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全身麻痺の治療方法

 デリルの町の入り口に近づくと、衛兵に止められてしまった。


「そこの男止まれ! 怪しい奴だな、背中の少女はなんだ?」

「魔物にやられて、麻痺してしまいまして。だよな?」

「おーぅ」


 てきとうな理由をでっち上げると、スズも同意?してくれる。


「ふむ、その様子なら、人攫いってわけでもなさそうだな。いいだろう、身分証はあるか?」

「はい、これでいいですか? あとこの子の分が無いのですが」


 ブロンズランクになって得た冒険者カードに、名前と拠点を表示させて、衛兵に見せた。


「ほう、その年でブロンズランクなのか。それなら、その子の分は、お前が責任を持つなら問題無いぞ。ここに名前を書いてくれ」


 俺とスズネの名前を記載して差し出す。


「書けましたよ。あと、この町に宿屋とかありますかね?」

「うむ、ちゃんと書けてるな。宿屋は町の中心に1軒あるぞ、向こうだ」

「ありがとうございました、それでは行きますね」


 俺達は町に入ると、町の中心にあるという宿屋を訪ねた。


「いらっしゃい、どんな部屋をお探しで?」

「2人部屋空いてますかね? ベッドが2つで、できるだけ頑丈な部屋がいいんですが」


 俺は宿の女将さんに、部屋の希望を伝えた。パラメータが高いと普通の部屋じゃ壊しかねない、宿屋に泊まるのも一苦労である。


「一番頑丈な2人部屋だと、1日銀貨2枚かかるがいいかね?」

「はい、とりあえず2日分お願いします」


 1日で銀貨2枚(約2万円)と、普通の部屋の約5倍だが、部屋を壊して弁償させられるよりはマシだ。銀貨4枚を支払い、部屋を案内してもらう。部屋は高いだけあって、そこそこ豪華な作りになっており、お湯と食事の代金も含まれているそうなので、頼んでおいた。


 まずは、生活魔法Lv2の【照明】を使用して部屋を明るくし、部屋に併設されていた暖炉に、薪をくべ部屋が温まるのを待つ。その間に、スズをベッドに寝かせてから、自分の防具を外して身軽になる。


 この3日間、身体をまともに洗っていない。少し肌寒かったが、仕切りの向こう側にある洗い場で、自分の身体に念入りに【洗浄】魔法を掛けて身を清めた。


 洗い場から部屋に戻ると、扉をノックする音が聞こえてくる。お湯を持ってきてくれたようだ。食事についてはもうしばらくしてから運んでくれるそうだ。


 お湯を受け取った俺は、いったん洗い場に置いて、ベッドの上のスズを横抱きにして洗い場に運ぶ。スズの身を清めるために、服を脱がせていくと、瑞々しい肌が照明の光を反射して艶めかしい。スズは顔を赤らめているが、嫌がっている気配は無い。


 ゴクリッ……、いかんいかん、早く綺麗にして寝かせてやらんと。


 ずっと見ていたいという自分の欲を振り切って、【洗浄】とお湯を併用し、スズの身体が冷えないようにしながら綺麗にしてあげる。


「あう……うぅ……」


 俺の手が触れるたびにスズの悩ましい声が聞こえてくる。これは不可抗力だよ、うん。


 綺麗に磨き上げたスズを毛布でくるんで、ベッドの上に仰向けに寝かせると、心なしか、恨めしそうな眼でこっちを見ているような気がする。


 この視線ゾクゾクする……でもまぁ、ほどほどにしないとな。嫌われたくは無いしね。


 ひとしきり頭を撫でてあげると、しょうがないなぁといった感じで、機嫌を直してくれたように見える。丁度その頃に、宿の女将さんが食事を運んできてくれたので、食事を摂る事にした。


 食事メニューは硬いパンと、シチュー、何かの肉のステーキだ。まずはシチューを食べさせてあげ、次にステーキを細かく切ってスズの口に運んだが、口を開けてくれない。


「もう、お腹いっぱいなのかな?」

「あーーぅ、あーーぅ」


 ……そういうことね。たしかに肉を一人で食べるのはまだ厳しいよね。それだけだよな……?


 干し肉しか無く仕方が無かった昨日と違って、背徳感を感じながらも、少しづつ口移しで肉を食べさせてあげる。俺の分の肉も食べさせてあげ、代わりに俺は残ったパンとシチューを食べて、食事を終えた。


「今日はまだ早いが、もう休もうか。ゆっくり眠りなさい」


 そう言って、スズを寝かし付けると、俺も隣のベッドに横になった。


 これからすることを考えるとドキドキするな。ナオちゃんよろしく頼むわー。


 ぐっすり眠っているスズの隣で、こっそりとナオちゃんと戯れる。とんだ変態だが、過ちを犯すよりはマシだ。久しぶりだったせいで直ぐにはててしまった俺は、最後の瞬間にスズの肌の感触を想像してしまったことを思い出し、軽い罪悪感を覚えながら眠りに就いた。


 翌朝の目覚めは爽快であった。顔を洗ってから宿屋のロビーに行き、女将からお湯をもらってくる。


 やはり寝てる間も垂れ流しだったので、昨日と同様、念入りにスズの身体を綺麗にしてあげる。スズのジト目が今日も心地よい。


 身体を洗い終わったら、毛布もきれいにして、スズをベッドに戻す。その際、人差し指に嵌っている指輪を見つけたので、ついでに外して綺麗にしてあげることにした。洗い場に戻り指輪を洗って戻ってくると、スズからの反応が一切無くなっていた。


「スズ? どうしたスズ!」


 その両目には理性の光は残っているが、スズはピクリとも動かない。


「頼むなんとか言ってくれ、スズ!」


 何度呼びかけても、スズは答えてくれない。


「俺が悪かった! なんでも言うこと聴くから、答えてくれよ!」

「キュルルゥ~」


 必死な俺の願いに対し、スズの間抜けな腹の音が響き渡り、俺はなんとか平静を取り戻すことが出来た。スズの瞳が羞恥のため潤んでいるように見えるのは気のせいじゃないだろう。


 まったく俺は、冷静にならんとだめだな。俺はさっき指輪を外したんじゃなかったか?


 そういえばこの指輪には麻痺耐性の効果があったはずだ。やはり指輪が原因だったようで、人差し指に戻してやると、スズが返事をくれた。


「うーーあーー」

 

 良かった……なるほど、耐性上げると多少はマシになるんだな。肉体異常耐性のスキルを覚えさせれば、介護の必要が無くなるかもしれない。少し寂しい気もするが、スズにはそっちのほうがいいだろう。


「スズ、【ステータス表示】って念じてみてくれるか?」

「……!? おーー」


 見れたのかな? まぁ、俺も鑑定し直しとこうか。  


----------------

名前:スズネ・カミシロ

種族:混血種(鬼人/普人)

モラル:0

レベル:2

筋力:33 (52) ↓1down

耐久:34 (54) ↓1down

敏捷:42 (66) ↓1down

器用:27 (43) ↓1down

精神:18 (28)

魔力: 6 ( 9)

通常スキル:なし

固有スキル:忍の心得Lv1

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:6pt

----------------


 お、レベル上がってるけど基礎パラメータが下がってる気がするね。このまま麻痺が続くと下がり続けそうだから、なんとかしないとな。レベル上がってるのは途中でゴブリン何匹か倒したせいか? これならパワーレベリングできそうだ、もっとレベル上げておこう。


「ギフトスキルの加護ってのがあるだろ? それで取れるスキルを選べるんだが、通常スキルのところを注視して、肉体異常耐性スキルを2ポイントで取れるようなら、選んでみてくれるか?」


 しばらくしてから、スズが「おーーう」という声をあげたので、鑑定するとちゃんとスキル習得中になっており、スキルポイントが2pt消費されていた。これで、残り4ptで肉体異常耐性をレベル2にすれば麻痺もだいぶマシになるだろう。


 麻痺耐性を取ってしまうという手もあるが、スキルポイントの節約を考えるとこっちのがいいはずだ、決して俺がもうしばらく介護プレイを楽しみたいわけではない。


 その後すぐに、朝食の時間になったので、朝食を食べさせ、出かける準備をした。身動きができないスズを置いていくのもためらわれたため、市場と冒険者ギルドの場所を女将に訊いた後、スズを背負って宿の外に出る。


 市場で、干し肉と飲み水を補充し、途中にあった古着屋でスズの服と下着を調達する。料理なんて旅の途中にする気力も無いし、食べさせるのも慣れてしまったから、干し肉があれば充分だ。最低限のものを買い集め、残金は金貨19枚ほどになった。


 買い物が終わったので、教えられた冒険者ギルドに向かうと、規模の小さな出張所のような建物であった。


「よう、子供連れたぁ、冷やかしなら帰りな」


 そっけない態度の受付のおっさんだが、冒険者カードを見せると態度が変わった。


「!? こんな田舎のギルドに何のようだい?」

「なに、麻痺レベル4の治し方を聞きたくてね」


 俺に腹芸なんて出来はしないし、背中を見ればバレバレなんだ素直に欲しい情報を聞いた。


「麻痺レベル4か随分と厄介なのをもらったみたいだな、銀貨1枚でどうだ?」


 情報料ってことだろう、素直に銀貨1枚を渡す。


「毎度あり、麻痺レベル4なら光魔法レベル4の『リカバー』で治すか、麻痺解除薬で一時的になら回復できる。上級麻痺解除薬でも治せるが現実的じゃないな」

「現実的じゃないとは?」

「麻痺解除薬は銀貨20枚程度だが、上級はほとんど出回らないし、売ってたとしても最低で金貨20枚はするだろうさ」


 制作系の高スキル者が少ないからって、金貨20枚(約2000万円)って法外すぎないか? 上級麻痺解除薬を買うのは厳しいな、錬金術で作れればいいんだが、肉体異常耐性で誤魔化しながら、リカバー使えるやつを探すのが一番か。


「なるほどな、リカバーは何処で受けられる?」

「確実なのはエスト教国だな、金貨1枚もあれば受けられるはずだ」


 エスト教国か……宗教国家って嫌な予感しかしないが、行くしかないかなぁ。どっちにしろ商都連合行くなら、途中で通ることになるらしいし、そこでお願いするか。


「ここからエスト教国まではどう行けばいい?」

「……小銀貨1枚」


 足元を見られているようで、苦々しく思いながらも、仕方なく小銀貨1枚を支払う。


「この町から北東に、馬車で2日程行くとヘイローの街がある。そこから北に、馬車で4日程で国境の砦に着くはずだ。ヘイローの街の先は危険な領域もあるから、二人で行くのはお勧めできないぞ」

「情報助かりました、ヘイローの街で充分な準備をすることにします」

 

 欲しい情報も手に入ったので、冒険者ギルドを後にし、宿屋の部屋に戻った。


 風魔法を使えば、スズを背負っていても馬車よりは早く進める。また俺が徹夜すればヘイローの街までは問題無いだろう。問題はその後だ、さすがに4日徹夜は無理がある。まぁ、考えてもしょうがない、まずは明日からヘイローの街に向かうとしよう。


 昨日同様、スズとの背徳的な食事を済ませた後、お楽しみのスズへのセクハラタイムを過ごして、ナオちゃんとの日課を終わらせ、眠りに落ちた。まったく麻痺様々である。



 だんだんとスズへの精神的な敷居が取り払われてきている気がする。すまんな同志達よ、ノータッチの誓いは守れそうにない。



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