりあえず乗ってみよ。ゲームだし見た目通りじゃない可能性もあるし」
「まあ……そうですね」
見た目からすれば絶対に乗りにくいことこの上ないでしょうが、魔法生物であるアンデッドにその常識が通じるか……。
ちなみに、アルフさんは手綱も鞍も何もないただの鎧馬に乗ってます。
「お、案外行けるね?」
「……ですね。ただ、戦闘は少々無理そうですが」
「騎乗戦闘するなら《乗馬》スキル欲しいね。騎乗時安定と騎乗戦闘系スキル」
骨なので下半身は固定しやすい。上半身の固定は掴まりやすいので問題はありませんが……掴まる必要がある=手が塞がるなので、騎乗戦闘は無理。
そしてアルフさんが言うには《乗馬》スキルが騎乗時の姿勢安定系スキルなので、スキルを上げれば掴まる必要がなくなる。つまり戦闘が可能になるわけですね。
「僕は杖だし、慣れれば片手で攻撃ぐらいは可能かな……? 動きが制限されるのは間違いないけど」
「私も武器自体は片手ですが……馬本体に《乗馬》を持たせるというのは?」
「試す価値はあるね……」
とりあえずまだ《乗馬》が解放されていないので、このままパカパカ進みます。
……首の無い鎧馬に乗った首の無い鎧。骨の馬に乗った骨。骨の馬に乗ったドレスの私。絵面ヤバそうですね。アルフさん、スケさん、私の順で並んで走ります。
現状乗馬と言うより、走る馬の上にしがみついているだけな状態です。これでは優雅さが足りません。キャラの沽券に関わりますね。早々になんとかしなければ。
エリアが変わったはずですが、周囲の光景はあまり変わりませんね。相変わらず穏やかな平原です。多少丘っぽくなっていますね。
「敵は兎さんにウルフですか」
「上位種だね」
「群れてるなー?」
「群れてますね。リンク系ですか」
兎さんの方がポップが少ないですね。フィアーラビットにグレーウルフ。どちらもレベルは30台前半。フィアーラビットはうっすら赤黒い毛並み。グレーウルフはそのまま灰色のウルフですね。
「恐怖のうさぎかな? 状態異常に恐怖は定番と言えば定番だけど……」
「なぜうさぎか」
「大体狩られるから進化できず、進化した兎さんは強い……的な?」
「「あー……」」
このゲームの兎さん、美味しいですからね。
まあそれはともかく、マップの中央を目指します。ポータルを開けるのが最優先ですからね。
「あれ? 他にもいるな。ダ……チョウ……?」
「どう見てもダチョウ」
アベストルース……30台前半。クチバシが鋭く足が逞しいダチョウですね。
うわ、こっち来た。
「タゲられましたね」
「がん逃げ」
馬とダチョウの敏捷勝負です。なおどっちも魔物。
全力疾走だと若干スケさんが早く、次に私、最後にアルフさんですね。私とスケさんは重量差でしょうか? 骨だけとゾンビ系に加え、装備がドレスなので結構重いですからね。
3倍召喚しておけばもっと速かったですか。
「ダチョウ速えー! こえー!」
首が一切動かないあの走りで猛ダッシュしてくるダチョウに追われる……アンデッド組。傍から見たら面白そうですね。
でもアルフさん? 金属の塊乗せた鎧馬で、ダチョウから逃げれてるのも大概ヤバいと思うんですよ。いくら私のバフがあるとは言え、その馬結構ぶっ飛んでますよね。
……アンデッドの馬、かなり有能では? そう言えばスタミナという概念がありませんよね。常にトップスピードで疾走可能? 問題は絵面か。人外……特にアンデッド系の宿命ですね。絵面。
町が見えてきた頃、タゲが外れたようです。かなりしつこかったですね。
〈特定の条件を満たしたため、《乗馬》が解放されました〉
お、解放されましたね。後で試してみましょう。本体に持たせて効果無さそうなら……取得ですかね。これから重宝しそうですから。
「スタミナの差が出たかな?」
「緩やかとは言え上り坂ですからね……」
「これ姫様のバフ無かったら逃げ切れない系じゃ?」
「俺は間違いなく捕まってたね」
レベル自体は負けてますからね。第四エリアは40台でしょうから、行くのはまだまだ先でしょう。
とりあえず見えてきた町へ向かいます。
「と、止まれ!」
「知ってた」
ですよね。そして会話は私の役目。とりあえず、送還した方が話は早いでしょう。
「む……? ネクロマンサーか」
「我々は異人の不死者になります」
「スケルトンに……」
「デュラハンですね。私はゾンビ系になります」
「君もか! んー……冒険者カードはあるかな?」
「ええ、どうぞ」
「どれ……うん、確認した。ようこそバルベルクへ!」
「冒険者組合はどちらに?」
「中央広場の南側さ」
「ありがとうございます」
私達の組合カードを確認して入れて貰いました。組合カードを見れば住人だろうと異人だろうと、そもそも関係ないようですからね。
観光は後です。まずは中央広場でポータルの開放を済ませます。
〈バルベルクのポータルが開放されました〉
〈復活地点に設定できます。Yes/No〉
復活地点はNoで。これで一安心ですね。
「全体的に白いね?」
「教会本部がある国だからではないでしょうか。それ以外には思い浮かびません」
この町からネアレンス王国です。教会本部があり、農業が盛んな国と言うことですね。
建物の素材はなるべく白っぽいのをメインに使用している感じです。パッと見白白白ですから、間違いなく意識されているのでしょう。まあ、流石に年季入ったりするので真っ白ではありませんが。
「町到着しましたが、どうしますか? 一旦解散するか、狩り行くかですね」
「んー……揃ってるうちに狩りかな?」
「だねー。探索は個人の方が動きやすいし」
「では組合行って受けてきた討伐報告と、周辺情報聞きましょうか」
食材探しは1人の時にしましょう。




