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24 武闘大会

と言う名の料理回。主人公大会出ないし……。


1日遅れましたが、1万文字前後無いと落ち着かないと言うか、物足りないので。

19話に修正が発生しています。

調べまくってる結果、スープ系作るのに骨が必要だな? となったので、アンガスのドロップにスネ肉が追加されました。それだけです。

 さて、今日は武闘大会の日ですね。

 朝起きたらログインして、頼んでおいた豚腸やその他素材の買い出しをしておきました。そしたら一度ログアウトをして、リアルで朝ご飯やらを済ませます。



 イベント用エリアが開放される10時少し前にログインします。


「お、やあ姫様!」

「おはよう」

「おや、おはようございます」


 ログインしたら前にアルフさんとスケさんがいました。2人以外にも他のプレイヤーが中央広場、ステルーラ様の立像の辺りに集まっていますね。ベルステッドなので、かなり少ない方でしょう。始まりの街は地獄な気がします。


「丁度いいからボス素材の売上渡しとくね」


 スケさんから3万ちょっと受け取りました。約6万になったようですよ。美味しいですね。全財産11万ちょっとですか。


「姫様今日は露店だって? 何売るんだい?」

「いつものスープとステーキ、後は新作ホットドッグですね」

「ホットドッグかー。ソーセージ買えたの?」

「塩漬けの腸が各種売ってましたので作りました」

「自作かー」


 アルフさんと話しているとスケさんが不思議な踊りを始めました。いえ、まあ何をしているのかは大体分かりますけどね……。


「……準備運動ですか?」

「HAHAHAHA、当然じゃないか!」

「……筋肉無いですよね?」

「そうだったね!」

「そもそもVRだけどねぇ? しかもイベントエリア解放は10時だけど、開始13時だし」


 スケルトンネタでしょうか。準備運動……と思いましたが、結構な種族できそうですね? 不死者に植物系、後はマシンナリーなどもできそうです。


「そろそろカウントダウンが終わるねぇ……」

「相変わらずこの運営のカウントダウンは自己主張が激しいですね」

「ほんとにね」


 イベント待ちのプレイヤー達の前方……つまりステルーラ様の立像の上、そこでサービス開始時の如く跳ね回っているカウントダウン。現在ゲーム内時間的には夜なので、物凄く目立ちます。

 そして時間が来たら弾けました。時間になったので皆ぞろぞろと立像へ近づき、イベントフィールドへと転移します。私達も行くとしましょう。


 転移した先は……平原ですね。武闘大会の舞台となる大きめの正方形をした物がでんでんと複数配置されただけの平原です。


「困惑するレベルでシンプルだね?」

「βの時はどうだったんです?」

「コロッセオ的な感じだったね」

「つまり……劣化したと?」

「劣化したねぇ……。なにか理由あるんかね?」


 アルフさんによるとβから劣化した感じですが、言ってしまえば舞台さえあれば武闘大会は可能ですか。準備は非常に楽と言えば楽ですね。


「ここの運営が面倒だからってコロッセオにしないとは思えないなー? なにか理由ありそう」

「そもそもβで使ったの持ってくればいいわけだしね? あれ結構作り込んでた気がするし」

「んー……まだプレイヤーが行ってない街に置かれてるとか?」

「闘技場か、有り得そうだね。帝国かな?」

「南に帝国あるらしいねー。可能性は高そう」


 南に帝国あるんですね。海の向こうかな?

 ……武闘大会終わったら図書館でも行きましょうか。色々と情報が不足していますから、情報収集しましょう。掲示板を見るのも良いですが、最近このゲームで読書時間が死滅しているので、図書館でのんびりしましょうかね?


 それはそうとまずは……。


「さて、露店はどこに出しましょうかね……。おや、プリムラさんご機嫌よう」

「あ、やっほー」


 プリムラさんが来て少し後、ぞろぞろと生産組がやってきました。どうやら始まりの街からだったようで、かなりの数だったそうですね。

 エルツさん達とどこに露店を出すかとマップを見ていると、空に変化が。


「はーっはっは! よく来たなプレイヤー諸君! こんにちは、GMの八塚です」


 最初のテンションが嘘のように普通の挨拶をされました。


「キャラ作るなら最後まで維持してくれません? 同じくGMの三武です」


 ゲームマスター……つまりゲーム内の運営キャラですね。公式イベントなので出張ってきたのでしょう。

 八塚さんはガタイの良い男性で……最初のテンションといい暑苦しい感じのキャラでしょうか? 三武さんはクール系の女性です。

 2人共見かけは天使でしょうか? デフォルメされた小さい翼が背にあり、天使の輪っかが頭上にありますね。


「後程改めて説明するが、今からかるーく説明させてもらうぞ! まず武闘大会参加者はこのイベントエリアにいる間、自分の番がやって来たら時間制限内にYESをポチッと押せば、自動的に転送されるぞ!」

「見学の人達は舞台の周りに集まるか……よいしょ。今出たモニターの前に集まって下さい。それとこちらのタワー型はランダム表示になります。そして商売人の皆さんは、見学者の邪魔にならない程度の場所で露店を出して下さいね」


 舞台は結構な数が存在します。その舞台から少し離れた所に、舞台の4面を囲むように4台のモニターがそれぞれ出現。少し離れた所に出現したのは直接見学したい人用のスペースでしょう。

 そしてイベントエリアの中央に複数のディスプレイが付いたタワーが出現。


「んじゃあ、タワーから少し離れた所に出すとするか」


 特に反対する理由もないので、エルツさんに同意してぞろぞろと移動します。



 良い感じのスペースを見つけて皆で露店を準備します。

 いるのはエルツさん、ダンテルさん、プリムラさん、サルーテさんのいつものメンバーですね。私は皆の端っこで露店を出し、料理キットを展開します。石窯だなんだと、結構スペースを取るようになりましたから。


 さあ、石窯と【再現】を駆使して売り物を作っていきましょう。それと、そろそろ塩以外の新しい味付け……ブイヨンは色々足りませんね。鶏ガラ作りましょうか。


 という事で、買い出し時に発見した鍋大12人用を火にセットします。

 さて鶏ガラスープなので鶏ガラが必要です。トッケイのお肉を取り出し、身を切り分けます。これは焼き鳥にでもしましょうか。ゲームなので汚れは無さそうです。

 残った鶏ガラを鍋に投入。そして長ネギの上部分も投入。残った白い方はさっきのトッケイのお肉と一緒にネギマ行きです。

 生姜がありませんが、無いものは仕方ありません。ニンニクと玉ねぎ、ニンジンも投入しましょうか。料理酒も少しだけ。


 リアルでは1羽で大体1リットルちょっとぐらいできるようですが、ゲーム内だとどうなんでしょうね。まあ、最初ですからリアル基準で行きます。

 鍋大に収まるよう素材を投入したら、まずは強火で煮込み沸騰させます。せっせと灰汁取り作業に勤しみ、沸騰したら弱火の方へ鍋を移して見守ります。沸騰しないよう見張りつつ、油を取らないように灰汁だけ取るのです。水が減ったようなら継ぎ足します。料理は根性。


 さて、じっくりコトコト煮込んでいる間に、以前プリムラさんから貰った串に鶏、ネギ、鶏、ネギと突き刺していきます。こちらは塩で良いでしょう。タレなんてありませんし。


 更に石窯に燃料……薪に【火種バーン】で放火して投入。

 元種諸々も取り出し、ケチャップとマスタードも出しておきます。


「姫様忙しそうね……」

「これから売り物作らないとですからね」

「空腹ゲージがそろそろあれなのよ……」

「ああ、露店出してなかったですね。今出しますね」


 サルーテさんに言われて気づきました。露店開かないと作った物売れませんね。

 商品に今までのステーキ、昨日作ったランプステーキ、ベアスープを並べておきます。売値は600、1200、800ですね。

 今回はなるべく多くの人が買えるよう、ゲーム内時間1日で1種類1個の、1人3品までにしておきます。3品までなのは3食分ですね。


「…………」


 サルーテさんは黙ってランプステーキを買っていきました。そしてサルーテさんの出した物を見た他の生産組も買っていきました。毎度ありがとうございます。


 MPのある内に【再現】を使用して材料を作っておきます。所謂中間素材。物を作るのに必要な物を作る……と。MPが回復したらまた【再現】です。MP回復待ちの間に手動制作です。


「めっちゃうま! ランプうっま! リブロースは!?」

「そのランプステーキは料理を2次に持ってく時に作った物ですね。リブロースはまだ手出してないんですよ」

「無念……」


 あまり食べれないでしょうからね。4センチ級のランプステーキなんて。

 実はローストビーフも作りたいのですが、この石窯行けますかね? 温度的には行けそうなのですが……。材料はあるし試してみればいいか。


 お肉に興奮中のプリムラさんは置いといて、鶏ガラの確認です。……灰汁は出なくなりましたかね? では少しずつチクタクしましょうか。水の量や火加減、灰汁を確認しつつチクタクして、数時間。完成ですね。


 できた鶏ガラスープをレシピ登録しておきます。中間素材は大量に使うので重要ですからね。

 そしてこの鶏ガラスープを使い、豚バラと白菜でミルフィーユ鍋を作りましょう。


 まず白菜をバラして、豚バラをスライス。寝かせた白菜の上にスライスした豚バラを載せ、また白菜を載せ、豚バラを……と交互に重ねていきます。

 そしたらざっくり均等に切り分け、鶏ガラスープを入れた鍋に詰め込み、後は煮込むだけですね。実に楽です。じっくりコトコト煮込みます。


「このステーキが新作ー?」

「いえいえ。露店に出したのは初めてなので新作と言えばそうですが、メインは……これですね」

「ホットドッグ!」

「お祭りと言うか、観戦と言えばホットドッグですよね」


 【再現】で一番時間のかかる生地を量産しつつ、MP回復待ちの間に成形して石窯に放り込みます。

 コトコト煮込むだけの鍋料理は基本的に放置でいいので、同時進行が捗ります。

 現在パン、ネギマ、ミルフィーユ鍋の3個ですね。ステーキも焼きたいですが、鍋とネギマで火のスペースがありませんし、流石に無理そうです。

 ローストビーフもパンの温度じゃ高すぎるので、今は無理ですね。


「お姉ちゃん肉ぅー!」

「はい」

「えー……ねぎまぁ?」

「うるせぇ昼食ポッツヌードルにするぞ」

「そ、それはぁ……」


 最高にまずいと言われる即席麺ですね。お父さんは食べれます。私もまあ、食べれなくはない。お母さんと妹はぶん投げますね。他にも色々ある中で、あれをわざわざ買うかと言われると、NOですね……。


「ポッツヌードル ~ルーツビアを添えて~」

「見た瞬間食欲が失せそう」

「ルーツビアってあれか。俺飲めるぞ」


 エルツさんは飲めるようですね。私も飲めますけど、これも好んでは飲みません。


「ルーツビアって何?」

「飲む湿布」

「え?」

「飲む湿布。いやマジで」

「飲む湿布だな」

「なにそれ気になる。ビアって言うとお酒?」

「んにゃ、ジュースだよ。お酒だったら私もお姉ちゃんも飲んでないし」

「あ、そっか」

「密林で買えるぞ」


 プリムラさんが興味津々ですが、お勧めしませんけどねぇ……。物凄く人選びますし、あれ。飲んだ時鼻に抜ける湿布の香り。


「Dr.ペッパーとは違う?」

「全然違うな。あっちも薬っぽさはあるが、一応フルーツがいるだろ?」

「うん」

「ルーツビアはマジで湿布だからな」

「最初の一口目がほんとにヤバい」

「お母さんに買ってもらって、お父さんと乾杯しよう」

「「さらばお父さん……」」


 『吐き出す可能性があるから、正面にいるのは止めておけよ』と言うエルツさんのありがたい? 忠告が入りました。


 雑談しつつも各自手は止めず生産に勤しみます。

 時間が経つにつれ段々とプレイヤーが増えて来て、イベント会場はかなりの人数になっていますね。

 私達の他にも露店は出ていますから、皆さん露店巡りをしているようです。武闘大会はまだ2時間ぐらい先ですからね。



「そう言えば、聞きたい事があったんですよ」

「んー?」

「どうかしたの?」

「品質A級って作れました?」


 結構料理しているはずなのですが、未だにB+以上を見ないんですよね。となると何かしらルールがあると思うのですが。


「あー……それね。生産板でも話題でまだ確定じゃないんだけど、多分素材の品質が完成品の品質にかなり影響あるんじゃないかって。有力なのは素材の品質がCだとしたら、B+が上限。B級の素材を使わないとA級無理じゃね? ってなってる」

「良いの作りたければ素材にも良いの使えって事だろうねー。じゃないと素材に品質表記ある意味もないし?」

「となると、まだ誰も?」

「A級が作れたって報告はないの」

「もしかしたらホットドッグに使うフランクフルトでA級の可能性がある……?」

「B級素材あるのー?」

「実は売っていた塩漬け腸各種がA級なんですよね。料理の中間素材にしては良い値段しましたけど……」

「えっ、まじかー。いいなー」

「流石に腸詰め用の腸はプレイヤーじゃ作れないから用意したのかな? 手動解体なんか人選びすぎるし、解体できても使えるように腸を加工するのはねぇ……」


 パン生地の準備はソコソコできたので、ちょっとメモしながら腸詰め作りましょうかね? 前回できたのはBでしたから。しかも炭火も燻製もボイルも全部同じ品質だったと言う事は、中に詰める物の影響が大きそうです。


 おや、パンが良い感じに焼けましたね。取り出しましょう。


「焼き立てパン!」

「へー……石窯焼きのパン美味しそうね……」


 あげませんよ? まだ完成ではありませんからね。これに切れ込みを入れマスタードとケチャップを塗って、フランクフルトを置き、【セットメニュー】……と。っと!?


[料理] お手製ホットドッグ レア:No 品質:B

 パンに切れ目を入れ、腸詰めを挟んだお手軽料理。

 食べやすさを追求した料理で、若者に人気。

 満腹度+35

 追加効果:筋力が5%上昇する。

 効果時間:4時間30分

 調理者:アナスタシア


 SS撮りましょう。

 そして初めてのバフ料理は妹にあげましょう。


「うおっほい! Hey! GMー!」

「はっはっは! なにようかね?」

「料理のバフ効果は大会中無効? 有効?」

「そりゃ勿論無効だとも! バフ料理遂にできたの?」

「お姉ちゃんが作ったよ!」

「おう、姫様か! そりゃめでたい! バフ効果は食材か調理法でランダム、数値や継続時間は品質だ! 後は頑張って検証してくれたまえ!」

「なるほど、良い情報を頂きました」

「あまり喋ると怒られるからな! ではさらばだ!」


 まあ、運営が喋ったらネタばらしも良いところですからね。


「と言うかお姉ちゃん、GMにも姫様言われるんだね……」

「まあ……掲示板のチェックもしてるだろうからね……」


 最後に味を整えてっと……。


[料理] 豚と白菜のお手製ミルフィーユスープ レア:No 品質:B+

 豚バラと白菜を交互に挟んで、鶏ガラスープで煮込んだ料理。

 鳥の旨味と豚の旨味、更に野菜の旨味が体に染み込む。

 満腹度+25

 追加効果:敏捷が5%上昇する。

 効果時間:5時間

 内包:器、スプーン

 調理者:アナスタシア

 食器類:プリムラ


 うおっほい! 今度は敏捷ですか。やっぱり多少手の混んだ料理の方が、バフ料理はできやすいのでしょうか?

 さて、露店に並べましょう。


 ジャーキーを400、ネギマを400、ミルフィーユスープを800。そしてジャーキーだけ制限を変えておきます。1人6個まで。

 ただし、バフが付いている物は値段を上げておきます。このミルフィーユスープは2000ですね。2.5倍です。

 あまり品を増やすと自爆すると言うか、インベがヤバいので作った物から露店に放り込みます。

 ああ、使う予定の無いボアのお肉も露店に置きましょう。同業者が買うかもしれませんし。1000でいいですかね。スープにすれば十分プラスになるでしょう。


 生産設備と素材のおかげでがっつりお金が減ったので、今日は稼ぎますよー!


「隣からずっと良い匂いするの辛い」

「飯テロがヤバい」

「買ってくれて、良いんですよ? 設備でがっつりお金無くなったので」

「いやぁ、私達もがっつり減ったからねぇ……」

「街解放されたから皆設備買ったもんねー」


 まあ、生産ガチ勢が買わない訳ありませんよね。とは言え毎日露店しながら生産してるんですから、私よりお金持ってるでしょう。


「そう言えば、またジャーキー試食してください」


 ちゃんと品質の高かったジャーキーを1個ずつ4人に渡して食べてもらいます。


「お、今回のはうめぇな」

「前のより味がしっかりしてるね」

「うん、酒が欲しくなるね」


 大人3人組に好評。そしてプリムラさんには変わらず好評。生産しながらモグモグするのがお気に入りだそうで、大量発注お望みだそうですよ。イベントが終わったら作ってあげましょう。燻製はチクタクでMP飛ぶんですよ……。


「1個400か。数値は携帯食料と同じだし、ジャーキーに乗り換えようかな?」

「でも姫様からこれ買うなら、他の普通の料理買わないか?」

「あー……まあ、そうだなぁ。別に食事の時間すら惜しいって訳じゃないし」

「もっと料理人が増えれば解決するんだがな。……姫様もっと料理売ってくれて良いんだぜ? 携帯食料は避けてぇ……」

「ジャーキーは一回で大量にできるので量産は楽ですね。委託にでも流そうかと思っていますが、普通の料理も流しましょうか」

「委託に料理出ると壮絶な取り合いが発生してるよね」


 エルツさんとダンテルさんが言うには、料理はあれば買うと言う人が多くなったようですが、自分でやるかと言われると微妙なそうで。料理に限らず生産は時間かかりますからね。ただ、バフがあることが確定したので増えてはいるそうです。

 次から委託販売の方にも購入上限の制限をかけましょうかね?



 ホットドッグの販売は午後からが本番なので、その間に材料を量産しましょう。パンを【再現】で増やしつつ、腸に詰める配分をメモしながら少しずつ弄ります。目指せ、フランクフルトのA級。

 ハンバーグみたいに豚肉だけでなく、牛肉も入れましょうか。……ハンバーグ作るのも良いですね。まあ、色々作るのはホットドッグ作り終えてからで。

 混ぜたハンバーグがあれだけ美味しいんです。フランクフルトにしても美味しいでしょう。どうせゲーム内です、贅沢にいきましょう?

 ハンバーグと同じお肉の配分……大体牛7の豚3ぐらいですね。しかしフランクフルトなので粗挽きではなく、細かくです。これに調味料やニンニクを足して、混ぜ混ぜしてから詰めると。


 生ソーセージは繊細です。破裂してしまうと旨味が出てしまうので、じっくりねっとり愛情込めて火炙りにします。目は離しませんよ。火に炙られて変わり果てた姿を晒すのを見ていてあげますからね……。


 まあ、ただソーセージを炭火で焼いているだけなのですが。弱火でじっくり……最後に強火で表面を焼きましょう。


「姫様がめっちゃ美味しそうなの焼いてる」

「単品での販売は現在しておりません」

「残念……」

「塩漬け腸は買ってくるしかありませんからね……」


 サルーテさんの物欲しそうな声もスルーです。満遍なくじっくり火を通したら、強火の方へ移して香ばしくしましょう。これでどうでしょうか?


 B+ですか、そうですか。……無念。とりあえずこっちをレシピ登録しておきます。さあ、試行回数増やしましょうかね。




 せっせと作っていたら、お昼の時間です。

 結局A級はできませんでした。使用素材の1つだけがAでも恐らくダメなのでしょう。設備の可能性もありますし、先は長そうです。

 農業に……畜産ですか。誰かやってないですかねぇ? 今更ながら、私の行動範囲狭すぎますよね。始まりの街の右半分しか行ってないと言う。更に言うと南から東の120度ぐらいしか行ってない。……夏休み入ったら探索ですかね。


 サルーテさんにお店を預け、一旦ログアウトして昼食。サルーテさんも食事に行くでしょうから、早めに済ませます。妹は妹で武闘大会出場するのでやっぱり早めに済ませます。

 そしてログインしたら今度はサルーテさんの露店を預かります。


 戻ってからもせっせと【再現】でドッグパンを作りつつ、手動でフランクフルト作りを進めます。

 もうすぐ始まりますし、掲示板に情報を流してもいいでしょう。内緒にしたホットドッグの情報とバフ効果付きSS、畜産家の情報、更に【反応促進】の仕様ですね。



 個数が個数だけにせっせと作っていたら、サルーテさんが戻って来たので露店を返します。

 それから少ししてどうやら時間になったようです。


「れでぃーすあんどじぇんとるめーん? プレイヤー諸君! 時間だー! はーっはっは! 時間だぞー! 武闘大会始めるぞー!」

「只今より武闘大会を開催致します。それに伴い、武闘大会の概要を説明します。まず大きく分けて2つ、個人戦とパーティ戦が存在します。どちらもトーナメント形式となっており、配置は完全ランダムになります」

「AIがランダムで振り分け、一気に表示をする! その際参加者達全員に試合開始時間も通知が行くぞ! 遅れたらその時点で失格だから気をつけたまえ!」

「舞台には時間が来たらワープできるので、近くにいる必要はありませんが、このイベントエリアにはいるようにして下さい」

「観戦者は舞台に寄るか、舞台を囲うように配置されているモニターを見たまえ! 特に応援してるのがいないけど見たいと言う場合は、中央にあるタワーを見ると良いぞ!」

「個人戦から開始しベスト8位を決め、続いてパーティー戦を開始しベスト8位を決めます。その後休憩を挟み個人戦からベスト4を決め、個人戦パーティー戦共にベスト4を決めます」

「そしたらイベントエリアを弄って舞台を1つにするぞ! そしたら準決勝やって、3位決定戦をやる! 決勝は個人戦とパーティ戦の準決勝と3位決定戦をやってからな!」

「遂にバフ料理が完成したそうですが、当然今武闘大会中は無効になります。試合中回復アイテムの使用は制限され、1試合中パーティー全体で10個までとなります。なお、回復系魔法の使用は制限されません」

「武闘大会中はフレンドリーファイアが有効になるから気をつけたまえ! 射線上に立つなよ! 誤射は許されないぞ! でも俺ごと殺れ! はロマンを感じる」

「はいはい。……重要な概要は以上です。参加者の皆さんは今一度ルールの確認を。それでは、トーナメント表を作成しましょう。まずは個人戦から」


 全てのディスプレイに名前の書かれていない、棒だけのトーナメントが表示されました。そこへ一斉にルーレットのごとく文字が流れ、上から順に名前が決定していきます。

 参加者の運命が決まる瞬間ですね。第一回目ですからシードとか無く、有名プレイヤーとかも当然関係なく放り込まれてます。


「次はパーティー戦だー! はいどん!」


 同じようにずらずらとディスプレイに表示されていきます。


「それでは! 第一回公式イベント、武闘大会の開催を宣言致します!」


 三武さんの宣言と共に、突然花火が上がります。

 リアルでお昼過ぎたのでゲーム内も真っ昼間ですが、見えるので問題はないでしょう。一応盛り上がったようですし。


 さて、私もホットドッグ売り始めましょうかね。1000で販売。リアルタイム1人1個の制限。バフ付きホットドッグは2300と2.3倍ぐらいにしましょう。

 ケチャップのみ、ケチャップとマスタード、バフ付きケチャップのみの3種用意済みですよ。


 武闘大会が始まり、ディスプレイをちら見しつつ作り続けます。


「儲かりまっか?」

「ぼちぼちでんなー」

「そりゃええな! で、本音は?」

「はははは! 笑いが止まりませんなぁ!」

「結構ノリ良いよね姫様」

「まあゲームですからね」


 実際儲かってるのも確かですし。初期投資にそれなりの額と、加工にソコソコの時間を使用しますが、出せば売れるので中々良いですね。


「初期投資分の所持金的に今回の量が限界だったんですよね。まあ、どの道パンの作成が【再現】使ってもネックなのですが」

「【再現】でさっさとしないのは【反応促進】のMP問題?」

「そうですね。酵母、元種、生地とどれも使うのでMPが洒落になりません」

「それで【再現】しながら手動でも作ってるのね」

「香りでの呼び込みもできますからね!」

「逞しいわね……」


 豚の腸が1個1000なので笑いが止まりませんなぁ! 中に詰めるお肉は自分で狩りに行っているので、お金はかかっていませんし。……まあ、時間がかかっているのですが、レベル上げにもなりますので問題はありません。



「おいお前、横入りしねーで後ろ並べや」

「あ? んだおめぇ、俺は攻略組だぞ?」

「ほぉ……で?」

「バフ料理があるそうじゃねぇか。攻略組が優遇されんのは当たり前だろ?」


 なんか私の料理目当ての列に横入りした人が注意した人に絡んでますが、放置でいいでしょう。

 いやだって、注意してる人ルゼバラムさんだし……。ワールドクエストで部隊長やって、北の町も解放した人ですよ。


「お前ん中ではそうなんだろうな。だがここはちげぇんだ後ろ行け」

「俺が誰だか分かってんのか? あ?」

「いや知らねぇよ誰だてめぇ。セシルや姫様、エルツぐらいになってからほざけ」

「てめぇ!」


 貴方も十分有名人なはずですけどねぇ? ルゼバラムさん。

 まあ、ケモケモに寄せ過ぎると見分けがさっぱりになってしまうのですが。だってクマだし……。逆にケモナー組からするとそれも分かっているようで、皆何かしら見分け用のアクセント付けてるんですよね……。


「死ねや!」

「はん、必殺クマパンチ!」

「ぶへぁ!?」


 剣をスルッと避けて顔面に炸裂しました。まあ、ですよね。

 マジモンの攻略組と言えるトッププレイヤーのルゼバラムさんが知らないんです。仮にトップに入っていたとしても、ギリギリではないでしょうか?

 そもそも……トッププレイヤーとかって、他者から言われる物で自己申告制じゃないでしょう。


「攻略者が攻略者筆頭のクマさん知らない時点で攻略者(笑)だよな……」

「ほんとにな」

「姫様あいつ知ってる?」

「いえ、全く。ルゼバラムさんが知らないんですから、私が知るわけ無いじゃないですかハハハ」

「だよなー。姫様案外交流は狭い……と言うか、『姫様に話しかけるなど恐れ多い!』とかネタなのかガチなのかよく分からない奴が多いからなー」

「……確かに、判断に困りますね」


 RP的な、キャラ的な意味では一応王族な私なので、その言い分も納得できます。ただ、純粋にリアルでヘタれてるだけという可能性もある訳で……。

 とは言え、あれです。


「まあ、ワラワラ来られても困るので現状維持で良いのですが」

「あー……まあ、そうだな。お、筋力バフ料理あるじゃんやったぜ」


 毎度ありがとうございます。2300頂戴致します。


「ルゼバラムさん大会は?」

「出るけどまだ先なんだわ。だから今のうちに買い物中」


 舞台は沢山ありますが、参加者もソコソコいるので順番待ちぐらいは発生しますか。そう言えば何人参加してるんでしょうね?

 ……大体6000人ぐらいだそうで、私達第一陣が約2万程なのでまあ……PvPだしそんなもんですか。ワールドクエストはほぼ全員いたんですけどね。まあ、私と同じ『対人興味無い。魔物と戦いたい』って人もいるでしょうからね。何故ファンタジーゲームで人と戦わにゃならんのか。見るのはまあ、良いですけど。


 それはともかく、私は料理です。次の施設と言うか、料理キットを買うお金は確保しておきたいですからね。稼ぐぞー!





「決まったな! 個人戦優勝! セシル!」

「『うおおおお!』」

「ぬわー! また負けたああああ!」

「相変わらずハルバードでよくやるよ……危ない危ない……」


 あ、リーナ決勝してたんです? お姉ちゃん見てなかったよハハハ。


 これでホットドッグはラスト……と。いやぁ、我ながらやりきりました。

 さて次だ、やりましょう……ビーフシチュー作り! 材料はあるんです。いえ、微妙に一部無いですけど、まだ見つかってないのでこの際仕方ありません。


 石窯セットに付いてきた天板に、今まで出番のなかったスネ肉を2キロぐらい設置して、パン焼きの役目を終えた石窯に放り込みます。180度ぐらい。ゲーム内なのですぐ焼けるでしょう。

 今のうちに鉄フライパンで玉ねぎとニンジンを雑にスライスして炒めます。大体玉ねぎに色がつくぐらい。


「……お姉ちゃん、試合見てましたか?」

「え、なに?」

「妹の活躍……」

「家でも面倒でやらない料理チャレンジしてるから、パーティー戦頑張って?」

「うおっほい! 行ってくる!」

「はっ、ちょろいわ……」

「『妹ちゃん……』」


 石窯に放り込んだものをひっくり返していき、良い感じに焼き上げます。

 石窯で焼き上げたスネ肉と、炒めた野菜をヘラで焦げ部分ごと……焦げ臭くはないですね、鍋に投入。

 ソコソコ大量のトマトを雑にスライス、赤ワインもドボドボ、後は水で。


 そしたら火にかけます。温度計で沸騰前の90前半を保つように、灰汁と脂を取りつつチクタクしながら煮込みます。リアルでやると10時間の長丁場ですが、ゲーム内かつ【反応促進】によるチクタクを駆使して最大限楽します。


 チクタクしながら灰汁やらを取りつつ、新たに玉ねぎ2個とニンジン1個、更にニンニク1個をフライパンで炒めます。

 その後これを一度濾し、残ったお肉や野菜達は新たな鍋に投入。新たに炒めた物を投入。赤ワインも同じぐらいね! 残りは水。

 今度は中火でコトコトしながら、沸騰しそうになったらまた弱火に移し、90度中盤を保ちつつ、灰汁と脂を取りながら再びチクタク……。10時間再び。


 そして、このスープを混ぜます。勿論中身は濾して。しかし10時間の再来。ええ、チクタクしながら煮込みます。これでフォンドヴォーが出来ますね。しかし目的はビーフシチューです。デミグラスまで持っていきます。

 というわけで、一週間ぐらい更にチクタク飛ばします。焦げると全部がパーになるので、火や鍋、温度計をガン見しつつですよ。と言うか1回じゃMP的に無理。


 煮詰めて半分ぐらいになりますが、無事に乗り越えたら仕上げです。塩や赤ワイン、砂糖を追加し味を整えます。もうこの時点で物凄くコクがあり美味しいですね。

 んー……牛バラを角切りにして入れますか。となると、まずフライパンで表面を焼いて、バラなので余分な脂を取ってから鍋に入れましょう。灰汁と脂を取りつつ3時間ぐらい煮込みます。

 そしたら……シンプルにいきましょう。じゃがいもとニンジンをざっくり切って鍋に入れ、30分ぐらい煮込めば……完成です!


 地獄のような作業量。



[料理] とろとろに煮込まれたお手製ビーフシチュー レア:No 品質:B+

 優れた料理人が何日もかけて作った、王族をも唸らせる至高のシチュー。

 複数の旨味が溶け込んだ、濃厚な料理。

 満腹度+35

 追加効果:精神が5%上昇する。

 効果時間:5時間

 内包:器、スプーン

 調理者:アナスタシア

 食器類:プリムラ



 ……成し遂げた。

 レシピが飛ぶ前に各工程登録しておきましょう。



「決まったな! パーティー戦優勝! アキリーナ率いる『お姉ちゃんの手料理がご褒美』……なんだこのPT名……まあいいや!」

「『う、……うおおおお!』」


 妹が無言で……コロ◯ビアのポーズしてますね。おめでとう。


 ……お姉ちゃん必死過ぎて見てなかったけど。


今ゲーム内にある材料で作れる料理探すのが鬼門。

更に作り方を調べてゲーム内に落とし込む整理が必要。

3日じゃ足りんな!


GM八塚さんのイメージはPS◯2のヒューイ

ポットヌードル→ポッツヌードル

ルートビア→ルーツビア

ドクターペッパー→Dr.ペッパー

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― 新着の感想 ―
う~ん。牛骨出汁だとこってりしそうだし、魚の骨を焼いた方が使いやすいかも? ハーフだから牛の方が馴染みある味になるのかな? とか思ってたらビーフシチュー作りたかったのか。
[一言] 密林って…Amazonのことか!
[一言] PSO2やってるんですか?あれ楽しいですよね!今チャットゲーと化してますけど。NGS早く出ないかなぁ
感想一覧
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