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27:最下層

八階。

五人パーティーの冒険者が通路にポップしている魔物を上手い具合に一匹づつ釣り出して処理していっている。


魔物の強さはどれくらいだろうか、実際戦ってみないとわからないが、Cランク、たまにBランクが混じる程度か、戦っている冒険者たちはBランクかな、さすがにAランクということはないだろう。

五対一の戦闘、同じBランク同士だとしても数で圧倒されれば魔物とてひとたまりもない。一瞬で殺される。

これがこの後のボス部屋では、魔物三対人一で戦わなくてはならない。


なかなか絶望的な状況だ、ほんと普通にパーティーで活動してきた冒険者にとってタチの悪い迷宮だな。


次のボス部屋は、戦士、盗賊、魔法使いだったか、さっきも言っていたが速攻で魔法使いを殺して、次にバックアタックとか煩わしい攻撃をして来る盗賊だろう、そして最後に戦士。


もし魔法使いへの攻撃を戦士に阻まれたら一気に勝ち目が遠退く、そこんところも折り込み済でここまで来ているということは、こいつらBランクじゃなくAランクなのか?


それに、最下層以外の途中の階層でレアボスみたいな存在はポップしないのか?

もし一匹目を確実に殺すこと前提の戦法を取っているならレアボスが出た時点で詰む。


うーん。ギルドの売っている情報。細かいところが抜けているな。

いや、レアボスという存在自体無いから情報に無いともとれるな、実際俺のいたローラン王国の管理迷宮でもレアボスの存在は認識されていたが情報自体はあまりなかった。遭遇したパーティーは、全滅してそのまま迷宮に吸収され帰ってこないことが多いから、レアボスの情報が出回らないのだ。


八階のボス部屋を何度も挑戦している五人組。

三回目の扉が開いたとき、挑戦者がボロボロの状態で出てきた。

「奇襲に失敗した」

「そうか、だが勝てて良かった」

「ああ、回復を頼む。後、宝箱が出た」

「オォ! 何が出た?」

「剣術だ」

「……そうか、ハズレだな」

「ああ、」

回復薬と回復の呪文で体力を回復している。

光魔法のヒールだけ取得している奴がいるのか、商人が後ろ楯だと金が豊富に使えるのかね。


しかし、ケチがついたんだから今日は引き上げた方がいいと思うけどな。

ましてや、九階に挑戦とかいっていたが実力的に無理だろう。


見積もりが甘すぎる。


まあいい、もう見るべき点もないし先に進むか。



九階。

魔物が徘徊する中を隠密で歩く。

もしあいつらが来た場合、この魔物を倒す時間を稼ぐため。あと魔物が掃除されてたら先行者がいるとわかってしまうためそのまま残しておく。


ボス部屋の前に着く。

取り合えずそうだな、最低限の強化だけはしておくか。


時間回復(リジェネ)、氷の守り、耐性強化を掛ける。

童子切(どうじぎり)を取り出し装備する。


「じゃ、やるか」


ボス部屋の扉を(くぐ)り部屋に立つ。


背後で扉が閉まり。


部屋の奥が淡く輝き。


魔物が出現する!


その姿は、冒険者に酷似した者逹。

片手剣と盾をもった戦士。

クロスボウを持った盗賊。

ローブ姿に杖を持った魔法使い。

ローブ姿にメイスを持った、僧侶?

一見すれば冒険者と見まごうが決定的に違う点がひとつ。


その爛々と光る赤い目。魔に類する者の証し。




魔物に向かってゆっくりと歩き出す。


動く事で反応が出、隙が生まれる。

「飛燕!」

ゆっくりした俺の動きに、突っ込んでくる事が無いと判断し仲間に視線を移した僧侶の首が飛ぶ。


人も魔物も同じだ。

後衛というのは、特に前衛に頼りきっている後衛は敵から不用意に意識を外す事がある。

「飛燕!」

呪文詠唱で己に意識を向けた魔法使いの首が飛ぶ。


盗賊の放ったボウを縦に斬る。


盾を前に出し突っ込んできた戦士を盾ごと縦に斬る。…………盾ごと縦に、うむ。

「疾風!」

その隙に後ろに回ろうと、静かに移動していた盗賊の首を神速の居合いで刎ねる。


人型の魔物は()りやすいな。



下へ降りる階段と脱出用魔法陣が出現する。宝箱は無しか。


隠密を発動し、最下層への階段を降りる。


パーティーを組む前、強くなるためにほぼソロでやってきた俺にはいつもやっていた対多数の戦闘だ。

どこから崩せばいいかもわかっているし、敵がパーティーの形態をとっていることで、どう動けば隙が生まれるかも熟知している。


苦戦する要素が無いし、この程度の敵しか出ないなら最下層以外は周回する意味も無い。


想像していたよりも遥かにぬるい迷宮に、少し失望を感じながら思う。

いっそのこと五階に戻って虚ろな影を倒しちゃって、今日中に最下層も攻略しちまおうかな?


とか思った事がいけなかったのか、誰も居ないと踏んでいた最下層ボス部屋の前には人がいた。


独占で周回できると思っていた目論見が一瞬で崩壊。


そして、さらに驚くことに部屋前の人は人であって人でない。


獣人だ!!!


噂でしか聞いた事が無かったが、本当に存在していたのか。


白い体毛に覆われて、耳と尻尾がピョコンと出ている犬の獣人。しかも、メス? いや女の子と言ったほうがいいのか?



オー、マイガッ!!!

イッツ、ファンタスティック!!!

と、叫びそうになるのをグッとこらえる。

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