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アスラの事情、ノルンとの情事、そして

下ネタ回ですので、苦手なかたはご注意ください。

「あのさ、もし俺が何らかの理由で、子供が作れないとしたら。ノルンはどうする?」


「えっ、そうなんですか?」


 図書塔からの帰り道、唐突にそう問いかけると、ノルンはキョトンとした顔で答えた。

 

「あくまで、例えばの話さ。なかなか出来ないから、少し心配になっちゃってね」


「そういう事でしたか……安心してください! どんな事が有ろうと、私達があなたを逃がす……もとい、あなたから離れる事はありませんので」


「なあ、今何か不穏な単語が聴こえたような……」


「気のせいです。そうですね、子供が出来ないことが心配なのですよね? でしたら、宿に帰って、私がお爺様に聞いた昔話をお聞かせしましょう!」


 早口で誤魔化すと、ノルンは俺の手を取って宿へと走り出した。

 ノルンに打ち明けることで、心配事は一つ減ったものの、微妙な不安が増えた気がする。



 宿の部屋に戻ると、約束通りノルンが話をしてくれた。


 ノルンが語ってくれた昔話は、とある勇者の英雄譚、その中でも1人の少女にスポットを当てた物語だった。その物語は、だいたいこんな感じだった。


 ある村に1人のお腹を空かせた貧しい少女と、1人の勇気溢れる優しい青年がいたそうだ。親を亡くしたばかりの少女は、村の厄介者として扱われていた。

 彼女は呪われていたのだ。どれだけ食べようと、一向に成長しない彼女の幼い姿は、何かの呪いではないかと村人を恐怖させた。周囲は彼女を恐れ、村の外れへと追いやる。


 それを可哀そうに思った青年は、少女を街へとつれて行き、共同生活を始める。2人は一生懸命に働いた。魔物を倒す危険な仕事もした。幸い2人は戦いの才能があったため、食べるには困らなかった。

 

 村を出て1年、少女は別人のように可憐に変身する。痩せこけていた頬には赤みが差し、鳥の骨のようだった身体にも少女特有の丸みが戻った。そんな少女に青年は求婚し、少女はそれを喜びと共に受け入れた。呪われた少女が子供を授かることは無かったが、それでも2人は幸せだった。


 そんな幸せも長くは続かない。2人が住む街に、魔王の軍勢が攻めてきたのだ。勇気溢れる青年は魔王を倒すことを決意し、少女も青年と共に旅立つことを決心した。


 苦難の旅を乗り越えた青年は、いつしか勇者と呼ばれていた。傍らにはいつも少女の姿があり、旅の間に仲間も増えた。王国の騎士に教国の聖女、帝国の傭兵に流浪の魔女、各地を騒がせた義賊すらも仲間にしたという。

 

 勇者と少女、それに5人の仲間たちは、襲い来る魔物を倒して魔王へと迫る。魔王も強かったが、勇者達も苦難を乗り越えるたびに、大きな力を手にしていたのだ。やっとのことで魔王を討伐した勇者が神へと祈り、少女への真実の愛を誓うと、神の奇跡が起きて少女の呪いが解ける。


 こうして、勇者は王に、少女は王妃となって、子供たちと一緒に幸せなに暮らしたのだそうな。



 確かにこの話に出てくる少女は、混血種に違いないだろう。とするとだ、


「つまりは俺に、魔王を倒して神に祈れって言うんだな?」


「そうじゃないです! 神様が願いを叶えてくれるなんて非現実的なこと、有るわけ無いじゃないですか」


 ノルン、お前がそれを言っちゃダメだろうに。


「冗談だよ。えーっと、魔王を倒せるくらいに強くなれば良いって事だよね?」


「そうです! アスラさんも知っての通り、レベルが上がると様々な恩恵がもたらされます。その恩恵は、妊娠に関しても無関係では無いと言われているのです」


 そう語った後に「あまり知られてはいませんが」と小さく付け加えた。


 レベルの恩恵というのは、高レベル冒険者がいつまでも若々しく、トイレにも行かないとか、そんな噂の奴だ。

 真偽のほどは、ついさっきまで一緒にいた年齢不詳の自称17歳を見れば、一目瞭然だろう。


「作り話がどこまで信頼できるかは別として、とりあえずレベルを上げれば良いってわかってスッキリしたよ。ありがとうな」


「うふふ、どういたしまして。ただ、一つだけ訂正しておきますと、先ほどのは昔話です。50年ほど前に、実際に有った出来事を元にしたお話で、決して作り話では有りませんので、間違えないでくださいね?」


「随分気に入ってるんだな、その話のこと。ノルンにもこんな乙女チックな一面があるとはね」


「そりゃそうですよ、私にだって小さい頃はあったんですから。幼い頃はよく、シンシアと一緒にお爺様にお話をせがんだものでした」


 そう言って物思いに耽る姿は、見た目の幼さに反して大人っぽく見える。


「この話は、主人公の少女が私と重なる部分が多いもので、私のお気に入りの一つなんです。特に勇者が魔王討伐の旅に出るシーンが好きで、少女に共感を覚えました。きっと少女はこう思った事でしょう、『こんな事で、逃がしてなるものか』と、あとは……」


「ちょっとまった、今なんか不穏な台詞が……」


「言ってません」


「今、逃がしてなるものか、とか……」


「気のせいです。さあ、夕食時ですし食堂に向かいましょうか」


 俺の突っ込みに、我に返ったノルンはしらを切る。頑として認めようとしない。スズだけでなく、ノルンにも尻に敷かれ始めた今日この頃であった。



 1階に併設された食堂で夕食を取りながら、俺は今夜の計画を練っていた。スズの居ない今夜が、たぶん最後のチャンスだ。

 何の計画かと言えば、今俺に掛かっている状態異常の、洗脳を解くための計画である。このままでは、貧乳しか受け付けない肉体になりかねない。

 実のところ、こないだ盗賊から助けたディアナさんが、神官服の上からでもわかるほどの巨乳であったのだ。それをスルーしていた事に気付いた時、我ながら愕然としたものだ。


 まず計画の第一段階は、ノルンの排除だ。これはシンシアちゃんをダシにしようかと考えている。


 つまりはこうだ、


「なあノルン、せっかく学問都市に来たんだから、シンシアちゃんに会ってきたらどうだ?」


「よろしいのですか? でしたら明日の朝にでも会いにいって参ります」


「いや、ほら、明日も学校があるだろう。だから、これから会いに行って、一晩語り合ってくるといい」


 どうだ? 完璧な計画じゃないか。


「そうですねぇ……何か良からぬ想いを感じますね。私が居ない間に何かたくらんでません?」


「そんな事は無い、俺はその間、1人で酒場にでも行ってくるだけだよ。ノルンなら俺が嘘ついてないってわかるだろう?」


 ただ、店員さんの胸がちょっとデカくて、露出が多いだけの、ただの酒場である。実は図書塔の情報と一緒に、冒険者ギルドでコッソリ教えてもらっておいたのだ。


「嘘はついてなくても、本当の事を話していませんね? 私に隠しても無駄ですよ」


「ぐぅ、参った、降参だ。ノルンの能力が隠し事まで見抜けるとか、もうお手上げだよ」


「いえスキルでは白と出てました。これはいわゆる、女の勘という奴ですね。それで本当はどこに行こうとしてたんですか?」


 まじかよ……女の勘ってチートすぎね? 勘という割に、妙に精度が良すぎるんだよな。


「いやぁ、ちょっと綺麗な女性が接客してくれる酒場に行こうかと……。だけど、これだけは信じてくれ。酒を飲みながら眺めるだけで、それ以上は何もする気は無かったんだ!」


「そこは信じてますけど、1人で酒場に行くのは絶対に駄目です。変な女性に絡まれでもしたら、本当に大変なんですよ」


「それは無いだろう、俺なんかに声をかける奇特な子はいないさ」


「昔はそうだったのかもしれませんが、今は違うと断言しますよ。知ってますか? 自分から声をかけるような積極的な女性の好みって、他の女性の匂いがする男なんですよ。女性はそういう匂いに、本当に敏感なんですから、気を付けてくださいね」


 ただの偏見なような気もしたが、ろくに恋愛をしたことも無い俺に、否定のしようは無かった。


「わかって頂けたようですし、部屋に戻りましょうか」


 こうして俺の計画は、第一段階から当然のように失敗に終わり、ノルンに引きずられて部屋に戻るのだった。




 部屋に戻った俺の目の前で、ノルンが突然、服を脱ぎだす。今や見慣れた光景ではあるのだが、今日のノルンは一味違った。


 彼女の薄い胸を覆うのは、簡素なレースが付いたブラジャーと呼んで遜色が無いものである。下を見ても、逆三角の布地が秘所を優しく包んでいる。


 それを見た俺は、ごくりと生唾を飲み込んだ。


 俺がこんなに過剰反応したことについて、少しだけ言い訳をさせてほしい。

 この世界の下着は微妙なのだ、上はただ横長の上部な布を、先端部が擦れないように胸に巻くだけだし、下はいわゆるドロワーズというかぼちゃパンツだ。

 そんな中、前世で使われていたような下着を見て、反応してしまうのは致し方無い事なのだ。


「ノルン、それは……?」


「アスラさんが話してくれた物を、私が再現した物です。どうやら、気に入ってもらえたようで何よりです」


「ああ、俺のためにここまでしてくれるだなんて。俺はもう、絶対に浮気なんてしないよ」


 俺は今、猛烈に感動している。胸の大きさがなんだというんだ。胸の大きさなど、目の前の芸術作品を見れば、気にするほどの価値など無いとすぐにわかる。


「わかって頂ければ良いんですよ。さあ、アスラさんのお好きにどうぞ」


「良いのか? 今日の俺は加減してやれそうにないぞ」


「はい、そのために昨日は充分な休息を取りましたし、身を挺してでもお守りします、そう言いましたよね? 他の女性になんて、絶対に渡しません」


 あれって、こっちの意味だったのかよ。俺の行動が読まれ過ぎていてホント怖い。でも今は、このまま溺れてしまおう……。



30分後…………。


「ん……いつもより、激しいです」


「ふっ、まだまだ」



1時間後…………。


「はぁ、はぁ……少しだけ……休ませて、くだ、さい」


「はっは、体を張って守ってくれるんだろう?」


 なんだか凄く楽しくなってきた。最近、嫁達に押され気味だったから、こうやって優位に立てるのはかなり新鮮だ。

 ノルンには悪いが、今日だけは我慢してもらおうと、意気込んだ瞬間であった。


「さあ、まだまだいくぞー」


――― ガチャリ! キーー、バタン!



 扉の開閉音が、室内に妙に響いた。それと同時に、部屋に充満する濃密な殺気。


「あーーすーーらーー、2人で随分楽しそうじゃない?」


「まっ、まってくれ! スズ、話せばわかる」


「マシロちゃん、しっかり押さえててね」


 鬼嫁の帰還である。

 いつの間に帰って来たのか、マシロが俺の腰にしがみ付いて離れない。

 逃げ道は完全にふさがれた、俺は今日死ぬのだろうか?



30分後…………。


「スズ、ちょっ、まっ……」


「うふふっ、だーめっ」


「くっ、そこは駄目だ!」


「ご主人、大人しくする」



1時間後…………。


「頼む……少しだけ……休ませてくれ」


「まだまだいけるんじゃ、なかったのかなぁ?」


「さっきは悪かった……ノルン、助けてくれ」


「ダメです、しっかり反省してくださいね!」


………………。

………。


 その夜、俺はいろんな意味でこってり絞られたのだった。


………。



 翌日、重い瞼を擦りながらスズの話を聞いた。スズ達は港湾都市に着いてから、近場の漁村を紹介してもらって、急いで帰って来たらしい。

 今日はこれから、漁村に向かって直接、食材を仕入れるとのことだった。ちなみに夜には帰ってくるらしい。


 ノルンは朝早くにシンシアちゃんのもとへと出かけて行った。あの子もなんだかんだでタフだよな、パラメータ的には一番低いのに。


 ちなみに俺は今日はお休みだ。図書塔で錬金術の本を借りたいところだが、とても動けそうにない。


 今は、このまま寝てしまおう……。



6/27) 不自然な言い回しの修正実施、内容に変更はありません。

 一度読み直して投稿すべきでした……申し訳ありません。


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