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07:冒険者ギルド

人の気配で目が覚める。


気配といっても部屋から離れた階段を登ってくる人の気配だ。

昨日のメイドさんのようだ。朝食かな? ベッドから降り顔を洗う。


ノックの音に返事をする。

「どうぞ」

ドアが開きメイドさんが入ってくる。

「お早うございます」

「ああ、おはようさん」

「お手伝いすることはありますか?」

「特に無いかな。朝食を頼む」

「はい。かしこまりました」

ベルを鳴らし、テーブルクロスを敷き。テキパキと準備を始める。

「お飲み物は、コーヒーでよろしいですか?」

「ん、ああ、コーヒーで」

ノックの後、料理を持ったシェフっぽい奴等が次々とテーブルに料理を並べていく。さっきのベルは持ってきて良いの合図なのか。


「お待たせしました。本日の朝食は...」

なにやら、料理長らしい奴の食材講義が始まっている。それに料理を持ってきたシェフたちも壁際に立ったまま帰る気配が無い。


何となくそんな気がしてたが、基本ずっと居るんだな。

こういうところに泊まる奴等は召使いがずっと居ても気にならない生活をしているんだろうな。

召使い達は空気と同じで居ても目に入らず。気にならないから必要な時にすぐ使えるようにそのまま居させているという感じなのか?


「えっと、悪いんだが一人にしてくれ。見られながら食べるのは性に合わない」

「あ、はい。かしこまりました」

シェフ達が退出していく。素直に意見を聞いてくれたな。


メイドさんが残っている。

「すまないが、あんたも」

「あの! わたくしに何か気にいらない点がお有りなのでしょうか?」

必死な表情で聞いてくるメイドさん。美人さんが台無しだぜ。

これは、もしかして恋愛ルートのフラグでも立っちゃったの?

「満足しているよ。ただ一人が好きなんだ」

取り合えずフラグとか面倒なのでへし折っておく。

「そう、ですか。失礼いたします」

落ち込んだ表情で出て行くメイドさん。


何だろう、恋愛フラグとかは冗談としても、俺の担当を外れたくないとかそんな理由かな。

ヤバイ奴が泊まってて、担当が無いメイドは駆り出されるから俺の担当を外れたくないとか?




テーブルいっぱいに並べられた料理を見る。

肉の塊が丸ごとあったり。パンも丸まる一本の物が数種類。デザートもケーキや果物が数え切れないほどときた。

「朝食じゃねーよなこれ、というか何人前だよ」

今更気付くが、肉を切り分けたりするために残ってたのかなーとか思ってみたりみなかったり。


「取り合えず。スープを、うん。自分でよそうんだよな」

メイドさんに戻ってきてもらおうかなーとか思いながら朝食を済ます。


食べきれない分はアイテムボックスにしまう。非常食兼お土産だ。

新鮮な果物とか、焼きたてのパンや肉とかを仕入れないで済むのはいいかもな。

しかも最高級の品ばかりだし。いっそのこと食事の量を増やしてもらうかな。




大地の鎧を装備してローブを羽織り部屋を出る。

「お早うございます」

ロビーでセバスチャンに声を掛けられる。

「セバスチャン。俺の部屋付きのメイドさんに言っといてくれ。変えるつもりは無いから心配するなって」

「何か失礼な事をしましたか?」

「別に、というか、変な客でも泊まっているのか?」

「その質問にはお答えできません。申し訳ございません」

「ケチだな。セバスチャンは」

他の客の情報を無闇に答えないことには大満足だけどな。

「お客様、私のことはバトラーとお呼びください」

「え、やだ」

「あの、」

「じゃあ、行ってくる」

「あの...いってらっしゃいませ」




冒険者ギルドに向かう。

地図は全て頭に入っているし、昨日の夜の散歩で一度見に行ってある。


冒険者ギルドのある北区画。ちょっとビックリしたのだが、区画のほとんどをギルドが占有していた。

大通りを北に向かうと、大きな門にぶち当たりそこがギルドの入り口になっている。


今、目の前にある門がまさにそれだ。

入っていく冒険者達を見ていると、ギルドの発行している公式な冒険者カードではなく、なにか証明書の様な物を門の横に立つ門番に見せて入って行っている。


謎だな。まあ聞くか。

人の流れがきれたタイミングで門番に話しかける。

「なあ、ここは冒険者ギルドだろ?」

無言でギロリと睨まれる。その視線には殺気が込められている。


普通の人ならば、身が縮こまり動けなくなる。人によっては息が出来なくなる者もいるかもしれない。


普通の人ならばだ。


日々、魔物と殺し合いをしている冒険者にしてみれば、このようなモノは殺気の内に入らない。

本当の本気でこちらを殺しに来る魔物の殺気に比べたら、殺し合いを知らない者の稚技(ちぎ)に等しい。

まあ、やってる本人もそのつもりでやっているのだろうが。

「今日、始めてきたんだ。簡単に説明してくれ」

ギルドカードを見せながら言う。

「フンッ! Dランクか、入った先の受付で聞け」

「はいよー、じゃ失礼するわ」

門をくぐり中へ入る。



ちなみに、冒険者にはランクが存在する。


冒険者ギルドランク

SSS、SS、S:伝説の化け物級。

A:人間じゃないかも?

B:人間離れしてる人。

C:ベテラン冒険者、ほとんどの人はここで終わる。

D:ちょっと凄い冒険者、管理迷宮に入ることが出来る。

E:普通の冒険者。

F:初めはここから。


これで、何となくわかるだろ?

強さの説明は、そのランクの者はそれくらいの実力を持っているという指標だな。

ギルドが管理している迷宮に入るには、最低Dランク以上じゃないと入れない。


俺はその最低ランクのDという事だ。

実力的にはもっと上にいけるのだが、上のランクになるには貴族の保証人が必要だったり、その貴族からの指名依頼は断れないとか、色々面倒な事が増えるのでDランクのままでいる。


普通なら、貴族と関係が持ててその貴族からの依頼も優先的に受けられて上手くいけば自身も貴族の仲間入りできるチャンスも有ると、美味しい事だらけと思うのだろうが、まあクソみたいな貴族しか見てこなかったので俺はそんな奴等と関わる事に一切興味が無い。


よし!

じゃあ、ギルドの受付嬢との運命的な出会いでも経験しに行くか!


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