ぼっちとイベント2
今回は初めてセーラ視点が入ります
イベントが始まって数分後、3人のプレイヤーがフィールドを歩いていた。
「なぁ今回はどっちのチームが勝つと思う?」
「さあな、ピスコとナージャちゃんは青チーム、カルロスさんは赤チームらしいからな。やや青の有利ってとこじゃないか?」
「あのセーラってやつはどっちチームなんだ?」
「しらねーよ。そもそもあいつが今回のイベントに参加しているかどうかも分からないしな。」
「まぁ俺たちは気にせず弱いやつを倒してけばいいだろ」
「それもそうだな」
そんな会話をしながら歩いている時、突然ヒュッという音がした。
「おい、今の音はなんだ?」
「音ってなんだ?俺は聞こえなかったぞ。気のせいだろ。」
「そうか?おい、お前はどう……だ?」
男がもう1人に聞こうと振り返るとそこには頭に矢を受けて倒れる友人の姿があった。
ちなみにこれはゲームなので現実のように血は出たりはせず、光になって消えるだけである。
「なっ」
「敵襲?どこからだ⁉︎」
あわてて周囲を探るがプレイヤーの姿はなく隠れるような場所もない。
「くそっ。どこから攻撃してやがる!」
「取り敢えず動くぞ!このままじゃ絶好の的だ!」
あわてて走り出す2人。
しかしそれは彼女にとって意味のない行為だった。
動いてようといまいと射程内に入ってさえいれば、姿が見えてさえいれば全く問題ないのだ。
「ぎゃっ」
小さな悲鳴をあげて隣にいた男が倒れる。
残った1人は再びあたりを見回すがやはりプレイヤーの姿も隠れる場所もない。
ふと顔をあげて遠くの高台を見つめる。
そこにわずかに動く人影が見えた。
「まさか……あの距離から?」
それが彼の最後の言葉だった。
次の瞬間彼の頭にも矢が突き刺さった。
「ふぅ」
構えていた弓をおろし一息つく。
プレイヤーに向かって射るのは初めてだったのでそれなりに近づいてきてから攻撃したのだが特に問題ないようだ。
千里眼で見えるギリギリのところの相手も頭は無理も体のどこかに当てることは出来るだろう。
それはさて置き隣にいるサキが口をあんぐりあけてこちらを見ている。
「セ、セーラさん?今何をしたんですか⁉︎」
「何って……千里眼と気配感知で相手の位置を確認して……そこに弓で攻撃しただけ……だけど」
「当然のことみたいに言わないでください!そもそもあんな遠くにいるのにどうして矢が当たるんですか⁉︎」
「現実では……アーチェリーやってる……から」
「もうそういう次元を超えている気がするんですけど……」
サキがなにか言っている間にまた気配感知が反応する。
千里眼で相手の位置を確認して再び弓を構える。
「またですか⁉︎」
「うん、また」
矢を放つと今回は先程よりも距離があったためか胴体に命中した。
しかしそれで倒れたとこを見るにおそらくHPの低いプレイヤーだったのだろう。
「なるほど〜。こんな遠くから攻撃してたから姿が見えなかったんですね〜。でもなんですぐにどこかへ行ってしまうんですか?お礼を言われるのは悪いことではないでしょう?」
「……………………笑わない?」
「笑うわけないじゃないですか‼︎」
「私……極度のあがり症で……知らない人の前だとすごく緊張して……相手の顔も見れないの」
「………………………………」
「………………………………」
「アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \‼︎」
「おい」
「はっ、しまったうっかり!ごごごめんなさいごめんなさい‼︎だから弓をおろして〜!」
「大丈夫……気にしてないから」
「そ、そうですかならよかった……」
そんな話をしていると再び気配感知が反応する。
「‼︎、また来た」
「よーし!そのままやっちゃってください‼︎」
〜観客席サイド〜
「やっぱカルロスさんはつえーな。もう3人倒してるぞ。」
「でもナージャちゃんとかも負けてないぜ?てか全体的に青チームの方に強い奴が集まってるな」
「そうだな。こりゃ青チームの勝ちで決まりだな」
「おい‼︎みろよ!あの高台にいる奴!」
「高台…?フアッ!?」
「何あの獣人⁉︎え、なんで当たるの⁉︎」
「そんなこと俺が知るか‼︎てか矢ってあんなとこまで届くのかよ……」
「届いても普通当てらんないって……何て名前だ?あの獣人……」
「ちょっと待て、暫定撃墜数ランキングに名前が載ってるはずだから……セーラ⁉︎」
「セーラってあの!?」
「まじか‼︎しかも弓もってるしきっとあの子が『姿なき弓兵』だよ」
「まじかよ……め……」
「め……」
「「「めちゃくちゃ可愛いじゃねーか‼︎」」」
その後しばらく観客席はカオスな状態になり運営に注意されるまでになった。
いろいろスキルを考えたはいいけど使う機会がないなー。まぁいっか(諦)