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02:ブオトの町

乗り合い馬車の揺れが規則的になる。舗装された道に変わったのだろう、もうすぐブオトの町に着くということだ。

荷物をまとめ、といっても全てアイテムボックスに収納してあるので手に持つ物は無いのだが、席を立ち御者のいる先頭へと移動し外を見る。


少し先に町並みが見える。

背の高い建造物がない、見える限りでも二階建てか三階建て位の建物が最高で、それ以上の、それこそ貴族の住まう城のようなものも存在しない。


石の壁。

灰色の壁を想像していたが、赤茶けたレンガのような物で造られた壁が町全体を囲っている。石の壁自体は象徴的なものなのか、壁の外にも普通に家屋が存在している。しかし、貧富の区切りを壁がしているのか、中と外では明らかに建物の質が違う。


景色を見ながら御者に声をかける。

「じゃ、俺はこの辺で降りるわ」

「停まりますか?」

「いや、いい。世話になったな」

ブオトの町が折り返しの馬車なので、料金は先払いしてある。

後方から続く馬車が無いのを確認し跳躍する。


着地と同時に隠密を発動し姿を消す。飛び降りた俺を確認しようと振り向いた御者がキョロキョロと俺を探しながら走り去る。


町へ向かい、ゆっくりと歩き出す。




スキルについて少し説明しておこう。

誰に説明するのかだって? 細かい事を気にしてはいけない。


スキルには、通常スキルとユニークスキルが存在する。


通常スキルにはレベルというものが存在し、最低は1で最高が5となっている。


例えば、今発動した隠密スキル。

これはその名の通り姿を隠す効果のあるスキルで、レベル1だと数秒姿が消える程度、それも注意深い者や目の前でしっかり見られている状態では発動自体が失敗する。それが最高のレベル5になると、どのような状態でも発動した瞬間に姿を認識されなくなり解除しない限りその効果が永続する。いわゆる透明人間になれるスキルというところだ。

最高レベルに達すれば盗みも覗きもしほうだいだ。まあ、最高レベルに成れた者は盗みなんかしなくても、生活できる稼ぎが他にあるだろうからしないと思うが。

覗きも気を付けなくてはいけない。気配察知スキルや鑑定スキル持ち、それに自分より格上の者などには、結構あっさりと見破られてしまう。知り合いをストーキングしてそれをその本人に見つかったらもう自殺ものだ。

ストーキングなどは下種(げす)のすることだ。そんな奴を俺は軽蔑するぜ!


もうひとつのユニークスキル。これはレベルの存在しないその名の通り特異なスキル。

これは先程出てきたアイテムボックスや鑑定がそれにあたる。

アイテムボックスは自分専用の異空間に物を収納できるスキルだ。

鑑定は、その名の通り対象を鑑定できる。


通常スキルは、長年剣を扱ってきたものに剣術スキルレベル1が発現することがあるが、ユニークスキルは先天的に持っていたもの以外では、ほぼ新しく取得できることがない。


スキルの巻物も同じで、ドロップする巻物は通常スキル、つまりレベルの存在するスキルの巻物しかドロップしない。

しかし、極々稀にユニークスキルの巻物もドロップすることがある。売りに出されれば天文学的な値段で取引されるが、そのようなものはまず表に出てこない。


あとは、そうだな。

相手のスキルを奪うことができるスキル。その名も、スキル強奪というスキルが存在する。

凄そうなスキルであるが、実際のところ大したものではない。通常スキルしか奪えないのだ。しかも奪うためには相手を殺さなくてはならない。

スキルを持っている魔物を殺しまくり、ある程度の強さには達することができるが、そこから上にいくことができない。


通常スキルにも極めてレアなスキルが多数存在するが、そのようなスキルを持つ魔物にはまず出会えない。希少なスキルを持つ確率で言うならば、魔物より人間と出会う方が確率は圧倒的に高い。


スキル強奪持ちはここで病む。


自分の利益のために平気で人を殺すようになるか、踏み留まるか。強さだけで言うならば、踏み留まらない方が確実に強くなれる。


俺の一歩もそうだった。謝りながら殺した相手の事は今でも忘れられない。罪悪感というもの、これがなくなったら俺も終わりなんだろうなと思う。




もし、そうなったなら殺してあげる。




本気か嘘か判らない口調であいつが言い。曖昧に微笑む。

今、殺しておいた方がいいのだ! と連れが言い出し大乱闘になった。


あいつ等は元気でやっているだろうか。


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