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25 イベント前に図書館

やっと図書館行った! 神々と不死者周りの情報が出せる!

「では早速表彰式に移りましょう」

「表彰台どーん!」


 本当に『どーん!』という爆発と共に個人戦とパーティー戦の表彰台が舞台の上……ではなく、舞台が表彰台になりました。つまり表彰台にならない部分の舞台がさっきの爆発で吹き飛んだ訳で。

 本当にここの運営は……。


「あれ!? 思ったより皆の反応が悪いぞ!?」

「だからあれでは舞台の爆発にびっくりするだけだと……」

「まあ一部の反応は良いからいいか!」

「はぁほんとに……」


 三武さん苦労人ですか?

 ……ちなみに妹は爆笑しています。


 表彰台は3位までですが、ベスト8まで呼ばれるようですね。……知り合い率高いですね?

 こたつさん、ルゼバラムさん、ムササビさん、アルフさんもいますね。更に1位にセシルさん、2位にリーナ。8人中6人とか……と思いましたが、よくよく考えると当然ですか。

 こたつさん、ルゼバラムさん、ムササビさんの3人は隊長繋がりで知り合いましたし、セシルさんはβの武闘大会1位って聞いてましたね。

 アルフさんぐらいですね、出会いに強さが関係無いの。スケさんはまあ、ただでさえ完全後衛型なのに、更に光持ちと当たって割りとあっさり轟沈したようで。


 ちゃっかり横にいるので、2人にも聞いてみましょうか。


「トモは何位だったの?」

「俺は12位だなー。ベスト8で負けちったぜ。まあ、純魔法型では行った方か」

「スグは?」

「俺は16。運悪く遠距離と当たっちまった」

「ジャイアント的でけぇもんな。タンクならまだしもアタッカーだと辛いんさ」

「お前も出れば良かったんに」

「私はお金稼ぎに忙しかったからね」

「繁盛してたな?」

「へっへっへ……」


 予想より遥かに多い稼ぎがでたんですよ。バフ付きホットドッグが美味しすぎましたね。売上総額なんと、4Mですよ。つまり400万。まあ、私の隣に並んでた本職4人はもっと稼いでいるのでしょう。

 エルツさんはメイン武器や防具、ダンテルさんはメイン防具、プリムラさんはメイン武器、サルーテさんはポーション類ですからね。装備類は必須で単価が高いですし、ポーションも必須で消耗品。売れないわけが無いと。


「じゃあSPと称号のプレゼントだ! 3位までが10! 8位までは6! それ以外は1回でも勝った人は3な! それとベスト8入りは景品リストから好きなの選んでくれ!」

「すぐにとは言いませんが、リアルで今日から一ヶ月以内に決めて下さいね」


 セシルさんやリーナは個人戦とパーティー戦でSP20貰えるんですね。


「さて、第一回公式イベント武闘大会は終了だ!」

「ですが、イベントはまだ続きます」

「『おっおっ?』」



『聞こえますね? 神託を授けます』


 不意に声が聞こえて来ました。GM2人の声ではありませんね。神託だそうなので、この世界の神々ですか。


『……異人を受け入れ様子を見ていましたが、世界は安定しているため新たな異人を受け入れる準備を進めています。今から1月後、今の2倍を予定しています。備えなさい』


「という事で、第二陣にこじつけたイベントだ!」

「こじつけたとか言わないで下さい」

「え、山本さんそう言ってたよ?」

「山本さぁん……」


 山本……山本一徹(やまもといってつ)でしょうか? FLFO(このゲーム)の開発責任者ですね。

 頑張れ三武さん。


 世界の安定……サバの安定ですね? 今の2倍って言うと大体4万程増えるんですかね。そうなると全体で6万人ぐらいですか。


「まあもうそれは良いです。イベントの概要を説明します。今から1月……まあゲーム内でなのでリアルタイム一週間ですね。日付を言うと8月1日に第二陣がやってきます」

「君達大変だったでしょ? 主に消耗品がな! 次君達の2倍来るから頑張ってね! って言うイベントだー! メインターゲットは生産者達だが、戦闘組諸君も安心したまえ! 組合で護衛依頼や採取依頼が増えてたり、料金割増になってたりするからな!」

「それと期間中、手伝った場合は好感度が若干上がりやすかったり、護衛依頼中にイベントモンスターが襲ってきたりなんかもあります。詳しくは18時に公式の更新と共にイベントが始まると思いますので、そちらでチェックして下さいね」

「なにか質問は!?」


 要するに、武闘大会は戦闘職……職というか戦闘メインの人達がターゲットだったけど、今度は生産者がメインターゲットのシティイベントって事ですね?


 サルーテさんが聞きたいことあるようです。


「はい」

「調合系のサルーテさんだな!」

「消耗品を用意するという事は初級HPポーションとかですよね? 期間中何かボーナスはありますか?」

「はい、限定的ですがありますよ」

「限定的?」

「適正レベルや格上のアイテムには通常のままありません。ただ、格下の場合……まさにサルーテさんが初級系を作った場合、完全に格下アイテムなので生産時に経験値ボーナスが発生します」

「一応無駄にはならないって事ですか」

「はい。今回は内容的に数をこなすことが前提なので、ボーナス自体は少なめですが、普段よりは確実に多いです。これは調合に限らず全ての生産に適用されます」

「ちなみに、畑などの1次生産者諸君にも朗報だ! 期間中は成長スピードが早いからバンバン納品してくれたまえ!」

「「「「「「うおおお!」」」」」」


 一部と言うか、近くから歓声がしてますね……って物凄い農家スタイル! オーバーオールに麦? なんか植物系の帽子被って、背中にあるの鍬だあれ! 農家さんですね! 是非野菜は私に納品して欲しいぐらいですが。

 頭上に農家とも浮いてますね。農家称号ですか。


「それと8月1日はメンテするからな! 後アプデ」

(は? アプデ? 何サラッと言ってんの?)

「18時までこのイベントエリアは残りますが、メニューから元のエリアに戻れますのでそちらをご利用下さい」

「ではさらばだ!」

(え、アプデの情報は!?)


 そのまま空に溶けるようにGM2人は消えました。


「『おいいいいいいいい!』」


 きっとプレイヤーの心が1つになっていることでしょう。


 現在は……17時ですか。公式サイトの更新までもう少しありますね。《料理人》がもうすぐ10になりそうですかね。今日は料理の予定でしたし、上げますか。

 覚えるアーツはなんだろなっと。


「お姉ちゃんご飯!」

「はいはい。パーティ分ね」


 妹の所は5人PTなので、私の分は残りますね。

 どうせならパンも付けましょう。バゲットを【再現】で作り、2本を3等分にして6個にし、シチューと【セットメニュー】で合体。


「ビーフシチューだ!」

「一部材料が無い事を除けばお店に近いと思うんだけど」

「いただきます……」


 1口食べてご満悦ですね。好評なので大丈夫でしょう。

 しかしこれ、売るとなると結構な額になりますか。MP消費量が洒落にならない。それを抜きにしても純粋に美味しいですからね。


 さて、ランプを使ってローストビーフでも作りましょうか。たまに家で作っているやり方で良いでしょう。


 ランプの脂身部分は取り除き、オリーブオイル、すりおろしニンニク3欠けぐらい、塩を塗りたくります。パンのハケを使ってしまいましょう。【洗浄クリーン】で綺麗にできますからね。

 塗ったら粗挽き胡椒をたっぷり振りかけ、チクタクと少し飛ばします。味や風味を染み込ませましょう。


 続いて表面をフライパンでさっくり焼きます。そしたらオーブン……は無いので、天板に網目の台を置き、上に表面を焼いたお肉を乗せて石窯へ。

 後は低温で3時間ぐらいかけじっくり焼きましょう。焼いたら冷まして完成です。


 そしてジャーキーも兎肉を2個使用し【再現】で補充しておきます。



〈《料理人》がレベル10になりました。スキルポイントを『1』入手〉

〈《料理人》のアーツ【テーブルウェア】を取得しました〉



 ほぉん?

 ローストビーフはBですか。まあ、良いでしょう。

 石窯でじっくり焼いた時に天板に出た肉汁。これを使ってグレイビーも作ります。材料が限られていますので、玉ねぎを細かく刻み赤ワインやバターを入れて軽く煮詰めます。後はマスタードを加え、味を整えたらソースの完成ですね。

 両方レシピ登録しておきます。


【テーブルウェア】

 食器の生成が可能。1個に付きMP1消費。料理が無くなると消滅する。

 投げてもダメージは与えられない。


 プリムラさんの食器類が不要になりましたね? まあ、手持ちの物は使ってしまいましょう。

 料理板にアーツの情報を流してっと……。


「精神上昇……このバフ効果リアルタイムか。微妙にゲーム内1日持たないぐらいだから、まだ品質で効果時間伸びそうだね」

「B+の上にまだ6段階あるみたいだからね」


 私の装備が品質S+ですからね。B+の上にA- A A+ S- S S+となると思うのですが、A級の壁はそうそう超えられなさそうですね。

 それと、どの食材と調理法が何のバフ効果になるかも調べないといけません。バフが付いた料理はメモしていきましょう。そのうちそれを纏めれば方向性は見えるでしょう。

 今回の露店で密かにボア肉と、結局ベア肉も少し放出しました。料理板の人達が買っていったので、検証できる人も増えるでしょう。

 お肉単品で見ると高く見えるかもしれませんが、完成品の料理も並んでて、しかも売れていくのですから迷いなく買っていきました。単純計算しても完成品売れば黒字ですからね。……ちゃんと料理法を住人に聞いていればですが、料理板の人には言ったので、聞いているでしょう。

 ベアとボアのお肉があればすぐに《料理人》まで行けるはずです。20後半になればアンガスのお肉で焼き料理しても良いですからね。高レベル素材で、一番簡単な料理法です。失敗しづらく経験値も美味しいでしょう。私もそれで2次スキルに上げましたし。

 ああ、この情報も掲示板に上げてしまいましょう。頑張れ後続! 私はしばらく予定通り《錬金》します。具体的には2次スキルに行くまで。


「さて、そろそろ18時ですか。元のエリアに戻るとしましょう。そして組合にお金預けないと……」

「お姉ちゃんこの後の予定は?」

「丁度イベントも来るそうだし、予定通り《錬金》でも上げるつもり」

「《錬金》かぁー」

「欠損修復用パーツが作れると良いな……って思ってね」

「あぁー……確かに。お姉ちゃんもげるんだったね……」

「まだ経験してないけど、まあそのうちするでしょう」


 周囲の知り合いに挨拶して、メニューを開きイベントエリアから撤退します。



 ベルステッドの中央広場に帰ってきたので、まずは組合へ行きお金を預けます。流石にこの額持って安全エリアから出るつもりはありません。忘れる前に預けましょうね。

 404万預けて銀行に409万、手持ちは1万8000程。

 そしてさっき補充したジャーキーを残りと一緒に委託へ放り込んでおきます。


 組合から出て中央広場の立像から始まりの街へ飛びます。目的は図書館です。今まで放置してきましたが、料理はともかく錬金は現実にありません。つまりゲーム内の基本レシピが必要です。

 たまに手に入る魔石ですが、《錬金》で使うのが有力でしょう。ただ、今まで情報が出ていないためなんとも言えません。このゲームはどういった使い方をするのか判断できないんですよね。

 特殊スキルの触媒とか、魔道具の燃料だとか、装備品だとか。候補が多すぎて分からねぇ状態なんですよ。


 図書館の情報が掲示板でヒットしないのですが、まさか未発見なんてことは無いですよね? 組合のクレイグさんが普通に教えてくれましたし。となるとあまり良い情報無さそうですねー……。

 まあ、メインは《錬金》の基本レシピと、この世界の神々の情報ですかね。耐性のおかげで教会も行けそうですが、この際ですから本読みましょう。最近読書の時間が取れてませんからね。


 ソコソコ前からミニマップに出ているアシストを使い、図書館へ向かいます。南西側の中央辺りに大きな建物が見えてきました。建物の周りがゲーム的に光っているのであれでしょう。目的地であるアシストの光ですね。近づいたら消えました。

 建物自体は大きいですが、こう……地味ですね。いえ、図書館なんてこんなもんでしょうか。肝心なのは本の種類ですね。中へ入りましょう。


「おや? ようこそお嬢さん」


 ダンディなおじさまですね。声も渋い。執事服が実に似合いそうです。

 このタイプの住人は初めてですね。


「冒険者組合のクレイグさんにここが図書館だと聞いて来たのですが」

「ええ、そうですな。図書館についての説明は必要ですかな?」

「お願いします」


 図書館の利用には何かしらの身分を証明できる物が必要。組合カードで可。初回時に1万払う事で利用可能に。

 借りることも可能で、その場合1冊1000払う必要がある。期間はリアル一週間。ゲーム内だと1月。期間がすぎると勝手に戻るゲーム仕様。

 図書館内は飲食不可だが一部エリア……中庭は可能だそうで。嗜みつつ読書をしたいのなら中庭を利用するように言われました。恐らく格好のせいですね。

 優雅にお茶できそうなので、ちょっと惹かれますね。……肝心のティーがまだありませんが!


 おじさまに組合カードを提示し、1万を支払い利用券を得ます。


「神々の事が書いてある本はありますか?」

「勿論ありますとも。神話をお望みで? それともより詳細な?」

「でしたらより詳細な方を」

「それでしたらこちらの棚ですな」


 棚のところまで案内され、本を渡されました。


「こちらの棚が神々に関連のある本がある場所ですな。とりあえずそちらの本を読んで、ある程度神々を把握した後、他の本をお勧めしますぞ」

「分かりました。まずはこれを読んでみま……ん?」


 光ってる本がありますね。直感が反応している……?

 本の背表紙には『ステルーラ様と幽明種』と書かれている。


「ああ、それを見てピンと来ないのでしたら読んでおいた方が良いかもしれませんなぁ。彼らに目を付けられると大変ですからな」

「幽明種……ですか。私は異人ですので初耳ですね」

「おやおや、そうでしたか。では読んでおいた方が良いですぞ」

「ステルーラ様と言うと、不死者と何か関係でも?」

「むしろそれらの事が一番詳しく書いてあるのがその本になりますな」

「ではこれも読みましょう」

「ええ、ごゆっくり。何かあればお聞きくだされ」

「そうさせてもらいますね」


 まずは最初に渡された本から読みましょう。棚の近くにある席へ着きます。

 要点を纏めていきましょう。




最高神、クレアール様。金の髪に金の瞳を持つ。

 創造と破壊の神

 世界を創造し、3柱を創造した主神。

輪廻の女神、ステルーラ様。灰色の髪に玉虫色の瞳を持つ。

 光と闇を司る神

 生と死を司る神

 時空と運命を司る神

 契約と断罪の神

 幽明種を使役する?

 門と鍵がシンボルマークになっており、様々な身長の姿が確認されている副神。

戦の女神、シグルドリーヴァ様。赤い髪に赤い瞳。

 火と風を司る神

 戦いと勝利の神

 動物を使役するとされる

慈愛の女神、ハーヴェンシス様。緑の髪に緑の瞳。

 水と土を司る神

 慈愛と成長の神

 自然と休息の神

 植物を使役するとされる



 纏めるとこんな感じでしょうか……?

 神託をくれるのは大体が副神のステルーラ様のようですね。その際浮かぶ身長は様々なサイズが確認されているそうですが、灰色の髪と玉虫色の瞳は共通と。

 ステルーラ様の使役すると言われる種族ははっきりしませんでした。こちらはもう一方の本に書いてあるかもしれませんね。


 主神クレアール様は情報が殆ど無い様なので不明。

 ステルーラ様が特に多くの顔を持つようですね。一番接触が多い……と言う事でしょうか? 勿論直接触れ合うような接触ではありませんが。

 それとステルーラ様の所に気になる記述がありまして、『契約と断罪の女神に誓った者が約束を違えると、地の底から悍ましい化物がやってくる……奴らが執行人だ。決して逃げられない……』というものですね。気になりますねぇ……。


 えーっと……神話の本は……絵本がありますね。メモしておきましょう。全部ひらがなは見づらくて堪りませんね。設定的にはひらがなに変換されているのでしょうか?



 虚無に主神クレアール様が生まれ、世界を作った。

 光と闇の境から生まれた副神ステルーラ様が時を刻み始めた。

 動き出した時の中でクレアール様が惑星を作った。

 誕生した惑星の水と土からハーヴェンシス様が生まれた。

 更に火と風からシグルドリーヴァ様が生まれた。



〈今までの行動により《言語学》が解放されました〉



 おっと、本を読むのに必要なスキルですね?


《言語学》

 文字をどれだけ理解できているかを示し、解読を助けるスキル。


 と言うか、スキル持っていませんが読めてはいますね。組合の依頼とかも読めてますし? しかしスキルがあるからには必要な何かがあるんでしょうが……まあ、取っておきましょうか? 本読んでれば上がるんでしょうし、取るなら早い方が良いですよね。

 という事で、SP3を使用し取得。


 さて次、重要そうな『ステルーラ様と幽明種』を読んでみましょうか。




 幸運と言うべきか、不幸と言うべきか……今思えば間違いなく幸運だったのだろう。折角知ったこの情報、残さずして死ねはしない。

 これが彼らに対する礼にもなると信じて。


 以下についての情報を、世界に知らせるため本と言う形にして残す。

 アンデッド、不死者、外なるもの、幽明種、冥府、奈落、深淵、星幽。


 まず軽く冥府、奈落、深淵、星幽に付いて書き記す。


冥府ネザー

 地下都市の様な場所で、全ての霊魂が集まる。中央に常夜の城と呼ばれるバカでかく豪華な建物が存在する。

 冥府へと入る前に魂のジャッジがあり、冥府へと入る者、奈落へと送られる者と分けられるそうだ。

奈落アビス

 こちらも地下都市の様な場所だが、生前で悪いことをした者、考えが暗い者達が集まる場所。

 清算するまで出ること無く、期間は個人差がかなりあるそうだ。

深淵メディウム

 外なるもの達が集いし隔離世界。化物達の楽園。

 彼らが従うのは居場所を用意した副神ステルーラ様と、ステルーラ様より権限を与えられた者のみ……らしい。

星幽アストラル

 清算を終えた魂の輪廻転生が行われると言われる場所。


 冥府ネザー奈落アビスは不死者達の管理空間であり、深淵メディウムは外なるもの達の管理世界である。

 そして4個全てが輪廻の女神、ステルーラ様の支配領域だと言う。


 さて、続いて皆知っているだろうアンデッドについてだ。

 実はアンデッドには2つの種類がある。

 一般的な認識では『アンデッドは意思を持たず、生物の本能や未練だけで動いている存在であり、彼らは何らかの理由でこの世に留まってしまった死者である』という認識だと思う。

 実際これは正しいようだが、全てがそうではないようだ。むしろこのタイプは珍しいタイプだそうで、基本的に彼らに意思なんてものはない。ただ残留した魔力の影響により動いているだけの魔法生物紛いの物だ。

 ただ、どちらにしてもアンデッドは排除対象である事に変わりはない。有象無象が後者、少し手強いのが前者である。


 そして不死者についてだ。

 簡単に言ってしまえば……不死者とはアンデッドが意思を持った存在である。アンデッドの上位存在的な彼らは意思を持つことで思考し、力も制御する。

 見た目を除けば我々人類と大差なく、意思疎通も可能である。むしろ元人類が多い。

 不死者達は基本的に冥府ネザーと呼ばれる場所におり、冥府ネザー奈落アビスを管理している。

 アドバイスは1つだけだ。彼らに喧嘩売るには相手が悪い、やめておけ。

 彼らは意思がある。よって、強さによる位があるようだ。

 1.世界に複数ある入口から冥府ネザーを目指す不死者なりたての新人。

 2.冥府ネザーで過ごす者達。1よりエリート。

 3.奈落アビスで過ごす者達。2よりエリート。

 4.常夜の城で過ごす者達。冥府ネザー奈落アビスを管理するエリート中のエリート。


 最後に外なるものに付いてだ。

 彼らは文字通りの不死者達である。不滅のもの達の事を外なるものと呼ぶ。輪廻から外れたもの達の事だ。

 外なるものは不死者の更に上の存在になる。こういっちゃなんだが正真正銘の化物達だ。ただ、何かやらかしてない限り意思疎通は可能であると言っておく。見た目は相当やばいが、会話は可能だ。もう一度言う、見た目は相当やばいが話せるぞ。


 以下補足になる。

 格はアンデッド<意思の有無による壁<不死者<冥府の不死者<奈落の不死者<常夜の城の不死者<深淵の外なるものとなる。

 ステルーラ様に関連する者達……冥府や奈落、深淵の者達を纏めて幽明種と呼ぶ事がある。

 外なるものの中には奉仕種族、独立種族、支配種族の3種が存在し、左から右へ強くなる。


 俺、よく生きてた……と言うか、迷い込んでしまった俺を助けてくれたのが独立種族の外なるものだった。

 彼らは良いやつだ。見た目は相当ヤバイが……その見た目のせいで深淵に篭っていると聞いた時はちょっと同情した。

 支配種に会っちまったら祈れ。前にしただけで死にそうになる。体が生きるのをやめようとするのな。奉仕種族ですらヤバいのに、格が違うとはあの事だ。

 人に擬態できる支配種もいるそうだが、目の前で中途半端に正体出して遊ぶのは止めてくれ。心臓が止まる。外なるものジョークは我々には辛い。オーラをしまってくれ、マジで。


 最後に。

 不死者達にアンデッドって言うとマジギレするから注意しろよ。追ってくるぞ。死んでも冥府でにっこり笑顔なご本人とご対面だ。本気でお勧めしない。

 死後穏やかに過ごしたければ、彼らと対立はするなよ。そうそう生前に会うことは無いかも知れんが、人生何があるか分かったもんではないからな。


 ああ、そうそう。ステルーラ様には有名なあれがあるだろう?

『契約と断罪の女神に誓った者が約束を違えると、地の底から悍ましい化物がやってくる……奴らが執行人だ。決して逃げられない……』

 これ、外なるもの達だったぞ。深淵メディウムの代わりに執行人の役目を受けたそうだ。


 外なるものに会った時、叫んだり気絶しても笑って許してくれるぞ。半狂乱になって攻撃を仕掛けるのが一番不味いから、大人しく意識を手放せよ。


 この情報が君達の役に立つ事を切に願う。




 ふぅ……予想以上に濃い内容でしたね。



〈この世界における『アンデッド』『不死者』『外なるもの』『幽明種』の情報を得ました。この情報に則りステータスや識別が更新されます。同胞の者達と情報を共有しますか?〉



 ……はい?

 いやでもこれ、情報共有しないとかなり問題になりそうですね。アンデッドと不死者区別せず、不死者に斬りかかったら目も当てられませんし……。

 可能性は低そうですが……長いので掲示板に書くのも面倒ですからね。システムがしてくれるならして貰いましょう。



〈〈プレイヤー、アナスタシアがこの世界の『アンデッド』『不死者』『外なるもの』『幽明種』の情報を取得、共有しました。これによりステータスや識別が更新されます。詳しくはヘルプを御覧ください〉〉



 ヘルプに4種の情報が載っていますね。

 ステータスは……特に変化なし。我々異人は意思があるので不死者扱いで良いのでしょう。地上にいるから1ですね? そうなると冥府ネザーを目指した方が良いのでしょうか。問題は入り口がどこか分からない事ですが。

 それにしても常夜の城ですか……私は王女……実に気になりますね、ええ。


『お姉ちゃんどういう事!?』

『図書館で本読んでたらシステムメッセージ出たから共有しただけよ』

『……え、あれ? 図書館あるの? どこに?』

『え? 始まりの街だけど』

『あっれー? 図書館ねぇのか!? って検証班探し回ってたはずだけど……』

『住人に聞くとかフラグがいる施設なんじゃない? 私組合の人から聞いたし』

『……掲示板書いていい?』

『良いけど図書館だから、騒がないようにね?』

『まあそんなに利用者は多くないと思う……』


 まあ、秘匿するような物ではありませんし良いでしょう。書いてくれるというのなら任せましょうか。



〈〈神々からの神託があった! 新たな異人達が1月後に現れるらしい。住人達と協力して備えようキャンペーンが始まります!〉〉



 おや、イベントが始まったようですね。公式サイトを確認しましょうか。




 こんにちは、FLFO運営チームです。


 今回のイベントはシティイベントになります。

 始まりの街を中心とした周囲4つの街の範囲がイベントエリアとなり、5つの街で住人が抱えている問題を解決してあげましょう。

 冒険者組合で護衛依頼を受け、各街へ輸送を手伝ったりするような戦闘系イベントも存在しますので、お好みの方法で貢献して下さい。

 護衛依頼の仕様は普段と同じですが、護衛依頼発生頻度が上昇しており、普段と違うイベントモンスターが出現する可能性があります。報酬や経験値にボーナスがあったりしますので、是非チャレンジしてみて下さい。

 生産者の皆さんは是非品質Cの商品を沢山納品しましょう。納品を繰り返し実績を積めば、材料用意済みの制作依頼を受けられる可能性があります。

 格下の生産品を作る場合、離れていれば離れているほど多くの経験値ボーナスが発生します。

 農業など1次生産者の皆さんにも朗報です。

 イベント期間中成長速度や収穫速度が上昇するため、沢山納品しましょう。

 採集ポイントの復活速度も上昇し、採取可能回数増加もしています。薬草の納品や鉱石の納品などでも貢献が可能です。


 皆さんの時とは違い周辺の街が開放されていますが、皆さんの時より倍の人数が来ることが予想されているため、正直変わらないと思いますが、頑張って下さい。




 なるほど、とりあえず……《錬金》のレシピ本ありませんかね? 本を棚に戻しておじさまに聞いてみましょう。


「すみません。《錬金》に関する本はありませんか?」

「基本的なことならありますな」

「それで構いません」

「でしたらスキルに関してはあちらですな。手前から戦闘近接、戦闘遠距離、戦闘魔法、生産、その他で並んでいるはずですぞ」

「ありがとうございます。探してみますね」


 えっと……近接……遠距離……魔法……ん? 光ってるのがありますね。魔法の本ですか、確保しておきましょう。

 生産……錬金は……これだ。では早速読んで行きましょう。



〈《錬金》の基本レシピ『初級HPポーション』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『HPポーション』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『初級MPポーション』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『MPポーション』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『木の矢』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『石の矢』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『木のボルト』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『石のボルト』を覚えました〉

〈《錬金》の基本レシピ『肥料』を覚えました〉

...etc



 大量ですね……良いことです。

 さて、光ってた魔法の本はなんでしょうか。……ところどころ読めませんね。《言語学》が足りないのでしょうか。そんな厚い本でもないので往復してみましょうかね? 多少抜けているところはできるだけ脳内補完で。

 内容的に魔法に関する……基本的な物だと思うんです。非常に気になるのでじっくり読みましょう。



〈特定の条件を満たしたため、《高等魔法技能》が解放されました〉



 《言語学》が10になったようですね。

 《魔法技能》が30かつ、魔法に関してのちゃんとした知識を得る……が解放条件ですか。

 消費SPは6。勿論取りますとも。残りSP36になってしまいました。



〈『色あせた護りのレイピア』が持ち主に適応しました〉



【魔力操作】

 魔法使用時に無駄を減らし、消費MPを減少させるパッシブアーツ。


 うん、無いよりはあった方が良いアーツですね。

 で、レイピアがなんですって? ……ああ、適用スキルの《魔法技能》が《高等魔法技能》になっただけですか。結果的に【螺旋魔導増幅炉スパイラルマギアンプ】も効率が良くなったようですね。

 良いことです。



 久々に雑貨屋のお婆ちゃんのところへ行き、錬金セットを買いましょう。確か7000でしたね。手持ちギリギリ足りますから真っ直ぐ向かいましょう。

 本を棚に戻し、図書館から撤退します。


「また来ますね」

「ええ、お待ちしております」



 冒険者組合の方の……大通りから逸れてっと、ありました。


「おや、あんたかい」

「お久しぶりです。錬金キットを買いに来ました」

「また異人来るんだってねぇ? 7000だよ」

「はい、丁度いいのでやり始めようかと思いまして」

「そうかいそうかい。錬金は試行回数が全てだ。気合い入れてやんな」

「材料はちまちま集めたのが沢山あるので、そうしますね」

「そうさな……《錬金術》になったら来な。良いこと教えてやるよ」

「《錬金術》ですね。分かりました」


 何教えてくれるんでしょうね? 確か2次スキルが《錬金術》なので、なったら来ましょう。

 組合行って薬草など《錬金》に使用する物を引っ張り出さないとですね。ついでに少し下ろしておきましょう。素材に使うかもしれませんので。


 以前預けた薬草、カッセイタケ、ヒカゲシビレタケ、蒸留水などを引き出しましょう。所持金は1万は持っておきたいですね。


 さあ、やるぞー。


名前:アナスタシア

種族:不死者の王女(イモータルプリンセス) 女 Lv18

属性:闇

属:高位不死者

科:ロイヤルゾンビ

スキルポイント:36


スキル

《細剣 Lv4》《宛転流王女宮護身術・細剣 Lv3》《軽装 Lv4》

《光魔法 Lv29》《高等魔法技能 Lv1》

《危険感知 Lv3》《直感 Lv3》《舞踏 Lv7》

《料理人 Lv10》《錬金 Lv5》《採取 Lv20》

《目利き Lv22》《解体 Lv20》《鑑定 Lv26》《識別》

《言語学 Lv10》

控え


種族(モンスター)スキル

《暗黒魔法 Lv1》《闇のオーラ Lv25》

《物理耐性 Lv26》《物理無効 Lv23》《魔法耐性 Lv5》《HP超回復 Lv9》

《不死者の王族 Lv18》《王家の権威 Lv18》《高位不死者》

称号

優雅で静謐なお姫様:他者に与える印象がとても良くなり、警戒もされづらい。

ベルステッド解放者:始まりの街の東を一番最初に解放した記念称号。

インバムント解放者:始まりの街の南を一番最初に解放した記念称号。

料理人:一人前の料理人に与えられる称号。

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― 新着の感想 ―
クトゥルフとかやってると、調べ物=書斎で図書館技能なんだけど、今の人はネットばかりだから図書館で調べるという発想がないのかと。 ステルーラさま、どう読んでもあの世の神さまですな。その上、クトゥルフ系…
[一言] 読み返してて思ったんだが、外なるもの周りの設定について伏線が初出のこの時からしっかりあったんだな
[気になる点] 左から右へは、PDFの縦書きがあるので、後ろにいくほどとか、前から後ろへとか、後者ほどみたいな感じで、縦書きでも横書きでもいける表現が良いかも? 特にこれといった表現が浮かんでいない…
感想一覧
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