ぼっちとボス
ゲーム中は瀬奈ではなくセーラと書くことにしました。突然の変更申し訳ない。
その後なんとかアルーニマに戻ったセーラは初めて情報掲示板の存在を知ることとなった。
1のボスのいる場所がわかるとさっそくその場所に向かう。
(よーし、頑張ってボスを倒すぞー!)
ボスバトルは限定されたエリアの中で行われるため、常に一定の距離を置かなければならず、攻撃までに手間がかかる弓はソロには全く向いていないのだがそんな常識が通じるセーラではない。
「ボスはここかな?」
そう言って古びた祠に入ると突然のあたりが明るくなり周囲に結界が敷かれる。
そしてソレは現れた。
「グオおおおおおおおお!!」
1のボス オークキング
高いHPと力を持っており最初とは言え油断するとすぐに全滅してしまう相手である。
「いざ!」
セーラが弓を構え地を蹴る。
同時にオークキングもセーラに向かって突進し自身の巨大な棍棒を振るう。
「っと!」
セーラは危なげなくソレを交わし弓を引き続ける。
「最大ため撃ちで頭にぶち込んでやる!」
オークキングはセーラに向かい棍棒を叩きつけ、拳を振るい、蹴飛ばそうとする。
しかし当たらない。
全プレイヤー最高のAGIをもつセーラにはかすりもしない。
セーラはオークキングの熾烈な攻撃を躱し続ける。
【スキル 心眼を取得しました。】
声が聞こえるが今はそれどころではない。セーラもまたオークキングの攻撃を躱すのに必死なのだ。
やがて最大まで溜まったことを確認するとセーラはオークキングの頭めがけて放つ。
「イケェ!!」
「グオオオオォ!」
オークキングの悲鳴が響く。頭上のHPバーを見ると3割ほど削ったようだ。
「あと3回攻撃すればーー」
その時
セーラは唐突にかつてない悪寒に襲われた。
悪寒の正体は死の予感。
このままでは自分は死ぬ。
そんな確信めいた予感がしたのだ。
「〜〜っ!」
ほぼ反射的だった。
セーラが全速力でオークから距離を取ったと同時にセーラが今までいた場所周辺が吹っ飛んだ。
「なーー⁉︎」
オークキングの必殺技であり切り札『デストロイスタンプ』である。この技の餌食になったプレイヤーは数知れず。
もしオークの行動を見てから移動していたら絶対に間に合わなかった。そう気付いて冷や汗を流すセーラ。
(油断しちゃいけない。これはボス戦なんだ)
そう気合を入れ直した時オークの右肩が突然光った。
(これは…急所狙いのスキル?)
急所狙いのスキルはもともと発生確率が低く設定されておりBまでランクを上げた今も5%ほどの発生確率しかない。
だが発動したなら攻撃のチャンスである。
よく見ると光っている場所はオークキングの古傷だった。
「今度こそ仕留めてやる!」
そう言うとセーラは再び溜め撃ちの準備をすしオークキングの攻撃を避け始める。
先程の広範囲攻撃を警戒し今度は可能な限り距離を取り続けた。
オークキングが痺れを切らし再びデストロイスタンプを使ってくる。
しかし距離が開きすぎているため見てからも回避余裕である。
そしてオークキング技をだし終えた一瞬の後隙を狙い
「これでもくらえええええ!!」
セーラの最大溜めの矢がオークキングの右肩を貫いた。
「ギャァァァィァァァァ!!!」
オークキングの悲鳴が祠にこだまする。すでにHPはあと僅かしかない。
痛みに怯んでいるオークキングにセーラは容赦なく攻撃を加える。
そしてーー
【1のボス オークキング討伐に成功しました。あなたの記録は大変優秀だっだので広場の石板に名が刻まれます。第二の街グンラドインに行けるようになりました。これからもアナディンをよろしくお願いします。】
「やった…」
思わず地面に座り込む。
ノーダーメージで勝ったとはいえいまだかつてない強敵に精神的にすっかり疲れてしまっていた。
「今日はもう帰って寝よ…」
そう言ってセーラはログアウトした。
アルーニマの広場の石板。
そこにはオークキングを討伐したタイムが早かったものトップ10が表示される。
有名プレイヤーのパーティー達が上位を占めている中で二番目のところにセーラの名前とそのタイムが刻まれていた。
次回もう一回掲示板回です
心眼 プレイヤーに何らかの危機が迫っていることを一定確率で知らせる。(ランクアップで確率上昇)
だだしその危機が何なのかはプレイヤーにはわからない。
取得条件 敵の攻撃を一定時間躱し続ける