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第四話 放課後③

「・・・えぇ、まあそういうことにしといてあげるわ・・・」

そうういうことも何も、他になにがあるんだろう?

そんな話を高坂としているうちにどうやら目的の駅に着いたようだ。

「ほら、いくわよ!神崎君!9巻は待ってくれないわ!」

電車が止まるなり高坂はスタスタと歩き出した。って本屋の場所知らないだろ・・・。

「そっちじゃないよ、高坂さん。本屋はこっち。大きい本屋なんだから2冊くらい待っててくれるだろ」

「いえ、この瞬間も一冊、また一冊と売れているかもしれないわ。早く行かないと!」

またもや、高坂はスッタカ歩き出す。おーい・・・、そっちは反対だぞ・・・。

「わかったよ。ほら、案内するからいくぞ。」

本が買えなくてイライラするはずなのに、なぜか今は楽しいと思ってしまった。


ーーーーーー



「よし、ここだ」

「わー、おっきいわね!これなら9巻もあるはずだわ!行くわよ!」

「はいはいー、ラノベは4階な」

これから遊園地のアトラクションに乗る小学生のような笑顔で高坂は階段を上っていった。歩きで疲れてるからエスカレーター使おうぜ・・・。

エスカレーターを使い一足遅く俺がラノベコーナーにいくと、まるで雨天でアトラクションに乗れなかった小学生みたいな顔をした高坂がいた。

「・・・・・ないわ」

まじか。この〇バ人気だなー。アニメもやったしな、2期楽しみです!

「まさか、ここもないなんてな。おとなしく再入荷を待つか?」

「そんな訳にはいかないわ!ここまで来たんだもの!絶対9巻を買ってやるわ!」

まあ、そういうと思ったよ。俺も読みたいしな!

「そうと決まれば、早速行くわよ!できるだけ近い本屋さんから案内して、神崎くん!」

「ああ!ここまできたら、最後まで案内させてもらうよ!」

さっきまで疲れで重かった足取りが嘘のように軽くなり、俺は高坂と本屋を巡るため走り出した。


ーーー4件目の本屋ーーー

「ここもないわ!神崎くん!?」

「よし、次だ高坂さん!」


ーーー5件目の本屋ーーー

「ここにもないみたいだわ!」

「くそ、次行くぞ!」


ーーー6件目の本屋ーーー

「・・・ここもないわ」

「・・・次にいくか」


ーーー7件目の本屋ーーー

「・・・ないわ」

「・・・いこう」


ーーー8件目の本屋ーーー

「・・・・・ない・・・」

「・・・・・いく・・・」


ーーー9件目の本屋ーー

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

俺たちが9件目の本屋から出るころにはすっかり日が沈んでいた。もうこのへんの本屋は全部行った・・・。残念ながら俺たちが9巻を拝むことは許されていないらしい・・・。

「・・・帰りましょうか」

「・・・そうしようか」

そういうと、俺たちはトボトボと駅へ向かった。

「ねえ、神崎くん?」

「うん?」

「今日はありがとね、たいして仲良くもない私の案内をしてくれて。私がいなかったら、神崎くん一人だったら9巻を買えたかもしれなかったのに・・・」

疲れているからか、高坂から思いもしなかった言葉が出てくる。そんな罪悪感を抱く必要はないのに・・。

「そんなことないよ。高坂さんがいなかったら途中で諦めてたと思うし、高坂さんと本屋を巡るのは楽しかったし!」

本当のことだ。確かに9巻は読みたかったけど、自分が疲れることをしてまで欲しいというわけではなかった。

「ありがと、神崎くん。あ、駅の中に小さいけど本屋があるみたい。まあないでしょうけど、一応見てみる?」

こんなとこにも本屋があったのか。一応見ておくか。

「そうだね、一応見てみよっか」

トボトボと本屋に入っていく。

「・・・・あったわ」

「・・・・あるな」

「「え!?」」

「「えーーー!??」」

まさかこんなとこにあるとは!今までの苦労は何だったんだ!?

「やったわ!神崎くん!まさかこんなとこにあるなんて思わなかったけど!」

「やったな!高坂さん!ほんとこんなとこにあるなんて思わなかったよ!」

「「イエーイ!!」」

思わずハイタッチしてしまった。いやでも、ほんと嬉しい!!

「無事に買えたことですし、帰りましょうか」

「そうだね、帰ろう」



ーーーーーーー



「今日は本当にありがと!楽しかったわ」

「こちらこそ!クラスメイトと放課後に買い物するのがこんなに楽しいなんて思わなかったよ!ってクラスメイト・・・?」

グワッ!?そういえば高坂さんはクラスメイトだった!このままじゃ俺の高校デビューが失敗してしまう!

なんとかしないと!

「あのー高坂さん?・・・ちょっとお願いがー・・・」

「なに?」

「俺がオタクだとクラスのやつらにばらさないで欲しいいんだけど・・・」

「え?オタクでなにが悪いの!?」

「高坂さんはいいと思うけど、中には俺みたいなやつがオタクだと嫌な顔するやつらがいるからさ・・・」

中学のやつらとかな!

「だからさ、ダメかな?」

俺がそういうと、高坂はうーんとか、むーとか唸りをあげるとあの悪い笑顔をしてこう言ってきた。

「なら条件次第でばらさないであげるわ!」

「条件とは?」

「それは、明日学校で話すわ!」

うわー、嫌な予感しかしない・・・。

「そういうことよ、今日は楽しかったわ、そーま!」

ん?今そーまって呼んだか?あれ聞き間違い!?

「じゃあまた、学校で!楽しみにしてるわね!」

え、あ、い・・・。おっと、あまりにも急な展開で言葉が詰まってしまった。高坂は別れを告げ、帰ってしまった。

「はぁー、俺も帰ろ」

どうやら俺の高校デビューはそう簡単にはいかないようだ・・・・。







ーーーーーーーーー

だいぶ遅くなると行っておいて、そこそこのペースで投稿しちゃいました。テスト期間なんですが、家にいると書きたくなっちゃいますねw

では、次回もよろしくお願いします。

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