名簿
とりあえず、現時点で明かしても問題のないあのクラスの連中。
一年B組の時にはいないけど、二年E組になったらいるキャラなどもいたりするのだけど、そこら辺に関してはあんまり気にしない方向で。
男子(順不同)
・白石和也(しらいし・かずや) 『新婚バカップルの旦那』
普通という言葉で端的に表現してしまえる少年だが、悪い意味を含まない要素でどこか目を離せない印象がある。容姿的にも特に目立った点はなく、良くも悪くも一般的な造形を外れてはいない。
繰り返しになるが、澄んだ空気を纏った『普通』の少年である。
そんな彼が、何故にあんな個性的な面々と出逢って、あまつさえ『友達』になったのかというのは、傍から見ると不思議に思えるらしいのだが、〝当たり前のことを当たり前に出来る〟彼からすると何の不思議でもない。
故にこそ、救われる者がいるし、幸せを願う者はもっといる
あの個性の集合体というべきクラスの中に、普通ならばそこまで一致することはないという共通点を持つ者が〝二人〟いるのだが、それが何を意味するのかは不明。
偶然か。あるいは……。
・滝沢正人(たきざわ・まさと) 『天才』
貴族風の整った顔立ちをした少年。銀縁眼鏡をかけている。すらっとした長身のモデル体型。
白石和也と天宮壱世とは関係は、幼少期の短い期間ではあったが幼なじみと言ってもいい間柄である。
文武両道で、あらゆることを高水準でこなせる。それは才能と呼べるものではあるが、磨くことを怠らない努力の結晶でもある。
和也と壱世のことが大好きで、彼らのことが好きな者たちは親友であり、祝福してくれる者たちは同志である。だが、敵対者には一切の容赦をしない。
天城財閥麾下十二企業が一つ――『滝沢グループ』の最新にして、優秀なる歯車となるはずだったが、幼い友情が育んだ『心』が既定のレールを外れさせる結果となったのは、『滝沢』という画一化された歯車の集団にとっては想定外に他ならず、本来ならば喜ばれるべき変化の兆しは決して認められるものではなかったのは皮肉の一言。
組織を廻す歯車としての矯正をするための『一手』は、むしろ薄氷の上で停滞していた関係性を一気に悪化させてしまう。
〝人間〟として正しく成長した彼は、自らの起源ともいうべき哀れな者たちを相手取って水面下での戦いに身を投じることとなる。
・久我原鷹志(くがはら・たかし) 『オタク』
自他共に認めるオタク文化愛好家だが、その趣味から連想される人物像とは裏腹に意外に顔立ちは整っている……などと言うと偏見だろうか。
成績優秀者だが、それは親に趣味の邪魔をさせないための手段でしかなく、趣味のためならありとあらゆる苦労を厭わない鋼鉄の意志の持ち主。
パソコン関係に強い白石和也と天宮壱世の幼なじみである。
お勧めのゲーミングパソコン? くれてやる。
諸々のセッティング? 織り込み済みだ。
ハッキング? 大企業の機密情報が必要か?
学園近くのとあるマンションに住んでおり、他の個性的な住人たちと何やらいろいろとやっているらしい。
『青』の揺り籠を護る者。
『蒼』の眷属であり、崇拝者。
・大島陽介(おおしま・ようすけ) 『人畜無害』
人の好さがそのまま滲み出ているような、不思議と見る側に安心感を与えてくれる穏やかな雰囲気の持ち主。かなりしっかりした肉付きの体格なのに不思議と頼りなく見える。
いつも明るい空気を背負っており、白石和也たちのムードメーカーのような役割を担う立ち位置にいるのだが、本人は無自覚。
白石和也と同じく〝当たり前のことが当たり前のように出来る〟タイプではあるが、彼よりも効果範囲は狭い。
むしろ、特定の人物に対しての特効効果を持っていると言った方が正確かもしれない。
ある人物にとっての『帰る場所』みたいな存在。
故に『物語』に深く関わるようなタイプではないが、それこそを望まれており、当の本人もまた普通に望んだりはしない。
しかし、〝当たり前のことが当たり前のようにできる〟ということが持つ意味をよくよく考えると、〝誰か〟が手順を間違うと悲劇を招く可能性もある。
あるいは、あらゆる思惑を超えた『奇跡』に繋がる可能性も……。
・室井八雲(むろい・やくも) 『隠れ御曹司』『ミスター・ハーレム』
天城財閥の現総帥の隠し子であるのが発覚したために、わずか一日でそれまでの人生がひっくり返った『普通』の少年。身長や体重や成績などが軒並み平均的で、これといった特徴がないのが特徴的と言われている。
人付き合いも苦手なため、基本的に幼なじみ以外の交友関係は微々たるものだったが、天城学園への進学を期に様々な環境の変化がドバッと訪れた。
当の本人にとっては悲劇なんだろうが、周囲からするといっそ喜劇的。
平穏をこよなく愛する心優しい性格なため、最近はため息ばかり吐いている。
一見すると脆く折れそうなのに、しつこく折れないタイプ。困っている人は見過ごせず、おっかなびっくりでも手を伸ばそうとするし、そんな彼を手助けしようとする者は多い。
なんやかんやで厄介事に巻き込まれやすく、特に藤原小鳥と白鳳院芙蓉の関係性から数珠繋ぎのように展開していった諸々の出来事は、彼に数多の許嫁を誘引する事態へと発展した。
なんかもぅ厄介事を解決するたびに嫁が増えていく。なんでやねん。
毎朝のように『嫉妬団』の面々から襲撃を受けているために、無駄に回避能力だけはずば抜けている。多分、不意打ちで後ろから撃たれても避ける。
それでも厄介事からは逃げられないどころか、向こうから擦り寄ってくる。
そういう星の下に君はいる。
がんばれ、主人公。
→個別ルート『室井八雲は憂鬱のため息を吐く』
・水城刃(みずしろ・やいば) 『現代の切り裂き魔』『端的に通り魔っぽい』
退魔士と呼ばれるこの世に非ざる悪しき存在を討滅する者たちの一流派――かつての始祖でもある『水城』の剣士。
その名の通り、刃のように怜悧な空気を纏っている。
常に竹刀袋を携えており、その中身は『水城』に伝わる妖刀『紅・血染花』である。
咎人の烙印を押された『水城』としての完成度は非常に高く、剣を教えた祖父からは過去最高の完成度とさえ評価されていた。
だが、本来であれば失われるべき人間性がほとんど損なわれておらず、故に劣化・鈍磨が危惧されるのだが、当の本人はもう気にも留めていない。
人間関係において、室井八雲は別格の親友である。
また、海堂添琉も異なる意味で彼に影響を与え続けている別格の存在。
相手によって態度が異なるので、その変化は親しくない者からすると二重人格かと疑うほどである。
剣という名の兄がいる。
父親は『水城』らしからぬタイプであり、同業の『甘粕』を通じて、要人の護衛などを仕事としていた。とある仕事で赴いた高級ホテルでパティシエールをしていた母親と出逢い、なんかロマンスをしたとかなんとか。
なんやかんやあって現在は喫茶店『和』を開店。夫婦で仲良くやっている。クラスメートの出没率高し。
→個別ルート『妖夢幻想譚』
・夕凪和真(ゆうなぎ・かずま) 『地味な没個性』
地味な没個性。いるのかいないのかわからないぐらいに存在感の薄い少年。
→個別ルート『ノクターンノベル・夕凪和真と(自称)魔法使いの秘密道具』へ。
・日歩宗次(ひぶ・そうじ) 『見た目は不良』
灰色の髪に三白眼。荒れた空気を纏った不良的外見の少年。着崩した制服にシルバーアクセサリーをジャラジャラ下げているが、下品な感じはしない。
基本的にぶっきらぼうで憎まれ口がデフォルトだが、根っこは真面目な善人というややこしい性格をしている。しかもそんな自分が嫌いというのだからストレートに面倒くさい。関わるとロクな目に遭わなそうなのに、なんだかんだで丸く収まるタイプとでもいうべきか。
幼少期に過度な虐待にあっており、髪の色が灰色になるなどの障害がある。味覚、嗅覚は機能低下を起こしており、痛覚はほぼ麻痺している。その反動なのか、身体のリミッターが壊れており、常人離れした腕力や反射神経を得ている。無論、それは正常なものではなく、肉体の限界値を削り続ける諸刃の剣であるのだが、本人はあまり気にしておらず、また周囲にも悟られないように秘している。
多趣味。何かの拍子で興味を抱けば手を出すが、飽きっぽいために変遷が激しい。適応能力が高いために、大抵のことは標準以上にこなせるようになる。
特に体を動かす系は得意。
興が乗らなければやらないタイプなので誤解されがちだが、地頭はかなりいい。勉学の成績向きではない方向性でだが。
御影翔悟と田中静輝とは犬猿の仲でよく揉めている。
夕凪和真とは『幼なじみ兼親友』であり、個人的な事情で『家族』でもある。
デカいバイクを隠し持っているらしい。
ふとした拍子に押し寄せる退屈で色褪せた日常を塗り変える『何か』をずっと探し求めている。己を持たざる者と定義している。ある種の破滅願望じみた行動の果てに辿り着く先に何が待つのかを知るのは、大海に沈み逝く虚空の戦場か、あるいは――
→個別ルート『ノクターンノベル・日歩宗次と雨の日の委員長』。
『フルメタル・ランナーズ』
・御影翔悟(みかげ・しょうご)
眉目秀麗・成績優秀・スポーツ万能・性格良好と神様からたくさんの『贈り物』を貰っている背の高いイケメン秀才。
およそ欠点らしい欠点がないように〝見える〟努力家。礼節を弁え、礼儀も正しく、面倒見もよいのだが、やや行き過ぎて口うるさいと受け取られる時がある。自分に厳しく、他人にも無自覚に厳しいタイプ。関わりが深くなると、わりと迷惑な側面が浮き彫りになってきたりもするのかもしれない。
主夫になりたいらしく、そのためにバイト先でいろいろと学んでいる。
家事能力は高く、料理も上手。お菓子作りが得意で、ケーキを焼いたりもする。
夕凪和真とは中学から付き合いが生じており、その流れで日歩宗次や遊月愛莉などとも関わっていくようになった。
羽柴美命とは幼なじみであり、現在は御影家で共に生活をしている。
というか、美命の面倒を見ているといった方が正確か。
二人だけの生活は色っぽい展開はほとんどなく、健全で穏やかなものではあるのだが、どこかに仄かな違和感もあるようで……。
・田中静輝(たなか・しずき)
中肉中背の高身長。揺るぎない感じの微表情のクール系。やや目付きが悪いぐらいしか外見的な特徴はみられない。孤高の一匹狼的な雰囲気の持ち主。
話しかけるなオーラが凄いが無視はしない。
わりと遠慮のない武闘派で、降りかかる火の粉は徹底的に払うタイプ。
日歩宗次とは犬猿の仲。どうにもこうにも相容れない。
夕凪和真とは普通に友人関係。ホントにいつの間にか。
御影翔悟とはライバル……みたいな? まぁ、普通かな。
基本的にクラスで主に関わりが生じるのはこの三人である。それとは別枠で篠宮戒とその周辺とも関わりがあるのだが、学園での接点は乏しい。
二年になってから、二人の幼なじみと恋仲になった。
公認の二股関係となってから、それまでのクールさが完全に崩壊し、学園でも指折りのバカップルと化した。他を圧倒する桃色時空は見る者に大量の砂糖を吐かせ、とある組織に所属する男子には血涙とともに殺意を抱かせる。
要するに、最近は『嫉妬団』ととても仲良く殺り合っているのである。
『運命』に選ばれていなかった少年。
君の座った椅子は誰のもの?
→個別ルート『ノクターンノベル・田中静輝と二人の幼なじみ』へ。
・藤宮透流(ふじみや・とおる) 『退魔士』
肩まで伸ばした黒髪をうなじで束ねて尻尾みたいにしている。ピアスなんかもしている。平均よりも身長は高いが、肉付きの薄い痩せた体型。ただし、幼少期から鍛えているために貧弱というわけではない。
破魔の業を以て魔を祓う『退魔士』の一族の中でも最強という呼び声高かった『藤宮』の一員として、幼少期を過ごしていたが、ある『事件』を境にほぼ全滅という憂き目に遭い、以降は復讐という薄暗い炎に焼かれながら、各地を放浪していた。
そのため、一年時は出席率も低めであり、同じ『退魔士』である者たち以外との接点もほぼ皆無という有り様。存在そのものが、大多数からは認識されていなかった。
同年のクリスマスに、自らの因縁に概ねの決着がつくのだが、それを受け止められるようになるまでは、それからもそれなりの時間を必要とした。
運命に敗北した復讐者。
敗北の果てに巡った縁は、彼を千年に及ぶ長い旅へと導くこととなる。
二年になってからは、復讐の熱に焦がされることも無くなり、ほぼ幼少期にあった人間らしさを取り戻す。ややバカ寄りの体力お化け。格闘者としてはオールラウンダータイプで、突出したものはないが高水準でまとまっている。
とある館で訳ありの二人と同居しながら、零してきたものを取り戻すように見識を広めているところ。
沙耶守蛟とは幼なじみで修行仲間。
篠宮戒を尊敬し、師と慕う。
→個別ルート『ノクターンノベル・藤宮透流と訳あり同居生活(仮)』へ。
・沙耶守蛟(さやのもり・みずち) 『退魔士』
野性的な細マッチョ。長身。一見すると物怖じされそうな外見だが、笑うと意外に子供っぽいところがある。子供に好かれるタイプ。幼稚園の先生とか向いてそう。
破魔の業を以て魔を祓う『退魔士』の一族の『沙耶守』の技を習得している。
温厚な野生児。半生を山奥にある郷で過ごしており、おまけにほぼ修行漬けであったために一般常識に疎いところがある。
頭を使うのが苦手で、考えるよりも先に動くタイプなのだが、野生の勘的なものが優れているので大きな失敗とかはあまりしない。
同業の『藤宮』が壊滅した事件を経て、藤宮透流とともにしばらく各地を放浪している。
そんな彼が天城学園に進学したのは、古都の妖狐の要請によるもの。
むしろ、古都方面に住み着いている年頃の退魔士たちが天城学園に通っているのは、基本的に『彼女』の指示によるものである。修行に明け暮れてばかりの脳筋バカたちに、最低限の一般常識を学ばせるための養成所扱いをしているらしい。
同業の甘粕ひふみとともに『総合格闘研究部』に――特に他意はなく――所属しており、退魔士として動く傍ら、学園生活もそれなりに謳歌している。
戦闘スタイルとしては一撃離脱戦法を主軸としている。デカくて速くて一撃が重いという隙が少ない格闘者。ガチンコの殴り合いも大好きです。
・雲野十夜(くもの・とうや) 『見習い執事』
姫野朔夜の執事(見習い)。
無骨な黒縁眼鏡をかけた気弱そうな顔立ち。平均よりも高めの身長の持ち主だが、痩せているためにひょろりとした枯れ木のような印象がある。他人に与える外見的なイメージは『がり勉君』そのもの。ただし、成績は下位。
性格的には受け身で、消極的な事勿れ主義。
頼まれごとは滅多に断らず、きっちりとこなすタイプ。わりと苦労人気質。
ある日、目が覚めた時には何も覚えていなかった。自分が誰で、どこから来たのかすらわからない。ただ目の前で窮地に陥っている少女がいたから、ナイフを片手に持った身体が勝手に動くのに任せて助けたりした。
その相手が、後にご主人様(笑)となる姫野朔夜だった。
それは彼女が中二の夏の頃であり、それから拾って面倒を見ている。
完全なる記憶喪失者であり、自分に何ができるのかをほとんど把握しておらず、一般常識などもところどころ怪しい。必要最低限の教養はあるらしいのだが、空白部分の多さから自己が確立されていないために、無意識に茫洋としていることが多い。
天城学園に入学した頃から、かなりマシになってきた。わりと天然タイプ。
退魔士たちの扱う格闘術に近い技を(無意識で)使えるようなのだが、破魔の業は未修得のようなので、似て非なる武術の類と考えるべき。わりと剣呑で殺意に溢れた技が多いので、暗殺術の類かもしれない。刃物――特にナイフのような小物系の扱いにも長けている。
※ 実は隠れた人格が存在し、名は『空座』。
夜のように冷たい空気を纏った殺人愛好者を自称しているが、『殺しには愛が必要なのさ』などとホザく謎の拘りを持っている。現状では求愛宣言した姫野朔夜の前にしか現れない。他の目撃者は●●されている。
達観した皮肉屋で、十夜の空白の記憶どころか、姫野朔夜も関わりのあるらしい『秘密』も知っているようなのだが、ニヤついた口を閉ざしたまま語ることはない。
あるいは、彼こそが『主人格』なのかもしれないが、当の本人はそれを否定している。
・篠宮戒(しのみや・かい) 『先輩』
どう見ても高校生とは思えない風格を纏った長身の持ち主。
とっくに成人してるとか、五年は留年しててもおかしくねぇとか言われて、『先輩』と呼ばれることが定着してしまった。
他人を寄せ付けない空気を纏っているが、それが却って世話好きや物好きを呼び寄せてしまっているのは、幸か不幸か判断が難しいところ。
少なくても、当の本人は迷惑に思っているのだが、邪険に突き放しているつもりでも、最後まで突き放しきれないところが生来の善性を表しているようにも思える。
根本的なところは善人であり、良くも悪くも巻き込まれ体質。
不器用な優しさと真面目なところに好感を抱く者は多い。
戦う者。戦っている者。戦い続ける者。
学園にいることの方が場違いであり、彼が身を置くべきは央都の『闇』が巣食う地下迷宮に他ならない――のだが、そうした部分は割愛する。
きっと、誰よりも優しかった少年の傷だらけの残骸。
→個別ルート『小説家になろう・闇と刃と魔術師と―― ~序章~』へ。
・遊佐大和(ゆさ・やまと) 『参謀』
色白で長髪な美形。
やや不健康そうにも見える線の細い華奢な体付きをしている。
根は自信家で相当に頭の回転も早いが、周囲に悟られないように猫を被っているのだが、同類たちにはとっくに見破られている。だから、どうしたという話でもないが。
裏でコソコソ暗躍するようなことが好きで、特に組織の参謀などに向いているタイプ。言葉巧みに人を動かす手腕は、後の第二風紀委員会で大いに振るわれることになる。
警戒心が強いので滅多に他人に胸襟を開かないが、懐に入れたタイプには際限なく甘くなるタイプ。別格は陸奥武道と相沢渚。
テンションがハイになるとやたらと饒舌になる。喋り始めると案外と饒舌。わりと饒舌。
ちなみに、運動神経は綺麗さっぱり切れている。
時代が豊穣を迎えたところで、世界から理不尽が無くなるわけではなく、なんらかの事情で孤児となったところを、とある老婆の運営する孤児院に引き取られた。
なお、孤児院という単語でイメージするような悲壮な環境ではなく、他と分け隔てなく、わりと裕福にすくすくと育ち、陸奥武道や相沢渚といった将来的に続いていく友人と巡り逢えたことで、歪むこともなかった。
孤児院を出た後のことは謎が多く、友人たちにも多くは語らない。
しかし、〝その後〟こそが彼に与えた影響は計り知れず、大海に沈み逝く虚空の戦場で知らずかけがえのない友人と銃火を交えることとなるのだが……。
→個別ルート『フルメタル・ランナーズ』へ
・陸奥武道(むつ・たけみち)
鍛えられた長身の体躯を持った礼儀正しい武術家。
特に理由はなく、身体能力は素でトラン●ム。赤くなったら九倍になるのだろうかっ!?
退魔士などではなく、純粋な意味での武術をどっかで習得しており、ステゴロでの最強をほんのりと夢見ている。
ジャンキーではないし、ちゃんと常識をわきまえているので問題児たちの中でもトップクラスに安全。
むしろ、癒し系とすら言える。
強いて言うなら、正義の味方。悪を絶許みたいなガチ勢タイプではなく、困っている人を見過ごせない子供とお年寄りに優しい健全なタイプ。おぅ、マトモ。
努力をすれば、不可能は可能になると真面目に信じている暑苦しいところもあるが、周囲から嫌われたりはしない。難しいことは深く考えずに、シンプルに『楽しいことが大事』という信条で、やりたいと思ったらそのままに動くことを心掛けている。
問題児クラスの一員なのに交友関係はかなり広い。その中でも別格なのは、幼い頃を共に過ごした遊佐大和と相沢渚となる。
遊佐大和と同じ孤児院で健全に育ったが、そこを出た後になんやかんやあった挙句に騙されて、央都の地下迷宮に放り込まれた。普通ならその時点でヤバいのだが、なんやかんやで数多の危機をすんなりと乗り越え、やがて海に沈み逝く虚空の戦場で傭兵みたいなことをしながら、知らずかけがえのない友人と銃火を交えることとなる。
『フルメタル・ランナーズ』という物語において、他の主要キャラがわりとマイナス方向な奴らなので、こいつ(ともうひとり)はわりと貴重なプラスキャラ。こういうヤツがいてくれないと詰んじゃう局面がわりとある。
→個別ルート『フルメタル・ランナーズ』へ
・斉藤悠(さいとう・ゆう) 『馬鹿一号』『魔弾の射手』
迷彩柄のバンダナを巻き、ヘラヘラと軽薄な笑みを常に浮かべている。
お調子者めいた言動で道化のように振る舞う姿はバカのようにしか見えないが、実際にはやっぱりバカとしか思えない。『嫉妬団』ともども周囲を賑やかし、バカ騒ぎを起こしては、強烈な折檻を受けて泣き喚いていたりする。
問題児たちとはほぼ例外なくなんらかの関わりがあり、特に学外では『個性的な面々』たちと共に行動して厄介事に挑んだり、時には敵対している。
おおよその物事に関わっており、または首を突っ込んでいる。
厄介事に関わり、解決し、または起こして煽り、それに周囲を巻き込んで翻弄したりと立ち位置がその時々に変遷するため、掴みどころのない厄介者として、いろんな勢力から要注意人物として扱われている。
その素性は『夜の国』の『騎士』――『姫君の加護』を受けた『聖騎士』のひとりである。
かつては『夜の国』に迷い込んだ素性不明の少年であり、本人も幼少期の記憶に関してはあやふやなものしか存在しない。
むしろ、盗み食いで捕まった地下牢での出逢いこそが、彼にとっての人生の始まりだった。名を貰い、生きる理由を貰い、与えられたものを受け取って立ち上がった彼がその眼で見た世界は、常闇に包まれていても美しかった。
故に護ると決めた。互いがなにものでもないままに出逢った彼女を。
彼女が愛している世界そのものを。
夜に棲む存在たちに遥かに劣る凡庸で劣等な才能でも、悠久たる時を積み上げれば、超越のひとつやふたつぐらいはするのだからと研鑽を重ね続けた先に今の彼がある。
おそらくは、あのクラスの連中が紡がなくてはならない『物語』において、最も自由に振る舞っているのがこいつ。何もかもを知っているからこその『不自由』ですらも、こいつを完全に縛ることは出来ていない。
不真面目なようでありながらも真面目に、やりたいことを好きにやって笑っていられるメンタルは『馬鹿』の一言に相応しく、また同時に本人にとっては最高の誉め言葉に他ならない。
・水希縁(みずき・よすが) 『一人軍隊』
中肉中背。平均ぐらいの身長。わりと人畜無害そうな優男風の外見。
現役の中二病といわんばかりにわりと痛々しい発言を繰り返すが、当人はいたって真面目である。他者とのコミュニケーション能力が乏しいが、別に当人がぶっきらぼうというわけではなく、彼の発言内容に翻訳が必要になる場合が多々あるため。
基本的に余計なことをしない限りは安全。
普通に実銃を携帯しており、必要とあらば悪質な罠なども平然と仕掛ける特殊な技能を持っている。
問題児狩りの問題児などといった印象を他の学園生たちから抱かれている。
戦闘能力という意味では退魔士たちほどの体術などは持ち合わせていないが、『なんでもあり』ならば、相当にタチの悪い実力を発揮する。
基本的に勝敗そのものは度外視しており、目的を達成して生き残ることを優先しているために生存能力が特にずば抜けている。
水城刃みたいなタイプと組むと最悪なぐらい凶悪になる。
その正体は軍人。
正統興国第十三特殊部隊所属の卓越した『A・A』乗り――なのだが、上からの命令よりも自分ルールを優先しがちなために、そっち方面でも問題児になるタイプ。
おまけに命令違反をしてもちゃんと結果を出すために、扱いが面倒くさいとかいう余計に上層部からは疎まれちゃうのが直属の上司の悩みの種だとか。
※ 彼とその幼なじみの出生については、よくよく考えると他と異なる不可解な謎が付きまとってくるのだが、それについては割愛。
→個別ルート『フルメタル・ランナーズ』へ
・皇帝(すめらぎ・みかど) 『お金持ち』
やや陰のある雰囲気で、落ち着きのある大人びた美形。
冷静沈着で取捨選択が明瞭で早く、不要と判断したものには頓着しない。効率や結果を重視する合理主義者だが、根っこは情に厚いタイプ。
天城財閥麾下十二企業の一角である『皇グループ』の現総帥の数多いる子供のひとり。学生の身でありながら、すでにグループの一部を任されている才気溢れる若社長。
お金持ち。
金運に恵まれており、何もしなくてもお金に困ることはない。
いちいちスケールがでけぇと『友人』によく突っ込みを貰っているが、本人からすると微塵も悪気がなかったりする。ちょっと庶民とは感覚がズレているだけなのだよ。
世間というものをよく知っているはずなのだが、一般的な世間の常識には疎い。
彼の母親は、彼にとっての父親になる男にとっての数多いる『女』に過ぎなかったが、その立場に不満を抱くことなく、息子を愛して慎ましく生活をしていた。彼もまた幼さに似合わない聡明さで自らの立場を理解しながらも、高望みなどをすることはなかった。
だが、皇グループの次期総帥を夢見る者たちの悪意に巻き込まれ、母を失い、自らも身体的に大きなハンデを背負うという憂き目に遭う。
皮肉なことに生死の境を彷徨ったことで、彼の才能は飛躍的に向上したが、そんなものに何ら価値は見出せずにいた。
それでも彼が母を殺したといっても過言ではない『皇グループ』に身を置いているのは、母を奪った者たちを暴き出し、報いを受けさせるためである。
その過程で背負ったいったものを無責任に捨てるわけにもいかずに、徐々に擦り切れかけていた彼を支えたのは――
過ごした時間は短いものの幼なじみといえる少女の存在であり、狭くなっていた世界に唐突に紛れ込んできた地味な没個性の『友人』だった。
・日下部仁(くさかべ・じん) 『神の手』
医者――だけど、医者にあるまじき長髪の怜悧な瞳の持ち主。常に白衣を着込んでおり、どこおからともなくメスを取り出して、たまに投擲したりする。基本的に理性的で、怪我人や病人には博愛の精神で治療にあたる〝仁〟の心の持ち主。
ただし、自傷行為やくだらない揉め事で負傷した場合は、それ相応の報い――具体的にいうと痛み――を与えながら治療する。
生命に貴賤はないが、彼個人としての〝好み〟はある。たった一つしかないものを蔑ろにするような輩には、手痛い教訓を与えるようにしているらしい。
生かす術に長けた技術は、同時に殺す術にも長けており、さらには人間がどの程度の苦痛にまで耐えられるかを熟知しているともいえる。
つまるところ拷問の達人でもあるので、一部からは恐怖の対象となっている。
央都を本拠地とする大規模な医療法人『神叡会』の中核である『日下部家』の四男として生まれ、幼少の頃より医師となるべく英才教育を受け、類稀なる才能を開花させる。
身につけた知識と技術の数々で様々な『奇跡』を起こし、天城財閥公認の特例として、齢十四歳にして医師としての資格を取得している。
これは代々医師の家系である日下部家においても類を見ないことであり、以降から『神の手を持つ者』と呼ばれるようになる。
たくさんの兄姉弟妹や多岐に渡る親戚などを交えた次期後継者がどうたらこうたら、派閥争いでうんたらかんたらなどといったありがちな問題を、現状の『神叡会』=日下部一族はわりと深刻な形で抱えているのだが、彼はそうしたものを「くだらん」と一言の元に切って捨てて、現場での医療行為に従事する日々を送っている。
クラスにおいては、主に『退魔士』組と関わりが深い。
学年が異なる甘粕ひふみとは幼なじみという関係である。
なお、彼が『神の手』と呼ばれるようになった出来事に深く関わっていたりもする。
最近は別方面からの関わりから得た『知識』で、さらに技術を磨いている。
・玖堂鳴海(くどう・なるみ) 『新聞部の下っ端』
黒髪で中肉中背の新聞部に所属しているお調子者。
ハイテンションかつマイペースで、人のプライベートスペースに遠慮なく飛び込んでいくなど行動力に溢れており、特ダネを求めて学園中をいつも駆け回っている。
悪名高い新聞部に所属しているので警戒されがちだが、主に不幸担当の下っ端扱いをされているために、周囲からは道化のように思われている。
峰倉灯理の幼なじみであり、唯一無二といっていいレベルの理解者。
彼女の前でだけ、別な側面が浮かび上がる。
それは普段とはまるで異なる関係性であり、強いて言うなら困った妹の面倒を見る兄のような暖かさがある。
・八百万九十九(やおよろず・つくも) 『す~ぱ~まるちどらいばぁ~』
数字が大変な感じになっているのと眉が太いぐらいしか特徴がないとか言われている。余分な脂肪の付いていない中肉中背なのだが、妙にぽっちゃりしているという評価を受けるのは、常に全身からヘタレオーラが放散しているからだとか。
学園にいる時は基本的に人畜無害といって間違いはないのだが、乗り物に触れると何らかのスイッチが入る。
背筋がピンと伸びて、余裕や自信が溢れるので普段の五割増しで格好よくなる。
いろんな乗り物を高度な技術で運転したり、操縦したりできる技能を持っている。基本的に練習などで得た技術であるが、本人の資質的な特殊技能でもある。
国際的な免許――天城財閥麾下十二企業からの超法規的措置による特例を得ているために制限は存在しないし、非常時には各所から様々な乗り物が貸与されるようになっている。
車やバイクは当然として、ヘリコプターや飛行機に豪華客船、戦車に潜水艦、戦闘機やスペースシャトルなど多岐に渡る。
基本的に戦闘能力は持ち合わせていないが、乗り物を使ったアクションの達人ではある。必要とあれば、余裕で轢いて撥ね飛ばすぐらい運転中はクレバー。
将来的にはガ〇ダム的なロボットの操縦もしたいらしい。するよ?
移動手段が限られる学生物語の救世主的存在ともいえる。彼らが遠出する時なんかには、大概出てくるんじゃなかろーか。
・塚原京四郎(つかはら・きょうしろう) 『探偵』『歩く事件誘発装置』
自他ともに認める美男子であり、美というものの黄金律を突き詰めたような顔立ちは、もはや筆舌に尽くしがたい領域に届いている。
均整の取れた長身の体躯も相まって、見た目は完璧といっても過言ではない。
ただし、内面はナルシストを極めており、それだけでなく妙な方向に夥しく歪曲してしまっている。つまるところ、一種の破綻者である。
一人称が『俺様』というところから、一部でも察せられるであろう。
生まれた時点からの素質も多分に含まれるのだが、生い立ちも無関係とはいえない。
彼の頭脳は明晰を通り越しており、五感で得た情報の総てを忘れずに記憶した上で高度な情報処理を行い、正確な未来予測をする。それは身の周りで起こりうる事象を誰よりも先に把握しているも同然であり、生まれつきのもう一つの『事件誘発体質』と相まって、周囲からすると予測不能の事件を淡々と読み解いていく気持ちの悪い子供にしか見えなかった。おまけに周辺を無作為に巻き込むので被害も半端ない。
それを『天災じみた天才』と受け入れることも出来ず、また彼自身も愚かにしか見えない他者というものに何ら期待を抱かずにいたために、溝は広がり続けるばかりだった。
結果として、彼は幼少期から孤独だったが意にも介さぬままに降りかかる火の粉を片手間に払いながら、知識の蒐集を続ける過程で、やがて己が巻き込まれる『運命』すらも視通し、あっさりと『世界の秘密』も暴いた挙げ句に、待ち受ける悍ましい末路すらも理解した。
黒幕サイドのような裏技に頼らずに独力で辿り着いた『真実』すら興味深くはあっても、自らの手でどうこうしようと思えるほどの気概は抱けずに、淡々と時を過ごすばかりだったのだが、そんな彼にも転機は訪れる。
助手を自称する少年と『殺人記』との邂逅は乏しかった人間性を仄かに刺激し、数多の問題児どもが起こす彼をして難解と認める事件の数々は興を満たす。決まった『運命』へと向かう過程の中で不協和音を奏でる不確定の揺らぎこそが『未知』となりうるかを確かめるために、彼もまた表舞台へと上がっていくこととなる。
まぁ、要するに頭が良すぎて、結果的にバカみたいになってるひと。事件が起こる前に事件の全貌を理解しているとんでも迷探偵。基本的に火の粉が降りかかってこないと解決には積極的ではなく、複雑に絡み合った人間関係が紡ぐ悲喜交々を観賞するのが悪趣味のひとつ。悪人ではないが、善人にも程遠い。
悪企みしてる人は近寄っちゃダメだよ。
・音無密(おとなし・ひそか) 『犯人』
人畜無害そうな幼い外見をしたショタ系タイプ。
だが、その中身は『人類』というものに呪いめいた悪意を抱いた犯罪愛好家。
怒りでもなく、悲しみでもなく、ましてや憎しみですらなく、ただただ純粋な彼個人の『愛』によって、平和を謳歌する者、平和に馴染めない者、幸不幸を問わずに破滅に導くことを生き甲斐としている。
それはもはや習性や本能によるものであり、善悪を問えるものではない。
およそ、常識という範疇に収まることはなく、十歳になる前に両親や親類縁者の悉くを生贄の祭壇に捧げており、自身を表舞台から完全に抹消している。
有望な人間を見出し、言葉巧みに洗脳する技術に長けており、自身は手を汚すことなく、世界中に『善意』をバラ撒いている。
『探偵』である塚原京四郎に対応する『犯人』であり、『黒幕』と呼ばれる者たちの側に属している。
――のだが、『蛇』・『蜘蛛』・『蝙蝠』などに比べると可愛いものだと自嘲ぎみに嗤う。
相性問題というか、宿命や運命的なもので『探偵』には絶対に勝てないために、基本的に『捨て駒の手足』を使ってコソコソと暗躍している。
そんな彼があのクラスの一員であり、しれっと学園生活を謳歌しているのは、あの学園の『特殊ルール』を利用しているため。勝てないことがイコールで敗北に繋がるわけではないのである。
人類の中でも特に風変わりな連中をどのように料理してやろうかと舌なめずりしながら悪企みをしている。
ちなみに、相克関係である『探偵』が至近距離にいるために、学園における悪企みは基本的に成功せず、可愛い悪戯レベルまでランクダウンする。央都という範囲内においても、成功率は著しく減少している。
要するにアレ。日常パートでは無害。シリアスパートではとっても有害。
なお、『嫉妬団』の一員であり、毎朝の恒例行事には皆勤賞。幹部候補(笑)
・桜庭悠久(さくらば・とわ) 『あくまでも神父です』
ふわっとした髪質に白い肌、西洋人形のような端正な顔立ちをした美少年。胸元に常に十字架を下げている。ひきこもりでオタク。かなりの苦労人。
クラスに顔を出すことは滅多にないために、クラスメートの認知度は低い。
広大な学園の片隅にひっそりと存在する教会の神父――なのだが、その実態は些か特殊なものであり、精神を負の側面で拗らせた生徒たちのカウンセラーを主に行っている。
基本的に噂で語られているものの軽度の『患者』などが関わることはなく、彼のいる教会を訪れる生徒は生と死の境界を彷徨う末期症状に犯されている場合が多い。
その正体は『悪魔』と呼ばれる存在で、異なる次元からこちらの世界に這い出してきた生物(?)である。ただし、階級は低級であり、魔界と呼ばれる本来の棲み処においては木っ端屑のような雑魚に過ぎないらしい。
人間の感情を主な食料とするが、特に負の感情と呼ばれるものを好んでいる。
元来は教会などといった聖域にいるだけでダメージを受けるのだが、ある事情から人間としての『皮』を被っているのに加え、聖域としての機能を極端に低下させているために棲み処としての問題はない。
むしろ、悪魔の棲み処としての魔改造が徹底的に施されているので、教会としては張りぼてもいいところともいえる。
神父としてのカウンセラー行為は、学園と交わした『契約』であり、わりと律義に半世紀ぐらい付き合っている。
主に話術を駆使して対象者の『傷口』を浮き彫りにし、負の感情を喰らうことで一時的に精神を安定させるという手法を使う。
もっと手っ取り早い手段もあるのだが、この場では年齢的な問題で詳しくはNG。
天城学園の大きな『秘密』の一端に関わっているのだが、本人も言っているように戦闘能力的なものは雑魚でしかない。悪魔としての本体はある種の精神生命体なので物理的な攻撃はどうやっても届かないのだが、退魔士の退魔術などは普通に通るし、一撃を受けると抵抗の余地なく即滅してしまいかねないレベル。
悪魔のくせに妙に人間くさい。人間くさいのに悪魔。どっちつかずにようで、どちらでもあり、中途半端に混ざっているからこそ、上手く溶け込んでいるような感じ。
実力的にも存在的にも、基本的に害はない。
近頃は世の中がいろいろと便利になってきたので、かなり堪能している。
社会不適合者な天才絵描き二人の面倒を見る引きこもりの主夫に、クラスチェンジする予定が待っている。
→個別ルート『少女は〝悪魔〟に、いつかくる朝を願う』
・忍田修(しのだ・おさむ) 『特殊工作員』
天城財閥麾下十二企業直属の特務機関所属の特殊工作員。
要人の警護から敵地への潜入工作など幅広い作戦行動を行ってきた経歴があり、同組織における有望な成長株。
性格や能力に甘い面が少なからずあるが、窮地に陥っても臨機応変に対応する冷静沈着さを持ち合わせている。むしろ、窮地に陥るほどに能力が研ぎ澄まされていくタイプ。
小柄な体躯の童顔であり、女装なども含めた変装を得意としている。
天城学園の一年B組に集った面子は、下手を打つと世界に少なからぬ影響を与えるという危惧があり、捨て置けぬ凶悪な人物まで紛れ込んでおり、『外側』からの干渉が難しいという判断の元、彼の所属する組織は世界の均衡と安定のために、複数人の工作員を学園に送り込む決定をした。
彼はその一人であり、年齢的にクラスの一員となるように取り計らわれた。
主に要人の警護を目的としたものだが、水面下で張り巡らされているであろう様々な計画や陰謀の把握も任務の内であり、場合によっては火消しに動く必要もある。
毛ほどの油断も許されない任務に抜擢されたことに緊張と興奮を覚えながらも、自分なら――自分たちならばやり遂げられるという熱い決意を胸に挑む彼だったが、初日であっさり挫折した。ポッキリ心を折られた。
単純に組織の想定を遥かに上回る凶悪なのが揃いも揃っている上に、混沌を煮詰めたような非日常を受け止めるには、彼はまだまだ『常識』の範疇に収まっていたからである。
平たく言ってしまえば、出オチキャラみたいなやつ。
彼自身の経歴も相当なものなはずなのだが、あのクラスのそういう面々からすると下から数えた方が早い程度でしかない。
挫折して、なんやかんやで開き直ってからが本番………になるんじゃなかろーか。
なんか将来的に、どこぞの地味な没個性とフリーデルワース女学院とかに潜入する話を書いてみたいと思っていたりいなかったり………。
なしてそんな状況になるのかはさておき。
・関ヶ原南雲(せきがはら・なぐも) 『規格外』
二メートルを超える体躯は岩塊を削ったかのようであり、灼炎の如く揺らぐ赤みを宿した髪に仏頂面。荒れ狂う暴力の権化ともいうべき筋肉の鎧に包まれておきながら、鈍重という印象は微塵もない。どこか飢えた獣のように凶暴な空気を纏っている。
見た目だけで言うなら凶悪極まりなく、口を開いても自然と威圧するような響きが漏れる。
ただし、当の本人の性格は平和主義であり、徒に暴れることを良しとはしない。
――のだが、非常に短気で、火が点いてしまうと怒りを制御できなくなり、怒りの原因が取り除かれるまでとにかく暴れ回る。
ただし、完全に理性までは失っておらず、無関係の人間にまで被害を及ぼすことはない。
問題児クラスにおいても『規格外』といわれるほどの戦闘能力の持ち主であり、いっそ理不尽なレベルに達している。攻撃力、耐久力、回復力が並外れており、一度受けた攻撃も二度目は半減するなどといった常識外れが普通に発動する。
幼少時の頃から幾度となく他者からの害意を受けることで暴れ回り、その度に自身の肉体を壊し続け、より強靭に回復し強くなってきた。
現在、拳銃で撃たれてもきょとんとしながらの「痛っ」ですむ。なんかおかしい。
家族は両親と妹の四人家族。幼少期から既に人間の枠を外れかけていた彼の良き理解者であり、家族の存在は間違いなく安らぎであり、下手に踏み込んではならない聖域である。
特に妹の雲母には頭が上がらないという一面がある。その影響で自分から近づくことはほとんどないが、女子には穏当に接する。一部に例外あり。
過去に一度、彼を逆恨みした連中が家族を巻き込んだ復讐を企てたことがあるのだが、その結果は無惨なものだったとだけ記しておく。かろうじて死人は出なかった。ラッキー。
生まれる世界か時代を間違った鬼神や闘神の類。
ぶっちゃけ戦えば戦うほどに経験を積み、攻撃を受ければ受けるほどに耐性を付け、レベルアップを続ける反則キャラ。常時全方位にバフもかかってるとかもう笑うしかない。
そんな『規格外』に決定的な敗北を与え、家族以外のストッパーとなったは、何の変哲もない一般人だったとか。
・葦原大輝(あしはら・だいき) 『成金』
不健康な肥満体というほどではないが、美男美女が七割越えのクラスにしては珍しいマイナス評価のぽっちゃり系。
付け加えて、性格が悪いので単純な見た目以上に周囲から悪印象を抱かれやすい。
基本的に不真面目で、素で他者を見下すような言動をするのに、馴れ馴れしいという面倒が人の形をして服を着ているようなタイプ。
お金持ち。
ただし、天城財閥麾下十二企業の関係者組というわけではなく、一般庶民の家から生じた突然変異的ないわゆるところの『成金』である。それは親の功績というわけではなく、純然たる意味で彼が生まれ持った『金運』によるもの。
それにランクがあるならば、間違いなく最上位。何もしなくても金銭が不自由なく勝手に転がり込んでくる。投資の類で失敗することはなく、浪費をすればするほどに、使った金額の倍が戻ってくるといったのが前提条件なので、祝福や呪いの類ともいえる。
物心ついた頃から、絢爛豪華な恵まれた環境にあり、およそ金銭絡みで失敗という経験がないために、普通に性格が傲慢な感じに仕上がった。王者めいた余裕で気まぐれに下賜するのが普通になっているので、他人を基本的に見下すようになっているのも自然の成り行き。
家族も彼の不興を買う気になれず、結果的に彼の性格が修正される機会が得られなかったのは不幸というべきなのだろう。
とにもかくにも、有り余る金をばら撒きながら人生をとても楽しんでいた。
あのクラスの一員になるまでは………。
※ 二年になるとかなり丸くなる。性格の方がね。
・毒島幽宴(ぶすじま・ゆうえん) 『破滅の賭博師』
血走った目の下に常に濃い隈があり、それを隠すように前髪を伸ばしている。いつも猫背ぎみでふらふらと頼りない足取りをしているため、幽鬼じみている。暗がりで遭遇すると悲鳴を上げること間違いなし。
日替わりで両手の指を噛みながら、ぶつぶつ独り言を呟いているのが普通。椅子に座る時は体育座りがデフォルト。
破滅願望のスリルジャンキー。
汚い。醜い。悍ましく穢れている。故に、無限に等しい艱難辛苦で地べたを這い回りながら破滅を迎えるのが我には相応しい。汚泥に塗れよう。塵屑共と一山幾らの生命を賭けて戯れよう。汚れで穢れを拭って、吐瀉物を屍にぶち撒けるべきなのだ。所詮はその程度の存在なのだから――。
微塵も価値を見出していない自分の生命を賭けの代価として、様々な意味合いでの危機的状況に飛び込むのが日常茶飯事なのだが、ギリギリの綱渡りをしながらも、かろうじて生き延びてしまう。
それは実力や幸運といったものからは掛け離れた〝別の何か〟によるもの。当の本人の意思とは無関係に働くある種の『流れ』であり、本質的な部分で彼の生死に彼の意思が介入する余地はない。
それを知らない彼が破滅寸前で九死に一生を得た極限のスリルに身悶えしながら、さらなる過酷な状況を恋焦がれるように求める姿は、端的にネジの外れた狂人でしかない。
――とまぁ、そんな感じに些かジャンル違いの香ばしい空気が漂う彼ではありますが、これはあのクラスの一員になる前の日常であり、あのクラスの一員になってからは………………あんま変化はない。
少なくても最初の方は。
最近はギャンブルにも嵌っている。裏社会の闇賭博系とか。
二年になってから『成金』と『規格外』とあともうひとりと行動することが増えた。
・水無いなほ(みずなし・いなほ) 『〝元〟一般人』
何の因果か知らないが。
あるいは性悪な運命に射止められてしまったのか。
哀れにも混沌の坩堝へと放り込まれてしまった生贄の子羊(笑)。
なんの変哲もない本当に一般人としか言いようのない少年だったのが、一年以上も個性的なクラスメートに揉まれ続けた結果、なんかいろいろと成長した。
世間一般という概念からズレてしまっているが、芯の部分がほとんど変わっていないので、わりと常識を見失ってはいない。
人間とは慣れる生き物である。
それが幸か不幸かはさておき、彼は今日も元気に生きています。ほろり。
・坂道浩太(さかみち・こうた) 『馬鹿二号』『嫉妬団総帥』
世界に生まれ堕ちてしまった奇態の馬鹿。
女の子が大好きだけど蛇蝎のように嫌われているので、幸せそうなカップル(特に男)に嫉妬の炎を燃やす『嫉妬団』の総帥。
中身さえまともならば、あのクラスにおいても上位に来る大人物にもなれただろうが、残念ながら優しい神様の与えた『贈り物』の総てを台無しにするほどのエロいお馬鹿だったという残念極まりない少年。
中学時代に数々の伝説を築き上げ、今の学園でも更なる伝説を積み上げるマイナスのカリスマ。
『怨憎滅鬼殺亡・滅尽滅相ォォォ――――っ!!』を合言葉に、今日も嫉妬の炎を燃やして、世界の理不尽に戦いを挑んでいるゼ☆
・沖田大祐(おきた・だいすけ)
嫉妬団設立時からの古参幹部『三駄犬士』が一人。
切り込む特攻隊長を自称している少年。
端的に単純馬鹿。
・冴樹北斗(|さえき・ほくと)
参謀を自称しているが、詰めが甘いためによく失敗している少年。
よく眼鏡をクイクイしている。
頭が悪いわけではないが、やはり『嫉妬団』の例に漏れずにバカの一人。
・木島順平(きじま・じゅんぺい) 『嫉妬団・三駄犬士・其の三』
嫉妬団設立時からの古参幹部『三駄犬士』が一人。
中学時代からバカをやっていたが、二年のある時期から他校の通い妻系の幼なじみと恋仲になっている潜在的な裏切り者である。
女子(順不同)
・天宮壱世(あまみや・いよ) 『新婚バカップルの嫁』
飛び抜けた印象はないが、よくよく見ると整った顔立ちをしている少女。背中まで髪を伸ばしている。平均よりも少し背は高く、旦那と並んでもほとんど差がない。
磨けば光りそうな逸材とは、とある幼なじみの弁。
物静かで大人しい性格だが、感情表現は豊かで芯も強い。
気配り上手のしっかり者。
嬉しくても悲しくても泣いてしまうタイプで、情に厚いために涙もろくもある。
将来の夢は、とある幼なじみのお嫁さん。
本人は恥ずかしがって相手を口にしないが、周知の事実になっている。むしろ、気づかない方がおかしいといわれるレベル。
・藤原小鳥(ふじわら・ことり) 『生まれた時から許婚』
古くからの名門『藤原家』の一人娘で、文武両道に優れた才女。
貞淑で柔和。礼儀正しい大和撫子。
写真や映像でしか知らない許婚に、それでも純粋な恋心を抱き、愛情を育んできた。
生まれた時に親同士が決めた許婚である少年のために、花嫁修業と呼ばれるもののすべてを身につけている。料理、洗濯、掃除、裁縫などは完璧だが、お嬢様特有の金銭感覚で買い物はやや苦手。
茶道、華道、書道などたくさんの習い事も経験している。
おっとりしているので誤解されがちだが、実は身体を動かすのも得意だったりする。
・柊雪菜(ひいらぎ・せつな)
雪のように真っ白な髪をした儚げな少女。
容姿端麗・頭脳明晰で、礼儀作法も心得ており、誰が相手でも分け隔てなく接し、丁寧な口調を崩さない。
高嶺の花のお嬢様を絵に描いたような女の子。
天城財閥麾下十二企業の一角――『柊』の経営者の一人に数えられているのだが、現在は学生としての立場を優先して、ほとんどの権限を兄に譲り渡している。ただし、全く仕事に手を付けていないわけでもなく、クラスメートの経営者仲間とはよく難しい話し合いをしたりしている。
金持ちなのに常識人というあのクラスではかなり珍しいタイプ。ただし、必要な場合は躊躇わない面もあるので、安牌と油断して迂闊な真似をすると酷い目に遭う。
・姫野朔夜(ひめの・さくや)
長い黒髪に整った顔立ち。左の下には泣きぼくろ。制服姿よりも、社長業をしている時のスーツ姿の方が大人っぽくていいともっぱらの評判。
分析力や推理力に優れているために、物事をデータで見るのが得意。
わりと独善的な性格を猫被りで隠している。
根っこの部分はわりと不器用で、ツンデレ属性。
一線を越えて懐に迎え入れた友人は、ついつい甘やかしてしまうタイプ。
姫野グループを統括する姫野家の末端に生まれた少女。後継者問題とは縁遠く、英才教育を施されるでもなく、穏やかな幼少期を過ごしていたが、不倶戴天の天敵(←当人談)と巡り合い、刺激されたライバル心から眠っていた才能を目覚めさせていった才媛。
・氷上慧(ひかみ・けい)
黒髪ロングをポニーテイルにした雅な美人。
滝沢家と深い繋がりのある名家のお嬢様で、礼儀作法も心得ているのだが、生来の性格的に窮屈なのは苦手としている。
どちらかというと身体を動かしているのが好きなので、護身の名目で剣を習っている。
生真面目で融通が効かないタイプ。
わりと猪突猛進だが、頭の回転が鈍いわけではなく、文武両道。
・海棠添琉(かいどう・そえる)
古都の名家『海棠家』のお嬢様。
・御神楽雅美(みかぐら・みやび)
・白鳳院芙蓉(はくほういん・ふよう)
藤原家をライバル視している実家の意向で室井八雲の元に押しかけた許婚。
・雛森明日香(ひなもり・あすか)
室井八雲の幼なじみ。
普通の少女。
・結崎柳(ゆいざき・やなぎ) 『魔女』
髪を二つの緩いお下げにした眼鏡少女。
白石和也たち幼なじみとその他で性格や態度を切り替える二面性の持ち主。
学園でも有名なトラブルメーカーにして、決して敵に回してはいけない悪質な愉快犯。
・千歳聖(ちとせ・ひじり)
腰よりも下まで髪を伸ばしいる、やや特殊な盲目の少女。
生まれつきの盲目というわけではないので、杖を付いて歩く分にはあまり不自由がないとは本人の弁。
また他人の肌に直接触れることで、その視界を一時的に共有できる。
丁寧な物腰で穏やかな性格をしているが、掴み所のない気分屋な一面もある。
親しい相手は名前で呼ぶという拘りがあり、同時に自分も名前で呼んでもらいたがる。
・峰倉灯理(みねくら・あかり) 『新聞部部長』
自分で作った新聞部の部長で――本家は別にある――ありとあらゆる情報を好奇心の名の下に収集し、自分が面白いと感じるように一味加えて拡散する愉快犯。
適度に伸ばした髪をショートポニーにした吊り目の少女。
左腕に『新聞部』の腕章をし、首からはカメラを下げ、胸ポケットにはボイスレコーダーと完全武装して、学園中を徘徊している。
玖堂鳴海とは幼なじみの腐れ縁で、弱みを握って扱き使っている。
・黒桐茉莉(こくとう・まつり) 『殺人記』
・羽柴美命(はしば・みこと)
御影翔悟の幼なじみ。
童顔で年齢よりも幼く見られるタイプで、身体も小柄だが一部だけは立派に発育している。
大人しく引っ込み思案で内向的で口数も少ない。家庭的なことは苦手で朝も弱く、運動神経も切れている。
趣味も他人の干渉を拒むようなものを好んでいる。読書や昼寝など。
端的にニート一直線のダメ人間の見本のような少女なのだが……。
・五十鈴こより(いすず・こより)=パトリシア 『不可侵領域』
・レオナ・フローレイティア(れおな・ふろーれいてぃあ) 『留学生』
エペランデからの留学生で、田中静輝とは中学時代からの知り合い。
赤みがかった長い髪を束ねている。真面目で冗談もロクに言えないような実直な性格をした『騎士』だが、性格の悪い連中からするとカモネギでしかなく、よくからかわれている。
・翡翠(ヒスイ) 『留学生』
見た目は十歳前後の童女で、やや古風な喋り方をする変わり者。
制服ではなく、独自にアレンジをした道服のようなものを好んで着込んでいる。
どう考えても通う学校が違うのだが、誰も気にしていない。
自己の楽しみを優先する性格で、そのためには周囲の迷惑を顧みないところがある。実にこのクラス向きと言えなくもないが、巻き込んでいい人物に関してはちゃんとした線引きがあるらしい。
退魔士関係の者たちと繋がりがあるらしいが……。
名簿の簡単な紹介が白紙な人たちに関しては、おいおい追記をしていく予定です。
登場させても問題がなくなったキャラも追加していく予定です。
まだまだ弾はあるが、絵もなく文章で特徴を説明するのがちょっと大変です。あんまり細かく書きすぎるとネタバレになる奴もいるしねぇ……。
大半が髪が長くて美少女だったり、長身痩躯の美形だったりするのが問題なんだよね。