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掲示板回は当然本編が進まないので、本編です。
今回はトップ木工師登場。それと生産日。
すぽーんと飛んでいましたが、リアル場面で出てくるコネクトボードは所謂スマホの進化系です。
さて、ログインしたら東の森にあるセーフティーエリアですが……。
んー……流石にこの時間エルツさんはいませんか。朝6時前ですからね。
周囲に誰もいませんし、今日は何するか考えながらストレッチでもしますか。
ボア皮は9枚ですか……美味しいですね。
お肉がだいぶ溜まっているので《料理》でもやりましょうかね?
となると……街に戻って調味料や野菜を買う必要がありますか。
今日は生産でもしましょう。
《料理》
【焼きの心得】【料理知識】
心得:その料理法の料理が可能になる。
知識:手動料理時、システムアシストのラインが入る。食材系ドロップ率上昇。
ふむ、なるほど。
この書き方……つまり現状焼き料理しかできないわけですね? 可能になると書いてあるのですから、心得が無いとできないのでしょう。
ん……? つまり《料理》を取らないと焼肉すらできないと?
《料理》はやるなら取る。やる気がないなら取らないと言う選択になりそうですね。とりあえず取っとくと言う選択肢は無さそう。
携帯食料は安いと言ってましたから余計にですか。……不味いらしいけど。
よし、ストレッチと言う名の体幹トレーニングもこのぐらいにして、倒しながら採取しながら街に向かいましょう。
街に向かう最中で6時になり、明け方へ切り替わる。
つまり私はお日様に焼かれながら街に向かう。どうせなら自動回復スキルも上げたいので、昼間の方が嬉しいですけどね。
スキルはポンポン上がっている気はしますが、サービス開始2週間経ってこのレベルは低すぎるのです。初期は大体30までらしいので、漸く半分といったところ。
スキルによるステータス補正がベースレベルアップより大きいですから、カタコンベでベースだけ上げてもしょうがないのですよね。人外は進化があるだけましですけども。
街に着いたのでまずは組合へ行き報告。同じのを受け直して組合から出ます。
さすがこの時間だけあって、人は少ないですね。歩きやすいので構わないのですが。
《料理》に使う物を買うため南の商業区へ行きましょう。
えっと……食料品店はー……何個かありますね。微妙に品揃えが違うようですが……今焼き料理しかできないんですよね。
問題は判断基準がどこなのか。
ハッシュドポテトは最終的には揚げますが、電子レンジはないのでじゃがいもを茹でるなり蒸すなり必要です……。
揚げの心得を持っていても、茹でなり蒸しを持ってないと失敗するなら中々難しいですね。まあ、恐らく失敗するのでしょうけど。
ホイル焼きとかは焼き料理と思って良いんですかね?
……まあ、焼肉しましょうか。
塩と胡椒を購入。
塩が1個50。胡椒が1個100しました……。高いですね。30個ずつ購入し4500の出費……地味に痛い。しかし1個10回使用できるので、300回分です。
玉ねぎとキャベツも買っておきましょう。両方『っぽい物』って付きますが。
1つ10なので10個ずつ購入。まだ使う予定は無いので、十分でしょう。
さて、一度ログアウトして朝ごはん食べて……用事済ませますか。
再びログイン。10時なのでゲーム内は夜です。
おや、エルツさんがログインしていますね。早速売りに行きましょう。
「ご機嫌よう、エルツさん」
「おう? ああ、姫様か」
「皮持ってきましたよ」
「買う買う」
ボア皮10枚が2万になりました。実に美味しいです。
「そう言えば、公式サイトは見たか?」
「公式ですか? いえ、見てませんが……」
「第一回公式イベントするってよ?」
「あ、そうなんですね。確かゲーム内からでも見れましたよね?」
「見れるぞー」
第一回公式イベント……武闘大会開催のお知らせ……ですか。
始まるのはもう少し先……サービス開始4週間目でやるようですね。
夏休み入るほぼ直前ですか。
「姫様出るのか?」
「いえ、対人には興味ないので」
「そうか。まあそういうのもいるわな」
公式イベントはスルーですね。
予定に変更無く、今日は生産をしましょう。
となると初級料理キットですね。左腰にあるポーチからキットを取り出すと、正方形の透明な箱にミニチュアのような物が入っているのが見えます。
その正方形の箱を地面に向けるとプレビューが表示されるので、これを見て展開場所を決めろ……と言う事でしょうね。
展開を意識するとプレビュー通りの場所に、小さいテーブルとまな板、包丁とフライパン、大型七輪のような物が出現し、手元から正方形の箱が消えました。
「お、料理か?」
「お肉が溜まったので、上げようかなと」
「まな板は木工、包丁とフライパンとかは俺が作れるぜ」
「あ、そうなんですね。調理道具を作った場合キットはどうなるんですか?」
「キットが保存してくれるぞ。料理キットと同じ内容物を入れると料理キット扱いされるしな」
中々便利なようですね。
外部から手に入れた調理道具はキットに保存が可能で、登録するとキットの展開でそれが出てくるらしい。
これは料理に限らず、全ての生産キットがそうなのだとか。
ただ当然限界があり、しまえるのは各種一種類だけ。まあ料理の場合その種類が結構あるようなので、そんな気にする事でも無いらしいけど。
鍋は大、中、小の3つだったり、フライパンや包丁も数種類しまえるらしい。
流石に、家に置くようなハウジング用の設備は無理……と。
あくまで各種生産キットは持ち運び用。
キットに入れなくても持ち運びは可能だけれど、普通にインベントリに入るので枠を圧迫する。
「鉄が採れるようになったらお願いしましょうかね?」
「青銅で作るのもあれだしな」
エルツさんにお客さんが来たので話すのを止め、こちらも料理を開始しましょう。
生産スキルには3つの方法があります。
リアルと同じマニュアル。
システムも絡むセミオート。
瞬時に生成する完全なオートはアーツの様なので、レベルを上げないと使えません。
例えばお肉を斬る時、リアルのように1個1個切り分けていくマニュアル。
1つ斬ると後はそのように他も斬ってくれるセミオート。
事前に登録した手順で瞬時に生成するオートです。
マニュアル、セミオート、オートの順で上限品質が決まっているらしいですね。
マニュアルが上限なし。セミオートはAまで。オートはBまで。
スキル経験値もマニュアルが多く、オートは少なく……です。
なのでマニュアルでやりましょう。スキル上げるのが目的ですから。
さて、肝心のお肉ですが…………内部レア度や内部難易度があると考えると、まずは兎さんが妥当でしょう。
ボアやベアの肉は後々ですね。大体同じぐらいのスキルレベルが目安でしょうか?
早速兎さんのお肉を取り出しましょう。
まな板の上にででんとお肉が実体化されます。
実体化されたそれを見て思わず固まってしまいました。
「おう、どうしたんだ?」
「……いえ、あの兎さんからこのサイズのお肉が出たのか……と」
「ああ、うん。気にしたら負けだ。肉は全部1キロブロックで1個な。敵のサイズでドロップする個数幅が決まってるとかなんとか」
「やっぱりそうだったんですね。東の敵は2個から4個でしたから」
「姫様《解体》は?」
「持ってますよ」
「じゃあ増えててそれなんだな」
「多くドロップするのは良いことですね」
「何作るんだ?」
「シンプルに塩コショウでステーキでしょうか? いつも通りにしましょう」
早速お肉を切りま……切り……。
「切りづらい包丁ですね……」
「まあ……初期のだしな…………おい待て! その剣は包丁じゃないぞ!」
「こっちの方が切れ味いいかと思うのですが……」
「そういう問題か!?」
「切れれば些細な事です」
という事で、レイピアでスパッと。
そのうち包丁自体に品質上昇的な効果が付きそうですが、現状ならないので別に構わないでしょう。汚れは【洗浄】でどうにでもなります。
「と言うか、分厚くねぇ?」
「……そうですか? いつもこのぐらいですが」
「妹で薄々感じてはいたが、ブルジョアか……」
「まあ……親がですが」
塩と胡椒を取り出し、七輪の中に入っている炭に【火種】で火をつける。
そしたらフライパンを上に置き、熱し始める。
「これ炭補充する必要があるんですかね?」
「いや、いらないはずだぞ」
「火を消すには……?」
「しまえばいい」
「なるほど。ミディアムにしようと思うのですが、そう言えばこのゲーム菌は?」
「状態異常に食あたりがある。……分かるな?」
「…………」
「と言うか、【料理知識】と【鑑定】持ってるなら問題ある場合出るっぽいぞ」
「なら安心ですね」
フライパンが温まった様なので、塩胡椒をお肉に振りフライパンへ。
お肉の焼けるいい音と香りを漂わせながら焼いていきます。少し経ったら火から離して更に焼き、ひっくり返して火に戻す。そしたらまたフライパンを持ち火から離して、少し焼きます。
「あ、蓋がないですね……寝かせたいのですが……」
仕方ないので少し長めに火を入れましょう。
「これで良いでしょう」
[料理] 贅沢なラビットのステーキ レア度:No 品質:C+
ラビットの肉を塩胡椒で焼いた4センチのミディアムレアステーキ。
丁寧にムラ無く焼かれている。
満腹度+30
調理者:アナスタシア
「ほう、旨そうだな。品質も十分だな」
「C+は微妙かと思ったのですが?」
「《料理》のスキルレベルは?」
「今上がりましたけど1でしたね」
「上等だ。生産はスキルレベルとステータス、方法は勿論、使った道具も品質に影響されるからな」
「初級料理キットで作ったなら上等と言う事ですか」
「大体一番最初は品質E-とかが精々だな。料理はリアルでも経験者多いからD-とかだろうか。何にしても一番最初でC+は上出来過ぎる」
「器用補正でしょうか。あ、食器買ってないですね……」
「食器もキットにしまえるぞ。この世界は基本木製を使用するようだな」
「この世界ガラスありますよね?」
「あるな。あるけど流石にそこまでは知らん」
「機会があれば調べてみましょう。どうでも良い雑学なので。それよりも食器です。このステーキどうしましょう」
流石にフライパンのまま食べるのは少々あれですからね……。
「やっほーおっちゃん!」
「あん? おう、プリムラか! 丁度良い時に来たな!」
「なにー?」
「お前さん食器作れるだろ?」
「そりゃ作れるけど……」
「このステーキあげるので作ってもらえませんか?」
兎獣人の女の子がこっちを見たので、出来たてステーキで釣ってみる。
桜色の髪に水色の目ですね。妹よりも年下……中学生でしょうか?
「おお、ステーキ! すぐできるから待ってね……あ、フォークは?」
「スプーンやフォークも欲しいですね。ナイフは流石に木では無理でしょうか? そうなるとナイフは金属の方が?」
「あー、だが現状青銅しか無理だぞ? ステンレスは勿論、銀だって無い。なんたって鉄すらまだだからな。しかも金属製じゃ使い捨ては勿体無いぞ」
「ふむ、困りましたね……包丁で切りますか?」
「とりあえずお皿作っちゃうね」
木の板を取り出したと思ったら、ピカッと光って平皿10枚がそこに。
あれがオートのアーツ……【再現】ですか。便利そうですね。
「とりあえず平皿と……スープ用の器、後コップね」
木の1枚板がスープ用の器やコップになるのに突っ込むのは止めましょうか。
不毛ですからね。ゲームですゲーム。
「木のナイフもやろうとすれば作れないかな? 作ってみようか」
「お前露店出しに来たんじゃなかったのか?」
「ああ、そうだった! 出す出す」
ステーキをお皿に移し、インベントリにしまいます。インベントリは時間が停止するようなので、出来たてでしまえば良いですね。問題は枠を取ることですが。
一度キットをしまい、2人の露店の少し後ろで再び展開。
フライパンを温めつつ、先程使ったお肉を再び切って、温まったら塩胡椒を振って投入。火力調整はできないに等しいので、距離でやる必要があるのが面倒ですね。
リアルでやったら腕がプルプルしそうです。こちらでは不死者なので大丈夫ですが。
「よし、ナイフ作ってみよっと」
せっかくなので、フライパンを使わず炭火焼きと言うのも良いのですが……ちゃんと網も付いていましたからね。ただ、やったこと無いので品質が保証できません。
フライパンで3個目のステーキを作り終わった頃……。
〈《料理》がレベル5になりました〉
〈《料理》の【茹での心得】を取得しました〉
【茹での心得】ですか。
じゃがいもは買ってないので茹でるものがありませんね。
「どうかしたのか?」
「いえ、【茹での心得】を覚えたのですが茹でる物が無いな……と」
「なるほどな。茹でか……塩以外入れんなよ」
「止めてよね!」
「ん?」
「『茹で』であって『煮込み』ではない! ってことらしいぞ」
「ああ、なるほど。塩以外は失敗するんですね」
「料理の失敗って爆発するんだー。飛び散る調理テロがおきるから気をつけてね」
「え、爆発……?」
「うん、爆発。鍋の中身撒き散らすから気をつけてね」
なぜ……爆発? デンジャラスですね。
ゲームですし、深く考えるのは止めましょう。
「あ、串って作れますか?」
「作れるよー。ちょっと待ってねぇ」
「はい」
もう1個、今度は炭火で作ってみますか。
まずは似たような方法で……ファイアー!
「ああ、肉を焼く音と香りで飯テロしてくるやつが後ろにいる」
「お酒がない今、やはり炭火焼きでしょうか……」
焦げないように見ながら、ひっくり返す。
初級料理キットのですが、火力的には十分ですね?
不満があるとすればサイズでしょうか? まあ、一人分を作るなら十分です。
贅沢なラビットの炭火ステーキになりました。
が、品質が下がりましたね……火の通りにムラがでましたか?
「できた!」
「おや、食べますか?」
「食べるー」
「では3回目に焼いたやつを……」
炭火のは品質D+になってしまいましたし、一番最初のは少し冷めてそうなので、3番目に焼いた物を食べて貰いましょう。
「ナイフチェック! ……うーん、木だしギザギザある方が良いね」
ただ刃のようにしたやつと、波打つようにギザギザのナイフを用意したようですね。
非常に細かいですが、よく出来ているように見えます。
「いただきまー。はむ……んま!」
お気に召したようですね。
塩胡椒で味付けして焼いただけですけど。
また炭火でチャレンジしましょうか。
「美味しかった! 肉厚ステーキ良いね! 食事分の食器セットをあげよう」
「それはありがたいですね」
「ああでも、それだと凄い数になるか……」
木を伐採すると原木が手に入り、原木から丸太、丸太から木材になり、木材を板に加工して、食器系にするようです。
原木1個から丸太3個。丸太1個から木材6個。木材1個から板12枚できるそう。
そして、板1枚からお皿が大体10前後。串は100でスプーンなどは20できるらしいので、ほぼ原材料0に等しいそうです。
しかもどうせ使い捨てが基本なため、木材もなんでも良く、厳選する意味がない。
「今後料理を差し入れするので、食器類の安定供給はどうですか?」
「それは嬉しいけど、こっちが得過ぎないー?」
「食器がないと《料理》を上げられないので、こちらとしては嬉しいのですが……。作ってすぐ捨てるのはゲームとは言えちょっと……」
「むむむ……分かった! 私プリムラ、木工系で困ったら言ってね!」
「アナスタシアです。何かあったら相談させて貰いますね」
「その子アキリーナの姉だぞ」
「え、そうなの?」
「はい。プリムラさんもリーナを知ってるのですか?」
「私に限らずβ組なら知ってると思うけど、私はたまに話すぐらいかなー」
リーナは金属系の装備だから、正確にはリーナのPTメンバーがプリムラさんのお得意様になっているそう。装備によってお世話になる生産者が違うのは当然でしたね。
木工は主に弓や杖の担当だそうで、ほねほねさんもお得意様らしいです。露店で売ってるのも弓や矢、杖が主ですね。
ちなみに、隣に露店出すぐらいなので薄々感じていましたが、木工トップの1人らしいですよ。
[料理] 贅沢なラビットのステーキ レア度:No 品質:C+
ラビットの肉を塩胡椒で焼いた4センチのミディアムレアステーキ。
丁寧にムラ無く焼かれている。
満腹度+30
内包:皿、フォーク、ナイフ
調理者:アナスタシア
食器類:プリムラ
中々細かく表示されるようで。
料理買う時、内包物をちゃんと見ないと地獄見そうですね。
その後も黙々とお肉を焼いてました。
串を貰ったので、焼き鳥ならぬ焼き兎? を作ってみたり。
2人して生産者なので、作業中は話しかけたりしないようです。
このゲームの生産は結構シビアですからね。集中力が必要なのです。
流れ作業より、集中してやった方が経験値の入りが良いとも聞きました。
〈《料理》がレベル10になりました。スキルポイントを『1』入手〉
〈《料理》の【煮込みの心得】を取得しました〉
「お、煮込みですか。スープ系が作れますね」
「煮込みって10だっけ?」
「10ですね」
「順調だな。生産は材料さえあれば動かずやり続けられるからな」
「その材料が問題だけどねー」
「まあそうだが」
「そう言えば、素材にも内部レベル的なのありますか?」
「勿論ある。恐らくドロップした敵と同じぐらいだな」
「私達はフィールドの平均レベルぐらいかなー」
「なるほど、思っていたことが正解だったようですね。成功率が下がるので?」
「正確には判定がよりシビアになる……か? 結果失敗しやすくなる」
「ふむ……焼きはともかく、煮込みとかはどうなるのでしょうか……」
「どうなるんだろうね? 突然爆発するのかな?」
「取り出して調節するのは無理ですよ……?」
「料理人かなり少ないみたいだから、検証も全然だろうねぇ……まだスレ3だし」
料理人全然いないのですか……。
ちなみに鍛冶だと、炉のレベルによってはそもそも加工不可な素材があるらしいですね。融かせないって事なんでしょうけど。
料理だと適した調理道具が無いとダメですが、逆に調理道具があるなら素材による加工不可は無さそうですね? 普通に考えれば……ですが。
「ゲーム内なら夜中でも美味しいやつ食べれるのにねー」
「なるほど」
「まあ、それもありだわな」
「作った人によって味も変わるから、食べ歩きも良いのに肝心の料理人がいない」
「そういや、料理の露店……屋台か? 全然見ないな」
「そもそも売れるのですか?」
「買う人は買う……? 正直現状嗜好品になるからねぇ……。食事だけに味付けの好みも出るだろうし? 何なら置いてみる?」
「冷めたりしないのですか?」
「露店に表示されるのは触ったりできるけど、本体じゃないから大丈夫!」
インベントリから露店の販売設定をすると、露店枠にアイテムが移り店に並ぶことになるが、それはホログラムみたいな物らしい。窃盗も不可能で、時間の経過もないとか。
せっかくなので、置いてもらいましょう。
料理がインベントリに並んでてもあれですからね……。
「値段はどうしましょうか……」
「こっちで決めちゃおうか?」
「じゃあお願いしますね」
「素材とさっき食べた味を考えると……ああ、あと……」
こちらをちらっと見た後ポチポチウインドウを弄っているようです。
お店の端っこにぽんぽんと、串焼きが200、ステーキが600で並びました。
1人3個までと設定されているようですね。
ラビットもウルフも値段は同じのようですが……正直両方ザコ敵ですし、食感の違いだけのようですからそこは良いとしましょう。
しかしお肉はほぼ確定ドロップですが、この値段で売れるのでしょうか?
「微妙に高くないか?」
「作った人補正も入れた」
「……ああ、なるほどな」
んん? 作った人補正とは――
「――まさか、私の手料理だからと……?」
「巨乳美人姫様の手料理が売れない訳がない! しかも普通に美味しい」
さっきちらっとこっちを見たのは確認したのですか!
「やぁ、プリムラちゃん。修理頼むよー」
「おっけー」
エルフの男性からプリムラさんが受け取ったのは……え、楽器?
あんなものまであるのですね。
……まあ、料理の続きをしましょう。
「あれ、プリムラちゃん《料理》取ったの?」
「んーん、後ろのアキリーナさんのお姉ちゃん手作り」
「へぇ、例の。PTは組んでないんだ?」
「あ、そうみたいだね?」
「聞いてないんだね。姉妹揃って美人さんか。目の保養になるね、うん。ここに置いてるって事は美味しいのかい?」
「うん、美味しい」
「丁度減ってるし、せっかくだから食べてみようか。どっちがお勧め?」
「勿論ステーキ!」
ジュウウウウ……。
「……俺も食うか」
15……いや、13ぐらいになったらボア肉試してみましょうかね?
もう少し兎さんと狼で上げましょう。
「んんー、うん。美味しいね。良い焼き加減」
「こりゃ確かに、旨いな」
「でしょー?」
「何でお前が誇らしげなんだ」
「まあ、それは置いといて……できればPT分買いたいんだけど?」
「ダメー。これは料理布教用だから、本人と交渉してー」
「なるほど。確かに料理は人気なかったねぇ……料理人が増えてくれた方が美味しいの食べれるわけだから、こちらとしてもありがたいね。本人と交渉しよう」
ジュウウウウ……。
ひたすらお肉を焼く……と言うのも案外面白いものですね。
油断すると焼きすぎますし、焼き加減にムラがあると品質が下がります。
実はステーキ、かなり難易度高いのでは?
まあ、リアルでもシンプル故に誤魔化しが効かないのですが。
よいしょ…………お、B-ですか。上出来です。
さて、何やら私に用がありそうな人がいるのでそちらの対応をしましょうか。
楽器を持っていたエルフの男性ですね。
「こんにちは、ノルベールと言います。アキリーナさんとはフレンドだけどあまり話さないかな? 大体うちのリーダーが話すから」
「ご機嫌よう。アナスタシアと申します。PTでの付き合い……と言う事ですか?」
「おぉ……カーテシーだっけ、綺麗なものだね。……一応お互いにトッププレイヤーなPTだから、そういう付き合いがあってね」
「なるほど、トップ同士の交流ですか」
「そうそう。それで要件だけど、ステーキを6枚売って欲しい。うちのPT一食分」
「構いませんよ。フライパンで焼いた物と、炭火で焼いた物がありますが」
「むむ……このゲームだと違いがでそうだね……。半々は可能?」
「可能です。品質は全部C+ですが、構いませんか?」
「構わないよ。露店と同じ値段で良いかな?」
「良いですよ」
ノルベールさんに6個のステーキをトレードで渡し、お金を貰う。
「ありがとうございます」
「いやいや、こっちこそありがとうね。後でPTと食べるよ」
修理が終わって楽器を受け取ったノルベールさんを見送り、再び料理を再開。
やっぱりオーブンが欲しいですね。
せめてフライパン用の蓋があればローストビーフが作れるのですが……。
保温が怪しいのは余熱が不十分になるので避けたいところですね……ウルフではなくラビットのお肉なら十分作れそうなのですが。
やっぱ調理道具の充実は考えねばなりませんね。そう考えるとキッチンのためだけに家を買う事になりそうですが……。
まあ、それもまた良いでしょう。お金が貯まったら考えましょう。
さて、そろそろ使用するお肉を変えましょうか。
[食材] ブラウンボアの肉 レア:No 品質:C
褐色猪の肉。
ちょっと癖があるので処理が必要。
癖があるお肉をステーキにするのもあれですよね……さて、どうしましょうか。
やはり鍋でしょうか? 煮込み料理。【煮込みの心得】はありますので……ふむ。
買い物行きましょうか?
「おや、こんな時間ですか。お昼にしましょうかね」
「ん? ああ、もう昼か」
「続きはお昼の後にしましょう」
「午後も生産か?」
「そのつもりです。お肉が沢山あるので」
「そうかそうか。物に限らず生産仲間がいるのは良いことだな」
「ではまた後程」
「おう、体伸ばしとけよ!」
「はい」
エルツさんと話しつつ料理キットをしまって、絶賛生産中のプリムラさんはそっとしてログアウトです。
名前:アナスタシア
種族:不死者の王女 女 Lv12
属性:闇
属:高位不死者
科:ロイヤルゾンビ
スキルポイント:36
スキル
《刀剣 Lv17》《防御 Lv15》《受け流し Lv15》《防具 Lv15》
《光魔法 Lv13》《魔法技能 Lv19》
《感知 Lv15》《看破 Lv14》《足捌き Lv13》
《料理 Lv14》《錬金 Lv1》《採取 Lv13》
《目利き Lv12》《解体 Lv10》《鑑定 Lv20》《識別》
控え
種族スキル
《闇魔法 Lv14》《闇のオーラ Lv10》
《物理耐性 Lv14》《物理無効 Lv12》《魔法耐性 Lv5》《HP自動回復 Lv18》
《不死者の王族 Lv4》《王家の権威 Lv1》《高位不死者》
称号
優雅で静謐なお姫様:他者に与える印象がとても良くなり、警戒もされづらい。