第九話 結成⑤
「失礼しまーす!一年E組の高坂緋音でーす!一色先生いますか?」
高坂はそう言うと、ズカズカと職員室に入っていった。ちなみに一色先生とはうちのクラスの担任である。
「おう、どうした?高坂?」
「単刀直入に言います!我が部の名誉顧問になってください!」
「お願いします」
東雲さんも高坂に続く。あんまり乗り気じゃないのに、きちんと協力してくれる東雲さんマジ天使。
「部活?高坂はなにか部活に入っていたか?」
「いえ、これから作るんです!だから、そのための顧問になってください!」
「なるほどなぁ、で、その部というのは何の活動をするんだ?」
「ぐぅ、それは・・・」
「俺はそんなわけのわからない部の顧問をするほど暇を持て余していなくてな。他を当たってくれ」
だろうな。きちんと内容がある部活でも顧問になってくれるかもわからないのに、何をするかもわからない部活の顧問なんか、誰も引き受けないだろう。これで俺の高校生活は平和なまま送ることができそうだぜ!
「ぐぅ、失礼しました・・・」
高坂はあえなく撃沈すると、トボトボと戦場を離脱した。俺と東雲さんもそれに続き、職員室を後にした。
「むー!顧問の一つや二つくらいやってくれてもいいじゃない!?そーまが余計なこと言わなければー!」
「それは違うわ、あかねさん。例え部室が手に入ったとしても顧問のいない私たちの部活が、部室を没収されるのは時間の問題だわ。神崎君が言わなかったら、中途半端に部活をやってしまった上での没収になる訳だから、ショックも今より大きかったに違いないわ。」
「それもそうだけどー!」
どうやら、高坂はどうしても部活を作りたいみたいだ。しかしここは俺の高校生活のため、諦めてもらいたい!高坂には悪いが・・・。
「さっき、一色先生は“何をするかもわからない部活の顧問をするほど暇ではない„と言ったわよね?」
「うん、言ったわよ?」
「なら、きちんとした内容を考えた上でもう一度頼めば、顧問の話を承諾してくれるのではないかしら?」
「ナイスよ!あおい!そうと決まれば一緒にこうの部活の活動内容を考えましょ!」
あれ?これやばくないか?いや、でも東雲さんの憶測でしかないし・・・。
「てなわけで!私たちの偉大なる部活は何をするのがいいでしょうか!?」
「はい」
「あおい、どうぞ!」
「やはり、人の役の立つ部活動がいいと思うわ。それに部員が三人だもの、運動部は無理よね?ボランティア部なんてどうかしら?」
東雲さんいい日とすぎる・・・。ただボランティア部なんてできた日にゃ、俺の休日がつぶれてしまう・・・。それに何よりだるい!阻止せねば!
「はい!」
「そーま、どうぞ!」
「俺も文化部という意見はいいと思う。人の役にもたつというのも立派なもんだ。しかし!ボランティアは部活としてやる必要はあるだろうか?そもそもボランティアは自ら進んでやるものだ。部活にしてしまったら、しかたなくやっているというイメージがつかないだろうか?それに三人でやるボランティアなんか限られたものだろう?」
よし!完璧だ。これでよくわからないイベントも終わりだろう。おかえり、俺のピースライフ!
「確かに言われてみるとそうね・・・」
「あおいの意見を否定する前に!案をださいなさいよ!案を!」
うわ、この人自分も出してないくせに・・・。しかも高坂が部活を作りたいと言い出した張本人なのに・・・。
「そうだなー、もういっそ諦めたらどうだ?自分で作らなくても、楽しそうな部活なんぞいっぱいあるだろ」
「それは嫌だわ!私は自分の部活を作って、アニメやラノベのような非日常的な楽しい高校生活を送るの!」
「そうだわ!みんながこの楽しさを知らないから、賛成してくれないし、顧問にもなってくれないのよ!」
「「は、はぁ?」」
「というわけで、ここに〝布教部〟の設立を宣言します!」
そろそろ、書きたいことが書けそうです。
時間はかかりますが気長にまってくれれば幸いです。




