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39:プレゼント

僕に会ったよ。この言葉に、


え、なに?

どういうこと?


最下層のボスの事を知らない奴等が理解できずに困惑する。


時間が無い、畳み掛ける。

「強さは?」

「僕だから、多分同じだったと思うよ」

「多分って?」

「一瞬で殺されちゃったからね」

もう少し。

「それは、いきなり必殺の動きをしてきたとかか?」

「そう! そうなんだよ。こっちが驚いてた隙にいきなりやられてさ」

「ユウキさん!」

まだだ、邪魔するな。

「それは、ユウキがいつもする必殺の動きなのか?」

「うん。そうなんだよ、まさか自分にやられるとは思ってなかったから、」

「ユウキさん! そろそろ帰りましょう!」

強引に割り込んでくるユウキの連れ達。


相当酔いが回っているのだろう、されるがままに席を離れていくユウキ。


最後の質問を投げかける。

「それって、虚ろな影を倒した時と同じ動きじゃなかったのか?」

「あー! それだ! そうか、最下層で魔物を倒してた時と違うと思ってたんだけど、謎が解けたよ。ありがとうフジワラ」

「ああ」

知りたい事は大体聞けた。というか、口振りからするとユウキはまだ挑戦するつもりなんだな。

「僕たち、いい友達になれそうだね」

唐突に関係無い事を言い出すユウキ。なんだ?

「ああ、そうなのか?」

「うん、君から欲しい物は無いから、うまくやっていけそうだよー」


!!!


退席するユウキ達御一行。そうかよ、そういうことか。

気配察知で追っていると、店の中と外にいた見張りらしき奴等の半数がユウキ達を追っていく。


ドンッ! と門番がユウキのいた席に座ってくる。

「フジワラー、どういうことだよー、説明しろー」

こいつ酒癖わりーな、光魔法で酔いを一気に醒まさせてやろうか。

「なにをだよ?」

「今の会話だー、僕にあったとか意味不明だぞー!」

「あー、それならここには冒険者ギルドのギルド長がいらっしゃる事だし、そいつに聞けよ」

「おー、そうだな、セザールさんー!」

どーこーだー! とさまよい歩き出す門番。


「フジワラさん、今のは推察ですよね?」

「ん?」

今度はギルド職員かよ。

「虚ろな影がコピーするのは、能力だけでなく戦闘動作もではないかという。つまり纏わりついて能力をコピーしていると言う話し自体の出自に疑問を持っていたという事ですね。コピーされないように一瞬で倒そうと最大の力で倒してくるその事自体が罠ではないかという」

「いや、まてまて。俺はそこまで深く考えていない」

「そうなのですか?」

「虚ろな影がどれだけ関与しているかを確認したかっただけだ」

「つまり、最下層のレアボスの攻略の鍵は虚ろな影にあると?」

「さあな、それより、虚ろな影と戦わないで最下層攻略している奴はいるのか?」

こいつはギルドで情報を扱っている人間なのだろう。普段ならば無理だろうが、酔っている今ならば何か聞けそうだ。

「います。ただ、長くは続きません。ある期間がたつとなぜか皆迷宮攻略を辞めてしまいます」

「十分稼げたからというわけではないよな? 辞めるということは、何かリスクを抱えたからという事だよな?」

「はい、おそらくになりますが、最下層にも虚ろな影が出るのではないかというのが最有力な噂です」

「レアボスが出る条件下で虚ろな影と戦っていない奴が入ると、虚ろな影が出るといったところか?」

「そうだと思います。ユウキさんの話と噂は広がると思いますので、もしかしたらレアボスを避けていたSランク冒険者が明日にでも最下層攻略に出てくるかもしれません」

「ん、それって、レアボスの出る確率ってそんなに低いってことなのか?」

「はい、百分の一くらいと言われています。累積していくので、今ならばレアボスと会う確率が百分の一で済みます。それに虚ろな影に会っていなくて、今話していた情報を手に入れていた人ならば、今ならばレアボスには低い確率でしか会わない上に百分の一を引いてしまっても虚ろな影で済みます」


そうかよ、最下層人居なかったのは、レアボスの確率が高まっていたということかよ。

てか、ギルドもまだ情報握っていたんだな、まあ、噂の域を出てないから売り物として出せない情報なんだろうがな。


最下層についてはまだ謎が多いが、これ以上は実際攻略している奴等からじゃないと情報は出てこないかな。


「ねえ、フジワラさん」

今度は受付嬢さん達だ。ロザリーちゃんもいる、セザールのオッサンは酔っ払いたちに捕まっていてこちらにこれないようだ。

「ん、なんですか?」

思わず敬語になってしまう。女性に対して初心(うぶ)な俺。

「フジワラさんは王都から来たんですよね?」

「はい」

「王都って、ブオトの町と比べてどれくらい違うんですか? お店とか、食べ物関係とか」

あー、都会に憧れる女子みたいなかんじか?


何を話せばいいのか、ふと考えてしまう。お店っていうのはファッション関係とかお菓子とかの事なんだろうな。

と、知り合いの女子を思い浮かべる。ファッションは、わからないな、あいつ等は冒険者だから綺麗なお洋服とか着ないしな、まあ、綺麗な服ではあるけど迷宮産のマジックアイテムだからな、神秘的だったり色っぽかったりするけどその装備だけでローラン王国の国家予算並の代物だし、それをファッション云々として語るものではないだろう。

そのかわり、お菓子関係は結構詳しいかもしれないぞ。女子とネコのお茶会に参加するため甘いものや珍しいものはひと通り調べたし買ったのだ。今もアイテムボックスに入ってるしな、


「そうだな、王都は一般市民の住む市民街と貴族が住む貴族街にわかれてるんだが、貴族街の店の数と品揃えは凄いな」

「へえ、王都の貴族様用のお店があるのね。すごいわね」

「ああ、デザート関係とか結構凝っててさ、ケーキとかアイスとか見た目も綺麗なものが色々あるんだぜ」

「わあ、いいな。一度食べてみたいわね」

「そうね、この町はそういうお店あまり無いもんね」


ちょっと、調子に乗っちゃう?


「じゃあ、お近づきのしるしに、どうぞ」

女子やネコに好評だったケーキを女性の人数分アイテムボックスから取り出す。

「わっ!」

「え、なにこれ!」

「美味しそう」

「綺麗!」

「王都を出るときに買ったものだから、まだ賞味期限は全然大丈夫です。どうぞ召し上がれ」

魔法の鞄に入れてた設定で話す。実際はアイテムボックスに入ってたから買ったときの鮮度なんだけどね。

「ナンダー、ウマソウダナー」

「アマーイニオイダー」

「俺にも食わせろー」


ドカッ!

ケシッ!

ザキンッ!


「邪魔」

「近付くな」

「死ね」


ケーキに近づいてきた酔っ払い男子達が瞬殺される。特に最後の奴、大丈夫か?

しかし、甘いものを前にした女子の力は百倍になるの法則、恐ろしい。


フジワラはスイーツ王子の称号を手に入れた!


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