表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

08:その名は

「何の用だ? ニイチャン」

むさ苦しいオッサンだ。どういうことだ?

俺はむさ苦しいオッサンとの出会いは求めていない。

「ギルドの顔である受付には可愛らしいお嬢さんを置くのが常識だ」

「…………むさ苦しくて悪かったな!」

「おっと、すまん思わず口に出てしまったようだ」

「ニイチャン、それ、謝っているつもりか?」

「誠心誠意。大体、むさ苦しいと言うのは自己申告じゃねーか、俺言ってないぞ」

「ピキピキピキッ! おもしれー奴だな」

オッサン、効果音を自分で言うなよ。

「それほどでも、テレテレ」

俺も真似しちゃうぞ。


「ギルド長、すみません。受付変わります」

可愛らしいお嬢さんが登場した。というか、オッサンギルド長かよ!

「オオ、ロザリー。具合は大丈夫なのかい?」

「はい、もう大丈夫です」

「そうか、だがこいつの対応はワシがやっておこう」

「だが、断る!」

「ならば、帰れ。お前は出入り禁止じゃ!」

「それも断る!」



無理矢理席を替わったロザリーさんが聞いてくる。

「どのようなご用件でしょうか?」

「ああ、スキルの迷宮に潜りたいんだが、何か手続きが必要なのかな」

「はい、紹介状はお持ちですか?」

「いや、無い。俺は貴族関係じゃない」

管理迷宮。今後冒険者ギルドの管理する迷宮のことはそう呼ぶ。に入るにはその町の領主か、それ以上の爵位の貴族からの紹介状があれば無条件で潜る事が出来る。

「では、冒険者の方ですね。ギルドカードの提示をお願いします」

「はいよ」

ギルドカードを提示する。

「Dランクですね。所属はローラン王都ですか、でしたら問題ありません」

「お、潜っていいの?」

「待て待て、ロザリー。ワシに見せてみろ」

割り込んでくんなよオッサンギルド長。


俺のギルドカードを覗き込んでいる。

「ダメだな」

「なんでよ?」

「なぜですか?」

「ここを見てみなさいロザリー。市民街と書いてあるだろう」

「はい」

俺は無視かい!

「ローラン王都にはギルドが二種類あるのだ。貴族街と市民街。貴族街は無条件で通してよいが市民街はダメだ。この町の外にいるような奴等が冒険者になっている。得体が知れない奴等だ」

なんか酷い言われ様だな。


「それに、先日市民街のギルド長が死んだばかりだ。剣鬼などと呼ばれていたが、魔物に殺されたらしい。名前倒れもいいところだ」


剣鬼ギルバート。最強と呼ばれた剣豪だ。世間的に死んだとされているが、実際は人を辞めて魔人になっただけのクソじじいだ。ある意味、俺の師匠みたいなものなのかもしれないな。


「名前だけのギルド長が死んだドサクサで不正にランクを上げた者もいると聞いている。そのような者に許可を与える事などできん」


まあ、俺が信用出来ないってのはいいんだけどさ。


「オッサン」

「少し黙っておれ、今、」

「なあ」

気を、放つ。


!!!

飛び退くオッサン。

なんだよ、それなりじゃないか。


「俺のことはいいけどさ、じじいのことをどうこう言うのはダメだ」


「…………」


「あんた、会った事無いだろう?」


「……ああ、」


「ふざけたじじいだけどさ、俺が会った中では最強だ」

先程放った気は、俺がクソじじいと対面した時の十分の一くらいの殺気だ。


「すまない。剣鬼の知り合いとは思わなかった。頼む、気を解いてくれ」

オッサンの視線を追えば、動けなくなってる奴や気絶している人もいる。目の前のロザリーさんもその一人だ。

「あー、すまん。抑えたんだけどな、普通の人にはきつかったな」

ロザリーさんに回復魔法を掛ける。

「光魔法も使えるのか」

オッサンの態度が変わった。ま、力が全ての冒険者稼業、当然か。


「で、俺スキルの迷宮に潜っていいの?」

オッサンに聞く。ギルド長らしいしな。

「すまんがダメだ。一般のDランク冒険者は試験を受けてもらう」

どこもかしこも貴族様は特別なんだな。

「試験って?」

「ソロでの戦闘が可能かを確認する。実戦形式の戦闘を行い合格した者のみ迷宮への挑戦を許される」

「問題ないと思うけど?」

オッサン自身が俺の強さは実感したはずだ。分かる程度の実力をオッサンも持っている。

「例外は認められない。そこはワシの管轄じゃないからな。すまん」

おっと、冒険者ギルドの長が口出しできないって、試験というもの自体がなにやら訳ありっぽいな。

「そっか、大変だな。じゃ、試験について説明してくれ」

「分かった。……ここではなんだ、ワシの部屋に行こうか」

周りを見ると注目の的だ。やだ、恥かしい。


「オッサンが騒ぐから注目されちまったじゃねーか」

取り合えず人のせいにする。

「あんた、とことんふざけたヤローだな。ワシの名前はセザールだ」

「セザールのオッサン?」

「オイ。本気でワシの権限を使って出入り禁止にするぞ」

「反省しています」

「ふざけたヤローだ。そういえば名前はなんだったかな、ヨシワラ、いや、ワラワラ、いや、フジ...」


「ワザとか? 俺の名はフジワラだ。よろしくな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ