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24:朝の一時

目を開ける。

いつもの天井だ。


しばらくボーっと見つめる。

「……ふぅ」

来てまだ数日なのに既にホームシックだ。


ホームなど無いんだがな!


ノックの音に返事をし、顔を洗う。


今日は何となく紅茶にしてもらう。

紅茶には何が合うんだろうか、と思いながらパンを(かじ)る。


モグモグしながらメイドさんをジッと見るめる。

黒を基調としたシックなメイド服。なんていうかザ・メイドって感じだ。


うーん。

俺もペット的な何かが欲しいなあ...って、メイドさんがという意味じゃないんだけどさ。

召喚魔法で使い魔呼び出したいなー。白い犬とかフカフカでさ、尻尾もフサフサでさ、いいよなー。

うん、俺は絶対イヌ派だな。ネコなんか生意気なだけだぜ!


あー、最下層で召喚魔法手に入れちゃおっかなー。

イヌに乗って移動とかしたいなー。

いいなー。


あー、紅茶美味しいなー。


「あの、」

「あ、紅茶おかわりお願いします」

「あ、はい」

「ズズズズー...あー、美味しい」

この飲み方は紅茶じゃないなーと思いながら紅茶をすする。


気の抜けた朝の時間を過ごし部屋を出る。


「お早う、セバスチャン」

「お早う御座います。フジワラ様」

「俺、今日からスキルの迷宮に潜るんだぜ!」

「左様で御座いますか、お気をつけて」

「おー、気をつけるわー」


セバスチャンの最高の笑顔に見送られて宿を出る。


取り合えず、ギルドで迷宮の情報を聞いて今日は軽く下見で済まそうかな。


………………

…………何だろうな、今日は監視がついているなあ。ゴルジフかな?

……いや、違うな。二種類いるな。洗練された者達と素人っぽい集団。


素人っぽいのは衛兵かあれは、そうすると町長関係かな。

洗練されてるほうのはわかんねーな。プロっぽいが、何だろうな。


おそらく俺が試験に合格したという情報がゴルジフから漏れたのか、ギルドから漏れたのか。

まあ、ギルドだろうな、建て前上情報は全て冒険者ギルドを通すことになっている。

そこに手の者を送り込んでおけば必要な情報は全て手に入る。


ま、好きにさせとくか。




冒険者ギルド:

「お早う、ロザリーちゃん」

「お早う御座います。フジワラさん」

うんうん、いいね。ロザリーちゃんは、赤毛を後ろで二つに結んだ女の子。

見た目は、俺より年下かな? いや、同い年くらいかな?

むむむ、だが、女性に年齢など聞けないぞ。

「? どうしました、フジワラさん」

「ん、いや、えーと、スキルの迷宮の情報が欲しいんだけど。有料の部分も含めて全て」

「はい、有料情報は最高金貨百枚のモノもありますが、よろしいですか?」

「うん、全部で幾らになるかな?」

「最新版の地図と情報全てで金貨百五十枚になります」

「ほいほい」

金貨を取り出しロザリーちゃんに渡す。


「……はい、確かに金貨百五十枚お預かりいたしました」

「どこか個室に移動するのかな?」

金貨百枚の情報など、ここで喋れるわけが無い。

「はい」

と、手の平で横を見るように案内される。

「ワシの部屋で話を聞こう」


オッサンが出現した!

戦闘体勢だ!


「俺が聞くんだろ、もうボケたのかオッサン。まったくどこにでも湧いてくるよな」

「ここがワシの仕事場だ。湧いて出たわけではないわ!」

「ハイハイ、じゃロザリーちゃん行こうか。オッサンが受付親父をやっててくれるってさ」

「あ、そうなんですか?」

「チガワイ! ワシが説明するわ、こっちに来い」

「ロザリーちゃんがいい」

「ダメだ。お前はロザリーに近付くな!」

「えー、ひでー」

言いつつ、ギルド長の部屋に移動する。


バタンッ! とギルド長室の扉が閉まる。

「もしかして血縁?」

「姪っ子だ」

「俺と仲良さそうだと危険?」

「自覚があるのだろ」

「あれ、じゃあ、今朝からついてる監視に心当たりあるの?」

「監視だと!」

「あら、違うのか」

「まて! 詳しく説明しろ」


…………

……


「町長のタリエリと、もう一つはおそらく商人のマルガリータだな、奴は闇の仕事専用の者達を雇っているという話だからな」

「ふーん、ゴルジフ黙らせたら次がご登場か、しかも二人とかめんどくせー」

「おそらくゴルジフ卿が手を引いたから警戒されたのだろう」

「ふーん、ま、いいや。ロザリーちゃんの件はわかったよ、どのみちスキルの迷宮に潜りだしたら受付とか行かなくなるだろうしな。理不尽な事してくる貴族を潰したから大丈夫かと思ったけどそうでもないんだな」

「たしかに理不尽なことはしないと思うが、ワシが心配しているのはお前の方だ」

「え、ロザリーちゃんが俺に惚れちゃうかもしれなくて心配?」

「フジワラ、お前、ワザと災いを呼び込んでいるだろう?」


オゥ、華麗にスルーされちまったぜ。


「いやいや、そんなつもりは無いけど。俺の行く道に災いがノコノコ出てきた場合は叩き潰すけどな」

「お前は...そういえば、ゴルジフ卿に何をしたのだ? それにあのバケモノはどうなったのだ?」

「バケモノは俺が斬った。ゴルジフとは秘密だ。今後俺の邪魔をしないと約束させた」

「約束だと!?」

「ああ、絶対に敗れない約束だ」

「――それは、まさか、いや、それよりバケモノを斬っただと!?」

「言ったろ。アークデーモンをソロで倒せるってさ、あんなのそれに比べたら雑魚だ」

「あれが雑魚...」


一々驚かれてもな。


「もういいだろ、迷宮の説明してくれよ。早く潜りたいんだ」

「……あ、ああ」

聞き足りないと言う感じだったが、聞くのは俺の方だからな。

大体こっちが金払ってるんだぜ。


困ったもんだ。


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