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ペットショップで獣人購入

3/6)文章が途切れている箇所を追記

 そっと閉めた店の扉が内側から開き、太い腕がぬっと伸びてくる。熊の腕と言われても信じてしまいそうな太さの腕が、恐ろしいほど素早く繊細な動きで、俺を捕まえて店の中に引き込んだ。俺は必至に抗うが、指一本すら引き剥がすことができなかった。


「逃げなくてもいいじゃな~い。うちの可愛い子達を見に来たんじゃないの?」

「あはは、急に体調が悪くなりまして」

「あら~ん、それはたいへんね。添い寝でもしてあげましょうか?」

「いえ、もう大丈夫です! 一時的なものだったみたいですね」


 くっそ、なんだこのカマ野郎は、勝てる気がまったくしない。一瞬の油断が命取りだ、油断したらやられる、色々な意味でな。


「初めてのお客さんね、あたしの名前はエリザベスよん、よ・ろ・し・く・ね!」

「はあ、俺はアスラと言います。(よろしくはしたくないわ)」 


 あの腕力には抗いようが無い力を感じたけど、オカマの強キャラとかこんなとこばっか、お約束じゃなくてもいいじゃないかと思うんだが、一応鑑定しとくか。

 

----------------

名前:ロドリゲス

種族:普人族

モラル:312

レベル:49

筋力:82 (853)

耐久:71 (738)

敏捷:64 (666)

器用:76 (790)

精神:42 (437)

魔力:38 (395)

通常スキル:体術Lv5 隠密Lv3 気配察知Lv3 異次元収納Lv3 生活魔法Lv3 無属性魔法Lv4 裁縫Lv4

固有スキル:なし

ギフトスキル:なし

----------------


 そうだよな、エリザベスなんて顔じゃないもの。基礎パラメータが恐ろしく高水準なんだけど、なんでこんな奴が街中に普通にいるんだよ……。


「あーっと、そのエリザベスさん? ここでペットを買えると聞いたのですが」

「そうよ~、私の可愛いペットちゃん達がほしいのね?」


 ペットショップってのは名前だけで、奴隷商みたいなものかと思いきや、もしかして、ほんとにペットショップのノリなのか?


「ペットについてあまり詳しく知らないので教えてもらえませんか?」

「いいわよ~、ペットっていうのはね、王国の西に生息している獣を保護してきてね、教育した子達のことなの。しっかり教育してあるから、ちゃんと言うことも聞くし、念のため契約紋も施すから飼い主に危害を加えることは無いわ」


 それって意訳すると、西に住んでるのを捕獲してきて、調教して、無理矢理従わせているってことだよな。まぁペットってそんなものだよなぁ、とか言うと色んなところで敵を作りそうだ……ペットは家族の一員だよね、奴隷なんかと一緒にしちゃ駄目だよね。

 ともあれ、ちゃんと言うこと聞いてくれるってのは好都合だ。道中の護衛に2名と、余裕があればスズの世話に1名欲しいところだな。


「なるほど、護衛に2人ほど購入したいのですが、相場はいかほどですか?」

「ピンからキリまであるわね。うちの子だと、金貨1枚~40枚ってところかしら」


 100万~4000万円ってところか、ペットって考えると高い気がするけど、人って考えると安い気もするな。人の相場を知らんから何とも言えないけどね。人が欲しがるものなんてたいして変わらないだろうから、前の世界でも裏では人の取引あったんじゃないかと思う。闇に潜れば相場を知る事ができたかもしれないが、闇に潜って無事に戻ってくることは困難だろうし、人の命の相場なんて知らない方がいいに決まっている。この世界でのペットはこんなものかと思っておくのが最上か。


 それにしても、今回みたいに獣人を買うってのはペットを買うのか人を買うのか、どっちになるんだろうな? まぁ、どっちだとしても最後まで面倒は見ないと駄目なのは一緒だろう、ペットを買うだけ買って、あっさり捨てるような人間にはなりたくはない。


「うーん、金貨10枚以内で戦える子がいいですね」

「わかったわ、少し待ってて頂戴」


 エリザベスもといロドリゲスが、キュッと引き締まったケツをふりふりしながら(うげぇ)奥の部屋に入っていった。


 今の所持金は金貨19枚ほどだ、強ければ護衛は1人でも構わないから、金貨10枚までの子を一通り鑑定で見て、良さそうな子がいたら買おうと思う。


 しばらくすると、ロドリゲスさんが4人の獣人を連れてきて、一列に並ばせてくれた。左から、ドーベルマン、セントバーナード、シベリアンハスキー、秋田犬のような見た目の獣人で、粗末な貫頭衣を着ている。見覚えのある犬種が二足歩行してるのを見ると、違和感がすごいな。


「戦える子なら犬種のこの4匹がお勧めね。左から金貨10枚、8枚、6枚、5枚よ」


 鑑定すると、ドーベルマンが1番強く、2番が秋田犬だった。他の子もそれなりに強いが、値段を考えるとな。見た目だけならシベリアンハスキーが一番好みなんだけどね。


「右端の子が安いのって何か理由があるんですか? この中では強い方に見えるんですが」

「人気が無い犬種ってだけ、毛並みが好かれてないみたいね。私は愛嬌があって可愛いと思うんだけどねぇ」


 あぁ、見た目かぁ……人気の犬種とかあるんだな。 ペット扱いだからしょうがないのかなぁ。


「とりあえず、右端の子をお願いします」

「わかったわ、コテツ、こっちへいらっしゃい」

「承知」


 おぉ、言葉も通じるんだな。ずいぶん渋い声だが、やはり男なんだろうな、見た目だけじゃ見分けがつかん。あと1人は女の子がいいなぁ、モフモフするのに男はなんか嫌だし。


「店主殿、発言を許してもらえないだろうか?」

「アスラちゃんいいかしら?」

「……いいですよ」


 発言するのはいいけど、アスラちゃんは勘弁してくれよ。はっきり断れない自分が憎い!


「某を買っていただけるなら、一緒に買ってほしいものが居るのだ。願いを聞き届けてくれなら、必ず役に立つと約束する」


 床に両手両膝を付き、俺に頭を下げて請い願う。ジャパニーズ土下座である……日本人として断れないじゃないか。女の子が欲しいのに、これでまた男だったら泣くぞ。


「エリザベスさん、まずは、その子を見せてもらえますか?」

「たぶんアンズのことね、ちょっと待ってて頂戴」


 アンズっていうと女の子かな? というか名前がペットっぽいのは仕様だろうか。


「この子がアンズ、買うなら金貨5枚よ」

「アンズと申します、どうかよろしくお願いします」


 二足歩行の秋田犬が深くお辞儀をし、艶っぽい女性の声で挨拶をした。鑑定してみると、コテツと同程度の強さだ、これなら買っても問題無いだろう。ちなみにコテツとアンズのステータスは次の通りだ。


----------------

名前:コテツ

種族:獣人族

モラル:124

レベル:27

筋力:45 (160)

耐久:43 (153)

敏捷:45 (160)

器用:30 (107)

精神:28 (100)

魔力: 8 ( 28)

通常スキル:槍術Lv4 隠密Lv2 気配察知Lv3 異次元収納Lv2 生活魔法Lv1

固有スキル:嗅覚感知Lv3 聴覚感知Lv3

ギフトスキル:なし

----------------

----------------

名前:アンズ

種族:獣人族

モラル:136

レベル:27

筋力:39 (139)

耐久:38 (135)

敏捷:49 (174)

器用:34 (121)

精神:29 (103)

魔力:14 ( 50)

通常スキル:小剣術Lv3 弓術Lv3 隠密Lv3 気配察知Lv2 生活魔法Lv2

固有スキル:嗅覚感知Lv3 聴覚感知Lv3

ギフトスキル:なし

----------------


 ちなみに獣人族についての鑑定結果は次の通りだ。


----------------

種族:獣人族

基礎寿命上限:60

基礎パラメータ上限:筋力(110) 耐久(110) 敏捷(140) 器用(90) 精神(90) 魔力(60)

説明:森林に暮らす、獣に近い見た目をした種族

  身体能力と感知能力に優れるが、魔力は低い

----------------


 敏捷がとても高い、魔力は低いが前衛として運用する分には、普人族よりずっと強いだろう。


「強さはなかなかですね。ところで、まとめて買ってほしいのは何故ですか?」

「この子達は番なのよ。一緒に買ってあげれば、きっと一生懸命尽くしてくれると思うわ。今は身体が鈍っているけど、ちゃんと食事と運動をさせれば、2人とももっと強くなってくれるはずよ」

「某ら2人、必ず強くなることを誓おう」


 夫婦とか、リア充爆発しろ! ……まぁ、夫婦揃って捕まってるんだからリア充じゃないか。ここで断ったら、なんか俺が悪い奴みたいだよなぁ、しょうがない買うかぁ。


「分かりました、2人まとめて買いましょう」

「アスラちゃんありがとうね。こんな商売してるけど、うちの子達にはできるだけ幸せになってほしいのよ」


 ロドリゲスの言葉は偽善とも取れるが、良く知りもしないであーだこーだ言うものでもない、きっと色々複雑なのだろう。偽善だろうがなんだろうが、大切にしてくれるならマシだろうよ。


 予想より安く済んだので、スズの世話係も買う事にしようか。俺としては残念だが、女の子に世話された方がスズにとっては良いだろうからね。


「ついでに、病人の介護ができる子が欲しいのですが、戦闘は出来なくても問題ありませんが、女の子でお願いします」

「女の子ね、未通の子がいいかしら?」


 未通ってあれか、処女ってことか。モフモフはしたいが、さすがに獣姦には興味は無いわ。そういうのを訊くってことはそっち方面の趣味の人も居るってことか、人って業の深い生き物だよな。


「いえ、安くて器用な子であれば、それ以外は問いませんよ」

「安くて器用ね……、ちょっと大食らいで見た目が特殊な子でもいいかしら? 一応未通な子よ」


 見た目が特殊な子か、毛が抜けてたりとか耳が欠けてたりとかするんかね? 見てみないと何とも言えないな。


「構いませんよ。まずは見せてもらえますか?」

「分かったわ、すぐ連れてくるわね」


 ロドリゲスは選ばれなかった獣人達を奥の部屋に連れていき、代わりに1人の獣人を連れてきた。たしかにその見た目は普通の獣人とは違い過ぎる。健康的な小麦色の肌と、金色の瞳、真っ白な長い髪の小さな少女だ。そして、その頭頂に生えている二つの可愛い猫耳。



 キタァーーーー! 猫耳少女キタァーーーーー!!

 この子を手に入れるためなら、俺はロドリゲスの暗殺をも辞さないぞ!



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