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49:俺vs俺

ユウキはただの死にたがりだった。


大切な者の死のなか、自分だけが【悪運】で生き残ったのだろう。

おそらくその時から、生きる事も死ぬ事もどうでもよくなったのだ。

他人が見れば生きるための選択をしていないキチガイに見れる。普通なら死んでしまう選択も【悪運】で生き残ってしまう。


色々と雑なわけだ。全てがどうでもいいと思っていたのだから。


ユウキが迷宮に吸収される。


その姿が俺と重なる。否定したいがユウキは俺と似ていた。


あぁ、気が落ちる。


気持ちがささくれ立つ。


人が...恋しくなる。


こういう気持ちが人の狂気を育てるのだろうな...


だが、俺には仲間がいる。


だから...まだ、大丈夫。

「あばよ」

とユウキがいた場所に別れを告げる。







さて、

ちょっと整理しようか。

今の俺のスキルがこれだ。

-----------------------------------------------------

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、スキル強奪改(new)

    (武技)刀術、槍術5、格闘術5、弓術5

    (技) 隠密5、罠解除5

    (魔法)炎魔法5(1up)、氷魔法4(1up)、雷魔法4(1up)、鉄魔法5(1up)

        光魔法5、闇魔法5、忍術5(1up)

    (自動)気配察知5、HP回復5、MP回復1(new)、統率5、クリティカル

-----------------------------------------------------

各魔法と忍術のスキルレベルが上がって、MP回復1を新たに取得した。

これは、まあ、おめでとう俺と賛美しておこう。しかしだ、


【スキル強奪改】


うん、改が付いてるね。なんだこれ!

確かにさっき、スキル強奪を強奪しててなんでって思ったけど、大体スキル強奪はユニークスキルだから強奪出来ないはずなんだがな。


スキル詳細っと、

スキル強奪改:ユニークスキルも極稀に強奪可能。


はいアウトー!

これダメー!

俺一生ソロ確定じゃん!!!

ネコが絶対殺しに来るじゃん!!!

ユウキのクソ野郎、鑑定よこせ!!!


あー、腹水盆に帰らず。

感傷的になってたさっきまでの俺を殴りたい。

こんなことならユウキの鑑定と二刀流が欲しかった。マジ欲しかった。

さっきの俺に軽蔑されるだろうが、この二つのユニークスキル超絶欲しかったっす。

もし、鑑定と二刀流を強奪出来てたら、俺フジワラ改に改名してたね、うん。



……けど、まあ、実際そんなこと出来るわけ無いわな。

このまま消えたいって奴をどんな顔して生き返らせるってんだよな。

今考えると俺、ユウキの事そんなに嫌いじゃなかったしな。死にたがりと一緒には居られないけどさ。



おっと、そうだった。

ユウキに殺されたファムの供の二人は俺のアイテムボックスにしまったぜ。だいぶ焦げてたけどな!

ファム達の蘇生は後でだな、今蘇生しても面倒くさいし、どうせ俺がここを攻略しないと帰れない。


脱出用転移魔法陣が消えたボス部屋。


ユウキの勘では次にレアボスが出ると言うことだった。

けど、あの勘って、俺と戦闘して負けるって事だった可能性が高いんだよな。


実際ユウキ、俺に負けてるし。




ま、あれこれ考えてもしょうがない。

ここから出るには目の前のボス部屋を攻略しなければいけないのだからな。


各種防御魔法をかけ、空蝉も発動する。これ、空蝉分俺が有利に進められるかな?

五階の虚ろな影とはわざと各種防御魔法も空蝉も発動していない状態で戦闘した。


「やべー、すげードキドキする」


ユウキの死とか、色々となんか俺の死亡フラグが立ちまくってる気がするんだよな。

もっと情報集めておけば良かったかなあ、あー、なんか弱気になってるなあ。


もっと気軽に、


ちょっと前まで、俺もいつ死んでもいいと思ってた、


どうにでもなれってさ、


ちょっと前までさ、


…………死にたくねえなぁ


あー、殺されるなら、――に殺されてーな。


あいつ等を思うと、自然と口角が上がる。


「じゃ、逝くか!」


逆フラグだ、誰かさんの得意技を真似てみる。





ボス部屋の扉を(くぐ)り部屋に立つ。


背後で扉が閉まり。


部屋の奥が眩く輝き。


魔物が一匹出現する!


腰に童子切を差し、大地の鎧を装備し、不敵に佇むその姿。


俺ってあんな感じなのか、迫力あるな。俺の視線に俺が目を開く。


その爛々と光る紅い目は、魔に類する者の証し。


その姿に魔人となった剣鬼ギルバート、じじいを思い出す。俺も魔人になったらあんな感じになるのかね。


情報の足りない相手との戦闘、俺と同じ実力を持つ俺、久しく感じていなかった死の恐怖。


ああ、ここで笑ってしまう俺も、ユウキとは違うが、同じ死にたがりなんだと実感する。


全てがクリアになっていく...


「殺し合おうか、俺」


俺に向かってゆっくりと歩き出す。


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