表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/119

29

光魔法の進化先に閃光と治癒となっていたのを、閃光と聖に変更しました。

それと伐採を2次スキルに移し、1次スキルを伐木に変更しました。

スキル名が変わっただけで、話の流れに変更はありません。


フレーバー程度にリアルをちょろっと、スキルラッシュ。


TRPG勢はサラッと流すけど、よくよく考えると一般的じゃないんじゃね? という指摘を貰ったので解説です。

ダイスロールの話題で1D3、1D6、1D100などの暗号が出てきます。

これは『3面ダイスを1個』『6面ダイスを1個』『100面ダイスを1個』という意味です。

例:「全員1D100!」 意味:全員100面サイコロを1個振れ。

頭の隅っこにでも入れといてください。

 鮮やかな青の中で、そりゃあもう元気に輝く太陽。

 学校の教室はとても静かで、ペンがディスプレイを叩く音だけが聞こえます。


 ……テストを解き終わっても席で待機なので、この時間暇ですよね。お天道様が頑張りすぎてて辛い。もうすぐ終わりますか。


「よーし、そこまでだー。ペンとパッド置けよー。後ろの回収してくれー」


 静かな、少し張り詰めていたような空気だった教室が一気に緩み、活気付いてきます。

 席の一番後ろの人達が前の人達のを回収し、先生へ渡して席へ戻ります。


「おう、これでテストは終わりだ。今日は掃除せずこのまま解散な」


 気の早いクラスメイトが数人立ち上がりますが、座らされました。


「待て待て、まだ座ってろ。今後の予定言ってからだ」


 明日は朝来て午前中に大掃除して解散。明後日に式をして夏休み。式は午前中に終わる予定と。


「明日掃除終わったら宿題渡すから」

「『えー!』」

「おう、嬉しいか」

「『えぇー!』」

「うるせぇ! 良いか! 夏休み中に厄介事おこすんじゃねぇぞ! 俺も休みなの! 呼び出しとかテンションだだ下がりするからマジでやめろよ!」

「先生夏休み中なにすんのー?」

「ゲームする」

「なんのー?」

「FLFOの二陣だ! 漸くだぜぇ……」

「『えぇー!』」

「おう、宿題しろよ? パッチノートにゲーム内でも宿題できるようにするって書いてあったからな? たまにならゲーム内で教えてやってもいいぞー」


 太っ腹ですね。ゲーム内で教えてもお給料貰えないでしょうに。……と言うか、パッチノート出たんです? トモとスグも『マジで?』って顔してますね。


「会えればな……」

「ゲーム内で先生に会ったら萎えそう……」

「……まあ、こっちもお前達には会いたくないな……一気に現実が見えてきそう。まあ、それはともかく、明日と明後日も登校時間変わらないからな。先生はこれから採点だ。採点終われば仕事は……うむ。以上解散!」


 そう言って先生が教室から出ていき、クラスメイト達もわいわいがやがやし始めました。


 さて、今日は水曜日です。日月火とせっせと《錬金》していました。今日中に《錬金》は上がりそうですし、流石にそろそろ《光魔法》も上がってくれるでしょう。《採取》も上がってくれると良いのですが。


「おっし、帰ろうぜー」

「今日は帰って何すっかな?」

「今日は自由行動だったか」

「だな。街でも彷徨こうかねぇ?」


 智大ともひろすぐると一緒に帰ります。2人のPTは自由行動の日らしいですね。


「琴音はどうするんだ?」

「《錬金》と《光魔法》と《採取》が上がりそうだから、それらかな。素材取ってると思ったより敵とあわなくて、結局魔法が上がってないんだよね」

「今週は生産中心か」

「一応生産系イベント中だから」


 話しながら学校の門まで来ると妹達が待っていました。柳瀬やなせさんと松兼まつかねさんはリアルだと久しぶりですね。6人で帰ります。


「そう言えば妹よ」

「なんだい姉よ」

「たまに女性プレイヤーが美容を聞きに来るんだけど? GMも混じってたけど」

「……マジでいったのか」

「数人来た辺りからメモを渡すようにしたけれど」

「まあ、うん。お姉ちゃんが詳しいって言ったんだけど、ほんとに突撃したんだ」


 段階に分けて、数字が若い順に試していく。数字が若いうちに効果を実感するようなら、割りとお肌にダメージ行ってるよ……的な物を渡しておきました。後は安い、普通、高いで分け、何個か化粧水なども書いておきました。


「あー、昼買わねぇとな。今日は何にするか……」

「俺は隣のパン屋にするかなぁ」

「パンかー。たまにはサンドイッチにでもするか」

「お姉ちゃん今日はモアバーガーにしよう! 久々に食べたい!」

「んー……? まあ、たまには良いか」


 柳瀬さんと松兼さんは家にあるらしく、道的にもスーパーでお別れです。


 帰宅後、リビングは冷房効くのに時間がかかるので部屋で食べる事に。……部屋に持ってかないで私の部屋で食べるの? まあ良いけど……。

 ご飯を食べながらパッチノートのチェックです。


「インタビューでも言ってたギルドと、エリートモブ。それとダイスロール機能が追加と……」

「1D3、1D6、1D100が用意されてて、数字入力で好きな数値も可能? 充実してますね……」

「まあ、ダイスロールあれば何だかんだ便利だし? 上限10D1000か。正直1D100あれば十分かな」

「更に不具合の修正と……学生応援キャンペーンと」

「キャンペーンとか言ってるけど何も貰えないし! 何か頂戴よ!」

「読み込めるようにするから宿題頑張れよってだけだねこれ。君にゲーム内で宿題をする権利をあげよう」

「嬉しくなーい……」


 スキルの下方修正なんかも無いようですし、特にこれと言って気になる事もありませんね。アプデは予定通り8月1日で3日後ですか。

 食べたらシャワーを浴びてからログインしましょう。




 宿の布団の上でストレッチをして、外へ出ます。昨日はせっせとポーション瓶を量産してから落ちたのでインバムントですね。

 さて、まずはいっその事《光魔法》を海岸で上げてしまいましょうか? そうすれば後は《採取》しながら《錬金》で良いですから……そうしましょうか。組合で討伐依頼を受けてから出発です。



 インバムントの南の海岸沿い。港がある辺りは街判定で安全エリアになっているので、更に離れます。

 現在リアルが12時を回っているためゲーム内は朝。見事な晴天で海が太陽光を反射しキラキラしています。日焼けするので海は天敵です。リアルじゃまず行きませんね。距離的な問題もありますけど。


 ……まあゲーム内では命に関わるレベルですけど! 頑張れ自動回復と日傘。


 視線の少し先では別のプレイヤーさんが戦闘中ですね。海岸で確認されている敵は現在5体。カラビーヌプワソン、フレッシュフィッシュ、シータートル、フライアステリ、フィーラーカルキニオンです。鉄砲魚、矢魚? 亀、ヒトデ、ヤドカリ……? です。


 カラビーヌプワソンは海の方から魔法攻撃してくるうぜーやつ。フレッシュフィッシュは矢のように突撃してくる空飛ぶ魚。シータートルはまあ、物理防御が高く魔法で攻撃してくる亀。フライアステリは空飛んで回りながら突っ込んでくるヒトデ。フィーラーカルキニオンが……うん、まさに宿借ですよ。触手が宿借してるんですよね。あの触手なんなんでしょうかね……。

 ちなみにレベル24~30が確認されているため、かなり高レベル狩場です。インバムントは砂浜が一番強いみたいですね。海の中に入るともっと強そうですが、現状海中は無理ですね。



 さて、狩りしましょう。ここはアクティブが多いですし、遠距離攻撃をしてくる敵がいるので最初から抜剣しておきます。

 ここの狩場の問題は、敵が純粋に強目である事に加え……《解体》を持っていると敵の死体が残ります。カラビーヌプワソンは海の方から遠距離攻撃をして来ます。こちらも遠距離で応戦して倒します……後は分かりますね?


 砂浜を歩いていると、不意に視界に赤いラインが入ります。《危険感知》により敵の攻撃範囲が表示されました。1本線なのでカラビーヌプワソン……固定砲台ですね。何があれって、偏差射撃までしてくるのどうかと思います。敵のAIが優秀になり始めてますね。まあ、逆に立ち止まれば当たらないんですけど。

 カラビーヌプワソンは偏差射撃をしてくるAIなので、タイミングを合わせればむしろ偏差を誘発させて、意図的に外すことも可能だったり。まあ、結構大変なんですけどね。

 カラビーヌプワソンは攻撃時に水面に飛び跳ね、攻撃後落下して1度潜ります。つまりタイミングを合わせないと潜って避けるんですよね。間違いなくうぜーやつ。

 相手の攻撃手段は水系統の魔法で、アローとランスとエクスプロージョン。それと短射程高威力のショット。後1つが名称不明ですが、水の壁なのでウォールだろうと言われてます。


 ショット系魔法欲しいですね。詠唱早めで射程が超短く高威力。私の戦闘スタイル的には是非欲しいですが、覚えるのは2次スキルレベル5らしいです。まずは《光魔法》を2次にしてからです。



 初発のアローは立ち止まり避け、【ライトランス】をお返しします。HPは少ないので1発で4割ほど。後2発です。

 2発目のランスを初めての出番な【マジックパリィ】で弾き、【ライトアロー】をお返しします。これで7割なので残り3割。

 3発目のアローは避け、【ライトランス】をお返しして討伐。落下した死体がぷかーと浮いて来ますが、波に拐われていきます。間違いなく誘拐。さらばドロップ品……。たまに波によってこっちに運ばれるらしいですけどね。

 アローはランスより弾速がかなり早い。ただ、水自体が他の属性に比べ弾速が遅いので、全然問題は無さそうです。


 この狩場は大人しく《解体》を外すべきですかね。2体ほど死体回収が面倒な敵が出ますから。仕方ない……控えに移しましょう。《解体》外すとドロップ品が減りますが、死体が回収できないと0ですからね。全くドロップ品が無くなるよりはマシでしょう。

 漸く敵が魔法を使ってくるようになりましたので、《魔法耐性》が上がりますね。ガードしてもパリィしても耐性上がるので良いことです。


 《解体》を外して少し歩くと、再び海の方から赤いラインが私の胴体に来ます。今度はフレッシュフィッシュですか。細い体に尖った先端と、矢のような魚が空を飛びながら突っ込んできます。

 受け流しを意識しつつ、結構な速度で突っ込んでくるフレッシュフィッシュを地面に向けて叩き落とします。このゲームは速度がダメージに影響あり、砂浜を滑りゴリっとライフが減り、ビタンビタンしてるフレッシュフィッシュにレイピアを突き刺します。下は砂浜なのでそれはもうざっくりと。刺さっている間ライフが継続して減り、ポリゴンになって消えます。

 本来フレッシュフィッシュは飛び回ってうざいらしいですよ? 魚系はHPと防御が低いので倒すのは楽ですね。その代り攻撃力と敏捷が高いらしいですけど。


 フライアステリ……空飛ぶヒトデもフレッシュフィッシュと同じように、はたき落として突き刺せば終わりです。フレッシュフィッシュが刺突、フライアステリが斬撃属性の攻撃だとか。


 そしてフィーラーカルキニオン。触手を鞭のようにして攻撃してきます。攻撃タイプは打撃ですね。こいつの問題は触手なので攻撃速度と手数がかなりの物。魔法を持っていませんが、触手が結構伸びますし移動できますからね。正直こいつが一番強いのでは?


 シータートルは……水系統の魔法使ってくる亀なので、鈍器で叩くか火魔法で炙れば終わります。魔法の種類や魔法の発動条件などはカラビーヌプワソンと同じですね。強いて言うならこっちは砂浜なので、偏差射撃はしてきません。


 確かに敵が強くはなっているのですが、1対1ならまあそんなもんでしょう。街から出てすぐのフィールドですからね。ただ、確実にアクティブが増えました。

 フィーラーカルキニオンとシータートルの視界はそれ程でもありませんが、他が結構広いです。場合によっては複数のカラビーヌプワソンから射撃を受け、魚かヒトデが飛んでくる。


 ドロップ品はシータートルの甲羅やフレッシュフィッシュの角ですね。流石にドロップも確定ドロップが減って、MMOらしくなってきました。

 それと《目利き》のおかげでしょうか。ドロップ品にC+が混ざり始めましたよ。《目利き》には頑張って欲しいですね。



〈種族レベルが上がりました〉

〈《光魔法》がレベル30になりました。スキルポイントを『2』入手〉

〈《光魔法》の【ライトバースト】を取得しました〉

〈《光魔法》が成長上限に到達したので《閃光魔法》《聖魔法》が解放されました〉

〈特定の条件を満たしたため、《空間魔法》が解放されました〉



 遂に来ましたか。《光魔法》の進化先が《閃光魔法》と《聖魔法》ですね。

 そして《光魔法》と《闇魔法》、更に《高等魔法技能》の複合属性魔法が《空間魔法》ですか。恐らくこれはステルーラ様関係でしょうね。


《閃光魔法》

 《光魔法》の通常進化先。光属性の攻撃魔法を取得する。

《聖魔法》

 《光魔法》の特殊進化先。回復と対アンデッドに特化された魔法を取得する。

《空間魔法》

 光と闇の複合属性魔法。空間を操る魔法を取得する。

 全体的に燃費が悪く、直接攻撃するような魔法も無いため使い手は少ない。

 優れた使い手は引力と斥力を操り、一時的な安全地帯すら作り出すという。


 《閃光魔法》は光の通常派生なので取りましょうか? 問題は《聖魔法》が悩ましいですね。PT組むならあるに越したことはない、回復&対アンデッド魔法です。ただ、アルフさんとスケさんと組んだ場合は使えない。勿論自分にも使えない。……現状SPに余裕があるとは言い難いので、スルーしましょうか。

 《空間魔法》は勿論取得します。ステルーラ様関係でしょうからね。インベントリ問題も解決したら最高ですが……どうでしょうね。

 どちらもSP6ですか。12飛んで残り30です。ヤバいですね、減ってきました。


 覚えた魔法は【ルーメンエクスプロージョン】と【インベントリ拡張】です。


【インベントリ拡張】

 スキルレベルに応じてインベントリを拡張するが最大MPが低下する。


 えっと、つまり使えば分かります。

 ……待って。待って? MPゲージの8割が灰色になったのですが? これ切替式ですね。……インベントリ1しか増えてないんですが!? スキルレベルがイコールだとすると、30以上はそのうち増えるんですかね。いやでも、残り2割で戦えと? 切替式と言う事は、常に魔法使用状態判定でスキルレベルは上がるんですかね? それならまあ……まあ? 8割は妥協できるレベルではない気が……。

 燃費が悪いってもんじゃないですね……。えっと、SP的に2次スキル相当のはずなので、30レベ以上にはなるはずです。10レベ時に使用MPが減れば、30になれば半分ぐらいに? 切替式の常時使用を考えても、2次スキルの上がりづらさは結構なものでは?

 私はMPが多いので残り2割でも戦えはします。最悪近接戦闘すれば良いですからね。しかし、間違いなく私のメイン火力は魔法です。ボス戦になると確実にMPが足りなくなりますね。……取ってしまった以上は上げましょう。ボス戦前に解除すればいい話ですからね。



 組合の討伐依頼を終わらせたら次は《錬金》を上げましょうね。これからは闇系統も使えるので、もっと楽になるはずです。

 魔法撃ってくるやつは魔法で倒し、突っ込んでくるやつは叩き落としてレイピアをブスリ。触手を振ってダンスしているやつは千切って捨てます。



〈《細剣》がレベル5になりました〉

〈《細剣》のアーツ【ペネトレイト】を取得しました〉

〈《宛転流王女宮護身術》がレベル5になりました〉

〈《宛転流王女宮護身術》のアーツ【ロイヤルカウンター】を取得しました〉



【ペネトレイト】

 貫通攻撃を放ち、弱点に当たった場合3倍のダメージを与える。

【ロイヤルカウンター】

 魔法以外の遠距離攻撃を防ぎ、弾く。


 これ【アローガード】と【アローパリィ】に上書きですね。

 漸く細剣のアーツですが、これ弱点以外に当たった場合が書かれてませんね。弱点以外は等倍か……最悪下がるかですね。まあ、試せば分かります。

 ……等倍……ではありませんね。微妙に威力が高い。これは嬉しい誤算ですが、使用MPを考えると他のアーツ使った方がマシレベルですか。確実に弱点を突けと言う事ですね。


 さて、冒険者組合に報告へ行き、商業組合で委託を回収して、預けたら生産しましょう。




 始まりの街へ転移し、東へ向かう前に一度ログアウトして体を伸ばします。そして再びログイン。夕食または《採取》が上がるまで採りましょう。おっと、《解体》をちゃんと戻しておきます。陸上って素晴らしい。


 せっせと薬草とキノコを毟り、たまに喧嘩売ってくる鹿や猪を張り倒し、ひたすら毟ります。もう東の森の敵は邪魔でしかありませんね。ボアやベアのお肉より、兎やウルフのお肉の方が使うかもしれません。狙うなら二陣が来る前ですね……。



〈《採取》がレベル30になりました。スキルポイントを『2』入手〉

〈《採取》が成長上限に到達したので《採集》が解放されました〉



《採集》

 スキルレベルに応じて2個採れる確率が上昇する。


 2個採れるようになるんですね? お決まりのSP6。取得します。残りSP26です。

 《空間魔法》がレベル2になっていますね……インベントリ拡張数が2個になっています。スキルレベルがイコールでしょうか。MPに変化なし。


 夕食まで時間はありますね。始まりの街へ戻って次は《錬金》を上げきりましょうか。



「いよぅ、姫様」

「あれ、エルツさん。早いですね」

「やることが無さすぎてな、あがってきた。たまにあるんだわ。そうそう、こいつニフリートな。サルーテの付けてるメガネ作ったやつ」

「《細工》を上げてるニフリートです。よろしくね?」

「アナスタシアです。よろしくおねがいしますね」


 ニフリートさん。マシンナリーの女性。翡翠色の髪と目ですね。お仕事が今まで忙しかったらしく、漸く落ち着いて今日はお休みだそうです。

 ウルフの爪、ディア角をニフリートさんに。ボア皮をエルツさんに買ってもらいました。約3万7000に。これから二陣も来るし、まだまだ需要はあるそうで。


 露店は出しませんが、並んで料理キットと錬金キットを展開します。料理キットの炭火に火を付け、蒸留器に水を入れてセット。ゲームなのでガラスが真っ黒になったりはしません。


「贅沢な使い方だな。蒸留水か」

「今の手持ちで2次スキルになるといいのですが……」

「何で上げてんだ?」

「納品用にHPポーションですね」

「てーと、回数勝負か」

「とりあえず……155回分の材料はありますね。更に初級で回数こなします」

「イベント中で格下レシピの経験値増えてるわけだし、なんとかなるか」

「何とかなってくれると良いのですが……。北と西まだ開けてないんですよね」

「なんだ、まだだったのか?」

「《料理》だ《錬金》だ、魔法だと忙しかったですからねぇ……。ああ、そうだ。魔法板に情報提供しないとでしたね」

「ほう?」


 蒸留水をポーション瓶に移してはまた蒸留水を作りながら、掲示板に《空間魔法》と【インベントリ拡張】の情報を載せます。《閃光魔法》も《聖魔法》も《採集》も既に情報が出ているのでこれぐらいでしょう。


「これは……燃費が悪いってもんじゃないな?」

「上がるとマシになるだろうけど、8割は酷いねぇ……」

「重力じゃなくて引力と斥力って書かれてるのが気になるな」

「飛べそうだね?」

「予想以上に燃費悪そうだからな。何秒飛べるんだ? って感じだな」

「確かに、秒単位な気がするね」


 私もそんな気がします。

 ついでなので他の魔法を見てみましょうか。纏めがありますね。


スキル名   アーツ名  条件

《火魔法》  ファイア

《火炎魔法》 フレイム  火2次

《水魔法》  アクア

《水流魔法》 メーア   水2次

《風魔法》  エア

《大気魔法》 ヴェント  風2次

《土魔法》  ソイル

《大地魔法》 アース   土2次

《光魔法》  ライト

《閃光魔法》 ルーメン  光2次

《聖魔法》  名前様々? 光2次

《闇魔法》  ダーク

《暗黒魔法》 ノクス   闇2次

《影魔法》  シャドウ  闇2次

《氷魔法》  グラキエス 火+水+高等魔法技能

《灼熱魔法》 イグニス  火+風+高等魔法技能

《岩漿魔法》 テラ    火+土+高等魔法技能

《嵐魔法》  ウェントス 水+風+高等魔法技能

《木魔法》  フロンス  水+土+高等魔法技能

《雷魔法》  トニトルス 風+土+高等魔法技能

《付与魔法》 エンチャント&シールド 支援系100回+高等魔法技能 SP3


 これに光と闇の《空間魔法》が追加ですか。アーツ名称はまだ不明ですが、分かったら書き込みましょう。

 《付与魔法》は必要SPと条件の緩さから、1次スキル相当だと思われる……と。実際上がりやすさも1次相当のようで。属性付与ですか……種族的弱点にはエグいダメージが入りますが、属性持ってるだけの敵はどうなんでしょうね……大体1.2倍? とか書かれてますね。割りとPTに1人推奨魔法ですか。悩ましいですね。

 まあ、SPに余裕無いんですけど!


 さてと……、量産しますか。

 合成布の上に素材を並べては【合成】。並べては【合成】。そしてたまに蒸留水を補充してまた【合成】……と。


「蒸留水をポーション瓶に入れるのが一番面倒なのでは?」

「サルーテも言ってたな。全自動蒸留器が欲しいとか」

「ポーション瓶に入れるまでですか。欲しいですね」


 せっせとポーションを作る機械になります。



 HPポーションの材料が無くなったら、次はHPポーションと蒸留水を【合成】します。これで初級HPポーションが2個できます。薄めているわけですね。水増し水増し。

 蒸留水を瓶に入れてはHPポーションを取り出し【合成】です。生産とは作業である……無心でやるのです……無心で……。


「……錬金術の作業感ヤバくないですか?」

「そりゃあ……不人気の最大の理由だからな。品質もCで止まるし」

「今までのゲームで言えばそれが普通なんだろうけど、FDVRって事を考えると味気なさ過ぎるよねー」

「むぅ……《料理》の方が楽しいですねぇ……」


 何があれって、地味に《空間魔法》のMP制限により回復がですね……。微妙に回復待ち時間が発生するんですよ。まあ、その時に蒸留水移すんですけど。



〈《錬金》がレベル30になりました。スキルポイントを『2』入手〉

〈《錬金》のアーツ【魔力錬成陣】を取得しました〉

〈《錬金》が成長上限に到達したので《錬金術》が解放されました〉

〈特定の条件を満たしたため、《死霊魔法》が解放されました〉

〈特定の条件を満たしたため、スキルが変更されました。変更《死霊魔法》〉



「よし、おわ……んん?」

「なんだ?」

「んー……?」


 思わずログをガン見して、少し距離をとっても当然ログが変わる事も無く。

 スキルの取得欄を見ると《死霊魔法》は灰色で取れませんね。SP12とか書かれてますが、使役系がそうなのでそこはスルーしましょう。

 問題は灰色で取れない事ですね。《錬金術》は……まあ6ですよね。えー……ああ、モンスタースキルの方に《死霊秘法》があるんですね。消費SP8と。残りSP14になるじゃないですかー……。取りますけどねぇ!



〈特定の条件を満たしたため、『称号:錬成師』を取得しました〉

〈特定の条件を満たしたため、《アンデッド統括》が解放されました〉



 もうやめて! 私のSPが0になっちゃう!

 えっと……《指揮》系統の上位ですか……。モンスタースキルだからSP3と……。残り11ですね? さすが王家の統括能力よ。SPは犠牲になったのだ……。



〈特定の条件を満たしたため、スキルが変更されました。変更《不死者の王族》〉



 oh...


「妙な動きしてるけどどうした」

「私のSPが溶けただけです。気にしないでください……」

「お、おう……」


 さて、スキルやアーツの確認をしましょう。


《錬金術》

 魔石関係の技術と知識に加え、物質が持つ属性を操作する。

【魔石加工】

 ◯◯の魔石を加工し、使える状態にする。◯の魔石(極小~極大)に変換する。


 遂に魔石に手を出しましたか。


《アンデッド統括》

 自分またはPTのアンデッドを統括するスキル。

 アンデッドの全ステータスと上限AIレベルがスキルレベルに応じて上昇する。


 上限AIレベルというのが気になりますね。まあ、そちらは《死霊秘法》の方に書いてあるでしょう。早速《死霊秘法》の仕様を確認をしましょう。使役系を取ってしまいました。


《死霊秘法》

 低位、中位、高位アンデッドのサイズ特大まで生成、使役が可能。

 スキルレベルに応じて全ステータス、所有スキルレベル、最大召喚数増加上昇。

 暗黒儀式でキャパシティを増やせる。

 下僕のレベルの3倍までコスト上乗せ召喚が可能。

 素体を改造する事によって、特殊なアンデッドを生成可能。


 えっと……つまり。


スキルレベル 下僕の全ステータス、所有スキルレベル上昇、最大召喚数増加。

ベースレベル AI性能上昇。

キャパシティ 骨肉の所有量。取り込み、骨肉使用で増える。

素体カスタム 改造の仕方によって、◯◯ファイターなどに変更される。


 暗黒儀式で取り込むと再現できる素体が増える。設計図が手に入るということですね? ただしドロップ品は失う。

 特定アイテムの使用、または一度取り込んだ敵をもう一度取り込むとキャパシティが増える。死霊の体の材料(骨肉)が手に入ると言うことでしょう。当然ドロップはサヨナラ!

 下僕が倒されると使用キャパシティの1~2割、浄化されると2~4割を失う。

 そしてMPの消費で召喚と送還が可能。


 で、肝心なのが《死霊魔法》と《死霊秘法》の違いですが……。

 《死霊秘法》じゃないと暗黒儀式によるキャパシティの増加ができない? 特定アイテムを使用する必要がある。

 倒された時のキャパシティ消費量が《死霊魔法》の方が多い。

 そして素体カスタマイズが不可能……と。


 まさに不死者専用と言っていい使役魔法ですね。完璧に使いたければ自分も連中の仲間入りしろと。そして確実にキャパシティなどはエンドコンテンツでしょう。

 実は不死者って《従魔》取れないんですよね。つまりテイマーにはなれない。使役魔法使うならサモナーか、大人しくネクロマンサーになれよと。

 ヘルプや《死霊魔法》と《死霊秘法》のスキル説明から分かるのはこれぐらいですか。後は実際に試してみるしかないですね。

 共通として《死霊魔法》系統の召喚体は下僕と呼ばれることがある……と。



 そして何やら変更のあった《不死者の王族》は……。


《不死者の王族》

 PTにいる不死者をスキルレベルに応じて全ステータスを強化。

 不死者の敵から受けるダメージがスキルレベルに応じて減少する。

 スキルレベルに応じて、召喚した下僕に自身が持つスキルを与える。


 最後の一文ですか。これ強いですね。ダメなスキルがあるのか、検証が必要ですが、夕食が迫っているので後でゆっくり確認しましょう……。


「……とりあえず、夕食食べて来ますね」

「おう、いってら」

「てらー」


 ひとまずログアウトです。

 さて、どうしたものか? ……とりあえずスケさんに《錬金》取らせましょうか。


名前:アナスタシア

種族:不死者の王女(イモータルプリンセス) 女 Lv19

属性:闇

属:高位不死者

科:ロイヤルゾンビ

スキルポイント:11


スキル

《細剣 Lv5》《宛転流王女宮護身術・細剣 Lv5》《軽装 Lv6》

《閃光魔法 Lv1》《空間魔法 Lv2》《高等魔法技能 Lv4》

《危険感知 Lv4》《直感 Lv4》《舞踏 Lv9》

《料理人 Lv10》《錬金術 Lv1》《採集 Lv1》

《目利き Lv23》《解体 Lv21》《鑑定 Lv27》《識別》

《言語学 Lv10》

控え


種族(モンスター)スキル

《暗黒魔法 Lv2》《死霊秘法 Lv1》《闇のオーラ Lv27》

《物理耐性 Lv27》《物理無効 Lv24》《魔法耐性 Lv8》《HP超回復 Lv11》

《アンデッド統括 Lv1》《不死者の王族 Lv18》《王家の権威 Lv18》《高位不死者》

称号

優雅で静謐なお姫様:他者に与える印象がとても良くなり、警戒もされづらい。

ベルステッド解放者:始まりの街の東を一番最初に解放した記念称号。

インバムント解放者:始まりの街の南を一番最初に解放した記念称号。

料理人:一人前の料理人に与えられる称号。

錬成師:一人前の錬成師に与えられる称号。


漸く使役魔法です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あ~、そもそもD3なんか、普通は解らんかも? 3面のサイコロって何やねん、って感じで。 でもTRPG勢も、最近のヤツだと6面しか使わないのもあるし、プレイするゲームでその辺りの知識量は違うのか。 D&…
[気になる点] 1D3 3面ダイス ?? どんな物体ですか?面3つの立体構造が思い浮かばない?
[気になる点] 今更ながら、「後ろの回収してくれー」って何を回収するんだ??と疑問に感じました。もしかして毎時間ごと先生が全生徒のパッドを回収し試験データの吸出しを行ったうえで次の科目のテストが始まる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ