ぼっちのVRMMO
自分の読みたかった小説がなかったので自分で書くことにしました。初心者ですがよろしくお願いします。
チャイムが鳴る音がする。
授業が終わり放課後の始まると同時に多くの生徒達が帰ってゆく。
ここは私立平坂女子高校 日本のそこそこ有名な女子高である。
そんな高校の一年生のとある教室の端っこの席で周りでおしゃべりをしている女子を眺めている生徒がいた。
(…………楽しそうだな)
彼女の名前は 小日向 瀬奈
入学して二ヶ月たってもいまだ友達がいない栄えあるぼっちである。
瀬奈はそこそこ裕福な家庭の一人っ子として生まれた。
しかし体が弱かった彼女は幼稚園に入る前に重い病気にかかり入院、結局幼稚園には一度も行けず、小学校に入っても休みがちだったため彼女は両親以外の他人と話す機会がなくなり極度のあがり症となってしまった。
結果自分から話しかけられず話しかけてもらってもろくに返事ができなかったため彼女に友達はできなかった。
中学も同じ理由で友達が出来ず結局中学生時代も友達はできなかった。
そして中学卒業と同時に親の仕事の都合で遠くに引っ越し平坂高校に通うこととなった。
そんな彼女に友達が出来るはずもなく彼女は今 ぼっちである。
とはいえ16年たつと彼女も諦めはじめており
(別に友達がなくても生きていける)
と考えぼっち生活をエンジョイしている。
さて話を戻すと瀬奈の周りの女子たちはすぐには帰らず楽しそうにおしゃべりをしている。
内容が気になった瀬奈は聞き耳をたてると
(長年の聞き耳をたてて周りの会話を聞いていたため彼女の聴力はかなりいい)
ある話をしていることがわかった。
それは新作VRゲーム『アナザー・ディメンション・ワールド・オンライン』
略してアナディンである。
広大なフィールド、多くの武器やスキル、やり込み要素満載なクエスト、多種多様なモンスターとその完成度から発表から全世界の注目を集めていたゲームで、それの発売日が今日なのである。
すでに瀬奈のクラスでも購入を決めている子がたくさんいる。
ぼっちとはいえ瀬奈はゲームをあまりしたことがなく、ずっと趣味でアーチェリーをやっていた。
実は全国大会で優勝できるほどの腕前を持っているのだがあがり症の彼女は一度も出たことがない。
しかしアナディンのPVの美しさに目を奪われた彼女は悩みつつも購入を決意、あがり症の改善を理由に両親の許可を求めた。
成績も学校トップクラスの瀬奈を止める理由はなく、あがり症は改善したほうがいいと両親も快く許可した。
そして今日瀬奈にとって初めてのオンラインゲームの始まりなのである。
瀬奈は席からたつと教室を後にした。
「ただいまー」
そう言って家の中に入った瀬奈を出迎えたのは母親の小日向 静流 専業主婦である。
「おかえりセッちゃん。この間買ったアレ昼ぐらいに届いて 二階のセッちゃんの部屋に置いといたから」
「ありがと」
「さっそくプレイするの?」
「うんしばらく降りてこないけど心配しなくていいよ」
目指せ友達100人!などと言ってからかう母を背に二階の自分の部屋へ上がる。
部屋に入るとその真ん中に大きな段ボールがあった。
開けてみると中にはVRゲーム機と新作ソフト『アナディン』があった。
1時間ほど取扱説明書を読み心を落ち着かせる。
(落ち着いて…大丈夫。オンラインだからといって誰かと会話する必要はないんだ。ソロプレイでのんびり遊ぶんだ。)
そう自分に言い聞かせゲーム機をかぶりベットに横になる。
音が聞こえるのではないかと思うくらい鼓動が早くなる心臓をなんとか落ち着かせ彼女は目を閉じる。
「いざ、アナディンの世界へ!」
真っ暗な世界の中に瀬奈はいた。
目を開けあたりを見ても暗闇で何も見えず何も聞こえない。
(まさかバグった?)
開始数秒でパニクる瀬奈だがそこへ
【ようこそ!アナザー・ディメンション・ワールド・オンラインの世界へ!】
明るい声が瀬奈の脳に響く。
「誰⁉︎」
【私は皆さんの旅支度をお手伝いをさせていただいてるAIガイド役のガイ子ちゃんです!】
あんまりな名前に思わず絶句する瀬奈。
彼女を無視してガイ子は話を進める。
【まずあなたの名前を教えて下さい!】
そう聞こえるや否や瀬奈の目の前にキーボードと名前欄が浮かび上がる。
初めての体験にドキドキしながら瀬奈は入力する。
『セーラ』
彼女がゲームの主人公に必ずつける名前であった。
【セーラさんですね!では次にあなたの種族を選んで下さい!】
すると今度はいろんな種族のリストが表示された。そこには
獣人族 高度の身体能力を誇りますが魔法適性がありません
エルフ族 身体能力は低いですが高い魔法適性があります
ドワーフ族 高い力と技術力を持ちます。生産向けです。
龍人族 獣人族よりも高い身体能力を持ち魔法適性もそれなりにあります。ただし成長がとても遅いです。
人族 身体能力も魔法適性もスタンダード。迷ったらとりあえずコレ!
ランダム ランダム限定のレア種族があります。思い切って試してみたら⁉︎
とあった。瀬奈はそこのランダムの説明に目が止まる。
(レアな種族…吸血鬼とかイフリートとかそんなの⁉︎あなるのかなぁ…やってみようかな…)
思わず指がランダムのボタンに近づく。
【あ、一度作ったキャラは一ヶ月変えれませんので慎重に決めてくださいね〜】
ガイ子の遅すぎる忠告に瀬奈はハッとする。
(一ヶ月お預けは絶対にイヤだ…生産に興味はないからドワーフ族はイヤだし…でもランダムなら当たる確率はそんなに高くないんじゃ……………よし!)
瀬奈は頷くとランダムのボタンを
押さずに獣人族のボタンを押した。
(変えられないなら確実なのを選ばないと。私耳が良いから役に立つかも)
一人で納得している瀬奈にガイ子は話しかける。
【獣人族ですね!では毛の色と初期武器、初期ステータスを決めてください!】
再び画面が瀬奈の前に現れる。
(毛の色とか…そういえばアナディンのフィールドは森がとても多かったから緑は保護色になるかもしれないな…武器はアーチェリーやってたし弓で…ステータスは弓だし足が速ければ距離を取れるよね!)
瀬奈は振り分けポイント100を
【STR 15】
【AGI 65】
【VIT 10】
【DEX 10】
【INT 0】
に振り分けた。
【ありがとうございます!これで準備は完了です!気軽に楽しくプレイして下さい!】
ガイ子がそう言うと瀬奈の体は光に包まれて視界が真っ白になった。
ステータスみたいな細かい設定はそのうちフェードアウトする予定です。彼女はこのステータスが高いんだ程度でやってきます。