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3月は恋の季節

「ハーゲンさん、今日も換金お願いしますよ」


 俺はコテツ達との訓練が終わり、討伐報酬の受け取りに冒険者ギルドに来ていた。ちなみにハーゲンさんとは、ヘイローの街でお世話になっている、受付のハゲのことだ。この名前を呼ぶ度に何故かアイスを食べたくなってくる。


「おう、今日もアイアンの討伐ばっかかよ、いい加減、納品依頼とかブロンズの依頼も受けろや」

「うーん、もう少しうちの子達のレベルを上げたいんですよね」

「チッ、相変わらず子供に戦わせてるのかよ、これだから鬼畜紳士は……」


 『鬼畜紳士』これが俺のもう一つの二つ名だ。子供に戦わせるような鬼畜でありながら、振舞いは紳士的なところから来ているそうだ。無法者の集まりである冒険者の中では、俺程度でも紳士であるらしい。前世と違って変態紳士的な意味は無いはずだ、たぶん。


「その名前は勘弁してくださいよ、納品依頼なら今度受けますから」

「頼むぜ、最近、食料が高騰してるらしいからよ」


 食料が高騰ってのが気になる、うちのチビ共は良く食べるからな。ただでさえ良く食べるのに、レベルが上がって来てから、更に良く食べる。この3ヶ月で金貨10枚(約1000万円)程度を稼いでいる俺達だが、その内、金貨5枚分が食費と宿代で消えていた。更には、スティールソードをスズに2本とマシロに1本購入しており、俺の投剣と合わせると、金貨3枚の出費である。残金は金貨2枚とちょいで、いささか心もとなかった。


「ほらよ、報酬の銀貨24枚だ、確認しな」

「確かに、それではまた」


 討伐報酬の銀貨24枚(約24万円)を受け取る。銀貨24枚と聞けば多いようにも感じるが、宿代が1日銀貨4枚かかり、外で食事を摂ると最近では銀貨2枚くらいかかる、あいつら明らかに食い過ぎだよ。それに、いい装備はバカ高いし、旅費ももっとほしい。やはり、これからは納品依頼も受ける必要があるだろうから、西の森での手ごろな納品依頼をチェックしておく。


・ホーンディア納品:1匹で銀貨2枚

・ワイルドボア納品:1匹で銀貨3枚

・ブラウンベア納品:1匹で銀貨9枚


 ブラウンベアだけブロンズランクの獲物だが、西の森にたまに出没する。今まではスルーしていたが、これからは俺が倒すことにしよう。ブロンズランクの依頼も見てみたが、やはりまだ厳しそうだったので、ろくに見ずに、ギルドを後にした。


 実は一度、北の森にも足を延ばしたのだが、3メートル近い巨体な魔物を2体見て、即座に逃げ帰っている。両方とも鑑定はしたが、戦ってはいない。1匹目に見たのがこいつだ。


----------------

名称:トロール

種別:魔物

レベル:36

筋力:79 (436)

耐久:96 (530)

敏捷:24 (132)

器用:23 (127)

精神: 9 (50)

魔力: 3 (17)

スキル:棒術Lv3 体術Lv2 毒耐性Lv2 麻痺耐性Lv2 病気耐性Lv2

固有スキル:精力強化 物理耐性Lv2

----------------


 このトロールは倒せるとは思ったが、正直イカ臭くて近寄りたくなかった。ハーゲンに聞いた話だと、ブロンズランク上位の敵らしく、ひたすらしぶとく面倒な相手だそうだ。

 このトロールをスルーした後に遭遇した、2匹目の魔物が、逃げ帰った直接的な原因だ。


----------------

名称:オーガ

種別:魔物

レベル:43

筋力:91 (706)

耐久:84 (652)

敏捷:39 (303)

器用:28 (217)

精神:15 (116)

魔力: 4 (31)

スキル:棒術Lv3 体術Lv3 毒耐性Lv2 麻痺耐性Lv2

固有スキル:怪力 嗅覚感知Lv3

----------------


 オーガは倒せる気がしなかった。ステータスだけを比較すれば倒せないことは無いのかもしれないが、実際にその威容を前にすると、どうしても恐怖が先に立つ。それに、体格の差というのは戦闘においてけっこうバカにならないものだ。俺は、しなくていい無茶はしたくないので、気づかれる前にさっさと逃げる選択をした。


 ハーゲンに話を聞くと、オーガはシルバーランクの魔物で、本来は森の奥にある山岳地帯に出るそうだ。調査隊を出すと言っていたので、俺はその結果を聞くまでは、北の森に行くつもりは無い。



 ギルドの外でスズ達と合流した俺は、最近通っている食事処で夕食を摂ることにした。やはり食事は美味しくなくてはならない、宿屋の量が多いだけの食事では、もう満足できないのだ。


 行きつけの飯屋でゆっくり食事を摂っていると、右足に何かがしがみ付いてくる感覚を覚える。足元を見るとマシロがギュッととしがみ付いていた。


「またですか、しょうがない子ですね、マシロちゃんは」

「ほっ、ほんとだよな。困ったものだ、ハッハッハ」


 スズが微笑みを浮かべながらそう呟くが目が笑っていない。パワーレベリングが終わったころからだったか、マシロが頻繁に引っ付いてくるようになった。引っ付き癖でもついたのかと思っていたが、どうやら違うような気がしてきた。

 昨日は引っ付いてきただけだったが、今日はその上、頬を紅潮させ荒い息遣いで、身体をこすり付けてくる。


「なぁアンズ、もしかして今のマシロって……」

「お察しの通り、恋の季節が始まってますわね。最近、暖かくなってきましたから」


 恋の季節ね、まぁ発情期ってやつだろうけど、どうすりゃいいのよこれ?


「それで、どうやって元に戻せばいいと思う?」

「私達なら慣れてますので、夫婦でなんとかできますが、マシロでしたら……主様がいつものように、可愛がってあげればいいのでは?」

「濡れ衣だ! 俺は何もしてないからな?」

「またまた~、そんな恥ずかしがらなくても、私達は気にしませんので」


 何度か手を出していないと否定してはいるが、どうも信じてもらえない。それより、やっぱり発散させてやるしかないのか。まぁセクハラチャンスとでも割り切っておくか。


「はぁ……まあいいや、さっさと宿に戻ろうか」


 マシロの金色の猫目が怪しい光を放ってきたので、手早く食事を済ませて宿屋に戻り、自分たちの部屋に入った。


 部屋に戻って安心したのか、マシロの行為がエスカレートし、俺に対して所謂スプレー行為に及ぶ……スズには不可抗力でされたけど、マシロにもやられるとはな。


「マシロちゃん、待てです。それ以上の粗相は許しません!」


 怒ったスズがマシロを止めて、いう事を聞かなかったマシロの首輪が絞まりだす。俺はスズが動けるようになった時点で、マシロの首輪をスズに付け直させて、スズの命令を優先するように変更していた。


「あー、これも本能的なものだったと思うから、許してやってよ」

「だからって、許すわけにも……」

「そういや、スズにもかけられたことがことが有ったっけな」

「うぐっ、……わかりましたよぅ」


 渋々ながら、スズが首輪と契約紋の解除を行う。苦しみから脱したマシロの目には理性の色が戻っていたが、息遣いは荒いままだ。


「ご主人……ごめんにゃさい。ボクもう、おかしくなりそうにゃ」


 奇遇だな、俺ももうおかしくなりそうだよ。早く何とかしないと理性が持たないぜ。


「アスラ、私が何とかするよ!」

「できるのか?」

「大丈夫……なはず」


 これは駄目そうだ。俺がナオちゃんをけしかけてもいいが、それは何かアウトな気がするし、俺にネトラレ属性は無いから、何となく嫌だ。やはり俺がやるしかない、いや俺がやるんだ!


「マシロ、今、楽にしてやるからな。スズは手伝って覚えてくれ」

「むぅ、しょうがない」


 俺はにやけそうになる顔を、必死で留めてマシロの服を脱がしていく。さぁセクハラパーリィの始まりだ!


 マシロの服を脱がし終わると、手探りで反応のあるポイントを探していく。俺は今、最高に冒険者してるぜ。


「にゃぅ!?」

「スズ、この突起を覚えておくんだぞ」

「わっ、わかったよ!」


 季節の所為で身体もほぐれている所為か、一つのポイントに大きな反応があったので、手取り足取り腰取り、クリオ〇を教える。ちなみに北海道近海にふよふよ浮いている半透明のアレではない。


「もう大丈夫、あとは任せて」

「……そうだな、あとはよろしく頼むよ」


 一通り教えた後は、スズの強力な視線の圧力に負け、俺はすごすごと自分のベッドに戻った。となりから聴こえてくる、二人の息遣いと一人の喘ぎ声をBGMに、力尽きるまでナオちゃんのお世話になってから、眠りに就く。そうでもしないと眠れるわけがない。



 まさか以前した妄想が、現実になるとは思わなかった。この日から、マシロの恋の季節が終わるまで、眠れぬ日々が続いたのは言うまでもない。



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