ぼっちとイベント4
しってるか……人は醤油を1リットル飲むと……死ぬんだぜ……ガクッ
「どうしよう……このままじゃやられちゃうよ?何か方法ないかな……」
「彼らが光のカーテンの範囲内にいるうちはあらゆる飛び道具は効きません。接近戦をするしかないです。」
「接近戦……そうだ、サキがあの人たちと戦ってカーテンの外に出すっていうのは?そこを私が狙い打てば……」
「光のカーテンの範囲は使用者を中心に半径1メートルですから不可能では……いや無理ですね。後ろの2人もそれなりに名の知れたプレイヤーです。私の実力じゃ動かすこともできません」
サキが残念そうにため息を吐く。
セーラは焦っていた。彼らとは正反対の方向へ逃げたので彼らとは十分に距離がある。しかし後少ししたら彼らはすぐに追いついてくるだろう。
「スキルがきれるまで逃げ続けるのは?」
「光のカーテンのデメリットは使用中ずっとMPを消費、使用者は移動以外の行動をできないことです。しかしそれは相手もわかってるはずです。おそらくイベント終了まで持たせることができるのではないかと。」
セーラは悩んでいた。
自分だけなら助かる自信はあるのだ。
AGIの高さを生かして逃げ続ければおそらく倒されることはない。
けれどサキはそうもいかない。
サキいわく向こうにも【気配感知 A】を持っているらしいのでいずれ追いつかれてしまう。
出会ってまだ少ししか立っていないがともに戦って?ここまできたのだ。
どうせなら彼女と一緒にイベントを終えたい。
「おそらくピスコさんたちは動きながらも罠を設置しているはずです。そのうち逃げることも難しくなります。」
……前言撤回。おそらく自分も逃げきれない。
その時セーラの脳にティンとくるものがあった。
「サキ、いい方法を思いついたわ」
「ヘア?」
「罠の設置はどうだ?」
「問題ないわ。私達が通ったところは罠だらけよ」
「よくもまぁMPが持つな?あんだけ罠を置いたんだ。相当消耗してるんじゃないか?」
「私のMP量はプレイヤー1よ。まぁ残り少ないのは確かだけど」
「早く進むぞ。奴らの行動範囲を縮めて身動きが取れなくなったところを倒すんだ」
「了解〜……おい、セーラたちはどこにいる?」
「さっきから全く動いてないわ。降参したのかしら?っと動いたわよ‼︎2人のうち1人がこっちに向かってくる!もう1人は動いてないわ」
「来たか!おそらくお前たちをカーテンの外に動かそうという計画だろう。動かず倒せるか?」
「1人なら余裕だぜ!」
2人が武器を構え迎え撃つ準備をする。
両者ともに接近していき、そしてーーー
「来た!」
「長刀使いか!行くぜ!」
「2人とも気をつけろ!」
気配感知を使える女性はサキに集中する。カーテンの範囲はは広くはない。
2対1とはいえ油断は禁物だ。
それがいけなかった。彼女は迎撃をもう1人に任せ気配感知の方に集中するべきだった。
そうすれば凄まじいスピードで接近してくる彼女に気付くことができたのだから。
セーラは走る。
サキを相手に接近させ相手がサキに集中したところを自分が急接近して不意を突く。それがセーラの作戦だった。
双剣使いの男に近づく。
彼がセーラに気づき目を見開いた。
セーラは矢を手に持ち彼に向かって突き立てるーーー‼︎
「あっぶね‼︎」
男はとっさに躱す。
矢の切っ先が頬を掠めたが問題はない。
長刀使いは相方に任せ自分は彼女を倒せば問題はーーー
体に電流が流れる感じがした。
男はばったりと倒れる。
(まさか今のはー)
「な、どうして⁉︎」
女性がセーラを見る。
無理はない。あの位置からここまで一瞬できたのだ。
誰だって驚くだろう。
しかし
それでも
彼女は目をそらしてはいけなかった。
「くらええええええ‼︎」
「ーっしま」
次の瞬間サキの振るった長刀が彼女を切り裂いた。
「バカな……」
ほんの、ほんのわずかな時間に起こった出来事。
ピスコは目の前の光景が信じられなかった。
だからだろうかセーラとサキが向かって来た時に彼は致命的なミスを犯した。
後ずさるというミスを。
彼は忘れていた。
シビレ罠は使用者にしか見えないことを
シビレ罠は使用者のHPがゼロになっても効果時間が切れるまで存在することを
自分たちが進んだところには大量の罠を設置していたことを
「アバババババババババばばばば‼︎」
こうしてピスコ達3人パーティは全滅した。
「凄いですねセーラさん‼︎作戦を聞いた時無茶苦茶だと思いましたけど!まさか本当にここまであんな速く移動できるなんて!」
「ははは……」
サキの賞賛に笑って答える。
実際セーラの作戦はかなり無茶苦茶だった。
双剣使いの1人を倒すのをより確実にするために弓スキルで作った麻痺矢で攻撃したのが功をそうしたが、麻痺状態にならない可能性もあったのだ。
もう1人がサキの攻撃を冷静に対処すれば倒さなかっただろう。
ピスコにいたっては倒す予定すらなかった。2人が倒れれば自分達を倒す手段はなくなり、彼は光のカーテンを使い続けるしかない。
後は時間切れまで逃げる予定だったのだ。
ところが実際はこの有様である。
「セーラさん、麻痺状態になってるピスコさんは光のカーテンを使えません。2人にとどめを刺しましょう」
「サキはいいの?」
「私は1人倒せましたからそれで充分です!」
サキの言葉に頷き2人にとどめを刺す。
そしてそのすぐ後
『イベント終了〜〜〜‼︎お疲れ様でしたーーー‼︎』
ガイ子の声がフィールド中に響く。
こうしてセーラの初イベントは終わりを告げた。
双剣の2人に名前をつけるかどうか最後まで悩みましたがやめました。どうせこれ以降だす予定ないし。