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虚構世界の弓使い  作者: 釜飯より生まれし男
15/17

ぼっちと再会

「絶望した‼︎肝心な時に体調を崩す自分に絶望した〜‼︎」


「瀬奈‼︎早く学校行きなさい‼︎遅刻するわよ‼︎」


「はーい……」


母親の声に応え、瀬奈は家を出る。

サキとフレンドになった次の日瀬奈はまた体調を崩し、親からゲーム禁止を言い渡されたのだ。

今日それが解除されたといえあれから一週間程たっていた。


(サキはわたし以外にもフレンドがいたらしいし、私の事なんて気にしてないだろうな……)


そう考えるとますます気が重くなる。

自分はなんて運が無いのだろう。


そんな考え事をしながら学校へ行く。

ここも一週間ぶりだがそれに関しては慣れっこなので瀬奈は特に気にしてない。


そのまま教室の自分の席に座って机に突っ伏す。

そしてその数分後


「あ、あの瀬奈さん?久し振りですね?」


誰かが声をかけてきた。

顔を上げるとクラスメートの1人が自分を見ていた。


「一週間ぐらい休んでたので心配してたんです。以前もかなり長く休んでたし……体が弱いんですか?」


(この子どっかで見たような気がするな〜。名前なんだっけ?)


「あ、あの瀬奈さん?」


はっとして返事をしようとするがここで瀬奈をさらに不幸が襲った。


一週間ほど両親以外の人と会話せず、しかも現在超ネガティブ思考になっていた瀬奈はそれなりに改善されていたあがり症を再び発症した。


「だだだだだ、だだ、だ、大丈夫だよ⁉︎うん!平気だから……」


そう言い残して席を立つ。







「ハァーーーーーーーー」


やってしまった。なぜこうなってしまうのだろう。


(せっかく声をかけてくれたのにあの対応とか……あの子絶対に傷ついてるよ……)


瀬奈のネガティブ思考は止まらない。

やがて放課後になり瀬奈は現実から逃げるようにアナディンを始める。








「はぁ、今日はダメだ。全然集中できない」


瀬奈はアルーニマを歩きながらため息をつく。

瀬奈のネガティブ思考はプレイにも影響をだし、いつもは当たる距離でも矢を外しまくったりとグダグダになっていた。


「あ……」


ふと隣を見ると以前サキと一緒に休んだベンチがあった。


「ここでサキとフレンドになったんだよね……」


瀬奈は一週間前の事を思い出す。

彼女は今もログインしているらしいからおそらく会おうと思えば会えるだろう。

メッセージを送れば彼女は来てくれるかもしれない。


が友達付き合いというものをしたことがない瀬奈にはなんて送ればいいのか全くわからなかった。


(もういいや……今までだってぼっちだったんだ。今更気にすることでもないや。今日はログアウトして明日から気持ちを切り替えよう)


そう思いログアウトしようとした時である。


「あ……セーラさん⁉︎」


彼女が立っていた。









「……私のこと覚えてる?」


「へっ?もちろん覚えてますよ!あれからずっとログインしてなかったようなので心配してたんですよ〜」


「あ、その、私あの日から体調崩しちゃって、それで」


「そうなんですか?体は大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫。サキは1人なの?」


「はい、いつものメンバーは今日はいません。それで1人で遊んでたんですけど飽きちゃいまして、もう帰ろうと思ったらセーラさんがいたんですよ〜」


「そう……」


先ほどまでの暗い気持ちが嘘みたいに消えてゆく。

彼女とこうして話をするだけで言いようの無い満足感でいっぱいになった。


「そうだ、セーラさん。ちょっと相談に乗ってもらえませんか?」


「わ、私でよければ」


「実は私の学校のクラスメートでいつもの1人でいる子がいまして、私はその子と仲良くなりたいんですけど上手くいかなくて」


(私に友人関係のアドバイスなんて出来ないわよ⁉︎どうしろっていうのよ⁉︎)


「何回か声をかけたんですけど上手くいかなくて……」


「無視されたりとかしたの?」


「いえ、返事はしてくれるんですけどすぐにどこかへ行ってしまって……」


(なんか私みたいな子ね……)


「どうしたら仲良くなれると思いますか?」


「多分その子も悪気があってそういうことをしてるんじゃ無いと思うわ」


「そうなんですか?」


「ええ、何回も話しかければきっと逃げずに話してくれるはずよ」


「そうですか……分かりました!明日もう一度話しかけてみます!」


今日はもう失礼しますね、そう言ってサキはログアウトしていった。


「どこにも私みたいなやつはいるのね〜」


サキの話す人物にセーラは親近感を覚えた。


「そういえばサキの顔どっかで見たのよね……」


ふと疑問を抱くが思い出せず、きっと気のせいだろうと思いセーラもログアウトをした。






次の日、それは瀬奈にとって忘れられない日となった。

もうすぐこの物語も終わりを迎えます。

どうか最後までお付き合い下さい。

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