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108 インバムント防衛戦 準備

導入で1万文字近くなったので、分けました。


2020/08/07 3:13 約1600文字追記。ヘルプ内容に少しと、後半。

「帰宅! さあゲームだ!」


 寒くなって来ましたね。もうすぐ11月ですか。エリーやアビーは日本の温度差にキレ気味でしたけど、住んでいても慣れないんですからそんなものでしょう。

 体が冷えないように暖かくして……ゲームしましょう。


 ログイン場所は離宮の寝室です。アイちゃんズと遭遇しつつ、やってきたエリアノーラに挨拶をしておきます。どうやっているのか知りませんが、離宮に来るとすぐに察知してやってくるんですよね……。ちなみに霊体系なので、2階にいても床などを貫通してやってきます。ホラーな住人。

 エリアノーラは私の専属侍女。要するに私のお世話をするのがお仕事の役職ですね。当然立場的に使用人の中でも上位になります。上に来るのは侍女長とか執事になるでしょうが、ここではエリアノーラが使用人のトップです。普通のお城と違って、こちらは仕事自体が少ないので兼務が楽……とのこと。


 おや、ソフィーさんが廊下に出てきましたね。エリアノーラに聞こうと思ったのですが、直接聞いた方が早そうです。


「ん、ネメセイア……」

「ごきげんよう、ソフィーさん。体になにか異常はありませんか?」

「問題ない……」

「それは良かった。進捗はどうでしょう」

「分かってた事だけど……普通にやるんじゃ無理だと分かった……」


 動いている原理からして生者と違うので、作り方の手順などを工夫する程度では無理であり、素材から見直しが必要……と、確定したとか。


「検証の過程で方向性も大体分かったから……後は製法と素材の厳選……」

「必要な素材があれば探してきますよ」

「手持ちにある程度あるから問題ない……それより今すぐできる最も簡単な方法を伝えておく……」

「なにか見つけたんですか?」

「既にあるポーションに【魔化】を使ってから飲めば良い……」

「あ、あー……」

「ポーションも言ってしまえば飲み物……」


 盲点でした……。【魔化】をすれば料理が食べられるようになり、バフ効果も受けられる。ならばポーションとて効果を発揮するようになる。

 問題があるとすれば、【魔化】が地味にレアなアーツということですか。


「【魔化】は宰相に聞いた……サイアーができるはずだと……」

「確かに持っていますね」


 錬金と料理が必要なアーツなので、プレイヤーではそういないはずです。しかも【魔化】は時間で霧散するので、ポーションホルダーが使えません。正直できるだけで実用的ではないため、開発は引き続き行う……と。


「中間報告は以上……。じゃ……」

「ええ、ありがとうございます」


 ソフィーさんは休憩でもするのか、体を伸ばしながら歩いて行きました。


 私は戦闘シミュレーターでもしましょうか。型による訓練を何回かやりましょう。結構楽しいんですよね、これ。

 設定は数を8体以内での変動。攻撃タイプは遠距離攻撃だけ選択。攻撃位置と攻撃属性は特に指定しません。指定しない部分はランダムになります。攻撃レベルは私と同レベル帯に制限しましょう。

 ……そう言えばジェダイやシスの場合、ライトセーバーでの反射は勿論ですが、フォースを使用した対象への攻撃なんかもありますね。こちらでやるなら【念力サイコキネシス】ですか。マインを動かして当てるぐらいしか出番が無いんですよね……。

 飛んでくる魔法を【念力サイコキネシス】で止められればRP的に最高なのですが、私の場合反射かパリィがあるので、MPの無駄遣いでしかないという……。MPはできる限り攻撃に回したいですからねぇ……。


 ビットから飛んでくる攻撃にアサメイを合わせて弾いていきます。自分を囲うように全方位から来るものに、アサメイを当てる音ゲーみたいなものです。ランダムなのでこちらの方が難易度高いですけど。

 余裕がある時はできるだけ狙いますが、ビットは小さいので本来より遥かに高難易度。そういう意味では、これに慣れれば実戦の方が楽になりますね。光と闇はできるだけ弾かずに受けます。体の持つ反射能力は相手に向けて反射してくれるようなので、つまりオート。アサメイの手動より遥かに楽です。

 ビット側の攻撃はランダムなので、飛んでくる攻撃の速度もバラバラです。しかもこのルールでは、私と同じレベルまでの魔法を使ってくるので、移動必須。かと言ってただ移動していると、ウォールやマインに突っ込む事になるでしょう。

 物理攻撃である矢は最優先で弾きます。最悪魔法は当たっても軽減されるので、被ダメ的に問題にはなりませんからね。


 やはり……敵の数が増えれば増えるほど、弾幕が濃ければ濃いほど、クルクルするのは悪くありませんね。武器だけか自分ごとかは流れ次第でしょう。反射を狙う余裕がなく、かつスピードを求められる場合は、クルクルした方が早い。

 要するに、反射で攻撃をするか、身を守るか。アクションゲーム故に判断が大事であり、その辺りの訓練にこのシミュレーターがとても良いですね。型に慣れるのに都合がいい。



 ふぅ……今回はこんなところですか。

 さて次は……おや、冥府の拡張ができますね。しておきましょう。閻魔法廷と城下町がⅢに拡張。多少見た目が変わるぐらいで、この二つはプレイヤーに恩恵はありません。少なくとも、今のところ発見されていませんね。

 よし、地上へ行きましょうか。とりあえず始まりの町へ。


 レベル上げか、散歩か……錬金もありと言えばありですね。素材を弄くり回すのも結構楽しいのですが、何かしら採取にでも行きましょうかね?



〈〈ワールドクエストが発生しました〉〉

〈〈場所:インバムント〉〉

〈〈マルカラント公国海軍の軍人から参加申請が可能です〉〉

〈〈クエスト規模を確認中…………完了。Wクエストに設定〉〉

〈〈このクエストは武装された船による防衛になります〉〉

〈〈ヘルプを参照後、行動を決めることをおすすめ致します〉〉

〈ヘルプが更新されました〉



 ……インバムント! ついに始まりの町以外で来ましたか。

 開始までの時間が表示されていませんね……『???』ということは、何かしらの方法で確認する必要があるんですかね。とりあえずヘルプ見ますか。



※インバムント防衛戦・海戦

このワールドクエストは武装された船に乗り込み、巨大な水棲生物との戦闘になります。

武装された船は複数種類存在します。少人数で動かせる駆逐艦。平均的な巡洋艦。そして攻防に優れるが鈍重な戦艦。飛行種族が翼を休めるための空母や、補給艦は自動です。細かい船の仕様は、クエスト申請時にご確認ください。

クエスト申請時、乗りたい船を選択します。船を動かすための人数に足りない場合、マッチングが行われます。

事前にパーティー・レイド・ユニオンでの申請が可能です。その場合、欠員補充をするか・しないかを選択できます。しない場合は人数が足りない船は選べません。

武装された船は、船員であるプレイヤーのステータスの影響を受けます。プレイヤーは自分の担当する場所を決めることになりますが、それぞれ要求ステータスが変わります。自分に合ったポジションを選択しましょう。

飛行、または水棲種族など、別の手段がある種族はソロでの申請が可能です。ソロの人数に応じて、自動的に空母が出撃します。

一風変わったミリタリーでファンタジーな海戦をお楽しみください。



 船……ですか。私はソロでも良いですが、はて……どうしたものか。

 とりあえずインバムントへ飛んでみましょう。開始時間が分からないのは困ります。というか平日なので、まだ社会人組がいないんですよね……。


 さて、海の方だと思うのですが……マルカラント海軍ってどこですかね? 記憶にございませんが、普通に考えればあるのが当然ですよね。

 ……聞いた方が早いか。プレイヤーが集まってきて多いですが、住人のマークを探して話しかけましょう。


「失礼、マルカラント海軍とはどこでしょう」

「海軍はこのまま南の大通りを進んで漁船市場に出たら、右に進んだ先の大きな建物ですよ」

「ありがとうございます。行ってみますね」

「どうかこの町を、よろしくお願いします」


 あ、これイベント会話でしたか。セリフが特殊ですね。防衛戦が始まる事を、住人達は知っていると。

 さて、マルカラント公国で海があるのはここだけなので、海軍本部があるのもこの町でしょう。場所は漁船市場……要するに築地のような場所で、魚介類専用市場通りですね。港辺りはその市場が広がっているのですが、南西の端の方に海軍本部があるようです。

 ということで、そちらへ向かいましょう。……人が多いので亜空間で。


 消防署とかそれぐらいの大きさでしょうか。港の方には結構な数の船が並んでいますね。

 プレイヤー達が集まっている中に、トモスグリーナPTを見つけました。そちらへ行きましょう。亜空間からニュッと出ます。


「やあ」

「「いよう」」

「新しいドレス! 良い……けどおっぱいえっち!」

「うむ。2次元って感じがする」

「だがだいぶ控えめだな!」

「2次元闇系統と考えるとかなり控えめだね!」

「はい。なのでこのまま行きます」


 進化してから今回が初お披露目ですからね。進化後は冥府に籠もっていましたから。家や学校で変わった事だけは伝えましたが、見せなかったので。


「サキュバスって下着とかビキニレベルが多いけど、インキュってどうなんだろうな……」

「……ブーメランパンツだろ」

「それは需要ある……のか……?」

「一部には人気あるんじゃね?」

「町中でブーメランのイケメンか……なんとも言えない気持ちになるな……」


 町中ブーメランイケメンですか……なんとも言えませんね……。ふんどしのプレイヤーならいそうですけど。

 リーナは私の谷間に顎を乗せながら、アイちゃんとにらめっこしていますね……。


「ん……なんか目の色変わっ……うわ、なんかヘルプ追加された!」

「ああ、そう言えばフレーバーテキストに、にらめっこは止めろとか書いてあったっけ。……相手の安全が保証されていないとか」

「魔眼……やっぱりあるのかー。コカトリスとかバジリスクはいるだろうし、注意しないとダメか……」

「ほー? こっちにもヘルプくれ」


 《アイちゃんズ》の【停滞の視線】でぐるっと一周させます。ついでに【索敵魔法】も使ってみましょう。これぞヘルプ開放テロ。


「『うおっ!?』」

「ほう……オーソドックスに来たな!」

「だな。特に捻ってもないようだし。人工魔眼のワードは気になるが……」

「目が潰れそう」


 リーナの言うように、失敗とかあるなら目が潰れそうですね……。書き方的に禁忌かまだ未完成かのどちらかでしょう。そもそも【魔力視】とかも魔眼の一種ですよね。


「じー……」

「やめなさいな」


 またにらめっこを始めた球体を掴みま……むむ。この《アイちゃんズ》の球体、大変癖になる感触していますね……。


「スライム……いや、低反発……お餅とかパン生地?」

「おぉ……おめめちゃん気持ちいい……」


 この球体はただの球体であり、お目々ちゃん本体ではないようですね。潰したり伸ばしたりしても、お目々ちゃんに指を突っ込むことはないようなので、気兼ねなくムニムニできます。


 さて、話をイベントに戻しましょう。


「で、どういう状況?」

「前兆を感知してるけど、対象とかの調査をしてる段階だって」

「なるほど。って言うと場所の特定もまだだから、開始時間が分からないのね」

「そういう事ー。既に飛行組と水棲組が探しに行ったみたいだから、そろそろ情報出るんじゃないかな?」


 今は調査フェイズということですか。


「掲示板見る限り、水中も空中も地獄っぽいけどな……」


 どうやら大型と取り巻きから逃げてきた水中の魔物が沢山いるようで、その魚を狙って空の魔物も集まり……と、調査がかなり大変なようですね。とは言え、誰かしらくぐり抜けて情報が出るでしょう。

 海軍本部の前にイベントNPCである軍人が出てきているようで、近くに来たことでイベント用のUIが使えるようになりました。


「この戦艦、ヤマトだろ」

「ヤマトだな。収束魔動砲は草」


 戦艦の情報は……戦艦2隻ありますね?



軍用艦

 戦うことを目的として作られた軍艦は、金属を魔法触媒にする技術を応用し、船を象った巨大な杖とも言える代物だ。

 搭載されている武装は機甲種が持つ武器が元となっており、魔力が主動力となる。


超弩級戦艦

 戦艦は優れた射程、高い攻撃力と高い防御力、そして低い機動力を持っている。

 ただし、動かすにはそれ相応の人数が必要となり、目立つため狙われやすい。

 水上・水中・上空と、様々な魔物に対処できる武装を持つ反面、取り付かれると厳しい戦いを強いられる事だろう。

 推奨:遠距離での殴り合い。

搭載武装一覧

 46センチ3連装魔動砲:3基。

 15.5センチ3連装魔動砲:2基。

 12.7センチ3連装広角魔動砲:12基。

 25ミリ3連装広角魔動銃:52基。

 25ミリ単装魔動銃:8基。

 180センチ収束魔動砲:1基。

 高水圧魔動シールド:10+4基。

搭載射撃モード

 榴弾:46センチ、15.5センチで選択可能。

 徹甲弾:46センチ、15.5センチで選択可能。

 三式弾:15.5センチ、12.7センチで選択可能。

 魚雷弾:12.7センチ、25ミリで選択可能。

 爆雷弾:12.7センチ、25ミリで選択可能。



 もう一つは高速戦艦。この超弩級戦艦より少ない人数で動かせる戦艦ですね。その分武装は控えめで、速度が出るようです。

 残りは駆逐が2隻、巡洋が2隻。


「1PTで乗れるのは駆逐と巡洋か」

「戦艦はレイドとユニオンだな」

「問題は……」

「巡洋艦なんだこれ」


 駆逐は『対潜が弱いが、砲と対空が強い』と『砲と対空が弱い分、対潜と足回りが強い』の2隻。

 巡洋は『索敵に優れている標準的な船』と『砲と対空が弱い分、対潜に極振り』の2隻。

 おや、フェアエレンさんが来ましたね。距離が距離なので、手だけ振って知らせます。


「おっすおっすー!」

「ついに始まりの町以外で来ましたね」

「ねー! 姫様ドレスに戻ってるじゃん!」

「今回の進化で戻りました」

「やっぱ姫様だからドレスじゃないとね! うは、何このラインナップ草」

「フェアエレンさん船って分かりますか?」

「んー……武装から絞れるかな?」


 UIを弄っているので調べているんでしょうね。後は……掲示板ですか。


「戦艦は大和型に金剛型。巡洋艦は利根型の航巡と球磨型の重雷装。駆逐艦が秋月型と島風型っぽい……? また癖がありそうなの持ってきたなー!」

「特定できる程度には原型があるんですね?」

「武装名が多少違ったりするようだけど、大体一致してるようだね。……そうか、この世界だと水中に魔物がいる。重雷装はこっちの世界の方が需要ありそう」


 砲ではなく魚雷管を沢山積んだ、重雷装巡洋艦と言うのがあるそうですね。どうもこの世界は魚雷管ではなく、対潜にも砲を使うようですが。


「むー……船も良いけど、まずは空かなー?」

「私も空にしましょうかね? 仕様確認が先か」

「利根を基準に金剛、大和、秋月、球磨、島風、ソロの順で難しくなるようだぞ」


 種族によって乗れる船に制限あり。主にゴーレムとか大きいタイプですね。ジャイアントも駆逐は1人まで。ゴーレムは戦艦のみ。

 空中・水中共に、特定種族のみでのPT申請が可能。要するに空中戦ができる種族のみと、水中戦ができる種族のみでPTを組めば良いと。


「ソロ組はリスポが港か空母の選択かー」

「船組は轟沈したら港で船選択からのようですね」

「ソロ組が明らかに復帰早いが……まあ、死ぬんだろうな……」

「海上は隠れる場所が無いからねー……」

「そう言えば飛行騎乗組は?」

「ここの運営の事だし、ソロ出撃できるだろうけど……かなり辛そう」


 リーナの言う飛行できる獣魔や召喚体に乗った場合、フェアエレンさんの言う通りでしょうね。個人飛行できる種族より的が大きくなるので、かなり辛そうです。その分火力は出そうですが、飛行できる種族が飛行できる召喚体を出した方が良いですからね。


「あ、学校ぶりー」

「ラピスさんですか。さっきぶりですね」

「今回もこっち入るか?」

「良ければ是非とも」

「あいよ」


 クラスメイトの委員長であるラピスさんが、トモのPTに合流。最近は結構このゲームに慣れてきたとか。……ちゃんと装備も更新されているようですね。


「それにしても凄いゲームだね? 船を使った海戦までやるなんて思わなかった」

「港町の防衛戦ならこうなっても不思議ではないんだよな……」

「ジャンルRPGだから幅ひっろいしな!」


 船着き場や砂浜まで敵が来るのを待つか? と言ったら、戦艦などがあるなら待ちませんよね。

 船着き場や砂浜は最終防衛ラインとして戦力の配置はするけど、沖合からひたすら《水魔法》使われたら堪りません。《水魔法》は海や川などで使うとボーナスがあり、実質敵側の強化ですね。水の魔物に水はほぼ効きませんから。更に大型が来たら余波を完全に防げるかも怪しい。巨体を活かして大きな波を作られるだけで、人間は容易く死ぬでしょう。

 結果的に船で出撃した方がマシ……という事なのでしょうね。


「まあ、できるんだから楽しませてもらうさ」

「気に入らないなら次から参加しないか、要望送りゃ良いしな」

「だな」


 できるかできないかと、やるかやらないかはまた別ですからね。


「おや、あそこに双子がいますね……」

「双子も今回は空かねー?」

「光は使ってこないでしょうけど、問題は飛行速度ですね」

「空は避けれないと的になるだけだからなー」

「今回はサラマンダーが地獄でしょうね……」

「それな!」


 1陣組はレベルも上がって弱点が4倍ではないでしょうが、それでもHPの少ない妖精組は、弱点を突かれると耐えられるか怪しいですからね……。その分体格も小さく死ぬ気で避ける種族なので、まだマシですけど。

 とりあえず、双子を捕まえますか。


「「姫様またドレスになってるー!」」

「どうやら幽世の管理が役割にされたようですよ」

「「これからも姫様が上司!」」

「そうですね」


 双子の方はたまに『現世に留まっている魂を、冥府に連れて行く』クエストが発生するようです。死神と渡し守のコンビですからね。三途の川ではなく、現世から冥府への道案内をしているようで。つまり、2人が持っている進化アイテムだったランタンと、同じお仕事を任されているようです。


 私のフレンドの中では双子が一番年下で、次がプリムラさんですね。つまり……結構可愛がられているわけで。

 トモのPTにいる女性陣は、いわゆる神官系……補助系で短杖のエルフ、リミナさん。そして斥候役で長弓のマシンナリーである、ホリーナさんがいます。今はラピスさんもですね。

 リーナのPTは全員が女性ですし、フェアエレンさんも見た目は妖精なので小さいですが、成人済みです。

 つまり、双子からすればお姉ちゃんがいっぱい。トモやスグ、後はトモのPTのタンクであるラゼグさんなど、お兄ちゃんもいっぱい。変わり種は強烈なモヒカンさんがいますし。ヴィンセントという名の駄犬さんは……何やら双子と同じぐらいのノリで、騒いでいるのを見かけたことがありますね……。

 まあ、年上に囲まれつつも楽しんでいるようで何よりです。



〈〈ワールドクエストの情報が更新されました〉〉

〈〈サーバーがオープンしました。参加申請後振り分けられます〉〉



「『おっ……クラーケン!』」


 イカかタコか知りませんがクラーケンですか。開始時間も来ましたね。この時間なら社会人組も急げば参加できそう……ですかね。


「お二人はどうしますか?」

「「空!」」

「お、やる気ですね。では組みましょうか」

「「わーい!」」


 双子とフェアエレンさんも誘いましょう。


「そう言えば姫様と同じPTは初めてかも?」

「いつもユニオンでPTは別でしたからね」

「とりあえず申請するぞ?」

「『うい』」


 周囲の人口密度が薄くなってきたので、申請して移動しているのでしょう。私達も参加申請して移動です。移動しても周囲のプレイヤーが変わるだけですけどね。


「あ、船の試乗できんぞ」

「マジか。乗ってみようぜ」

「『ほう?』」


 確かに……乗れるようになっていますね。細かい仕様の確認はこっちでしろということですか。とはいえ、私達は空に行く気なので、試乗の必要はあまりありません。むしろ空から動いてるの見ましょう。


 PTリーダーであるトモとリーナが申請したことで、メンバーが消えました。私達も港へ向かいます。


「……あれかー」

「「トモ艦!」」

「アキリーナ艦……PTリーダーですか……」

「まあ分かりやすくて良き」


 見た目はまあ、元になっている名前通りの昔の船に近いのでしょう。元の形を詳しくなんて知らないので、なんとも言えませんが……テンション上がってる人達がいるので、近いのでしょう。

 トモが巡洋艦、リーナが駆逐艦ですね。


「ははぁん……なるほどなぁ……」

「武装によって要求ステータスが違うとは書いてあったが……」

「いや、これキツくない?」

「「ぶっちゃけ無理だな!」」


 トモとスグと……ラゼグさんですか。


「固定や半固定のまま、艦隊戦特化は無理だな!」

「リミナさん機関長行けそう?」

「船は前後にしか行けないし、曲がるのも遅いから難しいなぁ……」

「動かしやすさは駆逐だろうな!」

「んー……これリミナさんとPTリーダー替わるか?」

「トモが機関長の方が良いかもしれんな!」


 おや、掲示板に情報が出ましたね。



艦長

 PTリーダー

 参照:全ステータス、補助スキル、統率系スキル

船務長・航海長

 周囲の船との通信、周囲の地形情報取得

 参照:精神、探知系スキル

砲雷長

 砲撃、雷撃

 参照:筋力、物理攻撃力、知力、魔法攻撃力、攻撃系スキル

機関長

 心臓部、機動力

 参照:MP、敏捷、回避系スキル

補給長

 船の耐久、回復

 参照:HP、防御力、器用、防御系スキル、生産スキル

衛生長・飛行長

 乗組員の体力。飛行組休憩時の回復速度

 参照:器用、精神、回復スキル、生産スキル



 艦長、機関長、砲雷長が必須で……他は選択のようですね。つまり動かすのに最低3人必要になりますね。

 トモが攻撃系の純魔で、リミナさんが神官系と考えると……替わった方が良いでしょうか? しかし神官系なら最大MPは高いはずですよね。


「リミナさんが艦長で、俺が機関な。スグとラピスさんは砲雷で良いとして、ラゼグは補給だろう。ホリーナさんは船務かね。衛生がいないが仕方ないか」

「仕方ないな。大体のPTがこうなるんじゃないか?」

「「なるだろうな!」」


 1PT6人ですからね。タンク、アタッカー4、回復が基本です。つまり普通の狩りPTでは砲雷が沢山。トモのPTはアタッカー3で斥候1なので、マシな方と言えるでしょう。

 私達飛行組も甲板に乗れるようなので、近くを飛んでないで乗り込みましょう。


「これ、どうやって撃つのかな?」

「イベント用の枠出てないか? これだと思うぜ」

「ああ、これかな。……? これ忙しくない?」

「んー……一番サイズの大きい砲塔はボスにオート射撃で良いんじゃないか?」

「となると、忙しいのは広角魔動砲かな?」

「こいつが全部の弾使えるっぽいからな……。とは言え主火力についてはメイン砲塔が担当だろうから、対空か対潜が優先の砲だろう」


 砲雷長のスグとラピスさんが確認していますが、どうやら砲塔ごとに弾種の選択が可能で、砲塔ごとに敵を狙えるようです。射撃モードはオートとマニュアル。マニュアルは着弾予測地点を出してくれるようです。

 砲雷長以外の人も各砲塔に近づけば操作は可能で、小さい砲は銃座に着けるようですね。砲雷長の利点はUIの有無で、どこからでも全ての砲の操作が可能。

 各種弾数も表示されており、艦長が補給艦要請をできるようなので、補給艦を呼べよって事なのでしょう。もしくはソロ組が港、または補給艦から補給物資を運べるようですね。


「弾の違いが良く分からないんだけど……?」

「「あー……」」


 まあ、その辺りはゲームやら何やらで触れないと、知らない可能性の方が高いですかね……。


「榴弾は防御力が低そうな敵を狙う爆発する弾。徹甲弾は防御力の高い敵を狙う弾。三式弾は……対空版ショットガンみたいなやつ。魚雷は撃ったら直進して行くやつで、爆雷がシンプルに爆弾投げ込むやつだな」

「敵に何が効くかは現状撃ってみんと分からん!」

「まあ空には三式でいいとして、魚雷と爆雷は見てみないと分からんか……」

「魚雷管もないし、ドラム缶でもないようだからな……早速確認するか!」


 的がところどころに配置されているので、それに向かって試射。

 金属の高い音のみを残し発射され、球体の弾が的に中って爆発。撃ったのは榴弾のようですね。

 同じく金属の高い音を残しますが、今度はランスのようなモノが飛んでいき、的に命中。これが徹甲弾の演出ですね。

 三式弾は……上空で爆発しました。


「あれ弓にある【エアロフラック】か」

「三式弾とはいったい……」

「三式弾(近接信管搭載)」

「まあ、便利な分には良いか!」


 広角魔動砲……かなり高性能なのでは? 対潜できるよう、結構下まで向くようですね。魔動砲なので、反動がほぼ無さそうなのもあるんですかね? まあ、船によって広角砲の配置が違うので、小型ほど近くを撃ちやすいでしょうけど。


 爆雷弾は榴弾のように球体が飛んでいき、水中で爆発。


「自爆することは無さそう……だな?」

「敵に直撃した場合は分からんがな……」


 魚雷弾を撃つと少し潜った後、進みながらある程度浮上。浅い部分をゆっくり進んで行き、大爆発。


「やっぱ魚雷が最高火力か?」

「魔物相手に当てられる気がしねぇ」

「射程も問題か。メイン砲塔のだいたい半分ぐらいだもんな」


 射程が短く速度も遅いけど、威力はとても高い魚雷。更に魚雷故、浅い部分を進むので相手も選びますね。クラーケンは大きいでしょうから、大丈夫だとは思いますけど……他の水棲生物はどうでしょうか。


「ん!? うはははは! 見てこれ!」

「それは……爆雷ですか……?」

「近くの船から受け取れば、航空爆雷ができるっぽい!」

「明らかに爆雷弾とは別物だと思うんですが……」

「なんだか知らんがとにかくヨシ!」


 ……ああ、ほんとだ。航空爆雷受け取れますね。MP無くなったらこれ落としてれば良いと?

 フェアエレンさんがV字に飛行して投げ捨てると、結構な水柱が上がりました。


「……速度で補正あんのかな?」

「可能性はありますね」

「まあ、欲張ると海が赤く染まるけどな!」


 自分の血ですね、分かります。妖精種の様式美。


「船は船で楽しそうだなー」

「しかしうちのPTでは船を動かす場合、偏りすぎですね」

「「補給長いない!」」

「やるなら船務長が良いのですが、人外の知り合いに補助系が……」

「私がやるなら砲雷か機関だろうしなー」

「人外系は偏ってなんぼですからね……」


 さて、防衛戦始まる前にリアル側を済ませてしまうべきか。ソロ組は特に準備などはありませんからね……。

 船組は船の仕様確認で忙しそうです。……主に調べスキーさんなどが。


「うん、リアル側片付けちゃおう。じゃ、また後で!」

「はい、後程」

「「後で!」」


 一旦解散してリアル側を済まし、心置きなくイベントを楽しむとしましょう。


Wikipediaに載っているリアルでの大和の武装。

 46cm3連装砲塔:3基

 15.5cm3連装砲塔:2基

 12.7cm連装高角砲:12基

 25mm3連装機銃:52基

 25mm単装機銃:6基

 13mm連装機銃:2基


ワールドクエストでの大和モデルの武装

 46cm3連装魔動砲:3基

 15.5cm3連装魔動砲:2基

 12.7cm3連装広角魔動砲:12基

 25mm3連装広角魔動銃:52基

 25mm単装魔動銃:8基

 180cm収束魔動砲:1基

 高水圧魔動シールド10+4基


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― 新着の感想 ―
船員役、どれでも姫さまが適応しすぎて笑う。 艦長→統率系スキルあり 船務長・航海長→探知系スキルあり 砲雷長→知力、魔法攻撃力あり 機関長→MP、回避系スキルあり 補給長→HP、防御力、器用、生産スキ…
[気になる点] 74話洞窟ダンジョンにて、 「料理を【魔化】できるならポーションができても良いのでは? 要検証。」 と、あるのに108話インバムント防衛戦準備でソフィーに魔化すればいいと言われて、盲点…
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