表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/113

王国からの脱出

 俺は近づいてきた商人風の男に、まずは護衛の無事を確認した。


「そちらの護衛は無事ですか?」

「1名は無事です。2名が負傷しましたが命に別状はありません。もう1人は残念ながら……」


 どうやら、倒れていた2人の内かたほうは、生きていたようだ。様子を見に護衛の許に行くと、2人の男が座って傷の手当てをしており、残りの1人が少し離れたところで犠牲者を弔っていた。


「怪我の具合はどうです?」

「おかげで助かったよ。俺は直ぐに戦えるけど、こいつはしばらくは無理だな」

「すまん、足手まといになっちまった」


 軽装の男は軽傷だが、重装備の男が重症でしばらく戦えないらしい。重症の男の鎧には、新しく付いた大小様々な傷があり、よほど長く戦っていたのだろう。重装備の前衛が倒れたということは、けっこうギリギリな状況だったのかもしれない。

 俺と護衛が話していると、すぐに商人風の男も近づいてきて、護衛と相談を始めた。


「どうです、護衛は続けられそうですか?」

「戦えるのが2人じゃ厳しいな」


 護衛の回答を受けた商人風の男は、少し考えてからこちらを向いて話を切り出す。


「私は商人のマルコと申します。是非御礼をしたいのですが、よろしければ教国までご一緒しませんか? 南から来たということは目的地は同じかと思いますが」

「急いでますので、申し訳ありませんが、お先に失礼しようかと思ってます」


 マルコの言葉は予想から外れるものでは無かったので、俺も用意していた答えを返した。商人は、関わらなくて済むなら、あまり関わりたくない相手だ。ボッチの俺に交渉力があるとは思えないから、下手に関わると損をさせられそうだからだ。


「お待ちください、教国の入国審査はとても厳しいです。もし通行手形が無いのでしたら、ご一緒したほうが、却って早いかと思いますよ」


 入国審査があるのか、考えてなかったわ。入国審査でいろいろ調べられるのと、商人と一緒に行くののリスクを天秤にかけ、俺は条件付きで商人と一緒に行くことを選んだ。


「そうですか、一緒に行くなら、一つ条件がありますがいいですか?」

「なんでしょうか?」

「私達は、あなた達の護衛はしません。出てきた魔物は基本的に倒しますが、自分達の命を優先します」


 護衛依頼など受けたこともないし、他人のために命を掛けるつもりはない。いざとなったら見捨てる事を明言しておく、足手まといを抱えて共倒れは御免被るのだ。


「なるほど、護衛としてではなく、あくまで同行者としてなら良いということですか。承りました、これからよろしくお願いします」

「アスラと申します、こちらこそよろしく。私達は後ろから付いていきますので、先に行ってください」

「わかりました。ちなみにそちらの方たちをご紹介いただいても?」


 俺の後ろに控えているスズ達を紹介してほしいようだ。なんて紹介すべきか、スズは仲間でいいだろうが、マシロ達も仲間? それはやはり違うよな。首輪しといて仲間なんて呼べない。


「この子はスズ、俺の大切な仲間です。それと、こっちの3人は俺達のペットです」

「スズさんですか、よろしくお願いしますね」

「……よろしくお願いします」


 マルコの挨拶にスズが答えたが、マシロ達は無視か、まぁペットの扱いはそんなものなのかもしれない。挨拶も終わりマルコが自分の馬車に戻っていき、笛のようなものを吹いていた。馬車は車体だけが残っているので、逃げた馬を呼び出しているのかもしれない。待っている間に、同行者を鑑定しておくことにする。


----------------

名前:マルコ

種族:普人族

モラル:21

レベル:12

筋力:34 (58)

耐久:35 (60)

敏捷:22 (38)

器用:41 (70)

精神:39 (67)

魔力:12 (21)

通常スキル:人物鑑定Lv3 物品鑑定Lv2 小剣術Lv1 異次元収納Lv3 生活魔法Lv1

----------------


 商人のマルコは、モラル値が中途半端でいまいち参考にならない。スズのステータスを見る限り、レベル1でモラルが0から始まるようなので、年若いスズとマシロが低いのは仕方が無いが、30代と思しきマルコが低いのは、良いこともしているが、きっとあくどいこともしているのかもしれない。

 護衛の3人のモラル値は意外に高く、パラメータはスズと同じくらいだった。スズのスキルの豊富さと、戦闘経験の少なさを差し引いて、やはりスズと同じくらいの強さだとは思う。ちなみに、スズとマシロもだいぶ強くなっていて、ステータスは次の通りだ。


----------------

名前:スズネ・カミシロ

種族:混血種(鬼人/普人)

モラル:12 ↑6up

レベル:20 ↑6up

筋力:40 (152) ↑5up

耐久:40 (152) ↑4up

敏捷:49 (186) ↑6up

器用:30 (114) ↑2up

精神:20 (76) ↑1up

魔力:17 (64) ↑4up

通常スキル:異次元収納Lv2(new) 生活魔法Lv1 無属性魔法Lv3 闇魔法Lv1 肉体異常耐性Lv4 精神異常耐性Lv3(1up)

固有スキル:忍の心得Lv3(1up)

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:10pt

----------------

----------------

名前:マシロ

種族:混血種(獣人/普人)

モラル:15 ↑6up

レベル:20 ↑6up

筋力:43 (163) ↑6up

耐久:43 (163) ↑6up

敏捷:54 (205) ↑7up

器用:38 (144) ↑6up

精神:21 (80) ↑1up

魔力:17 (64) ↑4up

通常スキル:体術Lv2(new) 小剣術Lv3(1up) 弓術Lv3 隠密Lv3(1up) 生活魔法Lv1 無属性魔法Lv1 水魔法Lv3(1up) 肉体異常耐性Lv2 精神異常耐性Lv2

固有スキル:絶対感知Lv4(1up)

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:3pt

----------------


 2人ともパラメータの伸びが良く、スズの方が少し低めなのは麻痺が残っている所為だろう。スキルについては、スズに異次元収納を覚えさせ、もしもの時のために食料と資金をいくらか持たせている。マシロには体術を新しく取らせ、水魔法をレベル3させており、水魔法Lv3の魔法は次の通りだ。


・水魔法Lv3『アクアベール』:水の膜を纏い、魔法耐性を得る

・水魔法Lv3『キュアウォーター』:清らかな水で、状態異常を回復する


 『アクアベール』の効果は魔力依存で今のところ微妙だが、『キュアウォーター』は回復に時間は掛かるが、継続してかけ続けることで、レベル3までの状態異常を回復できる。残念ながらスズの麻痺を癒すことは出来なかったが、中々有用な魔法であった。



 マルコが笛を吹いてからしばらく待って、避難していたらしき馬が戻ってくると、馬車につないで街道を進み始めた。俺達も少し距離を空けて、馬車の後を付いていく。


「なぁ、あの商人どう思った?」

「なんか値踏みされてた……かも」

「そうか、ともかく気を許さないようにするぞ」


 スズの言いたいことは解るが、商人は値踏みするのが仕事みたいなものだから、何とも言えない。俺も根拠も無く怪しんでいるだけだし、とりあえず油断だけはせずに行こうか。


「馬車の中から、ハーピーの声した」


 さすがにマシロは耳が良い、馬車の中にハーピーが捕まっているってことか? つまりは、取り返しにきたハーピーに襲われてたってことで、自業自得じゃないか。


「きっとそれは、ハーピーの子供でしょうね。良い売り物になると、ペットショップの主人に聞いたことが有ります」

「ハーピーの子供か、少し可哀そうな気もするね」


 アンズの言葉に対して、思わず呟いてしまった俺に、みんなキョトンとした顔をしている。


 あれ? ……あーそうか、ついさっきハーピーぶっ殺したとこだったわ。今日だけじゃなく、北の森でもさんざん討伐してたのに、いまさら可哀そうも無いか。きっとこれは、余計な感傷なんかじゃなく、相手が子供だからで、俺がロリコンだからということにしておこうか。


「すまない、今のは忘れてくれ。さっさと行こうか」


 誤魔化すようにそう言うと、俺は少し早歩きになってしまった。その後は、すぐに追いつてきた皆と、他愛の無い話をしながら、街道を北へと進んでいった。



 その後の2日間は、これと言って何事も無く、俺達は国境の砦までたどり着いた。道中はグレイウルフかハーピーがたまに出てくるだけで、たいした苦労は無かった。むしろ、商人と護衛を警戒するのに、疲れたくらいだ。

 マルコ達と同行することで、ハーピーの子供誘拐に加担しているみたいで、いい気分はしなかったが、マルコが何かしてくるといったことも無く、程よい距離感を保てている。


 たどり着いた国境の砦には、出入国用に2つの門があり、片方の門には行列が出来ている。通行手形が無いと、この行列に下手したら数日間、並ぶ羽目になるらしい。俺達はマルコと一緒に空いている方の門を通ることが出来たので、たいして並ぶことも無く門を通過することができた。


 実質、冒険者カードを提示したくらいで、門を素通りできており、事があっさり行き過ぎて、怖いくらいだ。物事がすんなりいっている時に限って、悪いことが起きると思うのは、被害妄想なんだろう。

 それに、「気を許さないようにするぞ、キリッ」とか言っといて何も起きないってのも、拍子抜けというか何というか。まぁ、えてして、現実なんてのはこんなものかもしれないね。



 こうして、何の達成感も無くあっさりとサウリア王国から脱出した俺達は、その日のうちにエスト教国入りを果たしたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ