シルバーランク試験
前回から1年後の話です。
今は3月、俺は狩猟都市での2回目の春を迎え、白龍さんが来てから1年の時が経過していた。
装備の新調自体は既に完了しており、3ヶ月ほど前には白龍山の住居に向かう準備は出来ていたのだが、冬の登山は危険なため春を待っていたのだ。ちなみに、この1年での収支は次のとおりである。
【収入】
・持ち越し金:金貨3枚
・クエスト報酬(1年分):金貨153枚
・薬品売却益(1年分):金貨48枚
合計:金貨204枚(2億400万円)
【支出】
・黒虎の防具セット×7:金貨56枚
・ダマスクソード×3:金貨15枚
・黒鋼の武器(剣×1、槍×1):金貨10枚
・黒鋼の太刀:金貨13枚
・コンポジットボウ×2:金貨8枚
・黒鋼の矢200本:金貨4枚
・黒鋼の大剣:金貨12枚
・装備補修費:金貨4枚
・生活必需品:金貨2枚
・家賃:金貨18枚
・食費:金貨12枚
合計:金貨154枚(1億5400万円)
この中で、予定外の黒鋼の大剣が必要になったのは、ナオにも武器を持たせようと考えたからだ。基本ナオには、倒した獲物の回収役を頼んでいるが、それだけだとレベルが上がり難いため、戦闘にも参加してもらうようにしていた。
これら、新調した装備は、一般的なシルバーランク冒険者が使う装備品だ。これで、あと1年は戦える。差し引き金貨50枚が今の所持金であり、暫くの間は生活費の心配も無い。
装備こそシルバーランク並であるものの、俺は未だブロンズランクであるし、スズ達はアイアンランクのままだ。1ヶ月ほど前に、俺のシルバーランク試験の話がギルドで上がったのだが、安全を期して保留にしてもらっていた。
そしてとうとう、俺のレベルが40になったこともあり、今日はシルバーランク試験についての詳しい話を聞きに行こうと考えていた。ちなみい俺のステータスは次の通りだ。
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名前:アスラ
種族:異世界人
モラル:265 ↑13up
レベル:40 ↑6up
筋力:54 (724) ↑5up
耐久:59 (791) ↑7up
敏捷:55 (738) ↑4up
器用:66 (885) ↑6up
精神:38 (510) ↑1up
魔力:43 (577) ↑7up
通常スキル:体術Lv5 小剣術Lv5(1up) 投擲術Lv4 射撃術Lv1 隠密Lv6 気配察知Lv4 異次元収納Lv3(1up) 生活魔法Lv2 錬金術Lv4 闇魔法Lv4 風魔法Lv4 詠唱省略Lv4 精神異常耐性Lv2 肉体異常耐性Lv3 刀術Lv4(1up)
固有スキル:エアマスター
ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定
スキルポイント:11pt
眷属:ナオ (1/2)
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最近では、レベル上げと訓練にかなりの時間を費やしており、レベルも基礎パラメータも順調に上がっている。スキルについては小剣術と刀術、異次元収納を上げている。
以前は常に一緒にナオがいて、異次元収納の容量を気にする必要はなかったのだが、今ではナオとの別行動が増え、自分の異次元収納の容量に不足を感じていたのだ。そのため異次元収納のレベルを上げ、20kgまでしか入らなかったのが、300kgまで収納できるようになっている。これで太刀以外にも色々収納できる!
ちなみに今は、コテツ&アンズの2人相手に戦闘訓練中である。小剣術と刀術のスキルも上げているため、こんな上の空でも、容易に相手ができる。魂の修練場でのスキル修練に比べれば、この程度なんてことはない。ちなみにコテツとアンズのステータスはこんな感じだ。
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名前:コテツ
種族:獣人族
モラル:157 ↑14up
レベル:36 ↑3up
筋力:71 (392) ↑8up
耐久:66 (364) ↑7up
敏捷:69 (381) ↑9up
器用:39 (215) ↑4up
精神:31 (171) ↑1up
魔力:11 ( 61) ↑1up
通常スキル:体術Lv3 槍術Lv4 隠密Lv3 気配察知Lv3 異次元収納Lv2 生活魔法Lv1
固有スキル:嗅覚感知Lv3 聴覚感知Lv3
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名前:アンズ
種族:獣人族
モラル:169 ↑14up
レベル:36 ↑3up
筋力:60 (331) ↑6up
耐久:62 (342) ↑7up
敏捷:72 (397) ↑9up
器用:45 (248) ↑5up
精神:32 (177) ↑1up
魔力:23 (127) ↑4up
通常スキル:体術Lv3(1up) 小剣術Lv3 弓術Lv3 隠密Lv3 気配察知Lv3 生活魔法Lv2 水魔法Lv2 異次元収納Lv2(new)
固有スキル:嗅覚感知Lv3 聴覚感知Lv3
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アンズが異次元収納を覚えているのは、弓での援護をする都合上、矢を大量に持ちたいがためだろうと思う。俺はこれを見てなるほどと思い、マシロにも異次元収納を覚えさせている。逆にコテツのスキルに変化が無いのは、槍術スキルを上げようと必死なためだろう。
「ぐはっ!」
「あっ、すまん」
やば、ちょっと加減を間違った。うっかり力を入れすぎて、コテツを木剣で殴り飛ばしてしまった。
「いえ、もう1本お願い致す」
「ああ、どんどんかかってこい」
コテツが立ち上がるのを待って、訓練を再開する。コテツ達の訓練に対する身の入り方は凄い、その分、パラメータの伸びはいいのだが、俺やスズ達がそれ以上の速さで強くなっていく。
俺やスズ達がチートでさくさく強くなっていく中、くさることなく必死で食らいついてくるコテツ達には頭が下がる思いだ。こうして手合わせしていると、自分のスキルのズルさを改めて実感できる。
最近では、スズとマシロもコテツと1対1で勝てるようになっており、コテツ達の焦りが訓練の中からも見て取れる。そろそろ解放してあげたほうがいいのかもしれない。
結局、朝食後の訓練を1時間ほどぶっ続けで行い、コテツ達は疲れ切って、仰向けに倒れてしまった。その後俺は、身支度を整えて冒険者ギルドへと向かった。
ギルドに着いたら、いつもの受付でシルバーランクの試験について確認する。
「以前、話のあったシルバーランクの試験を受けようと思うのですが、どういったものでしょう?」
「ああ、あれね。ワイバーン1匹の納品、ドレッドベア3匹の納品、ブラックタイガー5匹の納品、この3つのうち、どれかをこなせばいいんだよ」
相変わらずテキトウな試験だな。誰かに取りに行かせるとかも出来ちゃうんだろうな。まあ結局は、ギルド側の利益になれば何でもいいんだろう。
ちなみにブラックタイガーとは、海老みたいな名前だが、俺が装備している黒虎の防具セットの素材元だ。この魔物を知った時、今までかっこいいと思っていた自分の装備が、少し残念に見えてしまったのを覚えている。
「期限とかはありますか?」
「特にないよ、手に入ったら持ってきてくれれば、それで完了さ。あと、あんたがシルバーランクになったら、スズちゃん達はブロンズランクにしてあげるよ」
「えっ、試験とかいらないんですか?」
「ああ、ブロンズランクの依頼は散々こなしてるだろ? 保証人のあんたがブロンズランクだったから、ランクを上げてやれなかっただけさね」
なるほど、保証人が同じランクってのもカッコがつかんか。スズ達は俺のランクアップ待ち状態だったってことか。
「それにしても、ランクアップ試験が随分とザルですけど、そんなんでいいんですか?」
「いいんだよ。まあ、ゴールドランクだけは面倒な試験があるんだけどね。ギルドマスターになれるのはゴールドランクだけだから、そこだけは色々な試験をやらされるんだよ」
「うわぁ、それは面倒そうですね。このままシルバーランクに居座りますか」
「ゴールドランクが嫌ならミスリルランクって手もあるよ。あれも試験は獲物を狩ってくるだけさ。まあ、ミスリルランクになれる異常者は、世界中で20人も居ないんだけどね」
ゴールドランクは面倒として、ミスリルランクになれる異常者ときたか。よほどヤバイ相手を倒す必要があるんだろうな。そして、そこまで強くなるってのは、普通じゃ無理なんだろうさ。
「んで、どの魔物を狩ってくる気だい?」
「ワイバーンですかね、丁度、白龍山に行く用事もありますし」
「いきなりワイバーンかい、あんまり無理はするんじゃないよ」
俺は頷いて、冒険者ギルドを後にする。
今回、俺はシルバーランクを目指すわけだが、シルバーランクは冒険者全体の2~3%程度しかいない。俺も偉くなったもんである。
この狩猟都市でも5000人ほどの冒険者が居るが、シルバーランクはその中で100名ほど。ブロンズランクが約1000人、ゴールドランクはたったの6人だ。ミスリルランクに至ってはこの街には居らず、商都連合では学問都市の図書塔と言う所に、1人しかいないとのことだった。
ギルドから家に戻り、自分の部屋に入ると、スズとマシロ、ノルンの3人が待ち構えていた。ノルンが中央に立ち、スズは何やら思案顔で、マシロは息が荒く、少し調子が悪そうに見える。何かデジャヴを感じるな。
「おかえりなさいませ、少し話があるのですが宜しいですか?」
「ただいま、なんだいノルン?」
「もうマシロちゃんが18になりましたが、いつまで待てばいいのでしょうか?」
あー、それね、いつまでも誤魔化せんか。
「あっ、うん。えーっと、スズとマシロはいいのか?」
「覚悟は出来てるわ、それにマシロちゃんの春の季節が始まってしまったの」
「はぁはぁ……ご主人……はやくぅ」
マシロの息が荒いと思ったら、発情期だったか……。
「わかったよ、でもさ、春の季節が終わるまで待ってくれないか? 本能に任せてってのは何か嫌だな」
「ご主人……そんにゃぁ……」
春の季節のマシロは全体的に猫っぽくなって、猫派の理性をガリガリと削ってくる。断るのは少し早まったかもしれない。よし、今回は可愛がるだけにしておこう、恋の季節は毎年、春と秋の2回来るのだから。
「心配するな、今回は俺も手伝う、スズ一緒にマシロを楽にしてやろう!」
「うん、それならいいわ。アスラとの共同作業ね」
「ヘタレさんかと思いきや、変態さんでしたか……まあいいです。それと私とのことはどうなさいますか?」
うーむ、ノルンはまだパラメータ的に心配なんだよな。それに、気持ちの整理にもう少し時間が欲しい。
「ノルンはもう少し強くなるまで待って欲しい、今の耐久値では少し心配だ」
「そうですか……分かりました、これから頑張って鍛えます!」
「ああ、うん、ほどほどにな」
ノルンはなんでこんなに、やる気満々なんだろうか……パラメータ的には本能強くなさそうなのに。あれか年齢のせいか? たしかノルンは今年で22歳、この世界の結婚適齢期は十代だから、焦っても仕方がないのかもしれない。
「私はナオちゃんと昼食の準備をしてますので、皆さんごゆっくりどうぞ」
ノルンが部屋から出て行くと、マシロを抱えてベッドの上に運び、スズと一緒に楽な格好にしてあげる。夫婦で1人の少女にイタズラをしているみたいで、何かいけない気分になってくる。マシロの反応が可愛くて、俺もスズもノリノリで悪戯を続けてしまった。
結局この後、俺とスズは昼食の時間になるまでマシロを攻め立て、足腰が立たなくなったマシロを、食卓に運ぶ羽目になるのであった。




