駄目男ここに極まれり
俺とスズが両想いになってから、既に1週間が経過していた。この1週間、何をしていたのかと言えば、俺達のステータスを見れば、何となく察しは付くのではないだろうかと思う。
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名前:アスラ
種族:異世界人
モラル:252 ↑1up
レベル:34
筋力:49 (490) ↓1down
耐久:52 (520) ↑1up
敏捷:51 (510) ↓1down
器用:60 (600) ↑3up
精神:37 (370)
魔力:36 (360)
通常スキル:体術Lv5 小剣術Lv4 投擲術Lv4 射撃術Lv1 隠密Lv6 気配察知Lv4 異次元収納Lv2 生活魔法Lv2 錬金術Lv4 闇魔法Lv4 風魔法Lv4 詠唱省略Lv4 精神異常耐性Lv2 肉体異常耐性Lv3(1up) 刀術Lv3
固有スキル:エアマスター
ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定
スキルポイント:3pt
眷属:ナオ (1/2)
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名前:スズネ・カミシロ
種族:混血種(鬼人/普人)
モラル:20 ↑1up
レベル:29 ↑1up
筋力:45 (265)
耐久:50 (294) ↑3up
敏捷:56 (329)
器用:36 (212) ↑2up
精神:21 (123)
魔力:25 (147) ↑1up
通常スキル:異次元収納Lv2 生活魔法Lv1 無属性魔法Lv4 闇魔法Lv4 肉体異常耐性Lv4 精神異常耐性Lv3 料理Lv2
固有スキル:忍の心得Lv4
ギフトスキル:アスラの加護
スキルポイント:5pt
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とまあ、この1週間で耐久と器用が上がっているのが分かるだろう。耐久値は体力を使う行動で上がり易く、器用値は繊細さを要する行動で上がり易い。
この1週間で伸び悩んでいた俺の器用値と、スズの耐久値が急上昇しいるのを見れば、俺が如何にテクニックを駆使してこの1週間を戦い抜いたかを、分ってもらえるだろう。
せっかく頑張って、1人部屋を手に入れた俺だが、ここ1週間はスズと一緒に眠っている。そして今は、自室のベッドの上で、今日の予定についてスズと話し合っている処だ。
「今日という今日は、冒険者ギルドに行きますからね!」
「分かってるって、でもその前に……な」
この頃の俺は情けないことに、見事にスズに溺れていた。今朝も駄目だ駄目だと思いつつも、1回だけなら大丈夫だろうとスズに甘えていたのだ。
「駄目! 昨日だって結局そう言って、夜になっちゃったじゃない」
「そうだけどさ、昨日はスズが離してくれなかったからだろ」
最近の堕落した性活の一番の原因は、確かに俺ではあるが、スズにも責任の一端はある。いつも始めるのは俺だが、一度始めてしまうと興が乗ったスズは離してくれない。そして、スズのおねだりを俺が断れる訳が無いのだった。
1週間前の初めての時は、あんなに痛そうにしていたスズだが、この1週間で互いに充実した性活を送れるようになっている。昨日も俺は、持ち得る全ての知識とテクニックを駆使し、結局1日をベッドの上で過ごしてしまっていた。
「兎に角、駄目なものは駄目なの! そういう事は夜だけにしよう?」
流石にこのままでは拙いと思ったのか、今日のスズは強情だ。俺だって、このままでは駄目だってことくらい理解している。それでも、日に日にスズを失いたくない気持ちが増しており、魔物を相手にするのが怖くなってしまったのだ。
スズを置いていくというのも駄目だ、レベルが離れすぎると一緒に居れないし、スズもそれを許容しないだろう。そんなこんなで、この1週間をグダグダと過ごしてしまっていた。
だが、今日こそは覚悟を決めねばならない、なぜなら、金が底をつきそうなのだ。NAISEIチートを使うのは転生時に止められているし、街の中での仕事はコネもないし、低賃金では生活費を賄えない。やはり、生きるためにも冒険者を続けるしかないので、今日こそ狩に出かけようと思う。
「うーん、確かにそうだよな。よっし、今日からはちゃんと仕事しよう!」
そう宣言し、2人して身支度を整え、朝食を摂りにダイニングに向かった。
「おはようございます淫獣さん、今日は降りて来られたんですね。てっきり今日も部屋から出てこないと思いましたわ」
「おはようノルン、今日からはちゃんとするから、その呼び名は勘弁してくれ」
食卓に着くと早速、食事の用意をしていたノルンに、嫌味を言われてしまった。この1週間で、ノルンの機嫌を大分、害してしまったようだ。していた事がアレなだけに言い訳のしようがない。
ちなみに、ノルンとマシロとの関係についてだが、この1週間で4人で何度か話をして、一応の決着を得ている。
まず最初に、なぜか俺がパーティ外の人と関係を持った場合、死刑かそれに準ずる罰を受けることに決定してしまった。その時のスズ達の眼を見る限り、どうも冗談では無さそうである。俺は、病気やハニートラップ、暗殺等の危険性を説かれ、頷くしかなかった。
その代わりと言っては何だがスズは、パーティ内の混血種の娘に限り、関係を持つ許可をくれた。混血種は差別されていることもあり、寄ってくる男は碌な相手では無いらしく、他に良い相手が見つかる可能性は絶望的らしい。
俺もまた駄目な男であるので、少し納得してしまった。スズ達は違うと言ってくれたが、自分が駄目男な自覚はある、今後改善していけたらとは思っている。
また、パーティの結束を考え、男女関係のトラブルが起きないよう、今後、仲間にするなら混血種の女性にしてほしいと言われている。
男性を仲間にした場合、俺への対抗心や嫉妬で仲間割れがあるかもしれないし、混血種以外の女性だと、この世界に根付いている差別意識の所為で、スズ達との軋轢を生む可能性があるとの事だ。これに関しては、むさい男をパーティに入れたくないのは俺も一緒なので、素直に頷いておいた。
結局のところ、ノルンとマシロとの関係については、あと1年は現状のまま保留とさせてもらった。俺としては18歳未満のマシロに手を出すのは憚れるし、ノルンとはまだ出会って間もないためだ。1年後にノルンとマシロの気持ちが変わっていないのであれば、その時は改めて受け入れることになる。
そのため、耐久値の上昇から見て多少無理をさせている気はするが、これから1年はスズ1人に頑張ってもらうしかない。流石に昨日までは無理をさせ過ぎたから、今日からは自重しようと思っているが、愛しいスズを前にして我慢できる自信は無かった。
しばらく座っていると、食事の準備が完了し、全員で「いただきます」をして食事を開始する。ワイルドボアの肉もこれで使い切ってしまったそうなので、今日、狩に行かねばならない理由がまた増えた。
「今日から魔物狩りを再開しようと思っている。食事の後に準備を頼む」
「やっとで御座るか」
「ほんとですよ、腕が鈍って仕方ないです」
「すまんなコテツ、アンズもな。庭で訓練をしていたようだが、やはり訓練にも限界はあるよな」
広めの庭があるとはいえ、素振りや簡単な手合わせをするのがせいぜいで、実戦的な訓練をするには不十分な広さであった。俺とスズ以外は、庭での訓練を怠っていなかったようなので、頭が上がらない。
「ボクは狩に行って、色々なお肉獲りたかった」
「私は早くレベルで追いつきたかったのですがね」
マシロとノルンも苦情を言うと、スズが頭を下げて謝る。
「皆ごめんなさい、私1人幸せでいて」
「スズさんが謝る事はありません。すべてヘタレさんの所為なんですから」
「そうだ全ては俺が悪かった。今日からはちゃんとするから、また力を貸してほしい」
俺も頭を下げてそう言うと、皆は快く頷いてくれた。有り難い事だ、今日からは皆の為にも真面目に働こうと心に決める。
ちなみにナオは、そんな中も我関せずで、黙々と食事を口に運んでいた。ホムンクルスの食事は普通の人と同じで、違う処と言えば、錬成の素材となった人間のどちらかの体液を、定期的に摂取する必要がある点だ。
これはナオ本人から、根気強く聞いた結果分ったことであり、身体を維持するために遺伝子的なものが必要なのではないか、というのが俺の予想である。
その所為もあってナオは、基本的には自室に居るのだが、たまに俺の部屋にやってくることがある。目的は、俺の部屋に飛び散った液体で、こっそり摂取しては自分の部屋に帰っていくのを、何度か目撃したことが有る。最初は止めていたのだが、ホムンクルスにとって必要な行動と分かった今は、黙認していた。
俺達は朝食が済んだ後、装備を整えて、久しぶりに冒険者ギルドに向かった。
懐が心もとないので、今日は納品系の依頼をこなすことにする。いつもの討伐依頼に加え、以下のブロンズランクの納品依頼を受けることにする。
・グレイウルフ納品:1匹で銀貨7枚
・ブラウンベア納品:1匹で銀貨9枚
ブラウンベアは1匹、グレイウルフは3匹まで、引き取ってくれるとのことだった。
依頼を受けると、街の外に出て森に向かい。まずは森に入ってすぐの辺りで、オーク討伐で肩慣らしをしながら、食事用のワイルドボアの肉を回収する。
暫く浅い所で狩をした後、少し奥の方に行って、目的のブラウンベアとグレイウルフを探して狩りだす。探索中に遭遇した、ハーピーやトロールも片っ端から倒していった。
日が沈む前に、狩を切り上げて街へ戻ると、今日の成果は次の通りだった。
・オーク討伐:8匹で銀貨8枚
・ハーピー討伐:7匹で銀貨14枚
・トロール討伐:3匹で銀貨15枚
・グレイウルフ納品:3匹で銀貨21枚
・ブラウンベア納品:1匹で銀貨9枚
・オーク討伐:3匹で銀貨3枚
オーク討伐が2回出てくるのは、最後の3匹は切りが良い値段になるよう、帰り道に調整したからだ。オークは見つけ易く、簡単に狩れるのでお手軽で良い。
パッと見、幼女のナオが異次元収納を使えるのは、目立つと思って、一旦、家に戻り、納品用の魔獣をナオに収納から出してもらう。そして、皆で魔獣を背負って冒険者ギルドに運び、討伐と納品の報酬として、合計で小金貨7枚を受け取った。
今日は少しのブランクがあったため、討伐だけの日とさほど変わらない報酬額であったが、直ぐにもっと稼げるようになることだろう。
その後は、久しぶりに酒場に寄ってワイバーン料理に舌鼓を打ち、軽くエールを引っ掛けて家に帰った。
魔物狩りでいい感じに疲れていたので、そのまま自室のベッドに倒れ込み、目を瞑る。俺が意識を完全に失う前に、部屋の扉が空いて、枕を抱えたスズが入って来た。
「今朝の続き……する?」
俺がその日、体力の限界に挑戦したことは言うまでもないことだろう。




