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異世界では早すぎた少女

 獣人が二足歩行の獣と分かり、半ば諦めていた獣耳少女である。俺がおかしなテンションになるのも無理はないだろう。欲しいからって流石に暗殺はしないよ、ホントダヨ。

 ロドリゲスが連れてきたのは、獣人というより猫耳と猫尻尾が付いた普人族の少女であった。背はスズよりも小さいだろうか? いや猫背なのを考えると、同じくらいかもしれない。大食らいという割には身体はやせ細っており、出会ったころのスズを彷彿とさせる。


「人みたいに見えるでしょ? でも雑種なのよこの子。見た目が良いから仕入れてみたんだけど、これがなかなか売れなくてねぇ」


 それって、獣人族と普人族の混血ってことか。やはり業の深い人が居るようだ。男親と女親のどっちが普人族なのだろうか? どちらにしてもそのモフモフ愛には脱帽である。ともあれ、まずは鑑定だ。


----------------

名前:マシロ

種族:混血種(獣人/普人)

モラル:3

レベル:1

筋力:29 (29)

耐久:30 (30)

敏捷:43 (43)

器用:30 (30)

精神:20 (20)

魔力: 7 ( 7)

通常スキル:なし

固有スキル:絶対感知Lv1

ギフトスキル:なし

スキルポイント:0pt

----------------


 マシロって言うのか、やはり混血種だった。スズと一緒で固有スキルがあるのを見ると、混血種はスキルも優遇されているのかもしれないな。【絶対感知】は気配察知、嗅覚感知、聴覚感知、視覚感知、罠感知のセットスキルらしく、索敵チート性能だ、鍛えれば不意打ちの心配が無くなるだろう。ちなみに種族の鑑定結果が次の通りだ。


----------------

種族:混血種(獣人/普人)

基礎寿命上限:70

基礎パラメータ上限:筋力(110) 耐久(110) 敏捷(140) 器用(105) 精神(95) 魔力(100)

説明:獣人族と普人族から生まれた混血種。混血種の特徴として基礎パラメータが高い代わりに、成長が遅く、成長には多量の栄養を要する。また、繁殖力が低く、滅多に子供ができることは無い。

----------------


 基礎パラメータ上限以外はスズと同じだ、両親の種族でパラメータ上限は変わるみたいだな。うまく掛け合わせると、前衛特化や後衛特化の混血種を作れるかもとか思っちゃうが、現実でそういうことすると人道的マズいから、やらないよそんなこと。


 ともあれ、この子は買いだな。あまり欲しがっても吹っ掛けられるかもしれないから、まずは冷静に値段交渉だ。俺は逸る心を落ち着けて値段を確認した。


「雑種なんですね、それで、おいくらでしょうか?」

「普通なら売り物にならないんだけど、この子は金貨2枚でどうかしら?」


 やっすいな、混血種どんだけ嫌われてんだよ……。金貨2枚なら即決でもいいけど、一応確認しとこうかな。


「ずいぶん安いですけど、そんなに売れないものですか?」

「可愛いくても、中途半端に獣の部分があると、やっぱり気持ち悪がられるみたいでねぇ。それにペットの罪は主人の罪なの、雑種が悪っていう迷信を甘く見てたわ。もうすぐ仕入れて1年たっちゃうから、金貨2枚じゃ赤字だけど売ってあげたいのよ」


 ケモ耳は異世界では早すぎたんだな、日本だったら大人気なのにな……いや、現実に居たら気味悪がられるかもしれないか、秋葉原あたりなら普通に受け入れちゃいそうだけどね。それで、仕入れて1年経っちゃうって、鉱山で強制労働とかそういうのか?


「仕入れて1年経つとマズいんですか?」

「こっちも慈善事業じゃないのよ、食費もバカにならないし、可哀そうだけど保健所に送るしかないわ。保健所で飼い主が見つかればいいのだけど、現実は殺処分されるのがほとんどなのよ」


 保健所て……異世界言語スキルの所為だこれ、日本の保健所と同じような場所があるんだろうなきっと。売れ残ったペットの行方とか知りたくなかったよ。売れ残ったら殺処分とか、だからコテツとアンズも買われることに文句を言わなかったのか、流石に殺処分よりはマシだろうよ。


「殺処分とはヒドイですね、金貨2枚で買いましょう」

「ありがとうね。この子はマシロ、可愛がってあげて頂戴」

「マシロです……よろしくご主人」


 マシロがぺこりとお辞儀をする。それに釣られる様に、垂直に立った尻尾の先端がお辞儀をする。尻尾可愛い、めっちゃなでなでしたい。

  

「コテツ、アンズ、マシロ、この3匹でいいかしら?」

「はい、それで買った後の事なんですが」

「あぁ、初めてだったわね。説明してあげるわ」


 ロドリゲスが説明してくれた内容を要約すると次のような感じだ。


・主人として登録可能なのは最大3人まで

・無属性魔法で契約紋を刻み、契約内容を守らせることが出来る

・契約紋は基本4種類、主人の登録、主人への攻撃禁止、主人からの命令順守、自傷禁止

・追加の契約紋は別料金

・従者の首輪をつけ、契約内容を強化


 無属性魔法の【プロミス】という魔法で、契約紋を刻めるのだが、それだけだと拘束力が弱いらしい。そのため、追加で従者の首輪という魔道具を付けることで、反抗できなくするとのことだ。


 従者の首輪は、従者が主人との約束を破った場合は首が絞まるというものらしく、従者以外にとっては無意味で、使い道の無い捨値同然のアイテムだったそうだ。契約紋と併用する方法を確立してからは、こうしてペットショップで使われるようになって、今では1つ金貨1枚するらしい。


 ちなみに従者の首輪の値段は、ペットの値段に含まれているそうで、マシロはこの店で一番安い金貨1枚のペットとのことだ。金貨1枚は1年分の食費とのことで、本当に赤字覚悟での売却らしい。食費が普通の倍近くかかる上に全く売れず、雑種にはもう懲り懲りだそうだ。


 ちなみに仕入れた混血種はマシロ1人らしい。他にも居たら買っておきたかったので、少し残念だ。


「なるほど、説明ありがとうございました」

「いいのよ~、それで登録する主人は、あなたと病人の子ってことになるのかしら?」

「はい、明日連れてきますので、その時契約でいいですか?」

「もちろんよ、契約の準備をして待っているわ」


 用も済んだので、ロドリゲスに一礼してから、ペットショップの外に出る。


 変なテンションのまま、勢いで命を売買してしまったな。必要な人材を手に入れるためとはいえ、外道な行為に加担しちゃったってことだよな。


 買っただけとはいえ、商売は需要と供給があって成り立つのだ。この商売には、獣人という明確な被害者が居るのだから、買ってしまった時点で俺も加害者ということになるだろう。まぁ、俺にとっては今更だ、少女一人を助けるために街一つを捨てたんだ、これからも生きるために躊躇はすまい。


 さて、明日はスズも連れてかないとならないから、これから帰って説明しないとな。スズの意見も確認しときたいところだが、今の状態じゃ厳しいよな……そうだ麻痺解除薬を買っておいて明日使おう。


 一旦冒険者ギルドに戻って、麻痺解除薬が売っている場所を受付のハゲに聞いたところ、薬品類はギルドでも買えるとのことだった。麻痺解除薬を2つを小金貨4枚(約40万円)で購入してから宿屋に戻る。


 2人部屋が空いているかを確認すると、同じランクの隣の部屋が空いていたので、明日からの予定で部屋を取っておく。金さえ払えばペットでも問題無いらしい、やはり世の中は金だよな。


 自分の部屋に戻ると、ベッドに横になっているスズが出迎えてくれた。


「おあーーえいー」

「ただいま、麻痺もだいぶよくなってきたみたいだな」


 そういや、耐性のスキル覚えさせてたんだっけな。もう2つくらいスキルレベル上げれば、まともに動けるようになるんじゃないか?


「スズ、また肉体異常耐性のレベルを上げてくれるか?」

「…………おーーーぅ」


 暫くしてスズが返事をしてから、ちゃんとスキル選択できたかを確認する。


----------------

名前:スズネ・カミシロ

種族:混血種(鬼人/普人)

モラル:1 ↑1up

レベル:3

筋力:32 (53) ↓1down

耐久:33 (55) ↓1down

敏捷:40 (66) ↓2down

器用:26 (43) ↓1down

精神:19 (31) ↑1up

魔力: 6 (10)

通常スキル:肉体異常耐性Lv2(スキル習得中)

固有スキル:忍の心得Lv1

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:4pt

----------------


 うむうむ、ちゃんと習得中になってるな、それにちゃっかりレベルも上がってる。俺はスズの頭を軽く撫でる。

 

「よーし、いい子だ。それとな明日、一緒にペットショップに行くから、よろしくな」

「ーーー!?」


 あれ? なんか突然スズが怯えたような瞳になったけど、なんかマズったかな?

  

「どうしたスズ? そんなに怯えて。そうだ、麻痺を一時的に治せる薬を手に入れたんだよ。明日使ってやるから楽しみにしてなよ」

「……おーぅ」


 スズもなんとか納得してくれたみたいだし、食事して身体洗ってさっさと寝るか。今日でスズの身体を洗ってやるのも最後になるのかぁ、しっかり堪能しとこう……。


 ゆっくりと食事を済ませ、じっくりネットリ念入りにスズの身体を洗ってから眠りに就いた。



 翌朝目が覚めると、隣のベッドで寝ていたスズが涙を流していた。


「スズ! いったいどうしたんだ?」


 こういう時、話が出来ないってのはホントに困る。麻痺解除薬を飲ませて、まずは事情を聞こう。


「まずはこれを飲んで、話を聞かせてくれよ」


 麻痺解除薬を飲ませてから暫く経つと、動けるようになったスズは、正座で三つ指を突いて深くお辞儀をし、涙を流しながらつっかえつっかえ喋った。


「助けてくれて……本当にありがとう。それと今日まで……お世話になりました。別れても……どうか元気で……いて」



 なんか、お別れの流れになってないか、セクハラか!? セクハラが原因なのか? 土下座でもなんでもするから、別れるなんて言わないでくれ!!



7/22) 指摘頂いた箇所を修正(混血種の説明「鬼人族と普人族から~」⇒「獣人族と普人族から~」)

   ついでに句点と3点リーダーの修正

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